プレイレポート
配信直前「ファイアーエムブレム ヒーローズ」プレイレポート。8×6マスのコンパクトな戦場で,奥深い戦略性を秘めた英雄達の戦いを体感しよう
ファイアーエムブレム(以下,FE)といえば,任天堂とインテリジェントシステムズのタッグによって長年にわたり展開されている名作シリーズとして,多くのファンに愛されている作品群だ。本作はこれまでのシリーズに登場したユニット達が「英雄」としてプレイヤーのもとに集い,戦う,シミュレーションRPGとしてリリースされる。スマートフォン向けに最適化された“8×6”という小さなマップで繰り広げられる戦いが,どのようなプレイフィールとなっているか気になっている人も多いことだろう。
そんな本作を今回,iOS版の実機にてプレイする機会を得られたので,そのプレイレポートをお届けしよう。本稿では,シリーズの開発スタッフが手掛ける最新作「ファイアーエムブレム ヒーローズ」の概要や,プレイフィールを主にお届けしていきたい。
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「ファイアーエムブレム ヒーローズ」公式サイト
指1本でプレイできる,8×6マスの熱い戦い
ゲームはチュートリアル後,アスク王国の王子・アルフォンスと仲間のアンナ,英雄のヴィオールの3人が揃った状態でスタートする。ゲームのメインモードである「ストーリーマップ」では,プレイヤーが彼らの力を借りて戦う「召喚師」となり,英雄達がいる異界の支配を目論む皇女・ヴェロニカ率いる「エンブラ帝国」に立ち向かっていくのだ。
序章をプレイしてみると分かるのが,「メインストーリー」に登場する主要人物がプレイヤーに向かって語りかけてくるということ。プレイヤーは劇中に姿を現わすことはないが,異界から召喚された大英雄として彼らを指揮し,ヴェロニカによって操られている異界の英雄(FEシリーズのキャラクター達)の軍勢と戦っていくのである。
公式サイトなどで公開されているとおり,ゲームはターン制のシミュレーションRPGとして設計されていて,縦8マス×横6マスというスマホの1画面に収まるマップ上で戦いが繰り広げられる。マップ上に出撃できる英雄は最大4人までで,敵も難度に準じた強さを持ったユニットが登場してくるという仕組みだ。
こちらがメインとなるマップ画面。自軍は青,敵軍は赤のゲージが表示される。デフォルメされたユニットのアニメーションがかなりカワイイ |
マップによってさまざまな地形が登場。マップ上のヒビが入った壁は攻撃することで破壊可能だ |
操作方法はマスをタップして移動と攻撃を行う方法と,自軍のユニットを攻撃対象にスライドさせる2種類の方法が用意されている。
前者は,マップ上の英雄をタップし,青マスの範囲内から移動先を指定。移動後の赤い攻撃範囲内に敵がいれば続けてタップすることで攻撃を行える。後者は,行動させたいユニットを長押し後,移動可能範囲内の攻撃したい対象の上に重ね合わせるだけで,最適な位置まで移動し攻撃を行ってくれる。攻撃した相手が同じ攻撃範囲の武器を持っていたときに反撃されるというルールは,これまでのFEシリーズと同様だ。
ちなみに,仲間の能力を上昇させるスキルを持っている場合は,攻撃時と同様に対象(この場合味方ユニット)をタップ,もしくはスキル持ちユニットをスライドさせればいい。片手でスマホを持ちながら,親指や人差し指1本で完結できるこの操作感は実に快適で,一度味わってしまうとクセになりそうな感触だ。
青い範囲内をタップするとユニットがそのマスまで移動。赤い範囲内に敵がいれば続けて攻撃を行える |
ホールドした状態でユニットをスライドさせると,1アクションで移動と攻撃を行える。サクサクと操作ができる代わりに,行動をキャンセルできない |
スライド操作では移動後にキャンセルができないという,ちょっとしたリスクがある。マスをタップして移動させる場合は,決定前ならば移動先を変更したり,行動をキャンセルしたりできるが,スライドでユニットを移動させた場合は,指を放した瞬間に行動権を失ってしまうのだ。もちろん設定によるカスタマイズも可能で,環境設定メニューで「行動確定操作」「待機確定操作」を「タップ」に切り替えておくと,行動の最終確認をつねにしてくれるようになる。どちらの操作方法が快適かはプレイヤーの好みによるところではあるので,その時々のプレイスタイルに合わせて2つの方法を使い分けてみてほしい。
FEシリーズといえば,選択する難度によっては「倒されてしまったユニットは生き返らない」というルールがあった。しかし本作では,敵に倒されてもユニットをロストすることはなくマップをクリアすると復活する,カジュアルモードに近いシステムになっている。ただし敵に倒されてしまったユニットは,そのマップ上で入手した経験値などを失ってしまうデメリットがあるため,ユニットの成長を重視するのであれば,なるべく倒されないよう堅実に攻略するのがベストだろう。シリーズではおなじみの武器相性による三すくみに加え,武器と兵種の相性や地形による移動力の影響を意識し,マップや敵に合わせた編成や戦略を考えて,戦況を有利に進めていこう。
シリーズではおなじみの「ペガサスナイトは弓に弱い」といった武器と兵種の相性ももちろんある。特効武器を持った相手がマップにいるときは,無闇に攻め込まないのが賢明だ |
ユニットごとに定められたターンが経過すると,「奥義」を繰り出せる。必要なターン数はユニット左のピンク色の数字を確認しよう |
コンシューマ機向けのFEシリーズが“将棋”ならば,本作は“詰め将棋”と考えるのが分かりやすいかもしれない。マップが狭くユニットの全体数も少ないので,クリアまでの定石はある程度限定されるとは思うが,これまでのシリーズで培われた奥深い戦略性は損なわれておらず,ならではの面白さは本作でも健在だ。マップがコンパクトな分,1マスの差が勝負を分ける独自の緊張感があり,シミュレーションRPGとしての手応えもシッカリ感じることができた。1マップごとのクリア時間は短めで,スマホというプラットフォームにも向いている仕様と言える。
なおストーリーマップには「ノーマル」「ハード」「ルナティック」の3段階の難度があるので,ユニットレベルが上がったら難度を変えて再挑戦してみるのもいいだろう。同じ難度で再挑戦することも可能だが,初回よりも取得経験値は少なくなってしまうことを覚えておこう。
「危険範囲」をタップすると,敵の最大攻撃範囲が表示される。ここに入らなければ,次のターンで攻撃を受けることはない |
ストーリーマップは章仕立てで構成されており,各章は複数のエピソードに分かれている。進行にはエピソードごとにスタミナが必要だ |
ほしい英雄の属性を選べるうれしい仕様
英雄召喚で心強い仲間を増やそう
気になる英雄を仲間にする手段は,主に「英雄召喚」のメニューで行われる。ゲームプレイや有料購入によって入手した「オーブ」を消費し,属性ごとに色分けされた「召喚石」のいずれかを選ぶと,属性に応じた英雄がランダムで1人召喚される。
- 赤色の召喚石 剣や赤魔道など,赤属性の英雄を召喚
- 青色の召喚石 槍や青魔道など,青属性の英雄を召喚
- 緑色の召喚石 斧や緑魔道など,緑属性の英雄を召喚
- 無色の召喚石 弓や暗器,回復など,無属性の英雄を召喚
うれしいのは,プレイヤーがほしい英雄の属性を選べるということ。パーティ内の足らない属性を補うのもよし,特定の属性に特化して選ぶもよしと,プレイヤーの方針に合わせて召喚を行えるのだ。召喚時は最大5個の召喚石を選ぶことができ,連続で召喚することで,消費するオーブが少なくなっていく特典も用意されている。自動で複数体のキャラクターを得られる,いわゆる「10連」のようなシステムはなく,都度属性を選んで召喚する必要がある。
召喚した英雄には強さに応じた5段階の星マークが付いており,同一のユニットであっても,星の数が異なるものが出ることも。
オーブを5個消費して英雄を1人召喚する。この3色のほか無属性も存在している |
星の数が多いほど基本の能力値が高く,強力なスキルを習得している。仮に星の数が少なくても,「覚醒」によって星5まで育て上げることができる |
召喚で星の数が少ない英雄が出たり,英雄がダブったりしても悲観することはない。手持ちのユニットを積極的に戦闘に出してレベル20にすることで,「英雄」メニューの「覚醒」によって星の数を増やすことができるのだ。覚醒の条件はレベル20以上で,「英雄の翼」という消費アイテムが必要になる。覚醒したユニットは能力値が底上げされるとともに,取得したスキルを維持した状態でレベル1に戻る仕組みだ。
ダブってしまった英雄は「送還」で英雄の翼に還元するか,「限界突破」で同じ英雄を融合させて強化に利用できる。お気に入りのユニットを強くして戦力として組み込んでいくシミュレーションRPGの醍醐味とも言える要素で,ひいきのユニットを最強の英雄に育て上げることもできるはずだ。
自軍は最大4人まで編成できる。マップに出現する敵の兵種に合わせて編成しよう |
スキルは「SP(スキルポイント)」を使って習得する。複数のスキルを習得できるが,装備できるのは1つだけ。SPは敵を倒すかレベルアップで入手する |
英雄はそのほかにも,ゲーム内イベントとして配信される「スペシャルマップ」の「英雄戦」をクリアすることでも獲得できる。英雄の強さは難度によって変わり,難度が上がるほど高レベルの英雄を仲間にできるというものだ。英雄戦はほぼ毎日更新され,さらに特別なイベント「大英雄戦」も開催される予定とのことだ。毎日ログインしてチェックしてみるといいだろう。
他プレイヤーの英雄との対戦や修練用のマップも
ストーリーマップとスペシャルマップ以外のモードにも触れておこう。
まず「闘技場」は,対戦権を消費して他プレイヤーが編成した英雄達と対戦できるモードだ。相手の英雄はAIによって操作される非同期タイプの対戦で,一定期間内に稼いだスコアに応じて,ユニットの「覚醒」に必要な“英雄の翼”などが報酬として得られるようになっている。最大7連勝するまで連戦でき,連勝するほどより良い報酬を得られる仕組みだ。もちろんここで戦ったユニットにも経験値が入るので,鍛錬の場として活用する手もあるだろう。
この闘技場では,自分が誰かの対戦相手となる可能性もあり,そのときに相手が敗北すると「防衛」の報酬が手に入る。強い英雄を防衛戦用に揃えておくのも重要な戦略となる。
もう1つのモード「修練の塔」は,繰り返し挑める特別なマップで,その名のとおり英雄を強くするための修練を行える。スタミナさえあれば何度でも挑戦して経験値を稼ぐことができ,挑むたびにマップや敵の編成が変わるので,臨機応変に立ち回る必要がある。なお英雄のレベルは,「結晶」や「大結晶」というアイテムを消費することでも上げられるようになっている。
手軽さと戦略の奥深さを兼ね備えた良バランス
シミュレーションRPGの入門用としてもオススメ
また本作は,これまでプレイしていないタイトルの英雄と出会えるまたとない機会でもある。かくいう筆者もこの試遊中に運良く「ファイアーエムブレムif 白夜王国 / 暗夜王国」に登場するレオン(星5)を召喚することができ,騎馬による機動力と魔道書ブリュンヒルデの攻撃範囲の広さによって,序盤から敵を圧倒する痛快な戦いを体験することができた。この圧倒的な活躍ぶりに,本編を知らない状態であってもレオンに対する愛着が芽生えた。あげく,特定のユニットに愛着と戦力としての頼もしさを感じてしまうと,そのユニットに頼りがちになり,ほかのユニットの成長が滞ってしまうという,FEシリーズでありがちなジレンマも同時に味わってしまった。
指1本で操作が完結する手触りのいいプレイフィールと,短時間で戦略の沼にのめり込める手軽さは,従来のシミュレーションRPGに苦手意識を持っていた人にも勧められる“FE入門用”にもピッタリな印象だ。シミュレーションRPGは難度が高めでちょっと時間がかかる……そんなで理由でファミコンやスーパーファミコン時代のシリーズ以降,あまり触れる機会がなかった筆者も,「ファイアーエムブレム ヒーローズ」の配信を機に,また遊んでみたいという気持ちになったほどだ。
本作は基本プレイ無料(アプリ内課金制)なので,まずはお試しでダウンロードをしてみて,任天堂とインテリジェントシステムズによるスマホ向けシミュレーションRPGの本気度を確かめてほしい。
「ファイアーエムブレム ヒーローズ」公式サイト
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ファイアーエムブレム ヒーローズ
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