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印刷2013/12/27 11:30

プレイレポート

サッカークラブ運営シム「Football Manager 2014」が好きすぎるので,とくにこれといった理由はないけど紹介してみた

 4Gamer読者が最もゲームを遊んでいるプラットフォームはPCらしい。

 これは1万3000人以上の読者が回答してくれた「夏の特大プレゼント」のアンケートから導き出された結果なのだが,4Gamerの生い立ちを振り返るまでもなく,まあなんとなく大半の読者も予想がついていたのではないだろうか。トップページを眺めてみても,PCゲームの記事やバナーが多いし。
 しかし,その4Gamerの“中の人”である筆者はあまりPCゲームを遊んでいない。どっちかと言えば,否,圧倒的にコンシューマ機のほうが稼働率が高く,編集部に飛び交うPCゲームの話題や専門用語,「FPSはマウス以外じゃ遊べない」といった発言に対して,「お,おう」としか答えられなかったりする。もしくは聞こえなかったフリをする。

 とはいえ,PCゲームを遊んだ経験が皆無というわけではなく,実は10年近くにわたって遊び続けてきたシリーズがある。それこそ寝食を忘れるほどにハマった時期もあり,危うく社会的にドロップアウトしそうになったが,今となってはいい思い出だ(遠い目)。

 ずいぶんと持って回った導入になってしまったが,要するに年の瀬のどさくさに紛れて,筆者にとって“切り札”とも言うべきタイトルを紹介したいという主旨の記事である。

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 さて,そのタイトルというのは「Football Manager 2014」PC/Mac)。英国のデベロッパ Sports Interactiveが開発を手がけるサッカークラブ運営シミュレーションゲームで,2007年にリリースされた「Football Manager 2008」までは,日本語版がセガから発売されており,ものすごくマイナーというわけでもない気がするが,近年はめっきり存在感が薄くなっていたシリーズだ。
 ちなみに「Football Manager」シリーズ自体は,2005年に誕生している。「じゃあ,10年じゃないじゃん!」と言われたら,ぐうの音も出ないわけだが,同シリーズの前身は同じデベロッパによる「Championship Manager」シリーズ。そして筆者は,2003年にリリースされた「チャンピオンシップ・マネージャー シーズン01/02 完全日本語版」からプレイしているので,まるっきり間違っているわけではない点はご理解いただけたらと思う。

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 プレイヤーはサッカークラブの監督兼GM(ゼネラルマネージャ)に就任して,戦力を強化するために選手やスタッフを獲得したり,試合に向けて戦術を練ったり,試合中も指示を出したりすることになる。ただし,あくまでも雇われている身なので,無尽蔵に資金を投入できるわけではなく,クラブの目標が達成できなければ解雇される可能性だってある。PCゲームならではのデータ量に裏付けられた,リアルなサッカーシーンを体験できるというわけだ。

 どう,面白そうでしょ?

 というわけで,ここからは「Football Manager 2014」の「ここがスゴイ!」と思うポイントを気の向くままに挙げていく。ホントに気の向くまま書くんで,プレイレポートやレビューとか思わずに,広い心でお付き合いいただきたい。

プレイアブルな国と地域は51。この中から好きなクラブや代表チームの監督に就任する
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 まずは,なんと言っても登場する選手やスタッフ,国,クラブ,リーグの数が膨大。しかも,そのほとんどが実名なので,これはもうどうかしているレベルだ(褒め言葉)。
 「Football Manager 2014」では,プレイヤーが指揮を執れる国と地域が51。その大半はトップリーグだけでなく,2部以下のカテゴリも含まれており,クラブ数はゆうに2000を超えている。イングランドにいたっては6部相当の「カンファレンス・ノース/サウス(Skrill N/S)」まであり,「なにもそこまで……」と余計な心配をしてしまうほど。そして,登場選手数は初期設定時に最大になるようにすると32万5000人(ゲームプレイの推奨上限数は10万人程度)と表示される。

 このほかにもプレイヤーが指揮を執れない国やリーグ,クラブなども設定されており,またプロ選手だけに限らず,各クラブのユース所属選手(いわゆるアマチュア)まで登場するというこだわりようだ。実名の選手が多く含まれているため,インターネット検索すると,結構な割合でちゃんとヒットするので試してみてほしい。

ほとんどの選手やスタッフ,クラブが実名で登場。過去の経歴やデータなども確認できる
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 これは余談だが,数年前のシリーズ作品をプレイすると,現在のサッカーシーンにおいて主力として活躍している多くの選手がユースに所属しているを確認できるので,その調査網に驚かされること請け合いだ。
 また,選手データでは過去の所属クラブや記録も確認できるので,選手名鑑の代わりにもなる。いや,これがホントの話で「ちょっと前まで活躍していたけど,最近は名前を聞かないなあ」といった選手が,マイナーなリーグや下部リーグでいまだに現役で頑張っているのを見つけて,なんとなくしみじみと感じるのも本シリーズの醍醐味である。

 もちろんデータ量が多くなればなるほど,処理が重くなってしまうのだが,そのあたりは各自のマシンスペックに応じて設定できるのでご安心あれ。

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抜群の運動量で中盤を駆け抜けた「闘犬」こと元オランダ代表のエドガー・ダービッツ選手。現在,5部リーグのクラブで監督兼選手として在籍している

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1998年開催のフランスワールドカップ,予選リーグで日本代表と対戦した元ジャマイカ代表のフランク・シンクレア選手は6部リーグのクラブに在籍。監督兼選手として現役続行中

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驚異的な飛距離のロングスローで「デラップ砲」の異名を持つ,元ストーク・シティFCのロリー・デラップ選手。今月,引退表明したばかりだが,ゲーム内では4部リーグのクラブに所属

現役の日本代表クラスはもちろん,海外の下部リーグやマイナーリーグで戦う日本人選手も多数登場
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 さらに,クラブを強化するための人事にまつわる要素が多岐にわたっている。例えば,選手を獲得する場合,まずは相手クラブとの交渉をするわけだが,移籍金を上げ下げするだけでなく,さまざまな追加オプションを提示したり,トレード要員を用意したりといった駆け引きをしながら着地点を探っていく。
 この話がまとまると,次は選手との契約交渉に進むことになるが,ほとんどの有力選手には一筋縄ではいかない代理人が付いており,高額の年俸のほかにも複数年契約やら仲介手数料やら出来高報酬やらレギュラー保証やらを要求してくるので,意外に出費がかさむことが分かって面白い。
 わざわざ書くことでもないが,筆者は移籍交渉の経験がない。それでも「きっと本物はこんな感じなんだなあ」と思わせる,ディテールの細やかさがあり,億単位の大金が動く非日常的なビッグディールに干渉するスリリングな気分が味わえる。

移籍/契約交渉では,さまざまな項目(中にはよく分からないものもあるが……)で条件を提示することに。選手や代理人によって,重要視する項目が異なるので見極めが大事
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 なお,獲得目標となる選手を決定するためには,スカウトをリーグ戦や大会に派遣して調査するという準備段階が必要だ。どのスカウトをどこに派遣して,どんなタイプの選手を探させるのか。クラブを指揮する者として,プレイヤーがしなければならないことは多い。
 そのほかにもトレーニングメニューの決定や親善試合の申し込み,ユースチームの管理,メディア対応,クラブ首脳陣との会談,選手・スタッフによるミーティングなど,ここにすべてを書き出せないほどの仕事があり,さすがに本シリーズのファンでも面倒だと感じている人もいるのではないだろうか。少なくとも筆者はそうだ。自慢じゃないが。

ビッグクラブともなると,10人以上のスカウトが在籍。彼らを世界中に派遣して,定期的に提出されるレポートに目を通すだけでも一仕事だ
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 しかし,そのあたりもちゃんとフォローされていて,大半の要素はヘッドコーチや下部組織の監督,チーフスカウトにお任せすることが可能だ。つまり,プレイヤーがクラブ運営について全権を握ってもいいし,直接関与する範囲を限定してもいい。ちなみに筆者の場合,トレーニングやユースチーム,メディア対応などはスタッフに丸投げして,移籍交渉や人材発掘,試合といった“おいしいところ”だけを楽しんでいる。

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 肝心の試合については,3Dマッチエンジンが年々進化しており,以下のムービーを見てもらえば分かるように,なかなかのクオリティではないだろうか。「FIFA」シリーズや「ウイニングイレブン」シリーズの最新作と比べると,細かい挙動やグラフィックスの面で見劣りがするものの,「Football Manager」シリーズを古くからプレイしている者にとってはこれでも革新的な進歩と言える。
 とはいえ,筆者はもっぱら2D表示オンリー。プレイの内容は,丸いアイコンで表示される選手とボール,そしてテキストの実況から想像することになるが,3Dでは表現できないスーパープレイを勝手に思い描いて悦に入るという,楽しみ方があると思う。

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3D表示の場合,カメラのアングルやズームの度合いを設定することができる

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こちらは昔ながらの2D表示。これはこれでなかなか味があると思う


 と,ここまで本作の魅力を紹介してきたが,むやみにおすすめできない注意点もある。それは,ゲームの進行にやたら時間がかかりまくるのだ。いや,時間があり余っている人にとっては問題にならないかもしれないが,1シーズンをプレイするのに20〜30時間はかかり,数シーズンにわたってクラブを成長させていこうとすると,プレイヤーにもそれなりの覚悟が必要になる。
 ゲーム内の時間で1週間だけ,1試合だけ進めておこうと立ち上げたつもりが,思わぬオファーが届いて交渉がスタートしたり,スカウトが有力な若手を発掘して検討することになったり,ケガ人が発生して対応に追われたりと,いつの間にか2〜3時間経過していることも少なくない。

 単に「筆者の意志が弱いだけ」という指摘も,あながち間違いではないだろうが,世界中に同じような悩み(?)を抱えたプレイヤーが多く存在したらしく,実は前作「2013」からプレイ時間を短縮できる「Football Manager Classic」モードが実装されている。
 具体的には,クラブ運営に関する細かい要素が省略・自動化され,さらに通常モードでは短時間で終わるように設定しても5〜10分はかかる試合をスキップして数秒で結果画面に移行できる。これで,大幅にプレイ時間が短縮できるわけだ。

「Football Manager Classic」モードの画面写真。通常モードと比べて,ユーザーインタフェースまわりがグラフィカルになった印象を受ける
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 また,特定のシチュエーションにおいて,シーズン途中からクラブを率いる「Challenge」モードも登場しており,あまりプレイ時間が確保できない人でも楽しめるようになった。いやあ,便利な時代になったものだ。

「Challenge」モードでは,「降格圏から脱出せよ」「無敗優勝を達成せよ」「財政難を乗り切れ」といった特定のシチュエーションに挑む
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 というわけで,これから「Football Manager 2014」をプレイする人のために,簡単にアドバイスをしたいと思う。いや,正確には筆者のプレイスタイルを紹介するのであって,「これが正解だ」などとは言わないが,なにかしらの参考になるかもしれない。……たぶん。

 前述のとおり,プレイヤーはクラブに雇われた監督兼GMという立場なので,負けが込んだり,財政面を悪化させたりして,フロントやサポーターの支持を失うと解雇されてしまう。そのため,最初はクオリティの高い選手が揃っていて,比較的資金も潤沢。それでいてタイトル獲得が厳命されていない,ノルマをクリアしやすいクラブを選択したほうがいいだろう。ちなみに筆者の定番は,イングランドのプレミアリーグ所属のアーセナルFC。現有戦力だけでもそこそこ戦えるだけでなく,タイトルを逃してもクビになる可能性はかなり低い。とりあえずゲームの流れを把握したいときに適したクラブだ。

1886年に設立されたイングランドの古豪,アーセナルFC。03-04シーズンに無敗のままリーグ優勝を果たしたものの,10年近くリーグタイトルから遠ざかっている。そのおかげで比較的ノルマが易しいのだが,ファン(筆者含む)にとっては喜んでいいのか悲しんでいいのか……
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 だが,本作の醍醐味はこのような生ぬるい環境だけでは味わえない。やはり戦力面で乏しく,資金面でも恵まれない弱小クラブを率いて,下位リーグから成り上がっていくカタルシスこそ,「Football Manager」特有の楽しさではないかと思う。少ない資金をどこに投入するのかを悩みまくったり,頭角を現した選手が強豪クラブに引き抜かれたり,ときには移籍金欲しさに主力を手放すしかなかったり。「みんな貧乏が悪いんや」と愚痴りながらも,必死にやりくりするほうが楽しかったりするので,ぜひ挑戦してほしい。

 もちろん,日本語非対応では厳しいという人もいるだろうが,その点はなんとかなると思っていい。筆者の英語力なんて,義務教育レベルに達しているのかも危ういほどだが,有志による日本語化MODを導入することでまったく支障なくプレイしているからだ。MODについての詳細は割愛するが,当然メーカー非公式であり,一切サポートは受けられない。あくまでも自己責任の上で導入することになるのでご注意を。

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長年,筆者がお世話になっているサイト「underdogs」で配布されている日本語化MODを導入した画面写真。同サイトでは,MOD導入の手順まで詳しく紹介されている。超便利!

 さて,ここまでわざと言及を避けていたのだが,本作には非常に残念な点がある。「実名のデータが膨大でスゴイ!」と煽ってはみたものの,実は日本のJリーグクラブや所属選手は架空のもの。海外のクラブに所属している日本人選手は実名だが,日本代表を見るとなぜか本田,長友,香川……といった名前はなく,架空の選手だらけになっている。ちなみに「Jリーグ」を導入するMODも検索すれば見つかるはずだが,こちらも自己責任の上で判断してほしい。

本田圭佑選手のデータを見ると,初めて所属したクラブが「Nagoya Stolz」となっている。もちろん,これは架空のクラブ名。海外クラブから期限付き移籍中の永井謙佑選手を除き,所属選手も架空だ
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 こうした面からも,「Football Manager」シリーズが日本で今よりも存在感を増すことは難しいのかもしれない。ゲーム内にチュートリアルが用意されているとはいえ,それでもまだプレイヤーが自ら情報を集めたり,試行錯誤したりといったことは欠かせず,いわゆる万人向けのタイトルではないのは確か。
 定番の「興味を持った人はぜひ遊んでみてほしい!」と締めくくるわけにはいかないものの,膨大な情報量でシミュレートされた世界中のサッカーシーンに浸れるのは,本作のプレイヤーだけの特権だ。まずはあのポジションを補強して,資金が足りなかったら,あの選手を売却して……といった感じで,四六時中,寝ても覚めても「Football Manager」が頭から離れなくなるのは筆者が実証済み。それがいいのかどうかはともかく,サッカー好きにとっては至福の時間だと思う。
 そういうわけで,年末年始でゆっくりできることだし,興味を持った人はぜひ遊んでみてほしい!(結局,締めくくった)

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