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ユービーアイソフトの「ロード オブ ザ フォールン」をレビュー。高難度だけが魅力ではない,奥の深い駆け引きを堪能できるアクションRPG
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印刷2015/02/12 17:01

プレイレポート

ユービーアイソフトの「ロード オブ ザ フォールン」をレビュー。高難度だけが魅力ではない,奥の深い駆け引きを堪能できるアクションRPG

 ユービーアイソフトが本日(2015年2月12日)リリースした「ロード オブ ザ フォールン」は,“TRY&DEATH”というキャッチフレーズや,高い難度に注目が集まるアクションRPGだが,実際にプレイしてみると,緻密な駆け引きを楽しめる良作だった。今回は本作を20時間ほどプレイした筆者が,難度についての印象を含めたプレイフィールをお届けしたい。

主人公のハーキン。顔に刻まれた刻印が,罪人の証
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「ロード オブ ザ フォールン」公式サイト



ゲーム開始時のタイプの選択が,ゲームの印象を変える


 かつて人間を支配していた邪神「アディール」が数千年の時を経てよみがえり,人間界に再び危機が訪れる。それを救うのが,本作の主人公「ハーキン」だ。彼は過去に罪をおかし,顔に烙印を押されて幽閉された罪人で,恩赦と引き換えにアディールの軍勢「ローガー」と戦うことになる,というのが本作の設定だ。いわゆるハイ・ファンタジーに属する世界観で,用語など,筆者はその昔プレイしたテーブルトークRPGやゲームブックを思い出した。

3つの「魔法タイプ」と3つの「装備品」。見た目で選んでもいいが,自分のプレイスタイルに合うものを十分に吟味しよう
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 プレイヤーはゲームを始める際に「魔法タイプ」「装備品」を選択することになる。これにより,プレイヤーごとに違ったタイプのハーキンを作り出すことができるのだ。
 「魔法タイプ」には,攻撃主体の「争い」と防衛メインの「癒やし」,そして相手を惑わす「偽り」の3種類がある。
 また「装備品」には,防具で身を守りつつ剣で戦う「戦士のセット」,強力な一撃を繰り出せるハンマーを持ち,魔法が使いやすい防具で身を固める「聖職者のセット」,そして機動性重視の武器と防具によって高い敏捷性を誇るが,そのぶん防御力が犠牲になる「ならず者のセット」の3種類が用意されている。

魔法タイプと装備品の組み合わせによってタイプの呼び名が変わり,特性のパラメータの数値も異なってくる
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 ゲームを進めると分かるが,この選択がゲーム序盤のプレイフィールに大きく影響するので,慎重に考える必要がある。筆者は,魔法タイプを「癒やし」,装備品を「聖職者のセット」としてプレイを開始したが,初期装備であるハンマーは,破壊力があるものの,繰り出すまでのスピードがやや遅いため,ゲームに慣れていない状態ではやや使いづらく,最初に遭遇した敵との戦いもままならなかった。何度も苦汁をなめた結果,装備を「戦士のセット」に変えて再スタートしたところ,使いやすい剣と堅い防具のおかげで,少なくとも「聖職者のセット」に比べて時間をかけずに先に進めたのだ。
 「プレイ経験がない序盤なら,どれを使っても難しいのは同じ。ならば,使いづらいが強力なものを時間をかけて覚えていく」という考え方もあるはずで,そのあたりはプレイヤー次第だ。いずれにしろ,それぞれのセットのプレイフィールはかなり違うので,無理だと思ったらセットを変えて再スタートするのもアリだろう。

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緊張感のある戦闘の駆け引きが楽しめる


 本作は三人称視点のアクションゲームで,フィールドを移動しつつ,遭遇した敵と戦っていくことがメインとなるが,さらに,敵を倒すことによって得られる経験値を消費してハーキンを成長させていくというRPG要素も持っている。レベルの概念はなく,経験値を使ってパラメータを上昇させたり,魔法を取得したりするという感じだ。
 広大なフィールドには,屋内や屋外など,さまざまなロケーションが存在し,迷路になっているところもあるなど,プレイヤーを飽きさせない。

最初に遭遇する「マローダー」は,チュートリアルの相手でもある。序盤の敵としては強く,チュートリアル以外のところにも出てくるこいつに,筆者は何度も殺された
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 ローガー達はこちらと同様,さまざまな武器や防具を装備し,魔法を使ってハーキンに襲いかかってくる。敵が大きな盾をかまえている場合,正面から攻撃してもほとんどダメージは与えられないため,相手の攻撃のスキをついて反撃する必要がある。また,遠距離から矢を撃ってくる敵に対しては,盾やフットワークで矢を避けて接近し,攻撃するといった感じで,それぞれの敵ごとに異なる対処方法が必要となるのだ。
 しかし,敵の行動は予想以上に巧みでスキが少なく,こちらの攻撃にも的確に反応してくるので,確実な攻略法を見つけなければ,1体倒すのにもかなり骨が折れる。

画面左下にあるゲージの中段がエネルギーを示す。画面はエネルギーがなくなった状態で,この状態で敵のライフが残っているので,かなり不利な局面だ
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 戦闘において,プレイヤーが意識すべきなのが「エネルギー」だ。これは,ハーキンが行動するためのスタミナのようなもので,武器で攻撃したときや,敵の攻撃を防いだとき,さらに走ったりローリング(回避)を行ったときなどに消費される。その量は画面のゲージで確認できるが,エネルギーがあるほどこちらの攻撃の威力は大きくなり,さらに連続攻撃も繰り出せるようになるのだ。

 逆にエネルギーがゼロに近いと,まともな戦いができず,死に直結するケースも少なくない。エネルギーは行動しなければ自動的に回復するので,エネルギーの増減を考えた戦術が必須になる。ガチャプレイなどもってのほか,というわけだ。
 自分が装備している武器が,どの強さ(攻撃の強さは2段階ある)で何回攻撃するとエネルギーがどのぐらい減るのかといったデータは,ざっくりでもいいから頭に入れておいたほうがいいだろう。

ハーキンと同様に盾を使ってくる敵もいる。攻撃中にスキができるのも同様で,そこを狙っていくことが戦いの基本だ
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 戦闘は通常,敵をロックオンして向かい合った状態での接近戦になる。エネルギーを考慮しつつ,こちらから動くのか,それとも敵の攻撃を待つのかという,緊張感のある駆け引きが本作の醍醐味だ。敵にエネルギーの概念があるのかは分からないが,盾や鎧で身を守ったり,武器によって攻撃方法が変わったりなど,基本的な部分はハーキンと同じ。必ずどこかにこちらの攻撃が有効になるチャンスがあるので,慣れるにつれて戦いが面白くなってくるだろう。新たな敵が現れたときは,またそこで新しい戦術を考えて覚える必要があるので,緊張感がいつまでも続いていく。

戦闘は1対1が基本であり,複数の敵が現れたときはいったん引くなどして,体勢を立て直すのが賢明
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道中の宝箱から,装備品が手に入ることもある。見つけたらすぐに能力を確認しよう
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 上記のように,ハーキンは戦いによって成長するうえ,倒した敵や宝箱などから新しい装備品を見つけられることもあり,ゲームを進めるほど臨機応変の戦い方ができるようになる。また武器をいちいち変更しなくても,瞬時に戦術を変えられる「構え」という要素もある。これは,手に持っている武器の持ち方をその場で切り替えるもので,盾で確実に防御ができる「盾と武器」,飛び道具など特殊な魔法が使える「篭手と武器」,武器を両手で持って威力を上げる(2つ1組の武器を両手に装備することもある)「両手持ち」をボタン1つで瞬間的に選ぶことができるのだ。
 魔法で敵を牽制し,接近したら盾を構えて様子をうかがい,隙を見つけたら両手持ちに切り替えて攻撃する……構えによる戦術の組み立ては,使いようによってかなり有効なので,プレイの際は意識しよう。

篭手(こて)を入手したハーキン。「構え」を変えると使えるようになり,魔法のゲージ(画面左下の一番下)を消費して特殊攻撃が行える。遠距離の敵にも有効だが,魔法ゲージの回復は遅いので攻撃の主体になりづらい
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パラメータの割り振り方で,ハーキンの戦い方が変わる


 ゲームを進めるうえで重要なのが,ハーキンの成長だ。上にも簡単に書いたが,これは得られた経験値をチェックポイントでポイントに変え,それを「特性」と呼ばれるパラメータと,「魔法」に割り振っていくというものだ。
経験値を「特性ポイント」と「呪文ポイント」に変えられる。特性ポイントを特性パラメータに割り振ることで,ハーキンの能力を上げるのだ
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 ポイントには特性を上げるための「特性ポイント」と,新たな魔法を覚えるための「呪文ポイント」があり,どちらに変えるかは自由だが,魔法の場合「信仰心」の特性が高くないと,新しい魔法が覚えられないようになっている。
 また特性は戦闘において重要な役割を持っており,さらに装備にも影響する。自分のプレイスタイルに合わせて秀でた部分を伸ばしてもいいし,バランスよく育ててもいい。そのあたりはプレイヤーの自由だ。また特性の伸ばし方によっては,ゲーム開始時に選んだものとは違うタイプに育てることもできるだろう。

戦闘中の主な回復手段はポーションを飲むことだ。チェックポイントで手に入るものの,持てる数が決まっているので使いどころを考える必要がある
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死亡すると,すべての経験値を失ってしまう!


 さて,続いて“TRY&DEATH”の“DEATH”の部分,すなわちハーキンが死亡したときのシステムについて紹介したい。ハーキンは当然ながら,戦闘においてライフがゼロになったり,這い上がることができない谷底などに落ちたりすると死んでしまい,チェックポイントからの再開となる。また,いわゆる「オートセーブ」のようなものはないため,フィールド上のチェックポイントでプレイヤーがセーブすることになる。

 本作で倒された場合,いくつかの厳しいペナルティが存在している。その中でも最も厄介なのが,“やれらると持っている経験値をすべて失う”というものだ。正確には経験値は,ハーキンが倒された場所に白い「ゴースト」として残っており,それが消えてしまう前にそこへ行って回収すれば,経験値は戻ってくる仕組みだが,万が一これを回収する前にまたやられてしまったり,一定時間が経過してしまったりすれば,経験値は戻ってこない。

ハーキンが倒された場所に残る白い「ゴースト」。消えてしまうまでの時間と経験値は,画面左下のゲージの上に表示される
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 それに加えて厳しいのは,ハーキンが復活すると同時に,倒したはずの敵も多くが復活している点だ。チェックポイントから遠い場所で倒されると,そこへ行くまでに倒した敵と再び戦わなければならず,経験値の回収は厳しい。「やり直し」と考えれば納得がいく仕様なのだが,経験値が回収できる状態にあるのに,そこへたどり着けないのがもどかしく,回収するか無視するかの選択にも葛藤するはずだ。ちなみにゴーストのある場所へ行かなくても,アイテムで経験値を回収する手段もあるのだが,アイテム数は限られているので,使いどころは難しい。

装備品によってハーキンの見た目が大きく変わる。新しい装備品を手に入れたときの楽しみの一つでもある
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 ちなみに経験値については,上記のとおりチェックポイントで特性や魔法に割り振るというシステムなので,チェックポイントにたどり着くたびに,こまめに成長させていけば,死亡時のリスクは少なくなる。ただし敵を連続して倒すことで上がっていく経験値ボーナスや,アイテムのドロップ率などは割り振りを行うことでリセットされてしまう(これはセーブ時も同様)ので,リスク回避を行うのか,ボーナスを維持したまま進んでいくのかは腕と相談,というところだろう。うーむ,悩ましい。

装備品は「ルーン」というアイテムをセットすることで強化可能だ。ルーンは未知の状態で見つけられ,とある場所で鑑定したのち,装備品にセットできるようになる
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 なお,倒されて再スタートした際に敵が復活することについては,有利な部分もある。同じ敵と何度も戦うことで確実な対処法を見つけられるうえ,ゴーストを回収さえできれば,復活後に倒したぶんと合わせて経験値が増えるからだ。
 強引に突破しようとすると必ずといっていいほど返り討ちにあうので,対峙した敵は確実に倒していくほうが結果的に先に進めることが多いという印象。また,敵は必ずしもすべて倒す必要はなく,スニークでやり過ごすのも一つの手段となる。


どんな敵にも必ず存在する突破口を
じっくり探して進めていける奥深い作品


 前評判どおり,ゲームの難度は確かに高いという印象で,20時間以上のプレイのうち,やられてはやり直すという繰り返しにかなり時間を割かれたのは確かだ。それでも,最初は「こいつは無理だろ」と思った何体かのボスを,プレイを繰り返すことで突破口を見つけ,たとえ時間はかかっても倒せているのは事実で,それだけに,うまくいったときの達成感は非常に高い。

チェックポイントには「シャード」という石が浮かんでおり,これを使うことでゲームがセーブされてライフが回復するほか,ポーションが手に入る
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 とあるボスを倒して手に入れた盾を使うことで鉄壁の防御ができるようになってからは,筆者のプレイスタイルもある程度決まり,そこからはほぼ半日,レビュー執筆のためのプレイということを忘れて没頭してしまった。そのため,本稿の入稿かかなり遅れてしまったことを付記しておきたい。

 とくに,敵と1対1で対峙したときの駆け引きの面白さは特筆でき,戦闘中に武器と盾がぶつかり合う金属質の効果音が,敵との息詰まるチャンバラをいっそう盛り上げてくれる。この面白さは,時間をかけないと体験できない気がするので,ぜひ製品版を手に入れて味わってほしい。筆者もこれから先,いったい何度ハーキンを死なせるか分からないものの,さらに腕を磨いていきたいと思っている。

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