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「FFXIV」初のオーケストラコンサート「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2017 -交響組曲エオルゼア-」開催。光の戦士が涙した初日公演をレポート
「FFXIV」として初の単独オーケストラコンサートとなる本公演。一般チケットの販売開始と同時に追加公演が発表されたことからも,どれだけ多くのファンが待ち望んでいたかが分かるだろう。
本稿では,9月23日夜公演のレポートと,公演終了後に行われた,スペシャルゲストの植松伸夫氏,FFXIVプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏,FFXIVサウンドディレクター/コンポーザーの祖堅正慶への合同インタビューの模様をお届けしよう。
開場前には講演会場の東京国際フォーラム ホールAから,Dホールの有楽町駅付近まで長蛇の列が続いていた |
会場内では,会場限定のグッズや先行販売となるCDなどが販売されており,多くのファンが詰めかけていた。なかには昼の部で売り切れてしまったグッズもあるそうだ |
コンサートの第一部は【新生編】。エオルゼアの「新生(2.0)」から2.5までの楽曲から,ファンフェスやプロデューサーレターライブの開始時に流れる曲としてなじみ深くなった,ウルダハの街の曲「希望の都」で開幕した。
MCのあとの2曲めはピアノと木管楽器,そして女性コーラスによる優しい旋律が織りなす「静穏の森」。
3曲めはうってかわって,激しく力強い「極限を超えて」。Lv50ジョブクエストのラストで流れる曲だけに,光の戦士それぞれの胸に響くものがあったのではないだろうか。
4曲めの「絢爛と破砕 〜クリスタルタワー:シルクスの塔〜」は,クリスタルタワー内のフィールドとバトルの曲を組み合わせたもの。インスタンスレイドの攻略を思い起こす光の戦士のほかに,元となった「ファイナルファンタジー3」をオーケストラアレンジとして聞いたファンも多かったのでは。
4曲めの「究極幻想」は,ミィ・ケット合唱団のコーラスで幕を開けた。迫力のあるコーラスと力強い演奏による「究極幻想」は,「新生エオルゼア」の最後に現れたアルテマウェポンの存在感の大きさを改めて感じさせた。
「究極幻想」のあとのトークでは,吉田氏に加えて祖堅氏もステージに登場。祖堅氏は「イベントのたびに『オーケストラコンサートはいつですか?』と言われてました。お待たせしました。これも光の戦士の皆さんのおかげです」とお礼を述べた。そして,指揮者の栗田博文氏や,演奏の東京フィルハーモニー交響楽団,直前生放送で名前が決まったコーラス「ミィ・ケット合唱団」,そしてFFXIVファンフェスなどにも参加しているピアニストのKeiko氏を紹介した。
MCのあとは,「試練を超える力」「白銀の凶鳥,飛翔せり」を続けて演奏。大迷宮バハムート組曲とでも名付けられそうな構成に,光の戦士たちの胸には(良くも悪くも)さまざまな想いがよぎったことだろう。
演奏後には,スペシャルゲストとして植松伸夫氏が登場。植松氏は「FFXIVは,お客さんの熱量がすごい。海外で『Distant Worlds』で公演してるんだけど,FFXIVの曲のときのお客さんの反応がすごいんだよ」と絶賛。そして,第一部のラストを締めくくる「Answers」には欠かせないボーカリスト,スーザン・キャロウェイさんを招き,演奏が始まった。
FFXIVのオープニングムービーにも描かれている第七霊災の映像を見ながら,オーケストラが奏でるもの悲しい演奏をバックに歌い上げるスーザンさんの「Answers」は圧巻。やがて燃え尽きるように静かな歌声のあとには,会場に大きな拍手が鳴り響いた。
休憩を挟んで,FFXIV初の拡張パッケージ「蒼天のイシュガルド」の楽曲がまとめられた第二部がスタート。1曲めの「不吉なる前兆」は,ボス戦で使われる曲だけあり雄大で,さらにコーラスが加わることで迫力のある演奏となった。
続いての「彩られし山麓 〜高地ドラヴァニア:昼〜」は,ゆったりと伸びのある演奏で,空をも含めた広大なフィールドを旅しているかのような雰囲気を醸し出しだす。
3曲めは,パッチ3.4以降のボス曲として作曲された「逆襲の咆哮」。「Heavensward」のほか,「天より降りし力」などのフレーズも組み込まれているという楽曲が,オーケストラとコーラスという力を得て,より力強くも荒々しい,勢いのある姿が演奏となって表現されていた。
4曲めは,まだ中盤にもかかわらず「蒼天のイシュガルド」のエンディングテーマでもある「Dragonsong」。序盤はスーザンさんの歌声が響き渡り,中盤からはコーラスも加わって,より重厚な雰囲気が会場を包み込んだ。
「Dragonsong」のあとのトークコーナーで,スーザンさんの歌声を絶賛する植松氏や吉田氏。吉田氏は「僕らは,(スーザンさん)をマザークリスタルと思っていますから」とコメントすると,スーザンさんは「この作品に関われてとても光栄に思いますし,とても楽しくやらせていただいています」と応え,さらに「ファンの皆さんのおかげで,今の私がここにいられると思っています」と付け加えた。
スーザンさんのコメントを聞いた植松氏や吉田氏は「本当はこっち(客席)で聞きたいね。でも,制作側の宿命として見ることができないんだよ」とこぼして会場を笑わせた。さらに植松氏は「スーザンさんとは何度かお仕事をさせてもらってますが,毎回,作ってる僕本人が感動させられています」と話した。
中盤は「メビウス 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」でスタート。レイドボスの曲らしく,迫力があるのはもちろん,スピード感あふれる演奏に観客は引き込まれていく。しかし,突然演奏がピタリと止まる。一体何が……と思っていると,1階の観客席に吉田氏と植松氏,祖堅氏が楽器を持って登場。会場にわき起こった笑いとともに,拍手に包まれ,吉田氏らは観客席の中央を演奏しながら移動していった。
吉田氏らがいなくなると同時に,ステージ上の演奏も再開。FFXIVをプレイしている光の戦士にはピンときと思うが,これはアレキサンダー戦での時間停止ギミックをコンサートの演出として採用したものだ。コンサートとしてはイレギュラーな演出のように思うが,ゲーム体験を再現するというのは面白い試みで,会場のファンにも好意的に受け止められたのではないだろうか。
続いて演奏されたのは「忘却の彼方 〜蛮神シヴァ討滅戦〜」。厳密には「蒼天のイシュガルド」の楽曲ではないのだが,シヴァの曲としてよりも,イゼルの曲としてここに組み込んだそうだ。さらにロック調だった原曲が,弦楽四重奏のしっとりとしたアレンジになっていて,正直なところ驚いた。スクリーンに映し出されるアジス・ラー突入時のシーンと相まって,非常に強く印象に残る1曲だった。
7曲めの「英傑 〜ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦〜」は,男性コーラスの雄々しさと,オーケストラによる荘厳さが融合した,力強く迫力のある演奏が披露された。
ラストの楽曲が演奏される前のトークで,祖堅氏は「今回のコンサートは,ゲーム体験をイメージしたアレンジで,基本的に2回曲を繰り返しています。1回めはゲームに忠実な再現で,2回めはちょっとアレンジを変えています。トレイラーで見たり,寝落ちをしているときに勝手に流れている『Heavensward』を,生でお楽しみいただければ」とコメントし,演奏へとつないだ。
冒頭はイシュガルドへ向かう光の戦士の心情を,悲壮感が漂うような高音の女性ソロコーラスで表現。中盤からは竜詩戦争の名のとおり,終わらない竜との戦いがオーケストラによって迫力のある演奏で再現され,最後の曲でありながらもこれからが幕開けのようなイメージを抱かせる締めくくりとなり,会場からは大きな拍手が湧き上がった。
アンコールでは「ファイナルファンタジー」シリーズにおける旅の幕開けとも言えるメインテーマがベースの「そして世界へ」,そしてリミットブレイクトレイラーやベンチマークソフトなどでなじみ深い「天より降りし力」の2曲が演奏された。
それぞれ,ファイナルファンタジーとFFXIVを象徴する曲だけに,多くの光の戦士が納得,そして満足のいく選曲だったのではないだろうか。それを表すかのように,演奏後には大きな拍手が鳴り続けていた。
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