今週のテーマ:オレもロスサントスの裏社会で成り上がりたい
2013年に発売された
「グランド・セフト・オートV」(以下,GTAV)。パブリッシャのTake-Two Interactiveによると,2016年2月現在で約6000万本の売り上げを達成したとのこと。なんだか数字が大きすぎてピンとこないが,調べたところミャンマーの人口が5100万人ほどなので,スーチーさんを含む全国民が1本ずつ購入しても,まだ900万本ぐらい余る計算になる。すげー。さらに調べたら,イタリアの人口が6100万人ぐらいなので,全国民が1本ずつ購入した場合は100万本ほど足りなくなるというから驚きだ……なんだか,よけいピンとこなくなった気もするが,それほどのヒット作であるということで納得してほしい。
また,同作のオンラインモードである
「GTAオンライン」は現在でもアップデートが頻繁に行われており,人気が衰える様子はない。
というわけで,今週の
「東京レトロゲームショウ2016」は,そんなGTAVにあやかって,2004年に北米で発売された
「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」(以下,GTASA)をピックアップしたい。GTASAの舞台となるのは,GTAVと同じく,カリフォルニア州をイメージした
「サンアンドレアス」地方だ。ちなみに見下ろし型から3Dに変更されてヒット作となり,シリーズの礎を築いた
「グランド・セフト・オート III」(2001年)は,ニューヨークをモチーフにした
リバティーシティが舞台で,続編の
「グランド・セフト・オート・バイスシティ」(2002年)はマイアミ周辺をモデルにした
バイスシティが舞台だった。
でもって,2008年の
「グランド・セフト・オートIV」の舞台がリバティーシティだったので,次に予定されているはずの
「グランド・セフト・オートVI」は,バイスシティが舞台になるのではないかと噂されている。どうなんでしょうね?
懐かしのグローブストリート。ちなみに,本作をひときわ有名にしたのが「ホットコーヒー事件」だ。詳しくは「こちら」の記事を参照してほしいが,日本語版の発売が遅れたのは,この事件のせい。画面でお見せしたいが,できません
![画像集 No.003のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/003.jpg) |
さて,GTASAの主人公は,黒人青年の
カール・ジョンソン(通称,CJ)だ。やたら足が速そうな名前だが,サンアンドレアスの大都市,
ロスサントス(モデルはもちろん,ロサンゼルス)のグローブストリート出身で,かつてはストリートギャングだったが,現在は堅気として遠いリバティーシティで暮らしている。そんなある日,兄の
スイートから母親が死んだという連絡を受け,CJは故郷に帰る。だが,帰った早々,ロスサントス市警の
テンペニー巡査をリーダーとする不良警官グループ,C.R.A.S.H.にいきなりからまれ,金を取られたあげく,ライバルのストリートギャング,バラスのシマに放り出されてしまった。なんとか生家に戻り,その後,母親の葬儀で久々に家族や親友と顔を合わせたCJだったが,再びバラスの襲撃を受けてさんざんな目に遭う。
このような,グローブストリートギャングの悲しいほどの凋落ぶりを目にしたCJは,その復興を期して立ち上がる……というストーリー展開になっており,ゲームシステムはシリーズ従来作と同じく,CJがさまざまなキャラクターからいろいろなミッションを引き受け,それらをクリアすることで次のミッションをくれるキャラクターが新たに登場し,物語が進んでいくというアンバイだ。
グローブストリートギャングの面々。どう見ても悪そう
![画像集 No.009のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/009.jpg) |
物語の展開上,CJはロスサントスから,サンフランシスコをモデルにした
サンフィエロ,そしてラスベガスをモデルにした
ラスベンチュラスへ移り住んでいくことになるが,いずれもモチーフになった街の特徴をうまくとらえており,綿密な取材の跡がうかがえる。言うまでもなく,筆者はモデルになった街にそんなに詳しいわけではないんですけど,ロサンゼルス空港の南,あまり治安の良くない地区でゲームに出てくるものとそっくりなスタジアムを見て驚いた記憶がある。
掲載したスクリーンショットを見ればお分かりのように,グラフィックス自体はさすがに古く,このへんに物足りなさを覚える人もいるかもしれないが,サンアンドレアスには山あり谷ありビル街ありで,ふと立ち寄った,ストーリーとはなんの関係もない場所まで細かく作り込まれている。そのこだわりが見事だ。朝から昼,そして夕方から夜へと時間が自動的に流れ,オレンジ色の夕日やダウンタウンのきらめくネオンサインはかなり美しい。最初にプレイしたとき,おお,オレは今ロサンゼルスにいます,という気分になったほどだ。
ちなみに,GTAVのロスサントスにもグローブストリートが存在するが,緑色がチームカラーのグローブストリートギャングはおらず(バラスがいる),CJの家も見つからない。GTASAの背景になっているのは
1992年で,2013年のサンアンドレアスを描いたGTAVとは実に21年間の隔たりがある。CJも初老にさしかかっているはずだ。
「マフィア」(2002年)みたいに,昔はブイブイ言わせていても,ギャングの末路は哀れということだろうか。それとも,山の手のお屋敷で暮らしているのだろうか。気になる。
挑戦すべきミッションの難度はマチマチで,お使いレベルのモノからトライ&エラーを繰り返さなければクリアできないようなモノまであって,そのあたり,練り込み不足をちょっと感じる。コソ泥から空母に忍び込んでのハイテク軍用機強奪まで,もう,なんでも来いという感じだ。
ロスサントスのいたるところにある,バラスのギャングタグを見つけて,スプレーで上書きする。これを100個見つけて,全部上書きすれば,いいことが起きる
![画像集 No.024のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/024.jpg) |
また,
ギャングタグや
馬蹄などのモノ集め系のミッションをクリアすると強力な武器が容易に手に入ったりするので,後半になればなるほどCJは強くなり,ゲームの難度が下がる傾向にある。戦闘機やミニガンなどが使えるようになるともう,ストリートギャングの抗争というレベルを超えた大規模戦闘が可能になり,なんのゲームをやっているのか分からなくなるほどだ(大げさ)。
個人的には,スクール系のミッションが一番ツラかった。スクールでは,飛行機にせよ車にせよ,すべての科目でブロンズ評価をとればミッションクリアになるのだが,これがなかなか難しく,とくにパイロットスクールはクリアにやたら時間がかかったのだ。ホント,チートでも使おうかと思ったほどだが,これをこなさなければ次に進めないので,仕方ない。
最初はナヨッとした「貧弱な坊や」という感じのCJだが,ジムで鍛えるとだんだんマッチョな体格になっていく。このシステムは本作限りで,以降の作品には引き継がれていないと思う
![画像集 No.017のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/017.jpg) |
![画像集 No.018のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/018.jpg) |
さらに,お店で衣装を買ったり,床屋さんで髪型を変えたりと,キャラクターカスタマイズはかなりパワーアップしている。あなた好みのCJを作り上げよう.無理にとは言わないけど
![画像集 No.016のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/016.jpg) |
![画像集 No.015のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2016:第46回 「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」で,最新作の21年前のロスサントスに浸ってみる](/games/301/G030139/20160420052/TN/015.jpg) |
従来作と同じく,セーブは隠れ家でしかできないので要注意だ。キツいミッションをやっとの思いでクリアして,さあ,家に帰ってセーブだと思ったところで思わぬ自動車事故に遭遇し,ミッションやり直し,なんてことが一度や二度は起きるだろう。ただし,「これはもうCJ死んだだろ」という大事故でもゲームオーバーにはならず,病院などで復活するので,その点は安心といえば安心だ。このシステムは,
悪は滅びないということを暗喩しているのだろう。違うと思うが。
広大なサンアンドレアスを縦横無尽に行き来して,さまざまなミッションに挑むCJ。メインの対応機種がPlayStation 2だった初期三部作の最後を飾る作品にふさわしく,広大なマップや新たなシステム,多彩なキャラクターなど,
「これでもか!」という感じで詰め込まれており,遊び応えは満点だ。メインストーリーを終わらせてからも,多数のサブミッションが残っており,やることはいっぱいある。いったんのめり込むと,なかなかゲームを離れることができないという中毒性が高く,自慢じゃないが,筆者は本作を“100%クリア”して戦車と飛行機をもらうほどやってしまった。証拠をお見せしたいが,当時のセーブデータをなくしてしまったので,この記事では序盤の様子しか紹介できない。あ,疑ってますね。ホントにホントなんだからね。
GTASAは,Steamのほか,Rockstar Gamesの公式サイトなどから購入しよう。試していないので分からないが,Rockstar Gamesの公式サイトでは日本語版の購入が可能のようだ。GTAVをやり尽くし,さて,次は何をプレイしようかと思っている人は,21年前のロスサントスで何が起きていたのか,ぜひその目で確認してほしい。