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「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに
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印刷2015/06/27 00:00

インタビュー

「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに
 コーエーテクモゲームスとDMM.comが近日中のサービス開始を予定している「影牢 〜トラップ ガールズ〜」。「影牢」シリーズの最新作にして,シリーズ初のPCブラウザゲームとして登場する本作は,非力な主人公が,マップ上に配置したさまざまなトラップ(罠)に敵をはめて倒すという伝統のゲームシステムを受け継ぎつつ,トラップを「メディウム」という女の子に擬人化するという新要素が取り入れられている。発表時には,メディウムのセクシーなイラストも話題となった。

 今回4Gamerは,そんな「影牢 〜トラップ ガールズ〜」のプロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスの菊地啓介氏にインタビューする機会を得た。同作についてはもちろんのこと,影牢シリーズ作品の開発秘話なども聞いているので,じっくり読み進めてほしい。

画像集 No.022のサムネイル画像 / 「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに


トラップアクションの面白さをもっと広い層に楽しんでもらいたい


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,シリーズの最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」がブラウザゲームになった経緯を聞かせてください。

画像集 No.016のサムネイル画像 / 「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに
菊地啓介氏(以下,菊地氏):
 はい。理由の一つに,2014年の「影牢 〜ダークサイド プリンセス〜」PS3 / PS Vita),そして2015年の「影牢 〜もう1人のプリンセス〜」PS4 / PS3 / PSVita)という直近2作品への反応がありました。プレイした人,動画サイトでプレイムービーを見た人などから,「トラップは楽しい」という一方で「ゲームとしてはちょっと難度が高いかも」という意見が多く寄せられていたんです。そこで,トラップの面白さにフォーカスした,手軽に遊べる新作を作ろうと考えて,プラットフォームも幅広い人が遊べるブラウザを選びました。

4Gamer:
 なるほど。確かに影牢シリーズは,「攻撃をかわしつつ,うまく敵を誘導して,罠をタイミングよく起動する」という少々複雑なプレイが基本になるので,初見では難しいかもしれませんね。手軽にトラップアクションを遊べるようにするため,具体的にどのあたりを変えたのでしょうか。

菊地氏:
 分かりやすいところでは,ステージを見下ろす視点にして,カメラ操作を省きました。また,トラップがつながるように配置されていれば,プレイヤーがトラップを起動するのは最初の1回だけでいいようにしています。

4Gamer:
 2つめ以降のトラップは自動で起動するんですね。

菊地氏:
 はい。ただ,トラップの自動起動を切れば,プレイヤーが好きなタイミングで起動できます。シリーズをプレイしたことがある人なら,手動のほうが凝ったトラップコンボができます。

4Gamer:
 シリーズ経験者としては,ブラウザゲームになったということで,肝心のトラップアクションがどれくらい再現されているのか気になっています。インタビューの前に少しデモプレイを見せていただきましたが,部屋に仕掛けがあるかどうかが確認できませんでしたし,「プッシュウォール」で「メガロック」を押し出して転がすといったようなこともできるのか,知りたいのですが。

菊地氏:
 各部屋の仕掛けはもちろん,「捕獲」の要素も入れていますし,「プッシュウォール」と「メガロック」のような連携も可能です。見た目の印象こそ変わりましたが,トラップアクションの楽しさはシリーズ作品と同じと思ってくださって大丈夫です。

4Gamer:
 それを聞いて安心しました。

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菊地氏:
 もちろん今後も,ファンの方に満足いただける濃い最新作をお届けしたいと思っていますが,それとはまた別の流れとして,手軽で親しみやすいものを作るということです。そのコンセプトが,最近のトレンドである“擬人化”と相性がいいのでは,ということで,本作が生まれました。もともとコンシューマ版の影牢には華麗・残虐・屈辱のトラップを司るメディウム(巫女)という存在がありましたので、そこを掘り下げています。

4Gamer:
 手軽で親しみやすい,ということであれば,スマートフォン向けも考えられたと思うのですが,ブラウザゲームになったのはなぜですか。

菊地氏:
 スマートフォンも検討しましたが,キャラクターを眺める楽しみや,トラップの設置しやすさなどを考えると,ある程度大きな画面でプレイしてほしかったからです。

4Gamer:
 DMMさんをパートナーに選んだのは,やはりブラウザゲームでの実績があるからですか。

菊地氏:
 そのとおりです。魅力的なタイトルを抱えて,たくさんのお客さんがいるDMMさんとなら,影牢というゲームに新しい楽しさを提供できるのではないかと考えて,私のほうから打診しました。

4Gamer:
 コンシューマゲームの人気シリーズがブラウザやスマートフォン向けにリリースされる場合,コンシューマゲーム機向けとは開発スタッフが別というケースが多いので,「トラップガールズ」を菊地さんが担当されていると知ってちょっと驚きました。

菊地氏:
 ええ,私達としてはスピンオフではなく,シリーズの最新作という意気込みで作っています。「影牢」の名前を使うからには,やはり本家のチームで挑みたいですからね。

4Gamer:
 「トラップガールズ」の発表時,服が破れたメディウム達のイラストが話題になりました。これまでの影牢シリーズでも,主人公も含めて,女性キャラクターが露出度の高い服を着ていて,罠にかかったときの声も妙に色っぽいなど,セクシーな要素はありましたが,「トラップガールズ」ではそれが前面に押し出されてきたという印象です。

菊地氏:
 現在公開している情報ではセクシー要素の面が強いですが,それだけが狙いなのではありません。ゲームをうまく進めたことに対する達成感が欲しいということで,アイテムやボーナスポイントといったものよりも,ビジュアル的に分かりやすいご褒美を考えた結果ですね。

4Gamer:
 なるほど。確かに分かりやすいです(笑)。

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菊地氏:
 服が破れて薄着になることで,トラップに引っかかる恥ずかしさをより強調する狙いもあります。もともと影牢は,残虐なトラップを使いながらも,残虐な倒し方はしない方向性のゲームですから,その点でも奇をてらったわけではないんです。ちょっとやりすぎているかもしれませんが(笑)。

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4Gamer:
 メディウムのキャラクターデザインが,ちゃんとトラップに基づいているのは面白いです。大岩の「メガロック」は胸が大きくて,岩のようなボンボンを持っていたり,「バナナノカワ」は髪や衣装で全身黄色なのに,下着は白だったり。

菊地氏:
 そこは最初から決めていて,外せなかったところなんです。

4Gamer:
 トラップというものを擬人化するのはなかなか難しそうですが,どのように作っているんでしょうか。

菊地氏:
 今回は,まず「古今東西の女性」を集めたいと思っていて,職業や服装,性格などといったものから,トラップに合うものを選んでいく,という作り方をしました。「バナナノカワ」なら可愛らしいイメージがあるのでアイドル,「デルタホース」の場合は,馬に乗る女性ならカウガールでしょ,という感じですね。

4Gamer:
 「古今東西」とはいえ,トラップに合うものを見つけるのは大変そうですね。

菊地氏:
 そうなんですよ。派手に攻撃するようなトラップならまだいいのですが,敵を足止めしたり,移動させたりして,ほかのトラップとのつなぎに使うようなものは苦労しますね。今でこそ作り方が確立できていますけど,軌道に乗るまでは本当に大変でした。イラストを見ながら,スタッフと「ただ単に露出が多いだけじゃダメだ!」みたいなやりとりをしたり(笑)。単純に可愛い女の子を出すだけなら簡単ですが,影牢でやるからには何かしらの関連づけはしたいので。

4Gamer:
 これまでの影牢シリーズには無かった作業でしょうしね。

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菊地氏:
 はい。ただ,今までにない作業だけに,結構楽しくもあるんです。これまでのシリーズ作品では,舞台設定や物語が先にあって,外見から性格まで,その世界に合ったキャラクターが自動的に生まれるという感じでした。「トラップガールズ」では,トラップを考えるのと同じ感覚でキャラクターを作っていけるのがすごく新鮮なんです。あと,キャラクターを作る中で,スタッフの趣味が分かるのも面白いですね(笑)。

4Gamer:
 知らなかった一面が見えてくるわけですね(笑)。そうやって作られているメディウムですが,どのぐらい登場する予定なんでしょうか。

菊地氏:
 リリース時には40〜50種類を用意する予定ですが,キャラクターに思い入れを注いでいただきたいと考えていますので,それぞれの魅力が伝わるようなペースでの追加はしていきたいと思っています。

4Gamer:
 キャラクターデザインはどなたが担当しているのでしょうか。

菊地氏:
 2Dのイラストを得意にしている社内のデザイナーに加えて,見た目のバリエーションを出すために,外部のデザイナーさんにも協力いただいています。キャラクターは3Dモデルにした時に,どうしても似たトーンになってしまいますから,その分2Dのイラストでは,デザイナーさんの個性を出していただいています。

画像集 No.019のサムネイル画像 / 「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに

4Gamer:
 最近では3Dグラフィックスのブラウザゲームも珍しくないとはいえ,ブラウザ上で影牢のシステムがしっかりと動いていることに驚かされました。

菊地氏:
 ブラウザゲームで一体どこまでできるのか,開発前はディレクターも気にしていたようですが,予想以上にスムーズに動いていますね。スペックが低めのPCでも安定しているので,よほど古いPCでプレイしない限り大丈夫だと思います。

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4Gamer:
 さきほど「シリーズの完全新作という意気込みで作っています」と話されていましたが,影牢シリーズのファンも納得できる出来ということでいいでしょうか。

菊地氏:
 はい。最初に公開したビジュアルの印象が強烈だったので,ゲーム性も変わっているのではと不安に思っている人もいるかと思いますが,動くところを見ていただければ,影牢シリーズだと分かっていただけるのではないでしょうか。


影牢シリーズの面白さは,トラップを起動するまでの緊迫感にある


4Gamer:
 4Gamerが影牢シリーズお話を菊地さんにうかがうのは初めてだと思いますので,これまでのシリーズ作品についても聞かせてください。もともとは1996年リリースの「刻命館」から始まったんですよね。

菊地氏:
 はい。刻命館はいわゆる正統派RPGを逆転させたような設定で,自分が悪の立場になり,館に攻め入ってくる勇者達をモンスターやトラップなどで倒していくというシミュレーションゲームでした。そこからトラップの面白さにフォーカスして,アクション要素を強めようという発想で生まれたのが1998年リリースの「影牢 〜刻命館 真章〜」です。「トラップコンボ」という仕組みが生まれたのもここからですね。

4Gamer:
 その後1999年にシリーズ3作目の「蒼魔灯」がリリースされましたが,4作目の「影牢II -Dark illusion-」は6年置いて2005年,5作目の「影牢 〜ダークサイド プリンセス〜」は実に9年置いて2014年と,だいぶ間が空きましたよね。これには何か理由があったのでしょうか。

菊地氏:
 影牢シリーズの開発中に和風建築を調べる機会があって,そこから「零 zero」(2001年リリース)のアイデアが生まれたからなんです。ちょうどPlayStation 2世代のゲーム機に切り替わる頃で,その表現力を生かした新しいゲームに挑戦しようと,開発チームが零シリーズへシフトしていきました。

4Gamer:
 零シリーズ誕生のきっかけが影牢にあったとは知りませんでした。

菊地氏:
 同時期の影牢IIは,外部のデベロッパに協力していただいて開発しましたが,プレイヤーのみなさんからご指摘を受けた点も多く,それをきっかけにシリーズを見直す期間に入りました。

4Gamer:
 なるほど。菊地さん自身の手で影牢の最新作を開発する時期をうかがっていたと。

菊地氏:
 私自身にとってもこの時間は長かったですね。その間にテクモがコーエーテクモゲームスとなって,体制も変わりましたし。そういう長い時間が過ぎて,影牢を最新の技術で表現しようということで企画されたのが,「ダークサイド プリンセス」なんです。

4Gamer:
 じっくり時間をかけてシリーズを見つめ直して,新作に入れようと決めたものにはどのようなものがあったんでしょうか。

菊地氏:
 「ダークサイド プリンセス」でまず実現したかったのが,ボタン一つでトラップを発動させることでトラップコンボがつながる「トラップシーケンス」ですね。

4Gamer:
 確かにあのシステムで,いちいちトラップの設置画面を開かなくてよくなりましたし,トラップコンボの自由度も高まりましたね。

以前のシリーズ作品では,3つのボタンに割り当てたトラップを個々に起動していたが,トラップシーケンスの導入で,トラップの起動順を指定し,1つのボタンで次々と起動できるようになった
画像集 No.011のサムネイル画像 / 「影牢」シリーズのプロデューサー,菊地啓介氏へのインタビュー。最新作「影牢 〜トラップ ガールズ〜」や歴代作品の開発秘話が明らかに

菊地氏:
 それに加えて,トラップを「残虐」「華麗」「屈辱」という3つのカテゴリに分類して,特徴を分かりやすくしました。作品を重ねるごとにトラップの数が増えていく一方,カテゴリ分けはされてこなかったので,プレイヤーがトラップをどういう基準で選んでいいのか分かりづらくなっていたんです。

4Gamer:
 「天井」「壁」「床」という設置場所の区分けでは足りなくなったと。「屈辱」というカテゴリは影牢ならではだと思いました。

菊地氏:
 シリーズのファンには,「バナナノカワ」や「タライ」など,一昔前のバラエティ番組のようなトラップを好む方も多いんです。昔は隠し要素でしたが,徐々に数も増えて,「ダークサイド プリンセス」では1つのカテゴリにまでなりました。

4Gamer:
 やっぱりあの系統のトラップは,ファンからの人気が高かったんですね。

菊地氏:
 「残虐」や「華麗」が好きな人ももちろんいますが,動画サイトにアップされているプレイムービーを見ている人まで含めると,やはり屈辱トラップの人気が高いですね。か弱い女の子の主人公が屈強な敵をトラップにハメていくという設定なので,無様な格好をさせるほど気持ちよさが増す,ということもあるんでしょう。

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4Gamer:
 そうやって満を持してのリリースとなったダークサイド プリンセスから1年ちょっとで「影牢 〜もう1人のプリンセス〜」が出たのは意外でした。

菊地氏:
 9年もの間,ほかのプロジェクトを進めながら影牢でやりたいことをストックしてきましたので,「ダークサイド プリンセス」に詰め込み切れなかった要素も多かったんです。それらを盛り込みつつ,新要素を追加してリリースしたのが,「もう1人のプリンセス」なんです。

4Gamer:
 「もう1人のプリンセス」には「ダークサイド プリンセス」のストーリーモードに加えてクエストモードが追加されていますが,そこでは新主人公のヴェルギリエが登場しますよね。完全版という位置づけであれば「ダークサイド プリンセス」のレグリナがそのまま主人公でもよかったと思うのですが,ヴェルギリエを立てたのはなぜでしょうか。

菊地氏:
 いえ,「もう1人のプリンセス」は「ダークサイド プリンセス」の完全版ではなく,クエストモードをメインとした新作という位置づけなんです。ただ,トラップは前作のものも登場するので,せっかくならダークサイド プリンセスをまるごと入れたほうがいいと考えて,あの仕様になりました。ヴェルギリエを立てた理由には,クエストモードに歴代ヒロインとの対決を入れたいと思っていたこともあります。

4Gamer:
 なるほど。確かにヒロイン同士が罠をかけ合うバトルは新鮮で面白かったですし,あまり知らなかったヒロイン達の性格なども分かりました。

菊地氏:
 はい。影牢をずっと一緒にやってきたディレクターの柴田(誠氏)と,過去のシリーズを振り返るような意味合いもありましたね。

4Gamer:
 ヴェルギリエは,これまでのヒロインにいなかったタイプですね。

菊地氏:
 歴代のヒロインは,どちらかといえば内向的な性格のキャラクターが多かったですからね。ヴェルギリエは感情表現が豊かで,直接的な攻撃もするという,これまでとは別路線にしようと最初から決めていました。結果,今風のキャラクターになったと思います。

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4Gamer:
 「今風」という言葉が出ましたが,20年続くシリーズとなると,ヒロインのキャラクターも時代に合わせて変えていくことが必要になるのでしょうか。

菊地氏:
 時代に合わせるという考え方ではなく,そのときの私達の趣向が強く反映されているといったほうが正しいと思います。ゲームシステムでも,操作をより簡略化するとか,動画にしたときに映える画面にするとかといったように,時代の流れの中で自然と決まっていくんだと思います。

4Gamer:
 過去作のヒロインが再登場し,ボイスや細かい設定が追加されたということで,今後のシリーズ作品にも関わってくるのではと思っているのですが,そのあたりはどうでしょうか。

菊地氏:
 それは今後の開発チームの話し合い次第です。とにかくやりたいことは山ほどあるんですが,それを全部入れようとすると時間がいくらあっても足りませんから。

4Gamer:
 分かりました。「もう1人のプリンセス」の新要素としては,公園や病院など,現実世界のステージもありますが,あれはやはり動画サイトで受けるような「屈辱系」の設定ということでしょうか。

菊地氏:
 実は昔からずっとやりたかったことなんですよ。過去の影牢シリーズで,ソニー・コンピュータエンタテインメントさんに作っていただいた,カップルや学校の先生が罠にかけられるというCMでも刺激を受けましたが,現代トラップは,過去何度か考えてきたことなんです。今回ようやく実現できました。

4Gamer:
 温めていたネタに時代が追いついた,という感じですね。ちなみに,ゲームに登場するトラップはどのように決めているんでしょうか。

菊地氏:
 新作ごとに自由にアイデア出しをしています。資料をあたって,実際に使われていた拷問器具をモチーフにすることもありますね。例えば「ダークサイド プリンセス」に出てくる「ヒートオックス」は古代ギリシャで使われたという「ファラリスの雄牛」を模しています。ただ,ネタ出しは楽しいんですが,それをゲームで使えるものに仕上げる作業は苦しいですね。

4Gamer:
 ボツネタもたくさんありそうですね。

菊地氏:
 見た目や機能がかぶらないようにしなくてはなりませんし,そのときの技術では表現できないものもあるので,やむを得ずボツにすることもあります。それと,あまりに残虐すぎるネタは,表現を少し柔らかくしています。

4Gamer:
 敵をトラップにかけて倒すのは,剣や銃を使ったときとは違う,独特の気持ちよさがありますよね。あれがどこから生まれてくるのか,菊地さんはどう考えていますか。

菊地氏:
 敵をトラップにかけたときと,剣や銃で直接攻撃したときの感覚に実はあまり違いはなくて,そこに至るまでの緊迫感がトラップの気持ちよさを生んでいるんだと思います。
 子供のときに,砂場に落とし穴を掘ったり,教室のドアに黒板消しを挟んだりして,誰がかかるのかドキドキしながら待ったという経験がある人もいるかと思いますが,影牢の楽しさはそこなんですよね。

4Gamer:
 あぁ,すごく納得できました。言われてみれば確かに,ドキドキがどんどん溜まっていって,敵がトラップにかかった瞬間,それが一気に気持ちよさに変わるという感じですね。
 そういう独特の面白さがあるシリーズなので,ちょっと気が早いかもしれませんが「トラップガールズ」以降のシリーズ展開も気になります。

菊地氏:
 はい,私も影牢はほかにないタイプのゲームだと思っているので,ぜひ続けていきたいです。ただ,当面の間は「トラップガールズ」というゲームをどう楽しんでもらうかということに集中することになると思います。中途半端なものを届けるわけにはいきませんし。

4Gamer:
 ファンとしてもサービス開始が楽しみです。それでは最後に,サービス開始に向けたメッセージをお願いします。

「ロゼッタ・パンプキンマスク」
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菊地氏:
 本作は,トラップという武器に可愛い女の子として感情移入する楽しみにフォーカスした「やみつきセクシートラップバトル」という,ほかにないゲームになっています。
 ファンの方はもちろん,難しそうでシリーズに手を出せなかった方も,ぜひ一度はプレイしていただければと思います。事前登録特典の「ロゼッタ・パンプキンマスク」は,今いる中でもかなり可愛いキャラクターですし,私も気に入っていますので,ぜひ手に入れてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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