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11月8日発売「DEATH STRANDING」,現在までに分かっている情報のまとめ。プレイヤー同士の絆を重視した「ストランド・ゲーム」とは
「DEATH STRANDING」公式サイト
発表から現在までの間,「DEATH STRANDING」は謎めいたタイトルだった。E3やPAX,東京ゲームショウなど,イベントのたびにティザートレイラーが公開されているが,Guerrilla Gamesの「Decima」をベースにしたゲームエンジンの描き出すグラフィックスが非常にリアルで美しいことは分かるものの,とりわけ初期のトレイラーの内容は非常に難解だった。小島氏もまた,さまざまな機会でメディアのインタビューに答えてくれたが,やはり秘密の部分は少なくなかった。
雰囲気が変わったのは2019年に入ってからで,5月に発売日が発表されて以来,次々に新情報が公開されるようになった。とくに,東京ゲームショウ2019では,3日間にわたって小島氏をメインにしたステージイベントが実施され,ゲームの輪郭が次第に見えるようになってきたのだ。
というわけで,発売約1か月前というこのタイミングでSIEから「DEATH STRANDING」のサマリーが届いたので,現在分かっていることをまとめてみたい。もちろん,いまだに明らかにされていないところも少なくないと思うが,参考にしてほしい。
ストーリーと世界観
主人公のサム・ポーター・ブリッジスの職業は「運び屋」だ。今のところ詳細は分からないものの,この世界では「デス・ストランディング」という未曾有の現象が起きて,人々や都市は引き裂かれ,分断されている。つながりを失った人々は滅亡の危機に瀕しており,そうした人々にさまざまな物資を届けるのが彼の仕事であり,さらにデス・ストランディングの謎を追うことも,ゲームの重要なテーマになるらしい。
ある日サムは,アメリカ再建のために活動する組織「ブリッジス」(Bridges)から仕事を依頼される。内容は,アメリカの次期大統領候補アメリをテロリストの手から救出することと,「カイラル通信」と呼ばれる超大容量通信設備を起動することだ。
アメリはかつて遠征隊を率い,デス・ストランディング以降に出現した危険な存在「BT」のはびこる大陸を横断し,各地にカイラル通信の施設を設置しながら西海岸に到達した。しかし,西海岸の端,エッジ・ノットシティで過激な分離派テロリストの襲撃を受け,遠征隊は全滅。過激派は,人々の「つながり」こそ,個人の自由を奪う鎖だと主張し,アメリを人質に,無差別な破壊工作を繰り返している。
かくしてサムは,都市や人々に物資を運びながら,各地に残されたカイラル通信施設を起動させて人々をつなぎ,さらにアメリを救出すべく西海岸へ向かうことになった。
以上が物語の概要だが,本作ならではの単語がいくつも出ているので,ここで簡単な用語解説をしてみよう。
・BT
「死の世界」の存在。肉眼では見えず,時雨と共に出現する。機械的なものには反応せず,人間の発する音や呼吸を頼りに,襲ってくるという。
・時雨
触れたものの時間を急激に進める雨。生物なら老化し,機械や建物なら劣化する。
・カイラル通信
超大容量データを瞬間的に送受信できる通信技術。各都市に設置されたカイラル通信施設を起動することで,都市間の通信が可能になるだけでなく,各地に断片化した情報が再びつながり,失われた過去の記憶が復旧できる。記憶の復旧こそが,デス・ストランディングの謎を解明する鍵になる。
・カイラル・プリンター
カイラル通信がつながった地域では,3Dプリンタのようなシステムで設備や乗り物,武器など,さまざまなアイテムの作成が可能になる。
・Qpid(キューピッド)
サムが首から下げているQpidには,カイラル通信施設の起動を可能にするセキュリティコードと運営コードが入っている。
・UCA
United Cities of America(アメリカ都市連合)の略で,孤立した都市を再びつなぎ,アメリを大統領にしてUCAを設立することがサムの目的となる。
・BB(ブリッジベイビー)
サムの「装備品」として過酷な大陸横断を共にする胎児で,「死の世界」とつながっているため,同じ「死の世界」の存在である「BT」の居場所が分かる。
・プレッパーズ
デス・ストランディングによって分断された世界で,誰にも頼ることなく孤立して生きる人々。多くは物資不足に悩まされているので,彼らを助けて協力を仰ぐことがアメリカ再建に欠かせない
個性的なキャラクター
「ウォーキング・デッド」で知られるハリウッドスターのノーマン・リーダスさんが主人公を演じることは,2016年に行われた最初の発表で明らかになっていたが,その後も,レア・セドゥさんや,リンゼイ・ワグナーさんといった有名俳優に加えて,映画監督のギレルモ・デル・トロさんなど,贅沢というか,多彩な人々が出演することが明らかになっている。
続いては,現段階で公開されている登場キャラクターを紹介したい。カッコ内は演じる人だ(敬称略)。
サム・ポーター・ブリッジス(ノーマン・リーダス) |
アメリ(リンゼイ・ワグナー) |
ヒッグス |
フラジャイル(レア・セドゥ) |
クリフ(マッツ・ミケルセン) |
ブリッジス
サムにアメリ救出とカイラル通信の起動を依頼する組織で,メンバーとしてダイハードマン,デッドマン,ハートマン,そしてママーが発表されている。公開されたトレイラーを見る限り,それぞれかなり個性的で,彼らがサムの任務をサポートしてくれるという。
ダイハードマン (トミー・アール・ジェンキンス) |
デッドマン (ギレルモ・デル・トロ) |
ハートマン (ニコラス・ウィンディング・レフン) |
ママー (マーガレット・クアリー) |
ゲームシステムの概要
プレイヤーのやるべきことは,さまざまなアイテムや乗り物を使い,過酷な環境や敵の集団に対処しつつ,アメリカ大陸を横断することだ。
また,「カイラル通信」をより多く起動してネットワークをつなぐことで,カイラル・プリンターによってさらに多くの装備や建造物を作れるようになる。
サムはまず,各都市の配送端末で依頼を受注する。彼が運ぶ物資は,精密機械や薬剤だけでなく,DNAプールの健全性を保つための精子や卵子も含まれるというから,まさに千差万別だ。
運べる物資の重さは限られているので,何を持っていくのかを判断しなくてはならない。また,荷物の配置も重要で,バランスが悪いとサムのスタミナ消費や歩き方に悪影響を与える。ただし,ボタン1つでバランスを最適化する機能もあるという。
マップや地形センサーを使って配送ルートを決め,進んでいく。険しい道では,[L2][R2]ボタンでバランスをとったり,踏ん張ったりする必要がある。
ルートを開拓するには,梯子やロープも必要になる。梯子やロープは悪路を行くサムの移動を楽にしてくれるが,それぞれの重量がサムの負担になるため,便利だからといって無計画に持ち運べるものではない。
ゲームが進むと,「フローター」と呼ばれるアイテムに荷物を乗せてサムの負担を減らしたり,バイクに乗ったりすることができるようになる。また,耐荷重をアップする「パワースケルトン」や,スピード/ジャンプの能力をアップする「スピードスケルトン」の使用も可能になるという。
目的地で荷物を納品したら,カイラル通信の設備を起動する。周辺でカイラル通信が可能になり,同時にカイラル・プリンターも使用できるようになる。また,ほかのプレイヤーが作った設備やアイテムの利用も可能になる。
ユニークなオンライン要素「ストランド・ゲーム」
9月12日に掲載したTGS 2019レポートでもお伝えしたように,「DEATH STRANDING」のオンライン要素は,「1人だけど1人じゃない感覚」が味わえるというものだ。ちなみに,デス・ストランディングとは,死んだクジラやイルカが(ときには大量に)海岸に打ち上げられる現象を指すが,ストランド(Strand)には網やロープという意味もあり,オンラインプレイはプレイヤー同士の絆(ストランド)を重視した,新たな「ストランド・ゲーム」だという。
本作では過酷な土地を踏破することが求められるが,そのためにプレイヤーが設置した橋や乗り物などはオンラインで共有され,ほかのプレイヤーも利用できる。資源や設備,そして情報を共有することで,顔の見えないプレイヤー同士が協力するという非同期のマルチプレイが採用されているのだ。もちろん,ストランド・ゲームを体験するには,ネット接続が必須になる。
また,ときにはほかのプレイヤーが落としていったアイテムを見つけることもあるという。無視して進むか,負担を引き受けて運ぶかは,プレイヤー次第だ。
サムの行く手に立ちふさがる敵
撃ち合うだけだったアクションゲームに,隠れるという要素を持ち込んで,ステルスアクションというサブジャンルを生み出した小島氏だけに,戦闘システムにも注目が集まっている。荒野を行くサムが乗り越えるべきは,過酷な環境だけではない。サムを阻む敵の存在もいくつか明らかになっているので,ここで紹介しよう。
・ミュール
黄色い防護服のような出で立ちが目をひくのは,「ミュール」という集団だ。「配達症候群」にかかっているとのことで,サムの運ぶ荷物を奪うために襲いかかってくる。ただし,ミュールの拠点には世界中のプレイヤーから奪った装備品や,貴重なアイテムが保管されており,反対にサムがそれを奪うことも可能だ。
・BT
上記のように,死の世界の存在で,肉眼では見えず,時雨とともに出現して,人間の発する音や呼吸音などに反応して襲ってくる。サムはBBと接続することで,BTのおおよその位置を探知できる。また,サムの血液や体液もBTに対してなんらかの効果を持つようだが,その理由や詳細などは明らかになっていない。
BTには,いくつかの種類があり,今回は「ゲイザー」と「ハンター」,そして「キャッチャー」の3種類が公開された。とくに,キャッチャーは強敵で,出会ってしまった場合,激しい戦闘になるという。
ゲイザー |
ハンター |
キャッチャー |
激しい戦いの最中,オンラインで救援を求めれば,ほかのプレイヤーが武器やアイテムを分け与えてくれるかもしれない。ここでも,ほかのプレイヤーとの絆が重要になってくるのだ。
また,5月に公開されたトレイラー(関連記事)では,サムが第一次世界大戦を思わせる世界で戦う姿も確認できる。果たして「死の世界」とはなんなのだろうか。
プライベート・ルーム
「DEATH STRANDING」にはサムの「プライベート・ルーム」が用意されており,プレイヤーはここで旅の疲れを回復したり,装備のカスタマイズをしたりできる。プライベート・ルームは,各地の配送センターにブリッジスの設備として用意されているほか,自分やほかのプレイヤーがマップに設置したセーフハウスの内部で使用可能だ。
9月14日に掲載したTGS 2019レポートでお伝えしたように,サムをいろいろな角度から眺めることができたり,内装や壁の色をいじれたり,トイレに行けたりと,なんだったら旅に出ないでずっとここにいてもいいんじゃないかと思えるぐらい,さまざまな要素が用意されているという。
小島氏が生み出した,いまだかつてないゲーム体験ができるという「DEATH STRANDING」。プレイヤーの“絆”を重視したストランド・ゲームや,独自の世界観,そして先の読めないストーリー展開に,多くのプレイヤーの注目が集まっている。
もちろん,多彩な出演者と,日本語版では豪華な吹き替え声優陣も見逃せないだろう。発売まであと約1か月。続報にも期待したい。
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