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メモリクロック11GHz版「GeForce GTX 1080」と同9GHz版「GeForce GTX 1060 6GB」の性能速報
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印刷2017/04/20 22:00

テストレポート

メモリクロック11GHz版「GeForce GTX 1080」と同9GHz版「GeForce GTX 1060 6GB」の性能速報

GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8G(左),GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6G(右)
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン MSIお客様ご相談窓口 [email protected]
GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gメーカー想定売価:7万9800円(税別),GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gメーカー想定売価:3万9800円(税別)
画像集 No.002のサムネイル画像 / メモリクロック11GHz版「GeForce GTX 1080」と同9GHz版「GeForce GTX 1060 6GB」の性能速報
 2017年4月20日22:00,グラフィックスメモリクロック引き上げ版となる新しい「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)および「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB)搭載グラフィックスカードの販売が解禁となった。これらは北米時間2月28日に「GeForce GTX 1080 Ti」が発表となったとき,合わせてその存在が明らかになっていたものだが,2か月弱を経て,ようやくの登場となるわけだ。

 それに合わせて4Gamerでは,新しいGPUを搭載するMSI製グラフィックスカード「GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8G」「GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6G」を入手することができた。入手タイミングの都合上,ゲームタイトルを用いての詳細なテストまでは行えていないが,海外市場で「Supercharged」(スーパーチャージド)版とも呼ばれる新しいGTX 1080とGTX 1060 6GBがどんなものか,性能速報をお届けしたいと思う。


GTX 1080とGTX 1060 6GBのメモリが高速化。MSI独自の「OC」モードでメモリクロックはさらに上昇


高メモリクロック版GTX 1080とGTX 1060 6GBの存在は,GDC 2017のタイミングで明らかになっていた。これらは従来モデルを置き換えるものではないとのことなので,カードメーカー各社はおそらく「より高いクロックで動作するバリエーションモデル」に使うものと思われる
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 簡単にGPUの紹介をしておこう。新しいGTX 1080は,従来10GHz相当(実クロック1.25GHz)だったGDDR5Xメモリクロックを11GHz相当(実クロック1.375GHz)へ,同じく新しいGTX 1060 6GBは従来8GHz相当(実クロック2GHz)だったGDDR5メモリクロックを9GHz相当(実クロック2.25GHz)へ,それぞれ引き上げたものだ。
 メモリクロックが上がった以上,新しいGTX 1080では従来の320GB/sから352GB/sへ約10%,新しいGTX 1060 6GBでは従来の192GB/sから216GB/sへ約13%といった具合に,メモリバス帯域幅も拡大している。

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GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gが搭載するメモリチップはMicron Technology製のGDDR5X「MT58K256M321JA-110」(※チップ上の刻印は「6ZA77 D9VRL」,11Gbps品)だった
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こちらはGeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gが搭載するメモリチップだ。Samsung Electronics製のGDDR5「K4G80325FB-HC22」(9Gbps品)である

 逆に言うと,それ以外のスペックは従来のGTX 1080およびGTX 1060と完全に同じだ。つまり,新しいGTX 1080のシェーダプロセッサ数は2560基,ベースクロックは1607MHz,ブーストクロックは1733MHzで,新しいGTX 1060 6GBのシェーダプロセッサ数は1280基,ベースクロックは1506MHz,ブーストクロックは1708MHzということである。

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 GPUのコア型番は前者が「GP104-410」(GP104-410-A1),後者が「GP106-410」(GP106-410-A1)なので,どちらも「GP10x」に続く3桁数字が10上がっているが,GPU側に何らかの最適化が入ったかというと,疑わしいと筆者は考えている。最近のNVIDIAはカードメーカーに対してGPUとメモリチップのセット販売を行っているので(関連記事),「GPUとメモリチップの新しい組み合わせ」を示すためのものという可能性のほうが高いのではなかろうか(※最適化が入っていたとしたら申し訳ないが)。

左が新しいGTX 1080,右が新しいGTX 1060 6GB。ダイ上の刻印は順にGP104-410-A1,GP106-410-A1となっている(※2枚の写真で縮尺は異なります)
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Gaming App。画面中央下部にある[OCモード][ゲーミングモード][サイレントモード]のアイコンをクリックすることで,簡単に動作モードを切り換えられる
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 さて,入手した2枚のグラフィックスカードでクロック周りのスペックはどうなっているかだが,共通しているのは,MSI独自のアプリケーションソフトウェア「Gaming App」(Version 6.0.0.21)から,動作クロックの異なる3つの動作モード「OC」「ゲーミング」「サイレント」を選択できるようになっていることだ。

 GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gの場合,3モードの動作クロックプリセットは,「GPU-Z」(Version 1.20.0)から確認した限り,以下のとおりとなっている。

  • OC:ベース1709MHz,ブースト1849MHz,メモリ11112MHz相当
  • ゲーミング:ベース1683MHz,ブースト1823MHz,メモリ11008MHz相当
  • サイレント:ベース1607MHz,ブースト1747MHz,メモリ11008MHz相当

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 工場出荷時設定はゲーミングモードで,この状態は,メモリクロックをリファレンス相当のまま,ベースクロックを76MHz,ブーストクロックを90MHzそれぞれ引き上げたものとなる。OCモードだとそこからGPUコアのベースとブーストクロックをそれぞれ26MHz引き上げ,さらにメモリクロックも104MHz相当(実クロック13MHz)高い設定だ。
 サイレントモードは,GPUのベースクロックとメモリクロックがリファレンスと同じで,ブーストクロックのみリファレンス比で14MHz高い。また,消費電力にリミッターを掛ける「Power Limit」が100%から75%に下がったのを確認できている。

 ちなみに後述するテスト環境で,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.3.0)から動作クロックを追ってみたところ,ブースト最大クロックは順に1999MHz,1974MHz,1847MHzだった。

GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gの各動作モードにおけるGPUコアクロック最大値をAfterburnerから確認したところ。左から順にOCモード,ゲーミングモード,サイレントモードの結果である
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 一方のGeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gだと,動作モードと動作クロックの関係は以下のとおりとなっている。

  • OC:ベース1594MHz,ブースト1810MHz,メモリ9128MHz相当
  • ゲーミング:ベース1569MHz,ブースト1785MHz,メモリ9028MHz相当
  • サイレント:ベース1506MHz,ブースト1722MHz,メモリ9028MHz相当

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 こちらも工場出荷時設定はゲーミングモードだが,リファレンスクロックと比べた場合,メモリクロックはリファレンス相当で,GPUクロックはベースで63MHz,ブーストで77MHz高くなる。OCモードだとそこからGPUクロックがベースとブーストクロックを25MHz引き上げ,さらにメモリクロックを100MHz相当(実クロック25MHz)高めた設定だ。
 サイレントモードはGPUのベースクロックとメモリクロックがリファレンスと同じで,ブーストクロックのみ14MHz高かった。ここまでの紹介文はGeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gとよく似ているが,Power Limitはサイレントモードでも100%のままだったのでご注意を。

 こちらもテスト中の動作クロックをAfterburnerで追ってみたところ,ブースト最大クロックは順に1961MHz,1936MHz,1873MHzであることを確認できている。

GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gのブースト最大クロックを確認したところ。左から順にOCモード,ゲーミングモード,サイレントモードだ
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Founders Editionとの比較により,新GPUの立ち位置を確認する


 2枚のカードの詳細は後日お伝えすることにして,今回はここでテストのセットアップに入ろう。
 今回は,GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8GとGeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gのいずれも,3つの動作モードすべてでテストを行うことにし,比較対象としてはGTX 1080およびGTX 1060 6GBの両「Founders Edition」を用意した。これで,クロックアップ効果を確認しようというわけである。
 用いるグラフィックスドライバは,テスト開始時点の公式最新版となる「GeForce 381.65 Driver」。そのほかテスト環境はのとおりとなる。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0に準拠。ただし,冒頭でも述べたように,今回は時間的制約が厳しかったため,「3DMark」(Version 2.3.3693)のみ実施することになる。繰り返すが,ほかのテストの結果は後日あらためてお伝えする予定だ。

 なお,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,その挙動がテスト状況によって変わる可能性を排除すべく,同機能をマザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化した。
 また,テスト環境と方法は,先日掲載した「Radeon RX 580」のレビュー記事とまったく同じであるため,GTX 1060 Founders Editionのスコアは,流用できる限り,先の記事から流用している。

 最後に,入手した2枚のMSI製品は,グラフ中に限り「MSI 1080 X+」「MSI 1060 6GB X+」と表記し,動作モードは末尾に丸括弧で加えていることと,Founders Editionはやはりグラフ中に限り「FE」と略すので,以上,あらかじめお断りしておきたい。


両製品ともFounders Edition比で5%前後のスコア向上を確認


 まずはGeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gから見ていこう。
 グラフ1はFire Strikeにおける総合スコアをまとめたものだ。GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gは,ゲーミングモードでGTX 1080 Founders Editionに対して高いスコアを示している。
 とくに“素”のFire Strikeでは1%程度のスコア向上に留まるのに対し,「Fire Strike Extreme」以上ではOCモードで4〜5%程度,ゲーミングモードで3〜4%程度に広がるのは目を惹くところだ。「高いグラフィックス負荷条件ほどメモリ性能がスコアを左右しやすい」という鉄則に基づき,高められたメモリクロックの影響が大きく出た印象だ。
 なお,サイレントモードのスコアがFounders Editionを下回るのは,ひとえにPower Limitの影響と見て差し支えない。

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 グラフ2はFire Strikeから,GPUベンチマークと紹介して過言ではない「Graphics test」のスコアを抜き出したものだが,傾向自体は総合スコアと大きくは変わらなかった。

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 DirectX 12ベースのテストとなる「Time Spy」の結果がグラフ3だ。
 GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8GのOCモードは約5%,ゲーミングモードは約4%それぞれFounders Editionよりスコアが高く,サイレントモードだとむしろ低いスコアに落ち着くというあたりは,Fire Strikeを踏襲している。
 グラフ4はそのGPUベンチマークスコアを抜き出したものだが,こちらも傾向に大きな違いはない。

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 というわけで,GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gである。
 グラフ5はFire Strikeの総合スコアをまとめたものだが,対Founders EditionでOCモードは6〜7%程度,ゲーミングモードは5〜6%程度,サイレントモードは3〜4%程度,それぞれ高いスコアを示した。最も描画負荷の低い“素”のFire Strikeでも相応のスコア差が生じている点に注目したい。
 サイレントモードでもスコアがFounders Editionより高いのは,前述のとおり,GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6GはサイレントモードでもPower Limitが100%のままであるためだ。

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 グラフ6はGraphics testのスコアを抜き出したものだが,スコア傾向はここでも変わらない。

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 Time Spyの総合スコアはグラフ7,GPUベンチマークスコアはグラフ8にまとめたが,ここでもスコア傾向は変わらない印象だ。

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 さて,3DMark実行中のGeForce GTX 1080 GAMING X+ 8GとGeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gはどの程度の消費電力を示すのだろうか。今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力を測定してみよう。
 グラフ9は,実行中に最も高い消費電力値を記録した時点のスコアをまとめたものだが,GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gは,標準のゲーミングモードでFounders Editionより21W,OCモードだとそこからさらに2W高い23Wを示した。さすがにクロックを高めた代償は支払っているといったところだろう。面白いのはサイレントモードがむしろFounders Editionより31W低い消費電力値を示しているところで,「サイレントモードを使うか?」というと微妙ではあるものの,残る2つの動作モードとは明らかに異なる挙動を指向している点は評価できると思う。

 GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gのほうだと,ゲーミングモードにおいて,Founders Editionからの消費電力増大はわずかに8W。OCモードでも13Wなので,クロック引き上げによる負のインパクトはそれほど大きくないと言っていいのではなかろうか。なお,本製品の場合はサイレントモードでもPower Limitの引き下げを伴っていないため,動作クロックが高い分だけ消費電力も上がっている。

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 以上,速報である。これを見る限り,「新しいGTX 1080とGTX 1060 6GBを搭載するクロックアップ版のグラフィックスカードは,もちろんクロック設定にもよるが,おおむね5%程度の性能向上を期待できそう」くらいは思っていていいのではなかろうか。
 実際のゲームでどういう挙動を見せるかは,カードの詳細情報ともども,稿をあらためてお伝えしたい。

GeForce GTX 1080 GAMING X+ 8Gをパソコンショップ アークで購入する

GeForce GTX 1060 GAMING X+ 6Gをパソコンショップ アークで購入する


MSIのGeForce GTX 1080 GAMING X+ 8G製品情報ページ

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