プレイレポート
「ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり」PS Vita版インプレッション。開発者へのミニインタビューも掲載
当日は,各メディアに向けたPlayStation Vita版の試遊と,開発陣へのミニインタビューの機会も用意された。本稿ではその模様をお届けする。
今回の試遊で用意されたのは,ほぼ製品版に近い内容のPS Vita版だ。
ここで使用できたのは,ラゼル・テレシア・マリベル・ハッサンの4人パーティ。この中で注目なのは,やはりシリーズ初となる二刀流の主人公ラゼルだろう。とにかく手数が多く,敵に隙を与えないのが最大の強みだ。また個人的な好みでは,軌道上にいるモンスターに一気にダメージを与えるマリベルのブーメラン系の武器が非常に扱いやすかった。
PS Vita版では,一部のボタン操作がタッチスクリーンに割り振られていて,デフォルト設定ではキャラクターチェンジが画面左側のタッチで行えるようになっている。現れたモンスターに対して戦いやすいキャラクターを出すときなどに,プレイヤーは左手人差し指または親指でタッチしてキャラを切り替えることになるわけだが,頻繁に使う操作でもないので,意外に悪くない印象だ。
フィールドは一見開けているように見えて,画面右上のミニマップを確認してみると意外に入り組んでいることが分かる。ダンジョン的なマップの作りになっているのは,前作を踏襲している部分であり,ωフォースの作品らしさも感じられた。
そして本作からの新要素となるモンスターへの変身も体験できた。これは,特定のモンスターを倒すと落とす「モンスターコイン」の新タイプ「ヘンシン」を使用すると,選択中のキャラクターがモンスターに変身できるという仕組みだ。
変身中はそのモンスターが持っている「得意技」がボタンに割り振られ,それらを使ってバトルを戦えるようになっている。面白いのはモンスターの特性もゲームプレイに影響していて,例えば今回のプレイで登場したキラーパンサーなら,ラゼルらプレイヤーキャラクターよりも圧倒的に移動速度が速い。ニコ生の中継に登場していたギズモなら,空を飛べるので,特定の地形を飛んで越えることなどもできるだろう。モンスターの特性を使ったフィールド攻略などが,どの程度あるのかも楽しみなところである。
モンスターコインは,最初に入手したときにタイプや特性が表示される |
移動速度が非常に速いキラーパンサー。どんどん先に進んでいける |
なお今回プレイしたPS Vita版はフレームレートが30fpsとのことだったが,プレイ中はとくに気にならなかった。PS4版は60fpsを実現しているとのことで,より滑らかな動きで楽しみたい人にはPS4版をオススメするが,そうでなければいつでも遊べるPS Vita版も選択肢の1つとなるはずだ。またクロスセーブ機能もあるので,両方手に入れて楽しむのもアリだろう。
最後に,本作の開発陣であるスクウェア・エニックスのプロデューサー青海亮太氏と,コーエーテクモゲームスのディレクター庄 知彦氏へのインタビューをお届けする。
――今回の体験会の手応えはいかがでしょうか。
青海亮太氏(以下,青海氏):
一般の方を含めた体験会は今回が初めてで,反応を見られたのがよかったですね。
また体験会と並行してニコ生の放送もありましたが,ゲームはすでに完成していますので,とにかく皆さんのコメントを拾って,見せられるところはその場で判断して見せてしまおうというノリでした。
庄 知彦氏(以下,庄氏):
こうした一般の方を交えた体験会の会場に,1日いられるぐらいの状況になったことにホッとしています。前回のニコ生の放送のときは,私は途中で抜けて戻らないといけない状況でしたからね(笑)。
会場にいらしたお客さんの反応を聞いたり,ゲームの内容を説明したりできる状況に,ようやくたどり着けました。
――これからの体験会や,製品版でプレイするにあたり,まずはどこに注目すべきでしょうか。
青海氏:
今回はやはりフィールドという概念が入ったところですね。前作はステージを順番にクリアしていくスタイルでしたが,本作では街とフィールドを自由に行き来できて,モンスターと出会うとシームレスにバトルになって,勝てば引き続きフィールドでの冒険が続くという流れで進んでいきますので,その触り心地などはぜひ見ていただきたいです。
あとはモンスターコインでの変身ですね。スライムやももんじゃから,ゴーレムやバトルレックスまで,いろんなモンスターに変身できて,なおかつシチュエーションに応じて使い分けられる呪文や特技があるので,その組み合わせなどを楽しんでもらいたいですね。
庄氏:
主人公達の呪文や特技の付け替えなどは,皆さんの好みでカスタマイズしていただきたいんですが,体験会のバージョンではその部分は固定なので,そこは製品版でぜひ試してみてください。
またこれも製品版でできることなんですが,転職も見どころだと思います。本当は前作でもやりたかったDQシリーズらしい要素で,いろいろな呪文や特技を身に付けていけると,RPG的な楽しみも広がりますからね。
――プレイにおけるバリエーションがグッと増えて,開発は大変だったのでは?
青海氏:
本当に大変でした。ゲーム全体のボリュームがかなり大きなものになっていますし,例えば転職でも,企画の段階で膨らませることはいくらでもできるんですが,それをすべて入れてしまうと,作るのに一体どれだけ時間がかかるんだということになってしまいますからね。転職におけるアクションや育成などの要素をしっかり作れる量に絞るまで,試行錯誤しました。
庄氏:
転職で難しかったのは,キャラクターのバランスですね。転職は主人公2人ができるものですが,ほかのキャラクターはできないので,主人公が転職によって強くなりすぎてもバランスが崩れてしまいますから。
――開発のお二人がおすすめしたいプレイ方法などはありますか。
青海氏:
どのキャラクターも楽しくプレイできるように開発していますが,例えばトルネコなどは,「けんじゃの石」での全体回復を持ちつつ,攻撃のバリエーションも多いので,使っていて楽しいキャラクターになっています。
どのキャラクターを選ぶかは,ゲームのキーポイントになると思いますので,プレイスタイルなどに合わせて選んでみてください。
庄氏:
いろいろな楽しみ方ができるように,幅は設けてあります。回復できるキャラクターを入れず,力を優先したパーティなら,かなり地獄のプレイになるかと思いますが,腕に自信がある方は試してもらいたいですね(笑)。
青海氏:
DQシリーズでも,パーティ全員戦士や全員武闘家などのプレイスタイルがありましたからね。そこはこれまで以上にDQらしさを演出できたと思っています。
――アクションゲームなら,腕でカバーできますしね。
庄氏:
そういうことですね。それでもし厳しいようなら,別の仲間と入れ替えてみてください。
――発売後のアップデートについては,対戦モードなどが明らかになっていますが,進捗はいかがですか。
青海氏:
現在鋭意開発中です。対戦モードもかなり面白いものになると思います。
――対戦モードはどんな内容になるんでしょう?
庄氏:
まだ詳しくは言えないんですが,プレイヤー同士が直接斬り合うようなものにはなりません。それはDQの世界観には合わないですからね。ギスギスしないような仕組みを考えて作っています。
予定としては追加コンテンツの一番最後になるかと思いますので,それまでは本編をプレイしながらお待ちいただければと思いますね。
――本編だけでなく,サブキャラクターや前作のキャラクターのストーリーなども配信されるとのことで,かなりボリューミーですね。
青海氏:
それも無料ですしね。そこはDQシリーズということで,安心してプレイいただけるような仕様にしました。まずはストーリーをしっかり遊んでいただいて,より物語を深く楽しむための追加コンテンツを楽しんでいただくのがベストだと思います。
庄氏:
「なぜ配信なんだ?」と問われることもありますが,まずは1本のゲームとして完結する形で,できるだけ早くご提供したいですからね。配信部分はそこから続くやり込み的な要素にもなるので,ある程度時間をかけてしっかり作りたいと考えて,後日配信としたんです。
そもそも本編自体,前作を上回るボリュームで完成していますので,まずは本編をじっくりお楽しみいただきつつ,配信をお待ちいただければと思います。
――最後に今年DQシリーズ30周年を迎えて,本作はその一角を担う作品となるわけですが,その思いについてひと言お願いします。
庄氏:
私は開発チームとして外部から携わった形ではありますが,30周年という記念すべき年に発売する作品に関われたのは本当に嬉しいのひと言に尽きますね。
青海氏:
改めて30年前に発売されたファミコンのグラフィックスと,今のグラフィックスを比較してみて,30年の年月でこうも変わるものかと,作っている立場ながら思いました。本作に出ている勇者(コスチューム)も竜王もスライムも全部ドット絵だったんですからね。ゲーム史としてDQシリーズの30年を語るうえで,本作はある意味資料的な価値があるかもしれません(笑)。
――ありがとうございました。
「ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり」公式サイト
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(C)2016 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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