［gamescom］「Tropico 5」はプレイヤーのチョイスで国家の歴史を作り出していくスタイルに。宗主国から独立し，世界のスーパーパワーを目指せ

　箱庭シミュレーションシリーズの最新作「Tropico 5」（PC/Mac/Xbox 360）が，gamescom 2013のKalypso Mediaブースでプレス向けに公開されていた。まだプレα版とのことで，ゲームプレイはできなかったものの，シリーズの開発を行うHaemimont Gamesのプロデューサー，ビサー・ディアンコフ（Bisser Dyankov）氏にいろいろと解説してもらったので紹介しよう。

ブルガリアを本拠にするHaemimont Gamesのプロデューサー，ビサー・ディアンコフ氏

　まず，Tropico 5がこれまでのシリーズと大きく異なるのは，ミッションベースではなく1つの国家の歴史を作り出していくようなスタイルになっていることだ。最初は帝国主義時代の植民地に過ぎないが，やがては宗主国から独立し，世界大戦や大恐慌といった世界的なイベントが発生する時代をくぐり抜け，最終的にスペースシャトルを打ち上げるような世界のスーパーパワーとして成長していくことになる。
　ディアンコフ氏の話によると，国家が歩む時代はいくつかに区切られており，それぞれで目標を達成することでポイントを獲得できるという。このポイントがゼロになった場合はゲームオーバーになるとのことで，このあたりはほかの建設シムと大きく違う要素と言えそうだ。


　ゲームの序盤の大きな目的は，植民地の現地リーダーとして，宗主国から独立を果たすことだ。宗主国は，最初は植民地の繁栄のために優しくしてくれるが，そのうち関税や寄付金などの要求を突き付けてくるようになり，プレイヤーは友好関係を保ったまま金銭で自由になるか，武力で独立戦争を起こすことになるという。
　実際にどのような独立戦争が表現されているのかは教えてもらえなかったが，「単にサイコロを振ってランダムに決めるようなものにはならない」とのことで，このあたりにも新しいシステムが用意されているのかもしれない。

　また，Tropico 5では「Dynasty」というシステムが用意されており，エル・プレジデンテには息子や娘，妻，兄弟，義父，叔父，従兄弟に至るまで，さまざまなな親族が登場する。彼らを，その能力に合わせて外交官や将軍，工場長などに任命することで，独裁国家の基盤を強固なものにするとともに，その資産を増やしていくことができるのだ。
　資産といえば，本作では貿易システムが強化されており，プレイヤーはガレオン船やタンカーを購入して，宗主国や近隣諸国との貿易を行えるようになっている。ゲームマップはプレイ開始時点でランダムに生成されるため，プレイヤーは周囲を探索してマップ上に点在する鉱山や林業の開発，農地に相応しい場所の開拓などを行う必要があるだろう。


　なお，時代という概念によってゲームは数百年のスパンによって進んでいくようになっているため，エル・プレジデンテは老齢や事件に巻き込まれるなどして，いずれは他界する。すると，その世継ぎが独裁国家を継承することになるので，息子らには海外留学させるなどして，将来の独裁者となるに相応しい後継者を育てておく必要もあるとのことだ。
　さらに，本作には時代に合わせた政敵も登場する。植民地時代の王党派に始まり，民主主義者や共産主義者，グローバリストなどが現れては，独裁国家の民衆の心を揺さぶることになるようだ。このあたりには，しっかりとトロピコらしさが受け継がれていると言えるだろう。

　ディアンコフ氏は「前作のように同じようなゲームプレイの続編を作るのではなく，まったく新しいものにする決意をした」と述べていたが，追加要素の中でも「以前からずっとやりたかった」というのが，マルチプレイヤーモードの実装だという。Tropico 5のマルチプレイでは，最大4人のプレイヤーが同じマップ上でCo-opや対戦を行い，輸出入によって自分の領地にはない資源を獲得したり，労働力やエネルギーを共有したりできるとのこと。具体的な内容はまだ秘密と言われてしまったが，一般的なストラテジーゲームのように頻繁に相手の領地に進軍するというようなことはできず，飽くまでトロピコらしさを脱しない内容にすると，ディアンコフ氏は話していた。

「Tropico 5」公式サイト