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[GDC 2023]「Dead by Daylight」のコミュニティマネージャーが明かす“三つ目ウマ”に関するミーム・マーケティングの極意
「Dead by Daylight」は,1人のプレイヤーが殺人鬼(キラー)を操作し,残り4人のプレイヤーたちが生存者(サバイバー)としてマップからの脱出を図るという1人称視点型の非対称アクションゲームだ。
古代から続く邪悪な存在“エンティティ”が創造した現実のような世界がベースになっており,2016年にリリースされて以降,さまざまなコラボキャンペーンが行われており,プレイ動画などでも高い人気を誇っている。
そんな本作のリード・コミュニティマネージャーを務めるPuchalski氏は,ソーシャルネットワークを駆使してコミュニティを盛り上げることの重要性について説く。例えば,2022年7月に「進撃の巨人」とのタイアップを行った際にも,「進撃の巨人にインスパイアされたコスチュームが10種出ますよ!」と直球のセールストークをTwitterに書くよりも,巨人が覗き込むイメージと共に「何してるの?」(Whatcha doing?)とだけ書き添えただけのほうが,24時間後のメッセージだったにも関わらず+82%のエンゲージメント(実際のセールスではなく“興味を惹いた”という意味を持つ)を記録したという。
そうした数々の活動の中で,Puchalski氏がマーケティングの重要さについてもっとも認識させられたのが,“三つ目ウマ”のモーリスだった。
モーリスは,2018年6月にリリースされた「CHAPTER 8: Curtain Call」で初めてフィーチャーされた,見た目がグロテスクなウマだ。ファーザー・キャンベルの教会の裏手,誰もいなくなったキャンプ地の後に,ひっそりといて,たまに鳴き声をあげてプレイヤーを驚かすこともあった。
“キラー・ザ・クラウン”がエンティティの世界にやって来た際にカーニバル団を先導していたウマであり,そのときに体が焼け焦げて両目を失った。そこで,エンティティの同情を受けて,3つめの目を与えられたという設定だったらしい。
当初は単にマップのプロップとしてのみ機能しており名前もなかったが,過去に行われたデベロッパーストリーミングにて,開発者の1人から即興で付けられた名前が“モーリス”(Maurice)だった。そうして名前を得るとともに,ファンの間ではそれなりの人気となり,モーリスを描いたさまざまなファンアートが公開されるようになる。
こうしてファンの間では“当たり前”の存在になったが,2022年6月の「CHAPTER 24: Roots of Dread」のスタートとともにモーリスの姿がカーニバルのキャンプからいなくなり,その代わりに近くの電柱に,捜索ポスターが貼り出された。これを機に,北米を中心とする英語圏のゲーマーコミュニティの間で,モーリスの捜索や失踪に絡む謎解きが論じられるようになった。
ところが,複数のキャラクターがつなぎ合わせられたような新キラー“ドレッジ”の新しい立ち姿のアートワークが公開され,数秒すると肉体の一部に取り込まれたかのようなモーリスの首が,ニョロっとマントの下から飛び出してくる。この動画にPuchalski氏が「NOOOOO」という文字を添えてツイートしたところ,さらにファンの話題となった。
このミームが生まれた影響からか,モーリスのアウトフィットは「Roots of Dread」のシーズン期間中で2番目に売れており,極端な動きの少ない,安定したセールスになることが多い本作において,このシーズンでは28%の伸び率を示したという。
ここで言うミーム(インターネット・ミーム)とは,海外のインターネットユーザーが,ちょっと茶化したコメントやレスをする際に添える,画像やGIF映像のことで,話し相手やトークのテーマに対して皮肉を込めたりするときに使われる。
洋画,アニメ,どこから引っ張ってきたのか分からない一般人,動物たちの変顔などさまざまだが,その初期に登場した有名なものとしては,“ニャン・キャット(Nyan Cat)”がよく知られるところ。短いクリップや一部分の画像,さらにそれを加工したものなど,ライセンス取得されていないにも関わらずわりと大らかな感じで,海外のゲーム企業では公式Twitterで盛んにミームを利用しているところもある。
今回のセッションタイトルである,「(モーリスが)ミーム・マーケティングをどのように永久に変えてしまったか」というのはかなり大袈裟な表現だが,「Dead by Daylight」の世界観に添った形で,ファンを興ざめさせない洒落たコメントを付けてコミュニティのモチベーションを上げていく。そんな手法を,Behaviour Interactiveのコミュニティマネージメントおよびマーケティングチームが率先して採用し始めたキッカケになったのが,モーリスに絡む一連のコミュニティキャンペーンだったというわけだ。
Puchalski氏は,「80%のTwitterユーザーは,意味のある内容だったり楽しめるものであれば広告メッセージであっても心外に感じない」というデータを上げ,いかにミームに独自のスパイスをかけてファンに届けることが重要なのかを説いていた。こうしたミームは,ソーシャルネットワークの担当者が思いつきでメッセージに添えることが多いものだが,Puchalski氏はライブコンテンツチームなど各部門と協力し合うことで,“ミーム・マーケッティング”のレベルを引き上げられるとして,そのセッションを締めくくっていた。
「Dead by Daylight」公式サイト
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- ライター:奥谷海人
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