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  • 発売日:2017/06/16
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ARMS
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コマンド入力音痴でも,反射神経が鈍くても,(なんとか)戦える! 格ゲーが苦手なオーバー40のおっさんは,いかにして「ARMS」にハマったか
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印刷2018/07/07 00:00

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コマンド入力音痴でも,反射神経が鈍くても,(なんとか)戦える! 格ゲーが苦手なオーバー40のおっさんは,いかにして「ARMS」にハマったか

画像集 No.001のサムネイル画像 / コマンド入力音痴でも,反射神経が鈍くても,(なんとか)戦える! 格ゲーが苦手なオーバー40のおっさんは,いかにして「ARMS」にハマったか
 30代から40代にかけて,新しくスポーツを始める人は結構な割合でいるように思う。4Gamer読者の周りにも,以前はインドア派だったのに,いつの間にか東京マラソンに出ていたり,ロードバイクで1日数百キロ走っていたり,ジムに通ってムキムキになっていたりする人がいるんじゃないだろうか。

 そんなことを書いている筆者も,40過ぎに新しくスポーツ,正確にはeスポーツを始めた。タイトルは「ARMS」だ。

 オンライン対戦があまり好きではなく,中でも対戦格闘が苦手で,さらにここ数年は反射神経や視力の衰えを感じている筆者。そんなこともあって,ARMSが発売されたときは“スルー”していたのだが,2018年1月に開催されたEVO Japanでの配信を(仕事のために)見ているうち,「ほかの格闘ゲームとはちょっと違うな……」と興味が湧いて,プレイしたらハマってしまったのだ。
 それから約5か月がたった今,筆者は毎日のように真剣勝負のオンライン対戦「ランクマッチ」で,ほかのプレイヤーとしのぎを削っている。最初は「二桁になれば上出来」くらいに思っていたランクは17まで上がった。

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 最高の20ランクプレイヤーとマッチングされることもしばしばなのだが,残念ながらいまだに勝ったことはなく,たいていはボコボコにされてしまう。だが不思議と「さすがに勝てなくなってきたから,やめるか」とはならないのだ。半年前まで「格ゲー? ムリムリ。負けるためにプレイするほど暇じゃないし」とか思っていたおっさんが,である。自分で自分にびっくりだ。

 こんな変身を遂げてしまった理由には,やはり「ARMS」の遊びやすさがあると思う。対戦格闘というと,“ハードルが高い”ゲームの代表例にされがちだが,ARMSではハードルの存在に気づくことすらなくゲームに入りこみ,いつの間にかバトルの楽しさにどっぷり浸かっていたという感じなのだ。

 自分と同じように,「格闘ゲームは苦手」「この年でガチ対戦はしんどい」と思っている人には,ぜひ本作をプレイしてほしい。もしかしたら,自分が気づいていなかった一面を発見できるかもしれないのだ……ということで,本稿では「ARMS」の遊びやすさを紹介していきたい。

気がつけばランクマッチの試合数が500戦を超えていた。我ながらここまでハマるとは
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コマンド入力不要,三人称のアクションゲーム感覚で遊べる


 ARMSは,キャラクターが「伸びる腕」を使って殴り合うゲーム。一般的な対戦格闘ゲームとの違いはいくつもあるのだが,格闘ゲームが苦手な筆者にとって一番大きかったのは,複雑なコマンド入力がいらないところだ。

 攻撃方法は,通常のパンチチャージパンチ投げ必殺ラッシュの4種類のみ。操作方法も,Joy-Conグリップを使う場合や携帯モードでは[ZL]または[B]で左パンチ,[ZR]または[A]で右パンチ,両手のパンチを同時に出せば投げ,とシンプル。さらに「いいね持ち」では,Joy-Conを持った右手を前に出せば右パンチ……と,ミスしようがないほど直感的になる。

どちらの操作方法でも,ボタンのカスタマイズが可能
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 「昇龍拳を出そうと思ったら波動拳が出て,波動拳を出そうと思ったら昇龍拳が出る」というコマンド入力音痴の筆者も,さすがにARMSで「右パンチを出そうと思ったら左パンチが出た」ということはない。
 正直に言えば「投げを出そうと思ったらタイミングがずれて,両手パンチになった」といったことはあるが,それでも攻撃としてはヒットすることが多いので,ミスがあまり痛くないのだ。

 画面手前に自分のキャラ,奥に対戦相手という,格闘ゲームとしては珍しい画面構成も,三人称視点のアクションゲームを遊び慣れている身としては,非常に入りやすかった。そして何よりありがたいのが,「キャラの位置が入れ替わらない」ことだ。
 キャラが画面の左右に配置される一般的な対戦格闘の場合,筆者は自分のキャラが右側にいるときの操作が極端に苦手なのだ。「左側でしか出せない技」のために,相手を攻撃するより,まず飛び越えることを考えるという,ものすごく回りくどいプレイをしていたのだが,ARMSでは戦いに集中できる。

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 そして「腕が伸びる」という本作独特の要素も,プレイしやすさに一役買っている。離れた相手にも攻撃がヒットするので,あまり間合いを気にしなくてもいいのだ。ほかの格闘ゲームでは,出す技のリーチを把握していないと,攻撃が届かずに反撃を食らってしまうことが多くなる。「パンチの方向さえ合っていれば攻撃が当たる」という分かりやすさは,とくにゲームを始めたばかりのプレイヤーにとって大きいだろう。

 もちろんARMSでも,プレイを突き詰めるとうまい間合いの取り方が欠かせなくなってくる。筆者のように反射神経が衰えつつあるおっさんにとっては,パンチを警戒しているところに至近距離から投げを出されたりすると,まったく反応できないので,できるだけ距離を取りたいところ。20年くらい前ならとっさにパンチを出して投げを潰せたのかもしれないが……。

この距離でもパンチが届く
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“腕”に自信がなくても“アーム”で勝てる


 攻撃方法がパンチ,チャージパンチ,投げ,必殺ラッシュの4種類で,間合いもほかのタイトルほど意識する必要がない……となると,大味なゲームに思えるかもしれないが,そんなことはない。本作を面白くしているのが,多彩な「アーム」の存在だ。

 アームはキャラクターが両手に装着する武器のようなもの。試合に3種類持ち込め,そこからラウンドごとに任意のものを装着できる。アームによってスピードや軌道,与ダメージが違うだけでなく,重さ(重いアームは軽いアームを打ち落とせる)や,チャージパンチ時に発動する属性といった要素もあり,性能は千差万別。同じキャラクターでも,アームが違えば戦い方は一変する。

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用意されているアームは42種類。全キャラクターがすべてのアームを使えるので,ここでプレイヤーの個性が出る
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相手のアームを一時的に破壊したり,視界を奪ったりと,アームの属性もさまざま
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 自分のプレイスタイルや使用キャラクターに合ったアームを選ぶのが定石だが,苦手なアームやキャラクターがあれば,それと相性のいいものを入れるのもいい。3連発の軽量アーム「リボルバー」には,名前の通り傘のように広がる中量アームの「パラソル」,相手のアームを跳ね返す「キックバック」には,弧を描くように相手のアームを避けて攻撃できる「ブーメラン」,ジャンプが得意なキャラ「リボンガール」には,縦に3発の弾を発射するアーム「バーチカル」で挑む,といった具合だ。つまり,うまくアームを選べば,テクニックを磨かずとも苦手対策ができてしまうし,本来の実力が上のプレイヤーに勝つことも決して難しいことではないのだ。

相手がキックバックを使ってきた場合,ブーメランのような曲がるアームを持っているのといないのでは,立ち回り方が大きく変わる
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 もちろん相手も,こちらが持ち込んだ3種のアームを把握したうえで自分のアームを選ぶので,その読み合いが熱い。相性のいいアームの組み合わせに持ち込んで勝てたときは,単純に立ち回りのうまさで勝ったのとは違う気持ちよさがある。
 そしてこの心理戦こそ,騙し騙されながら生きてきて,人生経験豊富なおっさんが有利に立てるポイントだ! ……と思っているのだが,筆者はあまり得意ではない。

ラウンド開始前に行うアーム選択の時間はわずか10秒。戦いはここから始まっている
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地形を味方にできる


 ARMSの特徴には,ステージの構造もある。一般的な対戦格闘ゲームのステージは基本的に平坦だが,ARMSのステージには極端な高低差があったり,障害物があったりするので,これらをうまく使うことも必要になる。

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 「高い場所からの攻撃が有利」というのは,対戦格闘に限らず,いろいろなゲームで見かける法則だが,それはARMSでも変わらない。高い場所からジャンプして攻撃すれば,相手はアームでの撃ち落としや回避がやりづらくなって,ガードを固めがちになる。本作にはガードしすぎるとアームが破壊され,一定時間使用不可能になるという要素があるので,連射できるアームでそれを狙うのもいいだろう。筆者が初めてこれに遭遇したとき,まったく対処できずに負けて,トラウマになった。

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 障害物は盾代わりにして攻撃を防げるので,まず陰に隠れ,相手にアームを当てさせたところで,ひょっこり出て攻撃する,という戦い方が可能だ。また,一部のキャラクターは,最大までチャージをすると一定時間パワーアップできるのだが,障害物の陰だとこれがやりやすい。
 ただ,ブーメランのような孤を描くアームは障害物の陰にいるキャラを攻撃できるし,アームを繰り返し当てることで破壊できる障害物もあるので,調子に乗っていると痛い目を見ることになる。

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 また障害物には「パンチにはひっかからないが,移動しようとするとひっかかる」という微妙な高さのものもある。フットワークで攻撃をかわすタイプのキャラクターをそこに追い込むと有効だ。筆者が主に使っている「スプリングマン」や「スプリングトロン」は,ダッシュを途中で止めると発生する「ショックウェーブ」で,相手のアームを弾きながら戦うのだが,この低い障害物にひっかかってダッシュできずに攻撃を食らう,というパターンが非常に多い。

 このように,ARMSのステージは,勝負の行方に大きく影響する存在なのだが,オンライン対戦の場合は基本的にランダムで決定されるので,そこは運任せになる。
 言い方を変えれば,一度負けたくらいで「この人は自分より強い,勝てない」と思う必要はない。実際,ランクマッチで一度負けた相手にリマッチを挑んで,ステージが変わったらあっさり勝てた,というケースは割とある。


そして対人戦が面白い


 ここまで読んで,ARMSが「操作はシンプルだが,その分アームやステージが凝っている」という印象を受けた人が多いのではないかと思う。これまでの格闘ゲームで「どう戦えばいいかは分かっているのに,操作が追いつかない」と感じてやめてしまった人も,ARMSなら楽しめるだろう。

 筆者もまさにそんな感じで「これなら自分にもできるなー」とプレイしていたのだが,本当の面白さに気づいたのは,ランクマッチを始めてからだった。相手キャラクターを確かに人が操作していると感じられて,CPU戦とはまったく違う緊張感があるし,勝ったときの嬉しさ,負けたときの悔しさも段違いなのだ。

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 試合開始からがっちりガードを固めてカウンター狙い,こちらが手を出せないくらいの勢いで連打してくる,投げしか使わない……といった,CPUがまずやってこない戦い方を見たときは「そう来るか!」と驚かされるし,戦いながらどうやって攻略するかを考えるのが楽しい。

 また,至近距離でお互い一歩も動かずアームのつぶし合いが続くときは「お前俺と同じタイプだな!」(つぶし合いを嫌って回避するプレイヤーもいる)と思わずにいられないし,相手が開始早々ガードを固めたら,こっちもガードして動かずに反応を見てみたりもする。そういった言葉を使わないコミュニケーションも,ランクマッチならではだ。

 おそらくこういったオンライン対戦の楽しさは,ほかの格闘ゲームにもあると思う。ただ,筆者は格闘ゲームが苦手だったため,そこまでたどり着けなかったのだ。その意味でARMSをプレイできたのはすごく幸運だったと思っているし,「あの人ずっと同じ格闘ゲームやってるけど,飽きないのかな」などと思っていた人に対しては,全力で「間違ってました」と謝りたい。

世界ランク100位内にいるプレイヤーとのランクマッチ。1ラウンドめは時間切れで僅差の負けとなり「2ラウンドめは取れるかも!」と思ったら一発も当てられずに完敗。世界の壁は厚い
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 ARMSは2018年6月16日で発売から1年が経過したが,夜中の2時や3時にプレイしても対戦相手がすぐに見つかるくらい,ランクマッチは盛況だし,オンライン対戦に必要なNintendo Swtich Onlineのサービスも無料だ(9月から有料化)。筆者と同じように,まだ対戦格闘ゲームの楽しさに気づいていない人には,ぜひARMSをプレイしてもらいたい。

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