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「お前らの時間をいただきに来た!」2018年夏配信の「LA-MULANA 2」を手がける楢村 匠氏と鮫島朋龍氏にBitSummitでインタビュー
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印刷2018/05/12 22:17

インタビュー

「お前らの時間をいただきに来た!」2018年夏配信の「LA-MULANA 2」を手がける楢村 匠氏と鮫島朋龍氏にBitSummitでインタビュー

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 インディーゲームの祭典「BitSummit Vol.6」が2018年5月12日と13日に京都府のみやこめっせで開催されている。会場には,NIGOROが開発する探検型アクションゲームシリーズの最新作,「LA-MULANA 2」がプレイアブル出展されていた。

 シリーズ1作めとなる「LA-MULANA」は,主人公のルエミーザ・小杉が遺跡を探検するアクションゲーム。練り込まれたレベルデザインと,懐かしさも漂う歯ごたえある難度が好評を博し,2014年には続編である「LA-MULANA 2」のKickstarterプロジェクトがスタートした。
 その後,リリースが何度か延期されてファンをヤキモキさせていたが,ついに2018年夏にPC版がPLAYISM,Steam,GOGなどで配信されることが決定。会場を訪れていたNIGOROの楢村 匠氏鮫島朋龍氏に話を聞けたので,その模様をお届けしよう。

NIGOROの楢村 匠氏(左)と鮫島朋龍氏(右)
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「LA-MULANA 2」の試遊台では,来場者達が熱心に遺跡へ挑んでいた
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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。2014年にKickstarterプロジェクトを開始した「LA-MULANA 2」も,ついに完成間近とのことですが,今までを振り返っていかがでしょうか。

楢村氏:
 人生に悔いなし,ですね。

鮫島氏:
 ため込んだものを全部出したと言う感じです。

楢村氏:
 とは言え,残りの数か月がゲームの完成度を上げるのに最も重要な期間であることは確かです。

鮫島氏:
 そこで手を抜いてしまうともう駄目なので,気を引き締めて開発を続けていきます。

4Gamer:
 今作のストーリーについて,改めて聞かせていただけますか。

楢村氏:
 前作の主人公が遺跡を破壊し,世界の滅亡を回避したところからの続きとなります。「2」では主人公を女性にしようと考えていたんですが,辻褄合わせには苦労しました。
 ある程度大人でないと冒険はできないですし,お酒を飲むシーンもあるため,アメリカの法律を考えると21歳以上でなければならない。前作の主人公は31歳と言い切ってしまっているので,そうすると何歳の時の子供なんだよ……となってしまう。最終的には「奥さんの連れ子」ということになりました。

「LA-MULANA 2」の主人公,ルミッサ・小杉(左)と,その父であるルエミーザ・小杉(右)
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鮫島氏:
 とはいえ,設定の整合性と言うよりは,面白さ重視のところがあります。

楢村氏:
 話の細かいところについてはプレイヤーさんに想像してもらえればいいと思っています。僕らが作りたい続編は,ストーリーが続いているというものではありません。
 例えば「ドラゴンクエストII」で船を手に入れて海へ乗り出すと,前作の地形が丸々存在していて興奮する……というように,探索で世界のつながりを感じさせるようなものにしたいんです。

4Gamer:
 開発で一番苦労されたのはどこですか?

楢村氏:
 マップ作りですね。前作は2Dグラフィックスでしたが,今回は3Dグラフィックスなので,考え方を根本から変えなければならなかったんです。試行錯誤しながらの作業で,だいぶ時間がかかりました。

鮫島氏:
 プログラマーとしては3Dの世界で「LA-MULANA」の世界観をどうやって表現するかに苦労しました。納得がいくものができてからはある程度楽でしたが,そこにたどり着くまでが大変でした。
 今回はゲームエンジンにUnityを使っているんですが,関数にしろ何にしろ,デフォルトのものは全く使っていないんです。Unity上で動作する「LA-MULANA」エンジンを作り,そこで「LA-MULANA2」を走らせている形になります。

4Gamer:
 ゼロから作るようなものだったわけですね。では,一番こだわったのはどこでしょうか。

楢村氏:
 主人公の移動に関しては,開発の初期からかなりこだわりました。前作の画面比率は4:3でしたが,今回は16:9になるので,主人公の速度がそのままだと,移動がとても面倒なゲームになってしまうんです。なので,いい感じで馴染むまで,ずっと改修を続けていました。

鮫島氏:
 おかげで,プレイされた方からは「ちゃんと『LA-MULANA』してるね」という感想をいただきます。でも,実際の移動速度は前作の方がかなり遅いんです。つまり,移動速度が違うのに,同じ「LA-MULANA」であると感じられるよう,ものすごく細かい調整をしているんです。

4Gamer:
 では,グラフィックス面のポイントはどういったものでしょうか。

楢村氏:
 全世界に向けて発信するものだけに「人種を問わず,全人類が共通して『美しい』と感じる条件は何か」と考えたりもしました。

4Gamer:
 日本人以外のプレイヤーの美的感覚も想像しなければいけなかったと。

楢村氏:
 そうです。いろいろと考え,やはり景色を照らす光,その作り方なんじゃないかという結論に達しました。淡い光や優しい光,差し込んでくる光などですね。
 さまざまな国の2Dアクションゲームを見て,美しいと感じられる背景は,やはり光の表現にこだわっているものでした。ただ,ウチのゲームはずっと地下に潜っている(笑)。

4Gamer:
 困りましたね(笑)。

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楢村氏:
 それでも「LA-MULANA2」では,光の表現をかなり工夫しています。ステージが数あれど,同じ光の表現をしているものはありませんから。

鮫島氏:
 遺跡の背景のネタも前作で使い切っているので,新しいものをひねり出すのに相当苦労しました。特定の遺跡を参考にするのではなく,いろいろな遺跡を組み合わせ,我々なりの解釈を加えて別物にしているんです。なので,フィールドは全て異なった背景になっています。

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4Gamer:
 ゲーム全体のボリュームや,マップの広さは前作と比べてどうでしょうか。

楢村氏:
 そこは前作とほぼ同じですね。減らすとプレイヤーさんががっかりしてしまいますし,増やすと我々が死ぬんですが,「ここまでやらないと『LA-MULANA』として認められない」というところがある。開発が決まったからには,後に引けないんです。

4Gamer:
 前作はMSX系のアクションゲームへの愛が詰まっている感がありましたが,「2」でもそこは変わりませんか?

楢村氏:
 そこは変わりませんね。スタートしたら文字でストーリーを説明するようなものではなく,即座に操作可能になる。ここは絶対に曲げられないです。

鮫島氏:
 個人的には「キングコング2 蘇る伝説」のようなゲームを作りたいんです。機会があればMSXturboRのゲームも作りたいですね(笑)。

楢村氏:
 操作性の理不尽さを受け継ぐのではなく,自分で探る楽しさを追求していきたいです。個人的には,メトロイドヴァニアによくある「ゲームのスタート地点に立っている,ボタン操作を説明してくれる看板」も出したくない位です(笑)。魔物を倒しに来ているのに,介護されているような気分がするので。

4Gamer:
 発売予定は2018年夏と言うことでよろしいですか?

楢村氏:
 はい。PLAYISMさんとSteamで発売され,日本語と英語のテキストが入っています。

4Gamer:
 その後はコンシューマゲーム機への移植も予定されているんでしょうか。

鮫島氏:
 そうですね。そのためのUnityですから。

4Gamer:
 では,最後に作品を楽しみにしているファンにコメントをお願いします。

楢村氏:
 一言でいえば「お前らの時間をいただきに来た!」と言うことですね。

鮫島氏:
 今回も殺しますんで,大丈夫です。死んでください。

楢村氏:
 「すまんが,みんなの命をくれ!」ということですね(笑)。

4Gamer:
 期待しています。ありがとうございました。

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