［TGS 2013］「ルーセントハート」などを手がける台湾PlayCooが新作MMORPGを開発中。陸海空のすべてで冒険ができる「Myrina（ミリナ）」

　東京ゲームショウ2013の台湾ゲーム館に，「ルーセントハート」「DIVINA（ディビーナ）」「Dream Drops（ドリームドロップス）」などを手がけるデベロッパのPlayCooが，自社ブースを構えていた。これまで同社はGamaniaグループに属していたが，これからはほかのパブリッシャも視野に入れたうえで，日本へのタイトル展開を検討するとのこと。同社の手がけるタイトルは，着実に日本のゲーマーの人気を獲得しているので，今後の動向は要注目といえるだろう。

　今回紹介する「Myrina（ミリナ）」は，そんなPlayCooが東京ゲームショウ2013に出展していた，新作MMORPGである。プレイヤーがアトランティス王国の冒険者となり，“七つの海の宝物”を求める冒険へとおもむくというのが，そのストーリーだ。
　現在公開されているクラスは，剣闘士（二刀流の近接アタッカー），ガンスリンガー（二丁拳銃），エンパイア ナイト（聖騎士），日曜司祭（ヒーラー＆キャスター），暴風使い（ピュアキャスター）の5種類がある。



　これまでのPlayCooのタイトルとは異なり，ゲームエンジンにGamebryoを採用。これに伴い，過去作よりもアクション要素を大きくフィーチャーしているのが特徴だ。具体的には，マイキャラの活動範囲が陸上に加え，海と空にも広がっている。陸海空すべての領域で楽しめるMMORPGというわけだ。

　まずは海に関してだが，本作では陸上でのコンテンツに一通り慣れたあたりのレベル35で，自分専用の“船”を所有できる。航海しながら未開の無人島を探したり，宝探しや別大陸のダンジョンに挑んだりできるというわけだ。ちなみに海上ではバトルは発生せず，基本的に陸に降りたうえで戦うことになる。


　この世界には大小さまざまな島が点在しており，その中には，プレイヤーギルドが所有できるものもある。多くのMMORPGで“ギルドハウス”は用意されているが，“ギルドアイランド”を持てるゲームはちょっと珍しい。
　島を所有するギルドのマスターは大きな権力を持つことができ，たとえばそこに大型モンスターを放ち，Raidイベントを主催したりできるそうだ。ギルドマスターというより，この場合はどちらかというと“ゲームマスター”に近いかもしれない。

　また，“ボトルメッセージ”を海に流して，それを見知らぬ誰かが引き上げてお互いに意気投合すれば，フレンドへと発展させられる。コミュニティの促進にはいろいろとアイデアを盛り込んでいるようで，ほかにもフレンドリストに多くのキャラクターを登録したり，一緒に冒険したりすることで，50種類近く用意されたトロフィー（実績）が獲得できる。トロフィーを集めると，いわゆる称号のような形で，マイキャラのボーナス能力が得られるという。このようにお互いにメリットを受けられれば，シャイな人でもフレンドを作るためのきっかけになりそうだ。


　続いて“空”に関してだが，マイキャラはグライダーやパラシュート，さらにはジェットパックなどで滑空/飛行が行え，空を快適に移動できる。また，エリア内の要所には巨大な“大砲”が設置されており，マイキャラがこれに乗り込んで遠距離まで飛ばしてもらうという，豪快なショートカットも可能だ。

　さらに，ジャンプを活用してフィールド上の段差を飛び越えたり，道中のトラップやモンスターの攻撃を避けたり，ヒゲを生やした配管工のようにコインを集めたりと，アスレチックな要素もある。こういったアクションは，前々からアイデアを温めていたものの，ゲームエンジンを変えることで初めて実現へと漕ぎ着けられたそうだ。

死神

　ちょっとユニークなのは，死亡時のシステム。冒険中にマイキャラのHPがゼロになった場合，いきなり死ぬわけではない。“死神”（割と可愛い）がにじりよって来て，やがて息の根を止められてしまうのだが，それまでの間に課せられた“ミニゲーム”をクリアすることで，死神を追い払って復活できるのだ。

　約2年半の開発期間を費やしたという「Myrina（ミリナ）」だが，まずは2013年10月中旬に香港，そのあとは台湾で12月のサービス開始を予定している。東京ゲームショウに出展していることからも分かるように，ゆくゆくは日本でもサービスを行いたいとの意向だが，冒頭部でも触れたように，本作の日本におけるパブリッシャはまだ決まっていない。


　ちなみに台湾のデベロッパという括りでは，昨年の東京ゲームショウ2012に出展したX-LEGEND Entertainmentは，その後，日本支社を設立し，オンラインゲームの運営を直接行っている。その可能性について尋ねてみたところ，PlayCooはあくまでも“開発”に徹する考えで，日本市場を熟知し，きっちりと運営してくれる運営会社を探したいとの回答だった。

　今回の東京ゲームショウ2013の出展では，会期中に多くの国内メーカーから問い合わせが来ており，またそれとは別に，大手パブリッシャ数社ともコンタクトを取っているという。PlayCooがこれまでに手がけたタイトルを考えると，日本国内のパブリッシャにとって，パートナーを組むのにこれ以上手堅いデベロッパはそうそうないだろう。いずれ良い知らせが聞けることを期待したい。