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東京レトロゲームショウ2016:第34回 「DOOM 3」で,うっかり地獄へテレポート
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印刷2016/01/14 12:00

連載

東京レトロゲームショウ2016:第34回 「DOOM 3」で,うっかり地獄へテレポート

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今週のテーマ:新年から火星でデーモンと戦って過ごしたい

 あけおめ。一年の計は元旦にありというわけで,正月は先のことを考える時期ではあるが,本連載「東京レトロゲームショウ2016」は,いつもように後ろ向きだ。ふふふ,タイトルは新しくなったけどね。別れがあるから出会いがあるように,過去があるから未来があるというわけだ。ええ,適当に書いてますけど。

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Steam「Doom 3: BFG Edition」紹介ページ


 というわけで今週は,2004年にid SoftwareリリースされたFPS「DOOM 3」を紹介しよう。2016年には,リブート版となる「DOOM」がBethesda Softworksからリリースされる予定なので,タイムリーだ。
 本作は読者の皆様もよくご存じのように,PCゲーム黎明期の記念碑的金字塔的世界大ヒット的人気タイトル「DOOM」(1993年)と「Doom II: Hell on Earth」(1994年)に続く,待望のシリーズ最新作だ。そう,10年以上経っても,シリーズ最新作には違いない。
 制作発表は2002年のE3で,そこでプレイデモが公開され,「DOOM」ファンの間で大きな話題を集めたものだ。発売は2003年が予定されていたが,その後,延期を繰り返し,2年後のE3 2004でもまだ完成していない状況に,本当に作っているの? という雰囲気が(主として筆者の脳内に)漂ったりした気がする。

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 新作が毎度必ず延期するため,社内に特別な時間が流れているのではないかと噂され,「Valve Time」という言葉が生まれたのは,もちろんValveの話だが,その点ではid Softwareも負けていないだろう。続く「Rage」は2007年のQuakeConで発表されたが,発売日も明らかにならないうちに時間だけが経過し,リリースされたのは4年後の2011年のことだった。途中,id SoftwareがZeniMax Mediaに買収されるということも起きており,まさに「id Software Time」という感じだが,言いにくいのが玉にキズだ。

 それはともかく2004年8月,ついに発売された「DOOM 3」は,シリーズ従来作の頭をカラッポにして撃ちまくり殺しまくり進みまくりというスタイルから,真っ暗なところをおっかなびっくり進みつつ,突然現れるモンスターに対処するという,まるでお化け屋敷を楽しむみたいなスタイルに変化した。

火星基地にやってきた主人公。ちょっと目がうつろ
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ちょっとアレな博士
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 id Softwareのカリスマプログラマーであったジョン・カーマック(John Carmack)氏が開発したゲームエンジン「id Tech 4」の描き出す光と影の描写はすさまじく,舞台となった火星基地は,あちこちに暗い場所があり,そこから何かが飛び出してきそうな雰囲気がマジ怖かった。
 数が減ったぶんモンスターは強力になり,うっかりするとすぐやられてしまうし,ずるいことに背後に突然出現したりすることもあって,緊張感はかなりお高めだ。武器類が十分に揃うまでは安心するヒマもなかった。
 モンスターのデザインも,シリーズ従来作を踏襲しつつ,ハイレベルなグラフィックスに変身しており,グロさも増した。無表情に迫ってくるゾンビなどは,なかなかのものだった。さらに,懐中電灯と武器を同時に持てないというギミックは賛否両論だったが,個人的にはあのジリジリ感が効果的だったと思う(強がり)。

(左)基地の人間に話しかけられるが,たいした話はしてくれない。(右)落ちているデータパッドを拾って,音声データが聞くと,以前から基地で不気味な出来事が頻発していたことが分かる。それにしても,日本語音声はいい。すごく分かりやすい
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 「DOOM 3」の舞台は,火星の基地だ。従来作の舞台が火星の衛星だったというのは実は知らなかったが,調べたらそうだったので,新たな舞台に転じたことになる。まあ,近いけど。
 ちょっとアレな科学者が火星で発見された謎の遺跡を調査して得た謎の技術を使った謎の機械を作動させたところ,思ったとおり地獄の扉を開いちゃって,基地はもう大騒ぎ。人間は次々にゾンビ化するし,異形のデーモンは出現するしで,まさにこの世の終わりだ。
 主人公はこの基地に転属してきたばかりのスペースマリーンで,生き残った隊員や科学者達と協力しつつ,火星からの脱出を目指すわけだ。

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地獄の扉が開き,火星基地はもう阿鼻叫喚の巷に
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 ちなみに,長いこと待たされ続けた当時の欧米の「DOOM」ファンの皆さんだったが,ゲームの評価はやや微妙だったかもしれない。撃ちまくらない「DOOM」なんか,「DOOM」らしくないというわけだ。このゲーム性の変化はやはり,同時発売されたXbox版のためで,このレベルのグラフィックスで大量の敵を同時に登場させることがXboxの能力では難しかったからだと言われているが,真偽のほどは,よく分からない。

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 「id Tech 4」に採用された影生成技術であるステンシルシャドウボリューム法にもやや問題があり,美しい影を生成できる反面,従来よりたくさんのポリゴンが必要になり,そのため,キャラクターに近寄ると,ハゲ頭などがカクカクしたりしていた。グラフィックスがウリのゲームでこれはまずいと思ったのか,カーマック氏は,次のゲームエンジンではこの技法を使わないと発言している(実際,どうなったのかは分からない)。
 制作発表時には確かに「うおお,すげえ!」というグラフィックスだったのだが,延期が繰り返されるうちにほかのタイトルがそれに追いつき,リリースされた段階ではもはや普通になってしまったという感じだ。

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 ……というような「今だから言える」チックな文句はあるのだけど,すべては過去の話。プレイしてみると,やはりつい熱中してしまう。最近は,銃を持った人間型キャラクターと戦うFPSが多いので,デーモン相手の戦闘は非常に新鮮だ(ゾンビとも戦うけど)。銃弾では無理だが,敵の投げつけてくるのが火の玉なら,きわどくかわしたりできる。おっと,あぶない。
 マップはほぼ1本道なので,迷ったりすることもなく,基本的に覚えゲーなので,敵の出現位置が分かれば,もう怖くない。たぶん。ショットガンやBFG9000などの強力な武器を手に入れれば,後半のアクションはさらに面白くなってくる。シングルプレイをメインにしたFPSが激減している現在,貴重な作品といえるだろう。

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 現在,「Steam」では,オリジナルの「DOOM 3」と,2012年にリリースされたリマスター版「Doom 3: BFG Edition」が販売中だ。「Doom 3: BFG Edition」には,日本語字幕日本語音声が収録されているほか,アドオンパックの「DOOM 3 Resurrection of Evil」,さらに「DOOM」と「DOOM II」などが付いてくるので,100%こちらがお得。それに,オリジナル版は対応しているOSが古かったりして,実際的ではなかったりする。
 新生「DOOM」がどんな感じになるのか,今のところ情報は少ないが,リリース前にちょっと予習をしてみるのはいかがだろうか。

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Steam「Doom 3: BFG Edition」紹介ページ

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