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パッチリリースに時間がかかった理由とは?「FFXIV:蒼天のイシュガルド」のパッチ3.1実装直前,吉田直樹氏インタビュー
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印刷2015/11/05 12:00

インタビュー

パッチリリースに時間がかかった理由とは?「FFXIV:蒼天のイシュガルド」のパッチ3.1実装直前,吉田直樹氏インタビュー

 スクウェア・エニックスは2015年11月10日,同社が運営するMMORPG「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」PC / Mac / PS4 / PS3)で,「パッチ3.1 光と闇の境界」を実装する。

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 拡張版のリリース後,初のメジャーアップデートとなるパッチ3.1では,プレイヤーから好評だったパッチ3.0のメインストーリーの続きや2種類の新インスタンスダンジョン(以下,ID),待望の24人レイド「魔航船ヴォイドアーク」,雲海探索 ディアデム諸島の追加,そして極蛮神ナイツ・オブ・ラウンドなど,数多くの新コンテンツが登場する。

 すでに公開されている情報やプロデューサーレターLIVE(以下,PLL)でパッチの予習が万全なプレイヤーも多いと思うが,24人レイドと聞くと,クリスタルタワー開放時の記憶や,闇の世界を走り回った思い出が脳裏をよぎる人もいるのではないだろうか。
 そこで,今回は3.1実装前に,本作のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(以下,吉田氏)に,プレイヤーが気になるであろうポイントをインタビューしてみた。


「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト



いつもより時間のかかったパッチリリース。その理由とは?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。拡張版「蒼天のイシュガルド(パッチ3.0)」のリリース以降では初となるメジャーアップデート「パッチ3.1 光と闇の境界」が,いよいよ11月10日に実装されます。パッチ3.0からは,ほぼ4か月と半分ほど空いたことになりました。

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吉田氏:
 国内はもちろん,海外のプレイヤーからも「新パッチのリリースまでの期間が長くないか?」というご意見はありました。今回はFFXIV初の拡張パッケージである“蒼天のイシュガルド”リリース後,どうしても開発チームに休息が必要だったのと,さらに今後の計画性を高めるための期間として,いつもよりも3,4週を通常のパッチサイクルに加えさせていただきました。東京ゲームショウでの出張プロデューサーレターライブで,その旨をお伝えさせていただいたのですが,「まあ,仕方ないね」というお声と「理由は分かるけど,それでも遅い」というご意見と,その比率は半々ぐらいだったと思います。それでも3.0の評判が良かったこともあり,思った以上に「仕方ない」「頑張って」という声は多かったように思います。皆さんにはいつもご声援をいただき,本当にありがたく思います。

4Gamer:
 私もプレイヤーなのですが,たしかにパッチ3.0はすごいボリュームでした。あれほどの量となると,開発スタッフの疲れで,次に動き出すのも大変だったのかと。

吉田氏:
 そうですね……僕の見積もりが甘かったのが悪かったと反省しています。拡張版の開発にパワーを使い切ったスタッフは,かなり疲弊していましたので,この先の運営や開発を考えると,キチンとパワーを溜める必要があると考えました。ですので,一般的に言う夏季休暇とは別に,代休を消化する期間を1週間作り,とにかく休んでくれと。

4Gamer:
 最低でも1週間は,リフレッシュのために,必要な期間だったと。

吉田氏:
 それももちろんなのですが,パッチ3.0の調整もありますし,自分たちがしっかりプレイする時間を作ることも重要です。なにより今回のアップデートはパッチ3.xシリーズの下地になるものです。 より計画性を高め,物量もしっかり用意したパッチ3.1でなければいけなかったので,それらを織り込んだスケジュールとして決断した,という感じです。プレイヤーの皆さんには,お待ちいただくことになったので,申し訳ない思いでいっぱいなのですが……。

4Gamer:
 納期優先が,あとあとの開発進行に対して悪い影響をおよぼすのでは,元も子もありませんね。

吉田氏:
 そうです。加えて3.xシリーズをよりスピーディに,そしてより多くのコンテンツを確実に出すため,休息以外にワークフローやコンテンツリストの見直しを徹底して行いました。

4Gamer:
 つまり,パッチ3.xに合わせて,開発周りの環境を最適化していたわけですか。

吉田氏:
 はい。ですから,今回プレイヤーの皆様をお待たせした分は,今後のパッチで少しずつお返ししていけたらと思っています。

4Gamer:
 期待しています。では,パッチ3.1以降は,いつもどおりのサイクル(およそ3か月半)に戻るということでいいですよね?

吉田氏:
 はい,その予定です。


新ID2種類が登場,それに伴いコンテンツルーレットLv60が追加


4Gamer:
 では,パッチ3.1の内容について教えてほしいのですが,今回は新たなIDとして「シリウス大灯台(Hard)」「聖モシャーヌ植物園」の2種類が実装されると発表されています。今回のシリウス大灯台は,登っていくのではなく,下っていくのだとか。
 
吉田氏:
 灯台の頂上から突入して,ノーマルにはなかった灯台の地下まで進んでいくことになります。頂上から突入するのは,もちろんシナリオ上の理由なので,そこも楽しんでもらいたいなと。
 
4Gamer:
 これまでのハードダンジョンと同様に,内部の構造そのものは,ノーマルと同じになるのでしょうか。
 
吉田氏:
 塔を下る部分は同じ場所ですが,これまで存在しなかった地下部分は新規に制作したものです。ノーマルを遊んでくれた人は,懐かしさを感じつつ,下って行くということに新鮮さも感じられると思います。

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4Gamer:
 実装直後はいろいろあった(※高難度すぎた)場所ですから,感じる思いも人それぞれでしょう(笑)。続いて,「聖モシャーヌ植物園」についてですが,“植物園”というだけあって,植物系のモンスターが多そうです。

吉田氏:
 基本的にはそうです。これまでなかったようなビジュアルを用意していますし,「聖モシャーヌ植物園」は道中のギミックパターンも今までのIDと比べると変化があり,まずは初見で楽しんでいただけたらと思います。

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4Gamer:
 新しい道中ギミックですか。楽しみですが,これまでよりも難度が増したダンジョンですから,それだけ聞くと難しそうな印象を受けます。

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吉田氏:
 いえ,1週間前に最終チェックも済ませていますが,特別にほかのIDより難しいわけではありません。もっとも,チェック初期の難度は高かったですが(笑)。

4Gamer:
 それは,どのようなものだったのでしょう?

吉田氏:
 もう「これ,4人レイドかよ!」って,半笑いというか……。1匹目のボスで5,6回くらい全滅したと思います(笑)

4Gamer:
 それはキツイ!(笑)。

吉田氏:
 IDですのでさすがに「これはやりすぎだわー」と。しかし,バトルコンテンツは基本的にまず難しく作り,そこから難易度を下げる方法を取っています。

4Gamer:
 なぜそのような方法を?
 
吉田氏:
 簡単なものを難しく調整すると,ダメージばかり調整することになり,ギミックでの調整が難しいためです。ギミックてんこ盛りで作り,外していったり,タイミングを調整したりの方が,結果的には面白いものになります。外したギミックは,別のところでも使えますし。

4Gamer:
 それにしても,FFXIVをかなりプレイしている吉田さんを含めて,開発スタッフが難しいと思うのは相当ですよね?

吉田氏:
 難しさもありますが,僕が最終チェックをするときは,各自普段とは違うロールでやってるというのもあります。例えば,勝手気ままに敵を殴るDPS,それにオロオロするタンク,カジュアルにプレイしているヒーラー,そこに僕をDPSで加えた4人が固定最終チェックメンバーになります。いつからだろう……2.1くらいから,なぜか最終調整は必ずこのメンバーですね。

4Gamer:
 コアからライト層まで,コンテンツファインダー(以下,CF)で見かける組み合わせを模してチェックしているわけですね。

吉田氏:
 そうです。初見だと全滅するかもしれないけど,慣れたらギミック処理が完璧にこなせるような難度がIDの基本バランスです。IDをサクッと終わらせて,ほかのコンテンツを遊んでもらうという流れにするため,難しくする気はなく「ちょうど良さ」を目指しています。

4Gamer:
 なるほど。でも,その4人レイドというか,フィールド構成はそのままで,難度が“極”みたいなものがあっても,ちょっと面白そうです。

吉田氏:
 そういったリクエストの声はありますが……ライトパーティでは,ヒーラーが落ちた時点で(攻略が)詰みますし,カツカツな戦いになると思うので,なかなか難しいですね。ヒーラーは誰もやりたがらないんじゃないかな?(笑)。

4Gamer:
 たしかに,責任が重すぎてヒーラーは辛いですね(笑)。

吉田氏:
 やはり,レイドのような難度は,8人でフォローできるバランスだからこそ実装できると思っています。ただ一方で,一回くらいはやってみたい気もしますね……。

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4Gamer:
 ところで,新IDの追加で「エキスパートルーレット」がどうなるのか,そしてパッチ3.0の既存IDがどのルーレット枠になるのかが気になります。たとえば,パッチ3.1で新ID2種類と,3.0の既存ID2種類を合わせて4種類になるのでしょうか。

吉田氏:
 いえ,エキスパートルーレットは新しく登場する2種類のIDのみです。3.0のID2種類は,「レベル60ダンジョン」という括りになります。

4Gamer:
 それは新しいルーレットの枠が登場すると?

吉田氏:
 これまでの「ハイレベル」が「レベル50ダンジョン」に変更され,「レベル60ダンジョン」に現在のフラクタル・コンティニアムとネバーリープが移動。新IDの2つが「エキスパート」になります。


禁書強化素材の交換アイテムが必ずもらえる! 新24人レイド「魔航船ヴォイドアーク」


4Gamer:
 パッチ3.1では,クリスタルタワーシリーズ以来となる新たな24人レイド「魔航船ヴォイドアーク」が登場します。ケットシーがここで登場するのか!と,プレイヤーのあいだでは話題になっていますね。

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吉田氏:
 はい。ケットシーは今回の物語の鍵を握る重要な存在です。そのほかにも,新たなキャラクターが物語に絡んでくることになります。
 
4Gamer:
 PVでの新しいキャラクターの登場シーンや「空賊」というキーワードで気になったのですが,今回のレイドはFFXIIと何か関係が?
 
吉田氏:
 直接の関係はないですが,開発チームにFFXIIの制作スタッフだった人間がけっこういるので,分かる人がニヤリとするような言葉や,関連があるのかな?と思わせる要素を,例によってシナリオチームが入れてくれていると思います。

4Gamer:
 FFファンは注目してプレイすると,さらに楽しめるわけですね。
 
吉田氏:
 はい。ほかにも,ディアボロスやキュクレインなど,歴代FFに登場したボスクラスのモンスターが登場するので注目してください。ドットで動いていたキャラが3DCGになってリアルタイムで動くとこんなにキモいのかとか,こんな攻撃をしてくるのかとか,シリーズファンは楽しめると思います。

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4Gamer:
 いちFFファンとして非常に楽しみです。ちなみに,ヴォイドアークの開放はすぐできるのでしょうか。やはりF.A.T.E.を回る()ことに……?

※「クリスタルタワー:古代の民の迷宮」の開放には,関連するF.A.T.E.を4つクリアする必要がある

吉田氏:
 あれは反省しています……。クリスタルタワーはヴォイドアークと違って,FFIIIのクリスタルタワーを再現するつもりで作っていたので,必要なアイテムを入手する過程の再現を,F.A.T.E.でドロップさせようという話になったんです。

4Gamer:
 ああ,クリスタルタワーでアイテムが必要だったのは,そういう理由だからなんですね。

吉田氏:
 ですから,ヴォイドアークについては,できるだけコンテンツの開放を早くできるようにしようと考えています。これは24人レイドに限った話ではなく,極蛮神なども縦に積む(※攻略の順序を決める)のは,やめようと考えています。遅れての対応ではあるのですが,例えば極ビスマルクを倒さなくても極ラーヴァナを開放できるように変更しましたし,今後もひとつ前の「極」のクリアを最新の「極」のコンテンツ解放条件にするのはナシにするつもりです。

4Gamer:
 新しく登場する「蒼天幻想 ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦」も,パッチ3.0のメインストーリーをクリアしていれば,すぐに挑戦できるのでしょうか?

吉田氏:
 できます。

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4Gamer:
 それはプレイヤーにとってかなりの朗報ですね。朗報と言えば,ヴォイドアークでは実装時から禁書強化素材が入手できるとのことで,これもプレイヤーはかなり喜しいポイントだと思います。強化素材は今まで同様に宝箱に入っているのでしょうか。
 
吉田氏:
 いえ,そこも変更しました。ヴォイドアークをクリアしたときに,週に1個「古銭」というアイテムが必ず入手できます。これをとあるNPCを通して禁書アクセサリー強化素材か禁書装備強化素材のどちらかに,選択して交換するという仕組みになりました。
 
4Gamer:
 それは嬉しいです。どんどん,プレイヤーに優しい仕様になっていきますね。
 
吉田氏:
 これまでの,宝箱に強化素材を入れるというのは失敗だったと反省しています。強化素材を得るために,フラグが共通であるドロップ装備を誰もNeedしない,というのはさすがにミスをしたな,と……。

4Gamer:
 たしかに。以前からプレイヤーが気にしていた点でもありました。ちなみに,装備のドロップやロットは今までどおりなのでしょうか。
 
吉田氏:
 はい。そこは今までどおりです。アライアンスごとに宝箱が1個ドロップして,いつもどおりロットを選択してもらいます。強化素材は混ぜていないので,宝箱からは装備のみがドロップします。
 
4Gamer:
 なるほど。ドロップやロットが以前と同様なのであれば,プレイヤーとしてはとても気になることがあるんですよ。というのも,闇の世界の吟遊詩人の胴装備が優秀でしたが,それ目的のプレイヤーがコンテンツのクリア前に途中退出するということが起こっていました。

吉田氏:
 闇の世界の“詩人胴マラソン2ボス抜け”()ですね。こちらでも把握はしています。

※闇の世界でドロップする吟遊詩人の胴装備を入手するために,ドロップする可能性がある2番目のボスが終わると一部のプレイヤーが退出してしまうこと

4Gamer:
 その対策は何か考えているのでしょうか?

吉田氏:
 例えば,途中で抜けられないように,胴装備を最後に集めるといったこともできないわけではないのですが,そうすると特定の宝箱に胴装備が全部入っていることになり,目的の胴装備を入手するまでに,すごい回数を周回しないといけなくなるので,この方法は取れませんし,難しいですね……。

4Gamer:
 胴装備のドロップが最後の1回だけに絞られると,入手の確率がぐんと下がりますね。

吉田氏:
 今回も装備はそれぞれの宝箱に散らしてあります。振り分けはこれまでとまた考え方を変えて,バランスをとってみたつもりなのですが……。闇の世界の吟遊詩人の胴装備は,トークン装備以上にステータスが優秀だったことも影響したので,全方位的に考えないとダメだなと。あれも反省材料のひとつです。

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4Gamer:
 最終的にプレイヤーが効率を求めていくと,どこかで起こりえることですよね。だからと言って,途中抜けされるとコンテンツの進行が遅くなりますし,ほかのプレイヤーのモチベーションも下がってしまうでしょう。

吉田氏:
 コンテンツクリアまで報酬を渡さない,というシステムだと,週制限の管理と食い合わせが悪く,サーバー的にはかなり問題があるので,これも難しくて……。途中抜けについてはおっしゃるとおりで,国内だけでなく,海外のプレイヤーからも同様の声をいただいています。しかし,途中退出をしているのは一部のプレイヤーだけなので,その一部のためにプレイヤー全体にストレスを与えるような対策は,あまりやりたくありません。ただ,今回のヴォイドアークでも同様なことが多く起こるのであれば,そろそろ根本的な対策を考える時期かもしれないですね。
 
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    ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド

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