スマホ向けシミュレーションRPG「Master of Eternity」の美少女達はどのように制作されるのか。初期設定の重要性が語られたセッションをレポート

企画ユニット ゲームプロデューサ キム・スチョル氏

　Nexon Developers Conference 2016の2日目となる2016年4月27日，Nexon Koreaの新作スマートフォン向けタイトル「Master of Eternity」（iOS / Android）。以下，M.O.E）のセッションが行われた。スピーカーは，同社の企画ユニット ゲームプロデューサーを務めるキム・スチョル氏で，お題は「美少女キャラクター制作秘話」だ。

　本作は，iOS/Android向けのシミュレーションRPG。テーマは美少女とメカニックで，プレイヤーは戦艦「アスカルド」の艦長として，少女達と共に巨大帝国と戦っていくことになる。韓国ではクローズドβテストが終了したばかりの段階で，正式な配信はまだ先といったところだ。ゲームの雰囲気は，G-Star 2015で公開されたプロモーションムービーを見ればお分かりいただけるだろう。


　今回のセッションは，本作に登場する美少女達がどのように生み出されたかを中心に，企画・設定の重要性や，そのポイントを明確にして，どのように実装していくかを説明する内容となっていた。

「アイドルと写真撮影したり，自分の娘をモデルにしたキャラクターを実装したりできる。ゲーム開発者って素晴らしい！」と，最初から飛ばしぎみのキム氏

「M.O.Eという名前を聞いて，絶対（「萌え」になるように）狙っているだろうと思うかもしれないが，もちろんそうです！」とノリノリだ

　正式配信の段階で登場する美少女キャラクターは，全部で16名。今回は，その中からメインヒロインと人気キャラクターを中心に，どのように設定していったのかが紹介されたので，スライドと合わせて見ていこう。

まずはメインヒロインとなる「レアス」から。初期設定は，普通の体格，可愛い，20代前半，ブロンドの髪，明るく社交的なドジっ娘といった感じだった

最初は幼い外見だったのだが，より馴染みのあるキャラクターにする必要があると判断し，すぐ隣に住んでいるような少女のイメージに変更。落ち着きのある印象になった

髪形を変えられないかと，ロングヘアも試してみたのがこちらのスライド。明るいドジっ娘なイメージから離れてしまったので，結局ボツに

完成したレアスの原画から，3Dモデルを作成。このモデルには，7500個のポリゴンが使われているという

本作では，条件を満たすと少女達が覚醒し，変身ヒロインのようなシーンのあとに，姿が変わる。同じキャラクターで，異なるイメージになるように設定しているそうで，レアスの場合は，ブロンドの髪と大胆な服装になる

外見が完成したキャラクターの魅力となるポイントを明確にしていく。レアスは，主人公のことばかりを見ているお転婆な女の子で，主人公のために何かしようとして失敗してしまうという感じらしい

今はコスチュームのパターンを作っているところだそうだ

続いて，妄想文学少女「ピュリス」。初期設定は，保護欲を刺激する女の子らしさを持つキャラクターで，服はフリフリしたドレス，カールヘア，ボーっとした性格

ピュリスのラフスケッチ。最初に定めた設定から，それほど大きな変化はなく完成したという

ピュリスの3Dモデル。こちらは8000個ほどのポリゴンで制作されている

魅力となるポイントは，羊のように可愛い外見，たれ目，語尾を伸ばす口調など。変な趣味を持つキャラクターだが，理解してあげたいと思えるような性格付けをしているそうだ

次は，何度も外見を変更し，試行錯誤して完成させたという「カルー」。初期設定は小柄で赤毛のボーイッシュなキャラクターだ

ラフの段階では，コンセプトを意識しすぎて，幼い男の子のようになってしまったという

最初の改善で変化した外見がこちら。ボーイッシュなイメージがなくなってしまったので，これも失敗

さらに改善して，やんちゃなイメージを付加したのが現在の原画

最終的に子犬のような性格になったというカルー。褒められることに弱いらしい

性格がキャラクターを変化させるケースとして紹介されたのが，海軍オタクの「ユリア」。彼女の初期設定は戦艦，海軍，軍事マニア，巨大な火器。軍人のような言葉づかいをする

ラフの段階では，なんでも知っていそうな，ふてぶてしい表情のキャラクターだった。ただ，ふてぶてしい「知識のあるオタク」よりは，「戦艦バカ」的な変わった性格のほうが魅力的だと判断して，柔らかい表情に変更された

ユリアの3Dモデル。セリフとモーションが合っておらず，ギャップがあるのが特徴だという

自分の好きなこと（戦艦や火器）のためなら，なんでもやるというユリア。「そんな性格の彼女が，人（主人公）を好きになったらどうなるか気になりませんか？」とキム氏は会場に問いかけていた

　最後にキム氏は，キャラクター作りにあたって，企画者が最初にしっかりコンセプトを決めないと，外見や性格，シナリオなどがブレてしまうので，デザイナーが苦労すると語った。今は正式なリリースに向けて準備を進めているところで，魅力的なキャラクター達をお届けしますと述べ，セッションを締めくくった。
　今のところ，M.O.Eが日本でも配信されるかは不明だが，キャラクターデザインやメカデザインは，日本人にもウケそうだ。続報に期待したい。

キャラクターの初期設定の重要性を語ったキム氏。「バストが強調されたキャラクターが多いのは趣味ですか？」という質問に対して，「そのとおりです！」とのことで，いっそ清々しい