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[E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説
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印刷2016/06/17 15:09

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[E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説

画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説
 Quantic Dreamというゲームスタジオは,ゲームメカニクスをある程度まで限定する代わりに映像品質をハードウェアの限界まで高めつつ,ストーリーテリングに重きを置いて,ドラマチックな演出にこだわった作品を作ることで名高いSony Interactive Entertainmentのファーストパーティだ。シネマティックなゲームづくりに定評ある同社の新作が,本稿で取り上げる「Detroit Become Human」(以下,Detroit)である。

David Cage氏(CEO and Founder,Quantic Dream)
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 E3 2016では,Detroitの脚本を担当したディレクターであるDavid Cage氏が,謎とされてきた同作の世界観やゲームメカニクスを語るセッションを開催した。Cage氏は,Quantic Dreamの創業者兼CEOであるのに加えて,同社の代表作である「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」(以下,HEAVY RAIN)や「BEYOND: Two Souls」(以下,BEYOND)でも,脚本を担当した経歴の持ち主である。
 そんなCage氏が語った本作の情報をまとめてレポートしよう。


アンドロイドが社会に浸透した近未来が舞台


 Detroitは,今から20年後の近未来が舞台だ。20年後,機械学習型の人工知能が生活に密着するレベルにまで実用化を果たし,結果,人とまったく見分けが付かない完成度のアンドロイドが社会に浸透するようになった。
 見た目で区別できないことから,アンドロイドの身体には,「それ」と分かるマーカーを付けることが義務付けられている。そのため,人間が近寄って彼らを見れば,アンドロイドと判断ができるという。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説 画像集 No.006のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説

画像集 No.008のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説
 知能レベルが人間と同等かそれ以上になり,身体能力も人間とほぼ同等になっているアンドロイドは,人間に変わって多くの仕事を担当している。そのため,仕事を奪われた人間たちは,アンドロイドを忌み嫌うようになっており,まるで人種差別のような“アンドロイド差別”もまん延しているという状況だ。
 一方,アンドロイド側では,本来であれば人間社会に調和し,人間の存在を尊重するように設計されているにも関わらず,人間に害をなす“アンドロイド犯罪”が増加の傾向にある。

 Detroitでは,こうした社会的状況のなかで,複数のアンドロイドによる異なった視点のエピソードが描かれていく。それらは連鎖反応したり,あるいは相互干渉したりしながら,1つの大きなストーリーを紡いでいくのだ。
 大枠としてのゲームメカニクスは,HEAVY RAINやBEYONDと同じ。プレイヤーは,課せられるさまざまな選択や困難に対して,キャラクターの行動を選ぶことでストーリーを進めていくことになる。


警官アンドロイドで人質籠城事件を解決せよ


交渉人として籠城事件の解決に挑むアンドロイドのコナー
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 Cage氏によれば,Detroitに登場するプレイヤーキャラクターは,全員がアンドロイドだという。実際,E3 2016で公開されたシーンも,子供を人質に取ったアンドロイドによる籠城事件を,警察官型アンドロイドのコナーとなって解決するというものだった。

 コナーの能力は,事件現場を再構成(Reconstruction)すること。事件現場の状況を分析して,事件が起きたときの状況を再現できるというものになる。
 今回,コナーが派遣された人質籠城事件は,アンドロイドが持ち主一家の人間を殺害し,その家の子供を人質にして立てこもっているというものだ。しかも,すでに数人の警察官を殺害しており,極めて危険なシチュエーションである。ただ,アンドロイドは多くの人から嫌われているため,人間である警察特殊部隊の隊長や,同僚であるはずの人間警官も,事件の情報をくれない。

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 子供の母親は泣き叫び,「私の子供を助けて」とコナーに詰め寄るが,彼がアンドロイドだと気付くと豹変し,「人間の警官を担当させなさいよ」と騒ぎたてる始末。一方のコナーは慣れたものなのか,それを左から右へ受け流す。現在の機械学習型AIがそうであるように,「事件を解決する」というゴールを与えられているコナーは,それ以外の案件に関してあまり大きな関心がないのだろうか。

 というわけで,再構成能力を使って,今どういう状況なのかを調査することになるわけだが,ここでCage氏は,実際のゲームプレイを行ってみせてくれた。
 事件現場のリビングに入ると,ソファに横たわって倒れている,この家の主と見られる男性の死体を発見。これを再構成能力で解析すると,コンピュータビジョンによって事件の状況が再現される。背後から射殺され即死とみられるが,周囲に散らばる破片,身体に残るキズなどから,何かを持っていて落としたという可能性が示唆された。
 すると,床にはタブレット端末が落ちており,それを拾って起動するとアンドロイドの買い換えを検討していたらしい画面が浮かび上がる。

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 続いて,犯人アンドロイドが籠城しているベランダへの出入り口で倒れている警官の死体を解析すると,これまたどのように銃撃を受けたかが,コンピュータビジョンによって再現される。すると,銃弾の痕跡,流血状況などから犯人アンドロイドと撃ち合って射殺されたことが判明。されに倒れたときに武器を落とした可能性が示唆されるので,その予測位置を調べると,たしかに拳銃が落ちていた。コナーはこれを拾う。

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 コナーが推察するに,犯人のアンドロイドは,この家で働くアンドロイドとして所有されていたが,家の主が買い換えを検討していたことに反発して,この家の子供を人質にとって怒りを訴えているのではないかという仮説が導き出される。だが,それくらいでこんな大事を引き起こすだろうか。
 コナーがその能力を駆使して現場を捜査していくと,犯人のアンドロイドは,実はシングルマザーである母親のパートナーであり,子供の父親代わりとして,この家に長年仕えてきたらしいことが分かってくる。殺された家主の男性は,最近になって母親が知り合った「新しい恋人」であるようで,犯人アンドロイドは母親のパートナー関係が解消したという,要は痴情のもつれ的な出来事が,事件の原因と推察できたのであった。

 コナーはこれらの情報をもとに,犯人アンドロイドを説得するか,あるいは他の手段で撃退して,子供を無傷で救うことに挑む。
 Cage氏は,コナーになったプレイヤーが取るさまざまな行動によって,犯人アンドロイドが子供もろとも心中を図ってしまうパターンと,犯人アンドロイドを射殺し子供を助け出すパターンを見せてくれた。

説得に失敗して,アンドロイドが子供もろとも死んでしまうこともあれば,射殺して事件が解決することもある。プレイヤーの選択次第で,物語は大きく変化していく
画像集 No.014のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説 画像集 No.015のサムネイル画像 / [E3 2016]アンドロイドが身近になった社会で起こる事件を描く「Detroit Become Human」を,Quantic DreamのCEOが解説

 Cage氏によれば,捜査を深く進めていたほうが事件をより深く理解していることになり,事件解決までの選択肢も増えるということだ。
 一方で,あまりよくない結末になったとしても,ゲームオーバーになることはなく,その「よくない結末」がもたらす未来へと,物語は進んでいくと,Cage氏は説明していた。

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 Detroitでプレイできるアンドロイドの総数は非公開ながら,それぞれの仕事についているアンドロイドが,仕事に相応しい個別の特殊能力を持っているそうだ。それらを駆使して困難に挑んでいくゲームメカニクスになっていると,Cage氏は語っていた。

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 採用するグラフィックスエンジンは,PlayStation 4世代専用に作り直したものだそうだ。登場するアンドロイドや人間のキャラクターは,Quantic Dreamの前作であるBEYONDと同様に,実在の俳優を3Dスキャンした顔面データを採用しているとのことである。ただ,PS VRへの対応は予定していないそうで,そこは少し残念なところだ。
 発売時期は明らかになっていないが,本作に興味を持った人は,公式トレイラーを見て期待を高めておこう。


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