日本時間2014年10月7日22:00,NVIDIAはノートPC向けの新型GPU「
GeForce GTX 980M」(以下,GTX 980M)および「
GeFroce GTX 970M」(以下,GTX 970M)を発表した。両製品は,すでに搭載製品の販売が始まっている
デスクトップ向けのGeForce GTX 900シリーズと同じ第2世代Maxwellアーキテクチャを採用しており,TSMCの28nmプロセス技術を用いて製造されるプロセッサとなる。
GTX 980MとGTX 970M。いずれも第2世代Maxwellアーキテクチャに基づくGPUとなる
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「同じモデルナンバーでもノートPC向けはデスクトップPC向けより性能が数段下」という評価に挑むGTX 980M
GeForce GTX 900MシリーズでNVIDIAが目指したのは
「ノートPC向けのGPUは,同じモデルナンバーでも,デスクトップPC比ではるかに低い性能しか期待できない」という評価への挑戦だ。
ノートPCを使うゲーマーが持つ一番の要望は,今も昔も「デスクトップPCクラスの性能が欲しい」というもの
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Brian Choi氏(Senior Product Manager, NVIDIA)
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国内の報道関係者向け事前説明会で登壇したNVIDIAの
Brian Choi(ブライアン・チョイ)氏は,Fermi世代において,デスクトップPC向けGPU「
GeForce GTX 480」の派生品であるノートPC向けGPU「
GeForce GTX 480M」が,GeForce GTX 480比でわずか約40%の性能しか出せなかったことを挙げ,「これでは『デスクトップPC並みの性能が出る』とはいえない」と振り返った。氏によれば,Keplerアーキテクチャを採用したノートPC向けGPU「
GeForce GTX 680M」も,派生元であるデスクトップPC向けGPU「
GeForce GTX 680」比で約60%の性能に留まっていたとのことだ。
それに対してGTX 980Mでは,
GTX 980比で約80%の性能が得られるという(※Choi氏は約80%としていたが,NVIDIAが報道関係者へ公開している別の資料だと,75%としているものもあった)。それでも2割遅いのは間違いないが,少なくとも「数段下のレベル」からは脱しているのも確かだろう。ちなみにChoi氏は,
GTX 970Mで,GTX 980M比75%の性能が得られるとも述べていた。
ここ3世代のノートPC向けGPUにおける,デスクトップPC向けGPUとの相対性能。GTX 980MではGTX 980比で約75%のところまで来た
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GTX 980Mは,GTX 680M比でざっくり2倍の性能を持つとさされる
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そんなGTX 980MとGTX 970Mの主なスペックは
表のとおりで,基本的には,GTX 980およびGTX 970の「GM204」コアをベースとして,演算ユニットたる「Maxwell Streaming Multiprocessor」(以下,SMM)を削減し,さらに動作クロックも削減したモデル,ということになるだろう。
SMMの数でいうと,GTX 980MはGTX 980より4基少なく,GTX 970Mはそれよりもさらに2基少ない。
フルスペック版GM204のブロック図
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第2世代Maxwellアーキテクチャでは,4基のSMMがラスタライザとセットになって“ミニGPU”たる「Graphics Processor Cluster」を採用する仕様となっている。そしてNVIDIAによれば,
GTX 980MとGTX 970Mが採用するGPCの数が3基とのことだ。つまり,GM204のフルスペックと比較した場合,GTX 980MではGPCが1基まるまる無効化されており,GTX 970Mでは3基あるGPCの1基でSMMの数が2基になっているか,3基あるGPCの2基でSMMの数が3基になっているということである。
※2014年10月10日追記
初出時,「GTX 980MとGTX 970MでGPCが何基構成になっているのかは分からない。4基という可能性もある」としていましたが,NVIDIAに問い合わせたところ,3基という回答が得られたため,本文と表をアップデートしました。
なお,ノートPCにおいては,ベースクロック,ブーストクロックも,最終的にはノートPCメーカーが筐体設計との兼ね合いで設定することになるため,NVIDIAは参考値としてのベースクロックしか公開していないが,前述のとおり,この値はデスクトップPC向けのGeForce GTX 900シリーズと比べると低めである。
一方,メモリ周りのスペックだと,GTX 980MはGTX 980を踏襲し,クロックのみが引き下げられた格好になっているが,GTX 970Mでは32bit幅のメモリコントローラが2基削減され,メモリインタフェースが192bitに狭まっているのがトピックとなるだろう。GTX 970Mでは,このスペック変更によってROP数もGTX 980Mの64基から48基へと減り,全体的に75%の規模となっている。
なお,第2世代Maxwellアーキテクチャ採用のGeForce GTXということで,「Dynamic Super Resolution」(以下,DSR)や「Multi-Frame Sampling Anti-Aliasing」,「Voxel Global Illumination」(VXGI)といった新要素はGeForce GTX 900Mシリーズでもサポートする。DSRとMFAAのサポートは,発表時点では行われないが,近い将来のドライバリリースで追加対応になるとのことだった。
タイトルごとのBattery Boost設定は「GeForce Experience」から利用可能。ワンクリックでNVIDIAのテストに基づく最適化設定を読み出す[Optimize]ボタンも備える
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Kepler世代のGPU用として開発された「ShadowPlay」と「Battery Boost」は,もちろん今回のGeForce GTX 900Mシリーズも対応。ただし,バッテリー駆動時にプレイアブルなフレームレートを確保しつつ,そこにキャップを設けることでGPUリソースの浪費を防ぎ,消費電力の低減を図る機能であるBattery Boostでは,いくつかの改善が入っている。
そこにはバッテリー消費量を抑えるための最適化なども含まれるが,とくに重要な改善は,ゲームごとに異なるターゲットフレームレートを選択できるようになったことだろう。「どれくらいのフレームレートが出ていれば我慢できるか」はゲームタイトルによって異なるので,一括指定ではなく,ゲームごとに行えるようになったのは重要な進化だといえる。
Battery Boostでは,第2世代Maxwellの実力を活かしてバッテリー駆動時にプレイアブルなタイトルを増やしたうえで,駆動時間の引き延ばしを図ったという
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なお,Battery Boostの効果は,NVIDIAのパートナーとなるノートPCベンダーごと,筐体設計ごとに変わるとのこと。このあたりはGPUの自動クロックアップ機能「GPU Boost 2.0」と同じだ。
Choi氏が「Batery BoostはGTX 800Mで導入したが,残念ながらほとんど効果はなかった。GTX 980Mではもう少しハッピーな状況になっているはずだ」と述べていた点は付記しておきたい。
NVIDIAの社内ツールを使ったデモ。GTX 980M搭載のMSI製ノートPC「GT72 2PE Dominator Pro」で「TOMB RAIDER」のベンチマークモードを実行したとき,通常設定時は平均フレームレート77.2fps,最低フレームレート60fpsで,消費電力は90Wほどになるのが,Battery Boostでターゲットを30fpsとすると,消費電力は40〜60Wにまで下がった(※テレビに映っているグラフは途中までがBattery Boost無効時,右から半分弱くらいがBattery Boostの30fpsターゲット時で,縦軸は消費電力となる)
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ASUS「G751」。GTX 980Mを搭載する
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NVIDIAによれば,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)とClevo,GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE),MSIがGeForce GTX 900Mシリーズ搭載ノートPCを市場投入するとのこと。ASUSとMSIは自社製品を投入すると思われるが,Clevo製品は間違いなく,GIGABYTE製品もおそらくは,システムビルダーに採用されての国内展開になるものと思われる。
おそらく多くのシステムビルダーから登場することになると思われるClevoのGTX 980M搭載モデル「P650」(左)と,GIGABYTEのGTX 970M SLIモデル「Aorus X7」(右)。Aorus X7の手前に見えるのは,GameStreamでストリーミング配信中の「SHIELD Tablet」だ
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MSIの新しいフラグシップとなるGT72(左)と,ゲーマー向け薄型モデル「GS70」。前者はGTX 980M,後者はGTX 970Mを搭載するという
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