連載
[TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート
石渡氏:
そもそも,作曲の知識とかまったくなかったんですよ。もともと僕は何でもやりたくて,映画も作りたいし,絵も描きたいし,音楽も作りたかったんです。でも,そのためにどこに行ったらいいのかが分からなくて,当時総合的に扱っていたのがゲームの専門学校にいって,進路を決めました。
そして,当時はゲーム業界はまだ組織力みたいなものがしっかりいなかったので,言えばなんでもやらせてくれるんじゃないかと思って,ゲーム業界に進んだんです。
その時点でやったことのある作曲は,ファミコンの「絵描衛門(デザエモン)」で十二小節の曲をずっと作っていたぐらいですね。
原田氏:
それだけだったんですか? ピアノとかを習っていたわけじゃなくて?
おかしいな。僕は幼稚園から中二までエレクトーンやっていたのに,まったく曲ができません。そのくせ,ミュージシャンにものすごく注文を言っています。
石渡氏:
僕は会社に入って,お給料をもらえるようになってから,初めてギター教室に通って学び始めました。指示を出すときに,どうしても「何が違うのか分からないけど,思い通りの音になっていない」となったので,これは音楽を習う必要があるなと。
原田氏:
そこで言葉の威圧感で押し通そうとする僕と,ちゃんと習いに行く石渡さんで差がありますよね。
でもその話って,ゲーム業界を目指している若い人にとって,勇気がわきますよね。「ゲーム業界ってどうやったら入れるんですか?」って質問がよくありますけど,みんなどんな勉強をしていいのか分からないんですよ。今の話を聞くと,とりあえず会社だけ入ってしまえば,大人になってから学んでもできるということじゃないですか。
ハメコ。氏:
石渡さんは確か,専門学校のインタビューで,「音楽ができるようになったわけではない。やりたいと思ってやっていたら,今みたいになっただけだ」みたいなお話をされていて,すごく心にきた覚えがあります。
石渡氏:
今でも僕は,音楽ができるとは思っていなくて,やっただけなんですよ。皆さんに評価していただけるのはすごく嬉しいんですけど,これをできていると言うには,自分自身のゴールが定まっていないし,自分じゃなかなか判断できないと思っています。
原田氏:
アーティスト気質なんでしょうね。
これもTwitterから来た質問で,「ギルティギアシリーズにはすごくこだわりを感じますけど,満足できたこだわりと,まだまだだと思っているこだわりは何がありますか?」
石渡氏:
今ギルティギアシリーズは3Dになっていますけど,僕が最後に直接手がけた2Dシリーズは「GUILTY GEAR XX #RELOAD」なんですね。あの時点で僕は一回,「格闘ゲームは満足した」と思っていました。
今は今で,その当時とは違う目的を持って格闘ゲームを作っているので,そこに関してはまだゴールしていないと思っています。
原田氏:
その目的って何なんですか?
石渡氏:
原田氏:
後半の部分は共感できます。コミュニティはもっと広げたいですよね。
日本の場合だと,ほかの国に比べてトレンドの移り変わりが激しくて,コミュニティがドカンとできたと思ったら,スっと消えたりします。そこの世代交代みたいなのを,うまくつなげるのが難しい国なんですよね。
その点ギルティギアは,実はアメリカとかフランスですごい支持されていますよね。
石渡氏:
とくにヨーロッパでは,アニメ的な側面で支持をいただいていますね。
原田氏:
海外で面白いのが,10年15年経っても,良い意味でプレイヤー数が増減しないんですよ。鉄拳もそうですけど,15年経ったら世代が変わるはずなのに,必ず一定数のプレイヤーがウン十万人っています。これをなんとか日本でも定着させたいんですよね。
石渡氏:
格闘ゲームプレイヤーって,タイトルごとにプレイヤー層は違うと思うんですが,それをどう交わらせていくかは課題だなと思うんですよね。なんとかして交わらせて,うちのゲームをやってくれる人を増やせないかなと(笑)。
原田氏:
僕は2Dと3Dの格闘ゲームのプレイヤー層って交わらないものだと思っていたんですけど,Twitterを見ていたら「原田さんと石渡さんの対談って,どんな俺得だよ」って人がいて,ギルティギアと鉄拳両方のファンなんているんだ! ってびっくりしました。
ハメコ。氏:
原田氏:
でもハメコ。の場合は,職業的にそういってる部分があるでしょ? ここに「デッドオアアライブ」の早矢仕プロデューサーがいたら,デッドオアアライブも好きですって言うでしょ?
ハメコ。氏:
好きですけど!
原田氏:
ほら,やっぱり!
石渡氏:
でも,初代のギルティギアを作っていたスタッフは,土日に朝まで鉄拳を遊んでいましたよ。
原田氏:
ああ,それは聞いたことがありますね。
次はちょっと失礼な質問かもしれないんですけど,なぜアークシステムワークスさんのゲームは,あんなにも何作目なのか分かりづらいネーミングなんでしょうか。パッケージを並べたときに,詳しくない人は時系列順にできないと思うんですよ。まあ,そんなこといったら弊社の「テイルズ オブ」シリーズとかも難しいんですけど。
石渡氏:
それは僕と森が打ち合わせていたり,会社の方針で決まっていたりするわけではないです。ただ僕の場合は,一番最初のギルティギアが,家庭用ゲーム機で出したものだったので,格闘ゲームとしての対戦ロジックより,触ったときのアクションゲームとしての面白さを一番重視していたんですね。
原田氏:
あ,そこは鉄拳と一緒だ。
ハメコ。氏:
ほら! だからそうなんだって言ったじゃないですか!
石渡氏:
そこから,いよいよアーケードに持っていく話をいただいたときに,今度はインカムのことを気にする必要がでてきたので,ツールとして成立する内容にしようと,考え方を切り替えたんです。それで,これはギルティギアだけど違うゲームなんだとして,「ゼクス」という形にしました。
原田氏:
単純に「2」にはしなかったと。
石渡氏:
そして,バージョンアップを繰り返していくうちは,ナンバリングをつけることもないなと思ってました。で,いよいよナンバリングするぞってときに,格闘ゲームじゃなくなったっていう(笑)。
原田氏:
中学二年生ぐらいの「読めないけどカッコイイ名前にしようぜ」みたいな方針があったわけじゃないんですね。僕は森さんと話していて,BLAZBLUEのストーリーや世界観を説明されると「コイツ何言ってんだ」って思うことがあったんですよ。でも,分かりにくい世界観や名前はギルティギアもそうだし,きっとアークシステムワークスさんの方針なんだって勝手に思っていました。でも今話を聞いてみたら,意外とロジカルだったという。
- 関連タイトル:
GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-
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