“刀ミュ”9周年の祝賀ライブ「ミュージカル『刀剣乱舞』 祝玖寿 乱舞音曲祭」レポート。刀剣男士たちとの祭りが神奈川公演で大団円を迎える

　DMM GAMES，ニトロプラスの刀剣育成シミュレーション「刀剣乱舞ONLINE」（BROWSER / iOS / Android）を原作とした「ミュージカル『刀剣乱舞』」（以下，刀ミュ）は，2015年の初演から多数の公演を重ね，2024年に9周年を迎えた。これを祝う祝賀ライブ「ミュージカル『刀剣乱舞』 祝玖寿 乱舞音曲祭」（いわいのくじゅ らんぶおんぎょくさい）が，2024年10月〜12月にわたり国内9都市で開催された。


　この祝賀ライブには，全公演に24振りの刀剣男士が出陣したことに加え，会場ごとに異なる刀剣男士が出陣するという，華やかな祭りだ。本稿では，11月27日にKアリーナ横浜で行われた神奈川公演初日の模様をレポートしていく。

福井・北海道・広島・大阪・愛知公演に出演した髭切（演：三浦宏規）

「ミュージカル『刀剣乱舞』 祝玖寿 乱舞音曲祭」公式サイト

祝賀礼服姿の刀剣男士が圧巻のパフォーマンスを披露

　開演前には，審神者（ファン）が祭りをより楽しめるように，立ち上がったり，ペンライトを使ったりする演出についての説明が行われた。筆者の席からは，審神者たちが演出に合わせて美しい光と，闇の景色を作っている様子がよく見え，刀剣男士たちと一緒に祭りを盛り上げる会場の雰囲気がステキだった。

　また，右足首を負傷したため，声の出演と一部舞台上でのパフォーマンス披露に変更となった小竜景光（演：長田光平）についてのアナウンスが流れると，客席全体から温かく大きな拍手が起こる。審神者と刀剣男士が紡いできた絆の姿の強さを感じられた。

　祭りのオープニング曲は，本公演のための新曲だ。衣裳は刀剣男士たちの個性を生かした祝賀礼服姿で，とてもカッコいい。祝賀礼服姿でキレッキレのダンスを披露する刀剣男士たちに魅入ってしまう。

　全員参加の「百花絢爛」に続いて，数振りずつに分かれて「Can you guess what？」や「IGNITION」が披露される。テンションが上がるような名曲ばかりだとあらためて思った。


　刀剣男士はパフォーマンスだけでなく，楽しいMCでも審神者を盛り上げる。この日は，大典太光世（演：雷太）が話しているときに，日向正宗（演：石橋弘毅）に何かが起こっていたようで，そちらでワチャワチャするひと幕も。

　ひと段落ついたところで，大典太光世が何事もなかったように話を元に戻したのが面白くて，思わず笑ってしまった。

　全公演，DMM TVにてライブ配信（見逃し配信あり）されたため，複数の公演を見る審神者も少なくないことだろう。そんな審神者を楽しませる公演や回ごとのデュエット曲，ソロ曲が用意されているのもうれしいポインドだ。

　神奈川公演の第1部では，大典太光世と豊前江（演：立花裕大）による「未だ視ぬ世界」，山姥切長義（演：水江建太）による「鼓膜の奥」，へし切長谷部（演：木原瑠生）による「REASON」，大和守安定（演：鳥越裕貴）と大般若長光（演：京典和玖）による「Yellow Sac Spider」の伸びやかな歌声を聴くことができた。

審神者も参加できる曲や楽しいMCも！

　楽曲によっては刀剣男士が，客席に下りる演出も！　後方スタンドにもたくさんの刀剣男士たちが訪れ，審神者たちの応援うちわに応えていた。「勝ちに行くぜベイベー」や「KEY MAN」では，タオルを回す振付があり，審神者も参加して会場のボルテージがどんどん上がっていく。

　MCでは直前に歌った「百万回のありがとう」にちなんで，刀剣男士たちがいろいろな「ありがとう」を再現することになった。神奈川公演の会場は近くに中華街があることから，「中華街でいろいろしつつ，いろいろあってからのありがとう」に挑戦することに！　設定だけで，面白そうな予感しかしない。

　中華街に来ていた村雲江（演：永田聖一朗），松井江（演：笹森裕貴），山姥切長義は，お店の主，源清麿（演：佐藤信長）からシュウマイ串を購入する。しかし，はらぺこな大怪獣ダイハンニャ 大般若長光（演：京典和玖）が現れ，山姥切長義のシュウマイが食べられてしまう。

　助けを呼ぶ声に応えて現れたのが，「戦いをオシュウマイ（おしまい）にさせにきた」というオシュウマイマン 豊前江だ。一時期は，グリーンピースを食べられ苦境に陥ったオシュウマイマンだが，グリーンピース農家 五月雨江（演：山﨑晶吾）＆桑名江（演：福井巴也）の協力で，無事に戦いに勝利する。

　オシュウマイマンが特製ジャンボシュウマイを山姥切長義にあげ，彼からの「ありがとう」を聞くことができて，見事なハッピーエンドとなった。ご当地ネタである中華街，そしてKアリーナ横浜の近くにミュージアムのある某ヒーローをリスペクトした楽しいひと幕だ。

　今回の祭りには，刀剣男士たちとともに舞台を彩った歴史上の人物たちも会場替わりで出演している。神奈川公演では，「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜陸奥一蓮〜」より阿弖流為（演：山本 亨），母禮（演：細見大輔），坂上田村麻呂（演：三上市朗）が登場し，重厚な歌やパフォーマンスを見せてくれた。

　「陸奥一蓮」で厳しい結末を迎えた阿弖流為たちが，和気あいあいと話している姿が涙を誘う。歴史上の人物たちに，このような形でまた会えるのは幸せな体験だ。また，彼らの好きな色のライトで会場を染めたり，それぞれの名前を呼んだりする場面も見られた。

　続く新曲では，刀剣男士たちが軽装で登場！　その衣裳のまま「サルサdeソウル」が披露され，その瞬間は異国のフェスティバル感があり，金色の小道具や衣裳を着たアンサンブルたちが目にも眩しくて楽しかった。


　なお，1部終盤には，今回出陣していないソハヤノツルキ，篭手切江，御手杵，膝丸，大倶利伽羅，物吉貞宗，千子村正，蜂須賀虎徹，堀川国広，和泉守兼定，石切丸，三日月宗近からの映像メッセージが届けられた。

これからも続いていく，審神者と刀剣男士たちの絆

　休憩を挟んだ2部は，コロナ禍で一部公演が中止になった「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜静かの海のパライソ〜」のキャストインタビュー映像からスタートする。胸がギュッと締め付けられ，刀剣男士たちが歩んできた9年間は苦難も多かったこと，ステージが見られ，声を出して声援を送れることの幸せを再び噛みしめた。

　刀剣男士たちは戦闘ver.の衣裳になり，「静かの海のパライソ」から「誰も教えてくれない」「三万七千の人生」，「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜幕末天狼傳〜」より「ひとひらの風」,「ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚―」より「問わず語り」，「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜江水散花雪〜」より「答えるための問い」と各公演1部の楽曲を披露した。スクリーンには名場面の映像が流れ，あらためて各公演を見直したくなった。


　「ミュージカル『刀剣乱舞』 にっかり青江 単騎出陣」の「旅人のうた」では，刀剣男士たちが再び客席へ。彼らの動きをまねて，一緒に手の振りを踊りながら楽曲を楽しめた。


　神奈川公演では「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜花影ゆれる砥水〜」より，山姥切長義の「刻まれた名前」， 山姥切長義と小竜景光による「花の雨　キミの名残」を聴けた。ここでは小竜景光も舞台上に登場し，優美なパフォーマンスを見せた。


　曲の合間に，刀剣男士たちが手合わせを見せてくれる場面もあった。組み合わせは回ごとに異なり，11月27日公演は短刀の今剣（演：大平峻也）と日向正宗の対決だ。真剣でカッコいい殺陣姿と，終わったあとの無邪気な姿のギャップが最高だった。

　「陸奥一蓮」の「蝦夷のうた」では，阿弖流為，母禮，坂上田村麻呂も一緒にパフォーマンスを披露してくれた。


　小狐丸（演：北園 涼）は単独による「狐や踊れ」と，ほかの刀剣男士もパフォーマンスに参加する「狐や踊れrep.」で審神者を魅了する。

　ほかにも「花影ゆれる砥水」の「よみびとしらず」，「ミュージカル『刀剣乱舞』 江 おん すていじ 〜新編 里見八犬伝〜」の「ごう おん すていじ」など，印象深い楽曲が多数披露された。

　祭りの大トリを飾った楽曲は，“刀ミュ”に欠かせない名曲「刀剣乱舞」だ。最後に刀剣男士より挨拶があり，誉をもらうことができた。また，愛のこもったメッセージが画面に流れ，温かな雰囲気のなか，楽しい祭りは幕を閉じた。

「ミュージカル『刀剣乱舞』 祝玖寿 乱舞音曲祭」公式サイト