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「TURBO-GTX1070TI-8G」レビュー。ASUSから登場した外排気仕様のGTX 1070 Tiカード,その存在意義を探る
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印刷2018/01/16 00:00

レビュー

ASUSから登場した外排気仕様のGTX 1070 Tiカード,その存在意義を探る

ASUS TURBO-GTX1070TI-8G

Text by 宮崎真一


TURBO-GTX1070TI-8G
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) [email protected]
実勢価格:6万5000〜6万7000円程度(※2018年1月16日現在)
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)はグラフィックスカード製品において,ゲーマー向けの「ROG STRIX」を上位に置きつつ,下位モデルとして,2連ファンを搭載して冷却能力に注力した「CERBERUS」や「DUAL」,外排気仕様の「TURBO」といった具合に,いくつかの製品シリーズを展開している。

 今回取りあげる「TURBO-GTX1070TI-8G」は,その名のとおり,TURBOシリーズに属する,「GeForce GTX 1070 Ti」(以下,GTX 1070 Ti)搭載カードだ。ASUSのGTX 1070 Tiカードとしては最も安価な設定となる製品だが,実際のところ,その性能と価格対性能比はどれほどか。テストを通じて明らかにしてみたい。


最近のASUS製グラフィックスカードでお馴染み,3つの動作モードを利用可能


GTX 1070 Ti GPU
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 GTX 1070 TiがどういうプロセッサかはGPU自体のレビュー記事を参照してもらうとして,まずはTURBO-GTX1070TI-8Gのスペックから確認しておこう。
 さて,よく知られているように,GTX 1070 Tiのリリースにおいて,NVIDIAはグラフィックスカードベンダー各社に,メーカーレベルのクロックアップ設定を許可していない。そのためTURBO-GTX1070TI-8Gも,工場出荷時設定の動作クロック設定はベース1607MHz,ブースト1683MHz,メモリ8008MHz相当(実クロック2002MHz)と,見事にリファレンスどおりとなる。

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 ただし,TURBO-GTX1070TI-8Gでは,付属アプリケーション「GPU Tweak II」を使うことにより,3つの異なる動作クロック設定プリセット「OC」「Gaming 」「Silent」を,メーカー保証の範囲内で選択可能だ。今回試したバージョン1.5.9.1だと,Gamingが工場出荷時設定で,残る2モードでは次に挙げるとおりGPUの動作クロック設定が変化した。メモリクロックは変化なしだ。

  • OC:ベース1645MHz,ブースト1721MHz
  • Silent:ベース1607MHz,ブースト1645MHz

 要するに,OCではプラス方向,Silentではマイナス方向にブーストクロックがそれぞれ38MHz動いたクロック設定になっているわけである。

 なお,GPU Tweak IIには「Simple Mode」と「Professional Mode」という,2つの設定メニューが用意されているが,動作モードは,前者なら上部に配置された3つのアイコンを,後者なら左に並んだ「Profiles」から動作モード名をクリックするだけで簡単に切り換えられる。

GPU Tweak IIのSimple ModeメニューからGamingを選択した,工場出荷時設定状態(左)と,Professional Modeへ切り換えてやはりGamingを選択しているところ(右)。Professional Modeを見ると,ブーストクロックが1683MHzだと確認できる
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同じくこちらはSimple Mode(左)とProfessional Mode(右)からそれぞれOCを選択した状態。OCプリセットを選択すると,Power Limit設定も110%に上がる
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Simple Mode(左)とProfessional Mode(右)からそれぞれSilentを選択したところ。SilentではPower Limitが90%に下がる
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 後述するテスト環境において,GPU Tweak IIからテスト中のGPUクロック推移を追ってみたところ,OCでは1936MHz,Gamingでは1911MHz,Silentでは1860MHzがブースト最大クロックとなることを確認できた。GTX 1070 Ti Founders Editionだとブースト最大クロックは1898MHzだったから,Gaming以上ではFounders Editionより高いクロックに達する計算になる。

左から順にOC,Gaming,Silentの3プリセットにおける動作クロック推移。「GPU Clock」のMaxは1936MHz,1911MHz,1860MHzとなった
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 ここからはメーカー保証外となるが,GPU Tweak IIで行えるオーバークロック関連の設定も簡単に紹介しておこう。
 GPU Tweak IIでは,Professional Modeから,

  • GPUブーストクロック:1498〜1868MHzの範囲を1MHz刻み
  • メモリクロック:7208MHz相当〜8808MHz相当の範囲を1MHz相当刻み
  • GPUコア電圧:規定値に対する増分1〜100%(1%刻み,100%で供給電圧が2倍になる)

の設定を行える。設定のやり方は,完全に手動となる「Manual」,そしてGPUコア電圧とブーストクロックの関係を示した折れ線グラフで調整する「User Define」の2とおりだ。

User Defineからブーストクロックをカスタマイズした例
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サイズはFounders Editionと変わらず。ファンは常時回転する仕様


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 続いてカードを概観していきたい。
 カード長は実測で約267mm(※突起部除く)。これはGTX 1070 TiのFounders Editionと同じだ。補助電源コネクタも,Founders Editionと同じ8ピン×1という構成になっている。
 外排気型のクーラーは2スロット仕様で,70mm角相当のブロワーファンを1基搭載する。「GPU温度が低い状態ではファンの回転を止める機能」的なものはなく,常時動作する仕様だ。

TURBO-GTX1070TI-8Gの外観を見たカット。ぱっと見は黒い箱といった印象だ。裏面は,ほかのモデルと基板を共通化しているためか,コンデンサなどの空きパターンも目立つ
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補助電源コネクタは8ピン×1
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カードの厚みは2スロット分に収まる

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 ブロワーファンは,前述したGPU Tweak IIから制御可能となっており,Professional Modeの「Fan Speed」には「Auto」「Manual」「User Define」という3つの動作モードが用意されている。工場出荷時設定はAutoで,これはその名のとおりの自動制御。Manualは負荷状況にかかわらずファンの回転数を一定に保つモードで,24〜100%の範囲を1%設定刻みで設定できる。User Defineでは,温度と回転数の折れ線グラフをユーザーがマウスで動かすことにより,温度ごとの回転数を自由にカスタマイズ可能だ。

GPU Tweak IIのFan SpeedからUser Defineを選択し,ファンの回転数設定をカスタマイズしているところ。User Defineでも回転数設定の下限は24%だ
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 GPUクーラーの側面部にある「ASUS」ロゴは,動作中,LEDによって光るようになっている。ASUSのTURBO-GTX1070TI-8G製品情報ページには「カスタマイズ可能」とあるのだが,GPU Tweak IIにそれらしい項目はなく,またサポートページにもLEDのカスタマイズツール「AURA」は用意されていなかったので,どういったカスタマイズを行えるのかはよく分からない。

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 外部出力インタフェースは,DisplayPort 1.4×2,HDMI 2.0b(Type A)×2,Dual-Link DVI-D×1と,Founders Edition比ではDisplayPortが1基減り,代わりにHDMIが1基増えている。ASUSは追加したHDMIポートを「VR Friendly HDMI Port」と呼んでいるので,VR対応ヘッドマウントディスプレイとの接続用に使ってほしいということなのだろう。


電源部は6+1フェーズ構成に


 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,クーラーを取り外した時点でメーカー保証は失効する。それをお断りしたうえで,今回はレビューのために取り外し,GPUクーラーと基板を見ていきたいと思う。

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GPUクーラーを取り外したところ。メモリチップや電源部に対しては,基板全体を覆う放熱板が密接する構造となっている
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GPUクーラーを分解したところ。ブロワーファンからのエアフローがヒートシンクを通り,ブラケットから外へ出る仕様だ
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基板全景
 さて,右の写真を見て気付いたと思うが,今回,GPUクーラーと基板とつなぐ各種ケーブルは取り外していない。ASUS自慢のオートメーション化した製造ライン「Auto-Extreme」(旧称:AUTO-EXTREME)で製造されたグラフィックスカードは,コネクタがしっかり留まっており,破壊することなしに取り外すのは困難と判断した次第である。

 そのクーラーは,GPUと直接触れるヒートシンクが放熱フィンと一体化しており,そのフィンをブロワーファンが冷却するという,Founders Editionと同じコンセプトになっていた。

 基板の電源部は6+1フェーズ構成のようで,5+1フェーズ構成のGTX 1070 Ti Founders Editionと比べて電源部は若干の強化が入っていると言ってよさそうだ。
 ちなみに電源部を構成するコンポーネントは,コイル鳴きを抑えたというチョークコイル「Super Alloy Power II Chok」,や耐用年数を一般的なものと比べて2.5倍に高めてあるとされる高耐久コンデンサ「Super Alloy Power II Capacitor」,そして対応電圧を30%拡大したMOSFET「Super Alloy Power II MOS」からなる,ASUS独自の「Super Alloy Power II」仕様となっている。

6+1フェーズ構成と見られる電源部。MOSFETには,各フェーズごとにOn SemiconductorのNチャネルタイプの「NTMFS4C06B」を2個,「NTMFS4C09B」を1個搭載するといったなかなか豪華な作りだ
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MT41J256M32-80
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 搭載するメモリチップはMicron TechnologyのGDDR5「MT41J256M32-80」(8Gbps品,チップ上の刻印は「7QA47 D9TCB」)。これを8枚搭載することで,グラフィックスメモリ容量8GBを実現している。このチップは,GTX 1070 Ti Founders Editionが搭載していたのと同じものだ。


GTX 1070 TiとGTX 1080のFounders Editionの性能を比較


 今回,TURBO-GTX1070TI-8Gの評価にあたって,比較対象にはGTX 1070 Tiと「GeForce GTX 1080」のFounders Editionを用意した。
 テストに用いたグラフィックスドライバは「GeForce 388.71 Driver」。すでにRelease 390世代のドライバがリリースされているが,テスト開始時のタイミングにより,1つ前のドライバを用いている点はご了承を。
 なお,「Spectre」「Meltdown」の名で知られる「CPUの脆弱性」に対しては,Windows Updateによる対策のみを行っている。

 そのほかテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0に準拠。テスト解像度は,GTX 1070 Tiがハイエンド市場向けということもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択した。


OCとGamingの違いはごくわずか。GamingのスコアはFounders Edition並みか


 以下,グラフ中に限り,TURBO-GTX1070TI-8Gの動作モードプリセットは「TURBO 1070 Ti(OC)」「TURBO 1070 Ti(Gaming)」「TURBO 1070 Ti(Silent)」と表記することをお断りしつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 2.4.4180)の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。TURBO-GTX1070TI-8GのGamingはGTX 1070 TiのFounders Editionより若干スコアが低いが,その違いは1%にも満たないので,個体差も考えると横並びと言っていいだろう。
 OCプリセットだとGaming比で約1%高いスコアを示すが,さすがにこれではGTX 1080のスコア差は詰められない。SilentプリセットではGamingと比べて97〜98%程度で,OCとGamingよりスコアの開きが大きかった。

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 グラフ2はFire Strikeから,GPUテストの結果である「Graphics score」を抜き出したものだが,OCはGamingの約101%,SilentはGamingの97〜98%程度と,総合スコアを踏襲したものになっている。

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 続いてグラフ3は3DMarkの「Time Spy」における総合スコアを,グラフ4はGPUテスト結果をそれぞれまとめたものとなる。
 ここでのスコア傾向は見事にFire Strikeを踏襲しており,まずTURBO-GTX1070TI-8GのGamingプリセットはGTX 1070 Ti Founders Editionより若干低いが「横並び」と言えるレベル。OCはGamingより約1%高いスコアを示し,SilentはGamingの約97%という水準になっている。

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 以上を踏まえてゲームアプリケーションを用いたテストで,まずグラフ5〜7は「Prey」の結果だ。ここでは1920×1080ドット条件でCPUボトルネックによるスコアの頭打ちが生じてしまっている。そこで,2560×1440ドット以上で比較していくが,TURBO-GTX1070TI-8GのGamingプリセットはここでもFounders Editionより若干低いスコアだ。実フレームレートでは1fps未満なので,個体差もしくは誤差の範疇と考えられる点も含め,このあたりは3DMarkと変わらない。

 OCプリセットでGamingプリセットより約1%高いスコアを示すのも変わらないが,スコア差は最大でも1.1fpsなので,体感は不可能だろう。
 一方,Silent Modeでは明らかにスコアが落ちており,とくに1920×1080ドットですら最小フレームレートが大きく落ちているのが気になるところだ。Power Limitが標準より10%低い設定なのが“効いて”いる印象である。

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 続いて「Overwatch」の結果がグラフ8〜10となる。
 ここでもTURBO-GTX1070TI-8GのGamingはGTX 1070 TiのFounders Editionとほぼ同じスコアだ。OCプリセットのスコア自体はGaming比で約1%向上しているものの,フレームレートレベルではほぼ影響がないという点,SilentではGaming比で平均フレームレートが95〜96%程度,最小フレームレートが96〜97%程度にまで落ちる点も変わらない。

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 グラフ11〜13は「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果だ。
 ここで目を惹くのは,Gamingのスコアがあまり振るわず,結果としてOCとGamingのスコア差が広がり,逆にGamingとSilentのスコア差が縮まっていることだが,PUBGは実際にゲームサーバーと接続してゲームプレイを行うため,測定誤差が大きめに出ることを考えると,「PUBGだけ特殊な傾向が出ている」とは言わないほうがいいのではないかという気がしている。

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 「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)のスコアをまとめたグラフ14〜16の結果だが,Shadow of Warのテストはグラフィックス処理負荷が高く,いきおい,GPUコアクロックよりもGPUの規模やグラフィックスメモリの帯域幅がスコアを左右することになるため,OCとGamingのTURBO-GTX1070TI-8G,そしてGTX 1070 Ti Founders Editionはスコアが完全に同じとなり,GTX 1080には有意な差を付けられている。
 それでもSilentのスコアが下がるのは,Power Limitの影響ではなかろうか。

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 グラフ17〜19は「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)の結果だ。ここでのスコア傾向は3DMarkからOverwatchまでと同じ,と言ってしまっていいだろう。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアがグラフ20だが,ここでも全体の傾向は3DMarkなどと変わっていない。
 あえて言えば,OCプリセットでGamingより1〜2%程度高いスコアになっているので,「スコア差は開いた」と言えるかもしれない。また,Silentにおけるスコアの落ち込みがやや小さいので,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの描画負荷は低いため,「Power Limit制限の影響をあまり受けていないようだ」とも言えそうだが,その程度である。

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 グラフ21〜23はFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものだが,総合スコアをおおむね踏襲した形になっていると言っていいだろう。ただ,最小フレームレートはCPU性能への依存が大きいため,GTX 1080を含めて横並びの結果になっている。

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 「Forza Motorsport 7」(以下,Forza 7)のテスト結果がグラフ24〜26だ。DirectX 12ベースのタイトルであるForza 7においても,スコア傾向に分かりやすい特徴は出ていないのが分かる。

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カード単体の消費電力はざっくり150W前後。Founders Editionよりも変動が小さい


 TURBO-GTX1070TI-8Gの消費電力もチェックしておこう。グラフ27は,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移を「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)で計測した結果となる。そのままでは横軸が詰まっていて分かりにくいため,グラフ画像をクリックすると横に伸ばしたものも表示するようにしてあるので,適宜,そちらも参照してほしいと思うが,TURBO-GTX1070TI-8Gの消費電力はざっくり150W前後が中心で,ときおり250W超級を示すといったものになっている。
 興味深いのは,GTX 1070 Tiがピークで300Wを超えてくるのに対し,TURBO-GTX1070TI-8Gのピークは260W程度に留まっていること。TURBO-GTX1070TI-8Gで強化された電源部が,急激な電力変化を抑えている可能性はあるだろう。

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 参考までに,グラフ27から中央値を求めた結果をグラフ28として掲載しておきたい。

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 こちらも参考までに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体のピーク消費電力を計測した結果がグラフ29だ。テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。
 スコアはおおむねグラフ27,28を踏襲しているが,ピークで比較しているこちらのほうがGamingとSilentの両プリセット間でスコア差は開く傾向にある。もっとも,場面によってCPUの消費電力も変わるため,こちらはあくまでも参考ということで。

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 「GPU-Z」(Version 2.5.0)を使って計測したGPUの温度も確認しておきたい。ここでは,温度をおおむね24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。

 結果はグラフ30のとおり。GPUごとに温度センサーの位置が同じとは断定できず,同じGPUであってもTURBO-GTX1070TI-8GとGTX 1070 Ti Founders Editionとでは温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。その点を踏まえてTURBO-GTX1070TI-8Gの結果を見ていくと,3つの動作モードで大勢に違いはない。アイドル時に約32℃,高負荷時に約80℃なので,妥当なところと言っていいいだろう。

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 最後にTURBO-GTX1070TI-8Gの動作音もチェックしておきたい。今回は,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを最高品質の3840×2160ドットで4分間実行した,合計約5分間を動画を用意した。なお,テスト時の動作プリセットはデフォルトのGamingである。

 テスト開始後最初の1分間はアイドル状態で,ファンは回転しているものの比較的静か。ベンチマークを実行すると次第に回転数が増加し,ベンチマーク実行1分後(=ファイル冒頭から2分後)あたりから,動作音が大きくなっていることが分かる。
 とはいえ,回転数が最大となるベンチマーク実行3分後(ファイル冒頭から4分後)あたりでも動作音の音量はそれほど大きくなく,ケースに入れてしまえば問題になるレベルではない。また,コイル鳴きと思しき音も聞こえるが,これもファンの動作音より小さいので,ケース内に入れてしまえば気になることはないだろう。



動作モードプリセットの存在にメリットは見出せないが,外排気にこだわるならアリ


製品ボックス
画像集 No.028のサムネイル画像 / 「TURBO-GTX1070TI-8G」レビュー。ASUSから登場した外排気仕様のGTX 1070 Tiカード,その存在意義を探る
 以上のテスト結果から,TURBO-GTX1070TI-8Gの性能はGTX 1070 Tiと同程度と言ってよい。動作モードプリセットを変更にするスコアへの影響は大きくないので,そこに過度の期待はせず,定格で使っていくのが正解ではなかろうか。

 気になる実勢価格は6万5000〜6万7000円程度(※2018年1月16日現在)。ASUSのGTX 1070 Tiカードとしては安価だが,「6万円半ばのコストをかける場合,ブランドさえ問わなければGTX 1080カードを買えてしまう」問題(?)はあるので,コストパフォーマンスに優れているとは言えないだろう。
 ただ,長時間,高負荷でグラフィックスカードを酷使するような用途で,GPUの熱がPCケース内に籠もらない外排気仕様のメリットが小さくないと考える人はいるだろう。あえて外排気にこだわりつつ,ASUS製かつ高性能なグラフィックスカードを手に入れたいと考えている場合,TURBO-GTX1070TI-8Gは選択肢になり得ると考えている。

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