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NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
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印刷2014/03/13 01:00

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NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

GeForce GTX 880Mの製品イメージ
画像集#002のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 2014年3月13日1:00,NVIDIAは,ノートPC向けの新型GPUとして,GeForce GTX 800Mシリーズの4モデルとGeForce 800Mシリーズの3モデルを正式に発表した。GeForce GTX 800Mシリーズでは,ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす技術「Battery Boost」に対応したのが大きな特徴だ。

 ラインナップは下記のとおり。NVIDIAは1月の時点でFermiアーキテクチャベースの「GeForce 820M」を製品リストに追加済みだが(関連記事),それ以外の製品はKeplerおよびMaxwellアーキテクチャベースとなっている。

●発表されたノートPC向け新型GPU
  • GeForce GTX 880M(28nm,CUDA Core 1536基,Kepler)
  • GeForce GTX 870M(28nm,CUDA Core 1344基,Kepler)
  • GeForce GTX 860M(28nm,CUDA Core 1152基,Kepler)
  • GeForce GTX 860M(28nm,CUDA Core 640基,Maxwell)
  • GeForce GTX 850M(28nm,CUDA Core 640基,Maxwell)
  • GeForce 840M(28nm,CUDA Core数未公開,Maxwell)
  • GeForce 830M(28nm,CUDA Core数未公開,Maxwell)
  • GeForce 820M(28nm,CUDA Core数未公開,Fermi)

 「なぜ7製品のはずなのに8つ並んでるの?」「なんでGeForce GTX 860Mが2つあるの?」という疑問はもっともだが,順に説明していこう。

GeForce GTX 870Mの製品イメージ。上位モデルと同じく“GK104コア感”が漂う
画像集#003のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 まず,GeForce GTXの名が与えられた“4製品”は,上位2モデルがKeplerアーキテクチャベースとなる。GeForce GTX 880Mは従来製品「GeForce GTX 780M」のリフレッシュ(≒リネーム)&高クロック化版という理解でいいが,CUDA Core数が1344基,メモリインタフェースが192bitとなっているGeForce GTX 870Mは,GeForce 800Mシリーズで新規に用意されたGPUだ(※従来世代の「GeForce GTX 770M」はCUDA Core 960基,メモリインタフェース192bit仕様だった)。

GeForce 860Mの製品イメージは,Maxwellアーキテクチャベースのものだけが公開されている。ちなみにMaxwell版は,動作クロックを除き,デスクトップPC向けの「GeForce GTX 750 Ti」とスペックは共通のようだ
画像集#005のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 次が“問題の”GeForce GTX 860Mだが,結論から先に述べると,KeplerアーキテクチャベースのものとMaxwellアーキテクチャベースのものが存在し,非常に紛らわしいものとなっている。
 Keplerアーキテクチャ採用のGeForce GTX 860MはCUDA Core数が1152基で,演算ユニット数が6基,テクスチャユニット数は96基。Maxwellアーキテクチャ採用のGeForce GTX 860MはCUDA Core数が640基で,演算ユニット数は5基,テクスチャユニット数が40基と,そもそもGPUの規模がまったく異なる。一方,GPUコアのベースクロックは前者が797MHz,後者が1029MHzと,後者のほうが約30%程度高かったりする。第1世代MaxwellではCUDA Coreあたりの性能がKepler比で約30%高いとされていることまで踏まえると,総合的には似たような性能レンジ,そして消費電力になるということなのかもしれない。

 ただ,ここまでスペックが異なると,2種類のGeForce GTX 860Mがまったく同じ特性になるというのは考えづらい。具体的な違いを推測するのは難しいものの,ゲームタイトルによって得手不得手が出てくる可能性はあるはずで,ここは混乱を招く原因となりそうだ。OEMとなるPCメーカーがGPUのスペックを書いてくれないと,面倒なことになりそうである。

GeForce GTX 850Mの製品イメージ
画像集#006のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 発表時点におけるGeForce GTX 800Mの最下位モデルとなるGeForce GTX 850Mは,CUDA Core数が640基とされているので,GeForce GTX 860Mの低クロック版という理解でいいだろう。

 以上4製品(というか5製品)の主なスペックは表1にまとめたので,参考にしてほしい。

※1 筆者推測
※2 あくまでもリファレンスであり,実際にはGPUブーストクロックともども,OEMメーカーが決定する
画像集#007のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

 続いてはエントリー&ローエンド市場向けとなるGeForce 800Mシリーズだが,実のところ,こちらは上位2モデルがMaxwellアーキテクチャを採用し,最下位モデルがFermiアーキテクチャベースであることを除くと,スペックらしいスペックがほとんど公開されていない(表2)。

※筆者推測
画像集#008のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

画像集#009のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 Haswell世代のIntel製CPUに統合される「Intel HD Graphics 4400」と比べて,GeForce 840Mが最大5倍,GeForce 830Mが最大3.5倍,GeForce 820Mが最大2.5倍の3D性能を持つとされる点と,いずれも64bitメモリインタフェースを採用している点が,かろうじて性能を推測するヒントになる,といったところだろうか。

左から順に,GeForce 840M,GeForce 830M,GeForce 820Mの製品イメージ。GeForce 840MとGeForce 830MのダイサイズはGeForce GTX 850Mのそれと比べて明らかに小さいので,GM108コアではないかと推測される
画像集#010のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ 画像集#011のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ 画像集#012のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ


ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす

Battery Boostとは何か


Brian Choi氏(Notebook GPU Senior Product Marketing Manager, NVIDIA)
画像集#023のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 今回の新型GPU発表にあたっては,NVIDIAでノートPC向けGPU製品のプロダクトマネージャーを務めるBrian Choi(ブライアン・チョイ)氏が来日し,その特徴を明らかにした。
 氏によれば,GeForce GTX 800Mシリーズの登場に合わせて,下記のとおり3つの新要素がノートPCにもたらされるという。

  1. Battery Boost
  2. ShadowPlay
  3. GameStream

画像集#013のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 このなかで最も注目すべきが,冒頭でゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす技術として紹介したBattery Boost(バッテリーブースト)だ。
 Battery Boostは,バッテリー駆動時にゲームのフレームレート上限を設け,さらにゲームのグラフィックス品質設定も下げることで,GPU負荷を下げ,いきおい,ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延長するものだ。Choi氏は,「バッテリー駆動時のゲームプレイ時間が短くなること。これがノートPCに残された課題だ」として,その課題に向けた解決策なのだと説明していた。

ゲーマーの多くは1〜2時間かそれ以上ゲームをプレイしたいと考えているが,現実的に,GeForce GTXクラスのGPUを搭載するゲーマー向けノートPCでゲームをプレイできる時間は,50分に満たなかったという
画像集#014のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

 Kepler世代のGPUで,「Frame Rate Target」が用意されたのを憶えている読者もいるだろう(関連記事)。当時はデスクトップGPUの低消費電力化機能という位置づけで,サードパーティ製のオーバークロックツールから利用するような格好になっていたが,Battery Boostでは,それをノートPCにインストールした「GeForce Experience」(以下,GFE)側で設定可能にし,同時にGFEからACアダプター駆動時とバッテリー駆動時とで異なるグラフィックス品質設定を保持し,切り替えられるようになっている。
 Frame Rate Targetとグラフィックス品質設定の最適化という合わせ技によって「バッテリー運用時間を最大2倍にできる」(Choi氏)ところが,Battery Boostの本質だ。

GeForce GTX 860M搭載ノートPCの例。Frame Rate Targetを使うだけでもバッテリー運用時間の向上は図れるが,グラフィックス品質の最適化も行えば,さらに長い駆動時間を確保できるとされる
画像集#015のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

 ちなみに,Choi氏によれば,Battery BoostにおけるFrame Rate Targetは,従来のデスクトップPC向けFrame Rate Targetとは異なり,内部的にGPUの動作クロックや動作電圧を変えるという,高度な処理を行っているそうだ。そのため,ノートPCにおけるFrame Rate Targetを利用できるのは,GTX 800Mシリーズのみになるとのことだった。

 気になる設定のイメージは,下に示したスクリーンショットを見ると分かりやすい。まず,「Preferences」タブに用意されたBattery Boostタブからターゲットとなるフレームレートを選択する。続けて,ゲームタイトルごとにAC駆動時用とバッテリー駆動時用で異なる解像度設定と画質設定が行われるという流れだ。

Frame Rate Target設定用のスライドバー。標準は30fpsだ
画像集#016のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
GFEのGamesタブから,「Batman: Arkham City」を選択した例。ウインドウ内の上下中央部から少し右寄りのところにACアダプターとバッテリーのアイコンが用意され,ここから,それぞれ異なる最適化設定を行えるようになっている
画像集#017のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ 画像集#018のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
ゲーム設定を指定する項目。解像度と,ゲームの画質をバッテリー駆動時間重視にするか品質重視にするかといったあたりを指定できる
画像集#019のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ

 なお,上に示したスクリーンショットからある程度想像できると思うが,Frame Rate Targetは,あくまでもバッテリー駆動時のみに有効となる。ACアダプターを差せば自動的に無効化されるので,「バッテリー駆動時にはいちいちGFEを開いて有効化する。次にACアダプター駆動するときはチェックを外す」といった作業は無用となる。
 一方,GFEから設定するというその仕様上,ACアダプター駆動時とバッテリー駆動時のグラフィックス品質設定は,「ゲーム中にACアダプターを抜き差しすると自動的に変わる」ようにはなっていない。ゲームを“バッテリー駆動時用グラフィックス品質設定”で実行したい場合は,ACケーブルを抜いてから,ゲームを起動する必要しなければならないのだ。GFEの設定は,あくまでもゲーム側の設定ファイルを上書きするものなので,動的に切り替えることはできないのである。

 なお,現時点だと,Frame Rate Targetはすべてのゲームタイトルに対して共通して適用される。Choi氏は「近い将来,ゲームタイトルごとのFrame Rate Targetもサポートする予定だ」と述べていたので,今後のアップデートで状況は変わりそうだが,現時点ではゲームごとにフレームレートの上限を変える機能は用意されていない。

ShadowPlayがKepler&Maxwell世代のGeForce GTX搭載ノートPCでサポートされる
画像集#020のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 新要素のうち,残るShadowPlayとGameStreamはKepler世代のデスクトップPC向けGeForce GTXに提供済みのもの。それが,ノートPCでも利用可能になるという理解でいい。
 国内でも利用できるので(関連記事),すでに使い始めている読者もいると思うが,ShadowPlayは,Kepler&Maxwell世代のGPUに統合されたビデオエンコーダ「NVENC」を用いた,リアルタイムのビデオキャプチャ&配信機能だ。プレイ内容を過去に遡って録画できるのが大きな特徴だが,それが,今回のGeForce GTX 800Mシリーズと,Kepler世代のGPUを採用したGeForce GTX 700Mシリーズ,あるいは「GeForce GTX 680M」「GeForce GTX 675MX」「GeForce GTX 670MX」搭載のノートPCで利用可能になるのだ。

GameStreamは,モバイルデバイスや,モバイルデバイスと接続したテレビで,PC上のゲームをリモートプレイする機能だ
画像集#021のサムネイル/NVIDIA,ノートPC向けのGeForce 800Mシリーズを正式発表。ゲームプレイ時のバッテリー駆動時間を延ばす「Battery Boost」がキモ
 一方のGameStreamは,NVENCでゲーム映像をエンコードし,リアルタイム配信することによって,GeForce GTX搭載のゲームPCで実行しているゲームをモバイルデバイスなどからリモートでプレイできるようにする技術である。GameStream自体はさまざまなデバイスに対応するとされるが,今のところ対応製品はNVIDIAのポータブルゲーム機型Androidデバイス「SHIELD」のみなので,SHIELDが販売されていない日本は蚊帳の外ということになる。


 GeForce GTX 800Mシリーズ搭載のノートPCは,ALIENWAREやASUSTeK Computer,GIGA-BYTE TECHNOLOGY,Lenovo,MSI,Razerなどから登場する見込み。国内展開しているメーカーが多いので,国内でも選択肢はそこそこ用意されるのではなかろうか。

国内発売未定として,GeForce GTX 880M採用のASUSTeK Computer「G750JZ」と,GeForce GTX 860M採用のGIGA-BYTE TECHNOLOGY「P34」,同じくGeForce GTX 860M採用のLenovo「Y50」,GeForce GTX 870M採用のRazer「Razer Blade」が展示されていた。なお,MSIからは国内発売が発表されている(関連記事
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