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F.E.A.R.の新作TRPG「ガーデンオーダー」が発表された「富士見ドラゴンブック 新作TRPG発表会」レポート。冒険企画局,グループSNEの完全新作も登場
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印刷2015/08/08 10:30

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F.E.A.R.の新作TRPG「ガーデンオーダー」が発表された「富士見ドラゴンブック 新作TRPG発表会」レポート。冒険企画局,グループSNEの完全新作も登場

 2015年8月6日,東京都内の角川本社ビルにて,KADOKAWA主催による「富士見ドラゴンブック 新作TRPG発表会」が開催された。その名のとおり,KADOKAWAの書籍レーベルである富士見ドラゴンブックから今後発売となるテーブルトークRPG(以下,TRPG)の新作ラインナップを,メディアやショップ関係者に向けて紹介するというこのイベント。トレーディングカードゲーム(以下,TCG)やコンシューマゲームでは一般的なものだが,TRPGではかなり珍しい。富士見ドラゴンブックの30年の歴史を振り返ってみても,コンベンションなどに付随するものを除いては,今回が初の試みとのこと。

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 発表会では,このイベントで初出となる新作TRPG2作品について,それぞれのゲームデザイナー本人による紹介が行われたほか,既存タイトルの近刊情報などが発表された。その後,発表されたばかりの新作「ガーデンオーダー」を来場者が試遊できるという体験会も行なわれた。本稿ではその模様を合わせてレポートしていこう。

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会場では,ポスターや絵はがきなど過去の販促物を配布
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発売前の書籍を手にとって読めるという,ファンにはうれしいサービスも

富士見書房 公式サイト



「バディ」を組んでの異能バトルが新しい,F.E.A.R.新作「ガーデンオーダー」


 発表会は,富士見ドラゴンブック編集部 副編集長の稲垣 健氏の挨拶でスタートした。「ドラゴンブックは今年30周年を迎えることとなり,その節目にふさわしい意欲作を用意しています」という氏の宣言の後,まず1本目の新作として披露されたのが,F.E.A.R.(ファーイースト・アミューズメント・リサーチ)の新作タイトル「ガーデンオーダー」だ。

能力バトルがメインで10面ダイスを使う現代もののTRPGということで,F.E.A.R.の人気作「ダブルクロス」に近い印象を受けるが,イメージはより明るい
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 ここからは,同社に所属するゲームデザイナー・久保田悠羅氏によるプレゼンテーションによって,本作の概要が語られた。

 本作の舞台となるのは,謎の敵「ネフィリム」が姿を現した現代の日本。プレイヤーは,そのネフィリムに対抗するために国連によって組織された「GARDEN」(Genetic Ability Response Department of Eliminated Nephilim)の一員となり,それぞれに発現した超能力を駆使しながら,敵に立ち向かっていくことになる。

 ゲームシステムは10面ダイス2個を使った,スキルベースのパーセンテージロール(D100)を基本としつつ,「バディスタイル」という独自要素が盛り込まれているのが特徴となる。
 「バディスタイル」とは,プレイヤーキャラクターの2人がフォワードとバックアップといった形でコンビを汲むことで,戦闘で互いをかばったり,特殊能力によって強化しあえるといったフィーチャーとのことで,これによりゲームがよりドラマチックになるとのこと。
 なおプレイヤーが一人余ったときや,あえてバディを組みたくない場合は,「ソロスタイル」でプレイすることも可能だとか。その場合は,能力が自己強化に特化されるなど,単独行動を信条とするキャラクターならではのメリットが得られる。バディかソロか,どちらを選ぶかでプレイフィールはかなり変わるそうで,さまざまなプレイスタイルが楽しめるタイトルになりそうだ。

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 ちなみに,パーセンテージロールを採用した理由として,久保田氏は成否の確率が直感的に分かりやすいことに加え,ニコニコ動画などで「クトゥルフ神話TRPG」(KADOKAWA刊)のリプレイ動画が流行していることを挙げていた。同じくスキルベースのパーセンテージロールのシステムである同作でTRPGを知る人が多い昨今,親しみやすいのではないかと考えているそうだ。一昔前は専門店が近くになければ入手が難しかった10面ダイスだが,昨今はネット通販などでも気軽に入手できる。そう言った意味でも,本作は“今風の”タイトルといえるかもしれない。

 プレゼンテーションの最後に久保田氏は,「TRPGの魅力を言葉で伝えるのは難しいですが,まずはリプレイを読んで,遊んでみてほしいです。今までのF.E.A.R.のゲームとはひと味違うので,楽しみにしてください」と語り,「ガーデンオーダー」の発表を締めくくった。
 なお本作については,この後に行われた試遊会の様子を下で紹介しているので,合わせてチェックしてみて欲しい。

現在は作成の途中だという本作キャラクターシート。右の負傷ゲージが特徴で,ダメージを受けたり能力を使ったりすると「軽傷」「重傷」などの欄が徐々に埋まっていく仕組み。ダメージを単なる数値でなく,状態の変化として扱っているわけだ
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2015年9月19日に発売となる基本ルールブックには,「きくたけ」こと菊池たけし氏執筆のリプレイが付属する。ゲームマスターではなく,初めて遊ぶプレイヤーの視点からのリプレイになるとのことだ
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神話の神々が新解釈で登場する,冒険企画局の新作「アマデウス」


 続いては,冒険企画局の河嶋陶一朗氏にマイクが移り,2つ目の新作「アマデウス」の発表が行われた。

PALOW氏のスタイリッシュなイラストが目を惹く。なおPALOW氏とのタッグは,アーケードの「LORD of VERMILION III」シリーズのプロデューサーであり,河嶋氏のTRPG友達でもあるスクウェア・エニックスの丹沢悠一氏の紹介で実現したものだそうだ
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 こちらも舞台は現代とのことで,異能バトルものである点は「ガーデンオーダー」と変わらないものの,「神話」がキーとなっているところがポイントだという。プレイヤーが扮するのは,「アマデウス」と呼ばれる異能力者で,彼らは神の力を受け継いだ存在だ。ちなみにアマデウスとは,ラテン語で「神に愛されし者」といった意味であり,神と人間の力を合わせ持つ存在を示しているのだそうだ。

 そんなアマデウス達が戦うのは,神話を連想させる事件「神話災害」。例えば新宿駅がミノタウロスの支配する迷宮と化してしまったり……といった事件を解決するために,プレイヤー達は奔走することになるのだとか。

 ゲームシステムとして明らかにされた部分では,本作では「1D6+修正値」という,シンプルな判定処理が採用されているのが面白い。ただし,キャラクターの能力値(“A+”や“S”といったアルファベットで表される)次第で,振ることのできるダイスはどんどん増えていく。その場合は,その中から任意の一つを選べるとのことだった。例えば能力値が“C”であれば「1D6」での判定だが,能力値が“S++”なら,「4D6を振ったのち,一つを選んで+2」(能力値+の数だけ修正がつく)という形だ。

色のついたダイス(作成中のもの)を手にする河嶋氏
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 また,本作で使用するダイス目には色が設定されており,判定で余ってしまったダイスは,その色ごとに「インガ」という形で場に蓄積していく。このインガはTCGにおける“マナ”のようなものだそうで,溜まったインガを用いることで,プレイヤーが必殺技を放てる仕組みが盛り込まれているとのこと。

 こういったシステムを採用した理由を河嶋氏は,「逆転劇を演出するため」だと語っていた。一般的なTRPGでは,持っているリソース的に,プレイヤーキャラクターは戦闘開始時が最も強く,その時点で自分の最大火力を使用する(必殺ワザ的なものを撃つ)ことが、もっとも有効な戦術になることが多い。しかし物語的に考えれば,いきなり必殺ワザを放ち,そこからターンを経るごとにジリ貧になっていくという流れはあまり美しいとは言い難い(氏は,これをアルファストライク問題と呼んでいた)。ヒーローであるなら,やはり最後の一撃に全力を注ぎたいところだろう。このシステムであれば,そういったシチュエーションを容易に再現できるというわけだ。

 また神話をテーマとしたことについては,河嶋氏自身が島根出身であり,昔から日本の神話に慣れ親しんでいたこと,また,きちんと固まった物語ではなく,人々がイメージを持ち寄ることによって作り上げられる神話というものが,TRPGっぽいと感じたところに,着想を得たとも語っていた。

 最後に氏は,「最近は原作ものや,(汎用システムである)サイコロ・フィクションシリーズが多かったのですが,今回は世界もシステムもオリジナルということで,無難にまとまらず,新しいことをやっていきたいと思っています。9月の前半からスターターブックが無料ダウンロードできるようになるので,フィードバックを受け取って,皆さんと一緒にいいゲームを作っていけたら」と語り,プレゼンテーションを締めくくった。

 2015年12月20日の発売が予定されている「アマデウス」は,基本ルールブックの時点で,ギリシャ神話をメインに,エジプト神話や古代日本の神話から,30の神々が登場する予定だ。PALOW氏をはじめとするイラストレーターによって現代風に解釈された神々のイラストにも注目が集まる本作。今後の続報にもぜひ期待しておこう。

このほか本作には,「シノビガミ」における“秘密”のようなシステムとして“予言”なるシステムも用意されるという
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本作におけるクラスに該当する神々。左は神々の王ゼウス。老人の姿で描かれることが多いが,好色なエピソードが多いため,若者にしたとのこと。右はその妻ヘラ。ゼウスに嫉妬するのは「ツンデレ」という解釈で,ゼウスの浮気を察知するためのアンテナを左右に従えている
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 なお,具体的なタイトル名への言及こそなかったが,富士見ドラゴンブックでは,この2タイトル以外にも,今後続々と新作TRPGが登場する予定とのこと。発表会の最後にマイクを取ったドラゴンブック副編集長の細野君郎氏によれば,2016年8月までに4作の新タイトルが控えているとのことだった。うち一つは,アナログゲーム界の雄・グループSNEの完全新作とのことで,期待は否応にも高まるというもの。それ以外もかなり独創的なタイトルになるそうなので,こちらもお楽しみに。

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新作2タイトルの発表後は,富士見ドラゴンブックの既存シリーズの新展開に関しての紹介も行われた。「グランクレストRPG」では9月20日に「上級ルールブック」が発売となり,超高レベルの冒険が楽しめるようになる
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「アリアンロッドRPG 2E」では,「アイテムガイド2」が10月20日に登場し,それを元にしたリプレイ「アイテムマスターズ 刀鍛冶の用心棒」もスタート。遊び方がさらに広がる
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「ダブルクロス The 3rd Edition」では,リプレイとデータ集が8月20日に発売される。8月下旬よりスタートするコラボカフェでは「春日のラーメン風パスタ」なるメニューが登場するかも? とのこと。気になる人はリプレイをチェック
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「ソード・ワールド2.0」では,8月20日発売の「ルール&データブック フォルトナコード」でついにレベルキャップが解放。レベル16以上の「超越者」として,壮大な冒険を繰り広げることが可能に

「アマデウス」発表後,F.E.A.R.の久保田氏は「(アマデウスは)ビジュアルがたくさんあってうらやましいので,追加のイラストを見せます!」と,NPCやモンスターのイラストをサプライズ披露
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世界初の体験会で「ガーデンオーダー」のバトルシナリオに挑戦


 発表会の終了後は,会議室に会場を移して発表されたばかりの新作「ガーデンオーダー」の先行体験会がおこなわれた。筆者は幸運にもゲームデザイナーである久保田先生がゲームマスター(以下,GM)を務める卓に案内され,ほかのメディアと共に本作を体験できたので,その模様をレポートしていこう。

 席についてまずGMから語られたのは,シナリオの「トレーラー」――シナリオの方向性をしめす,いわゆる今回予告だ。それによれば,製薬会社の研究所に現れたネフィリムを退治するのが,このシナリオにおけるプレイヤーのミッションとのことだ。その後はキャラクターの作成となるのだが,今回は体験会ということで,あらかじめ用意されていたキャラクターデータをベースに,肉付けを行っていくことに。

久保田GMによるキャラクターの説明
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 実際には,キャラクターの過去の経歴や,どうしてGARDENに入ったかなどを示す「ライフパス」をダイスで決めていくという手順で,これによって技能のボーナスや特技が自動的に決まる仕組みとなっていた。
 結果,完成したキャラクターは以下のとおり。

  • PC1:肉体派の医者。コールサイン(通称)は“ドクター・プラズマ”。物質転移の能力を持っており,個体を気体に変えることで壁を破壊したり,プラズマを作り出して敵を攻撃したりできる。
  • PC2:筆者のキャラクター。コールサイン“レイ・オヴ・コマンド”。光波干渉の能力を持ち,光を反射させて隠れたり,レーザーを発射したりできる。“ドクター・プラズマ”とバディを組む。
  • PC3:コールサイン“シャープナー”。ソロスタイルの歴戦の兵士。感覚強化の能力を持ち,五感を研ぎ澄まして相手の動きを読んだり,超高速で行動したりできる。

 まずはオープニングフェイズで,GARDENの関東支部長である通称“パースエイダー”からネフィリム討伐の依頼を受け,敵の情報をもらう。
 通常のセッションであれば,このあとミドルフェイズをはさみ,敵の居場所を調べて研究所に潜入したり,研究所から逃げ遅れた人を助けたりと,いろいろな展開が期待できるわけだが,「ガーデンオーダー」には今回のような体験会用に,純粋に戦闘だけを楽しむ,短時間のシナリオの作り方が用意されている。というわけで,今回はいきなり戦闘に突入することとなった。

 ちなみにもしミドルフェイズを挟むのであれば,10種類の分野に分かれたキャラクターの超能力を非戦闘シーンでも活用して,アイデア次第でさまざまなプレイが可能とのことだった。「現場に残されたネフィリムの体液を,物質転移の能力で個体に変え,研究所に持ち帰って調査する」なんてことも(もちろんGMが認めればだが)できるそうなので,この辺りは9月19日の発売を楽しみにしていてほしい。


シーンが目に浮かぶようなドラマチックなバトルが展開


 さて,いよいよ研究所で敵と対峙することに。敵ネフィリムの構成は,ワニの頭にライオンの体を持つ「アメミット」1体と,雑魚の巨大ミミズ「クロウラー」2グループだ。

3×3のエリアがあるが,今回は中央のみを使用。コマで位置を簡易的に表現するエンゲージ制で戦闘が進行する
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 さっそくPC1のドクター・プラズマが,アメミットにプラズマフレアを放つ。
 攻撃判定に成功すると,与えたダメージに応じて負傷表を参照する。見事ダメージを与えるとともに爆発を起こし,「スタン」のデバフを与えて回避しづらくさせることに成功した。

 ここで登場した負傷表が,実は本作のバトルにおける大きなポイントだ。
 攻撃の結果与えたダメージは,単に「10点のダメージ」といった形ではなく,負傷表によって,より具体的な結果として戦闘に影響を及ぼす。例えば「腕を切り落とした」「内臓を撃ち抜いて出血させた」「氷に閉じ込め行動を阻害した」など,いずれもシーンを想像しやすいだけでなく,それに付随したデバフが伴うことがあり,戦略的にも大きな意味を持ってくる。また,「剣で切る」「銃で撃つ」「炎で焼く」などの攻撃方法ごとに与える傷の種類が異なり,それにともなって発生するデバフの効果にも違いが現れる。この辺りも本作ならではの要素といえる。

 ここでどうやら,今回のアメミットは火に強いらしいことが分かった。
 そこでPC2の筆者は,属性が火であるレーザー攻撃は使わずに,手持ちの9mmパラベラムで攻撃することにした。まずは「光波干渉」の能力を使用し,レーザーポインタで狙いをつけることで,命中率を本来の70%から100%に引き上げる。本作では,命中率が100%を超えると,命中率50%の2回攻撃に分割できるルールがある。さらにはクリティカル(=防御力無視)の発生率も命中率によって変動するので,命中率の強化はとても重要な要素といえる。
 というわけで,ここは必中を狙うか攻撃回数を増やすかの二択だが……せっかくなのでダイスに賭けて筆者は2回攻撃を選択した。結果,残念ながら両方ともハズレ! 悔しい。

プレイ中の風景。中央の顔イラストは,依頼主の“パースエイダー”だ
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 続いてPC3であるシャープナーの攻撃。
 彼はスナイパーライフルを持っており,離れた位置から狙撃することもできるのだが,特技で「近接射撃」を持っているため,敵のさなかに突っ込んで行くこともできる。さらに,感覚を最大まで研ぎ澄ますことで常人を超える速度で動ける能力《スローモー》もある。というわけで,敵のふところに飛び込んでスナイパーライフルを二連射という離れ業を披露。とんでもないダメージを叩きだし,雑魚が粉々に飛び散ることとなった。

 ただし,彼が《スローモー》を使うためには,「軽傷」ゲージを1つ減らすという代償を支払わなくてはならない。敵も味方も,受けたダメージは先に紹介した負傷ゲージにによって管理されており,能力を使う場合は往々にしてこれが減っていくことになるわけだ。
 多くは「疲労」ゲージを消費して使う能力が多いが,《スローモー》のように,中には直接傷を負うことになる能力もある。疲労ゲージが全部埋まってしまうと,回避率が半分になってしまうし,軽傷ゲージが埋まると,次は繰り上がって重傷ゲージにダメージがおよび,果ては致命傷→死亡へと至る。このため,ゲージがギリギリになってくると,攻撃の一つ一つがとてつもなく重くなってくる。

 シャープナーは銃使いなので防御が薄いのだが,敵の真ん中に飛び込んで行ったためアメミットの反撃を受けて大量出血,継続ダメージを受けてしまうことに。筆者はダイス目が振わずなかなか攻撃が当たらないので,バディであるドクターのフォローに徹することにした。

 最後はシャープナーのスナイパーライフルがアメミットのはらわたを撃ち抜き,そこへ筆者が切り札の「オーバーブースト」を使って大ダメージを叩きこむ。この技は,1シナリオごとに1回しか使えないうえ,「致命傷」ゲージを1つ消費するという大技で,ダイス目を入れ替えたり,ダメージを大幅に増やしたりといったことができる。なお,「致命傷」をくらうのは自分でなくバディでも良いので,敵に組みついて攻撃を受け止めながら「今だ! 俺ごと撃てぇー!」なんて演出もできたりする。まさにそんな展開の結果,敵は出血による継続ダメージに耐えきれず,崩れ落ちたのだった。


 こんな感じで,2時間ほどでお開きとなった体験会だったが,ほぼ戦闘のみのシナリオだったにも関わらず,なかなかドラマチックな展開が楽しめた。ゲームバランス的にも,今回はなんとか勝てたものの,途中,敵の決死の反撃がダイス目に阻まれて外れるという幸運もあり,それが命中していたらどうなったか分からない。
 バディをサポートする「バディアクション」が違う組み合わせだったら,また違った展開になっただろうし,キャラクターをフルスクラッチで作成する場合は,その辺りを示し合わせながら能力を選ぶのも面白そうだ。細部についてはこれからも調整が入るそうだが,体験会を終え,ますます発売が楽しみになってきた。

作成中のキャラクターデータ
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新しいファンのための,新しいTRPGを


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 発表会の最後のスピーチとして,富士見ドラゴンブックの細野氏は次の様に語っていた。

「この30年でTRPGを取り巻く環境は激変した。ニコニコ動画などのネット経由でTRPGを知る人が増え,新しい層がTRPGを楽しむようになった。この今の状況は,日本で最も売れたTRPGである『ソード・ワールドRPG』が登場し,数多くの新作が棚に並んでいたあの時代を彷彿とさせるものがある。そういった新しいファン達が手に取りやすい,新しいシステムを提供していきたい。」

 今回発表が行われたタイトルのいずれもが,システム部分から完全な新作であることもまた,そうした施策の一つだという。デザイナーの久保田氏が「クトゥルフ神話TRPG」を引き合いにして語ったように,今回試遊させてもらった「ガーデンオーダー」は,まさにそうしたファン層に向けて作られている。こうして新作タイトルが続々と出てくる状況は,いちTRPGファンとして純粋に喜ばしい。どれを遊ぶか目移りしてしまうが,選択肢が多いこと自体は大歓迎だ。

 またこういった発表会が開催されることについても,新たな試みとして面白い施策といえる。TRPGをプレイしたいと思っている人が,みな新作に対してしっかりとアンテナを立て,情報を集めているとは限らない。今後はこういったイベントが一般的になり,TRPGの情報に触れやすい世の中になってくれれば言うことはないのだが。

 TRPGの老舗として,攻めの姿勢に出た富士見ドラゴンブック。今後の新展開にも期待しておこう。

富士見書房 公式サイト

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    ガーデンオーダー

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    神話創世RPG アマデウス

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