ワーナー・ブラザースは2019年2月9日,
アニメーション映画「二ノ国」 の製作発表会見を都内で開催した。製作総指揮/原案・脚本を手がけるレベルファイブの
日野晃博氏 ,監督の
百瀬義行氏 ,エグゼクティブプロデューサーを務めるワーナー・ブラザース・ジャパンの
小岩井弘悦氏 ,そして主人公・ユウを演じる
山﨑賢人さん が登壇し,本作に懸ける意気込みが語られた。
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2019/02/09 19:10
日野氏は「二ノ国」について「発表から10年,常に映画を意識してきた」と述べ,今回の発表には「ゲームの映画化は一般的にビジネス的な側面が少なからずあるが,映画『二ノ国』ではそれを抜きにして,作品として素晴らしいものが作れそうだと感じられるプロジェクト」と喜びを表した。
小岩井氏は,まさに10年前の2009年1月,福岡にいる日野氏のもとを訪れたとのこと。その背景には,スタジオジブリや久石 譲氏といった制作陣によるゲームを作ろうとする日野氏に対して,「どれだけのクリエイターなのか」という思いがあったという。そのとき,日野氏が語った「『二ノ国』の映画化が10年越しに実現したことに「すごく嬉しいです」とコメントしていた。
(左から)日野晃博氏,百瀬義行氏,小岩井弘悦氏
日野氏によると,映画「二ノ国」のストーリーは,主人公には大好きな人がいるが,その人は別の人の恋人で,自分の愛は叶わないという状況からスタート。そんな中,主人公は異世界に飛ばされ,大好きな人にそっくりな人物と出会う。そうなったら主人公はどうするか……。ただ,始まりこそメルヘンチックな恋愛ものだが,その一方でスペクタクルなエンターテイメントが展開していくという。
また,「二ノ国」は世界中にファンがいるため,彼らに日本の文化を伝えるべく,今回は現代の日本を舞台にした物語であるとのこと。日野氏は「この映画が世界でヒットすれば,日本のイメージが変わるんじゃないかとワクワクしています」と話した。
初代「二ノ国」 のアニメーション映像を手がけ,最新作
「二ノ国II」 (
PC /
PlayStation 4 )ではキャラクターデザインを担当した百瀬氏は,シリーズの魅力を「ハイファンタジーやローファンタジーといった枠にとらわれない面白さ」と述べ,「第1作のときから映画化の話があり,10年経って実現できた。私にはすごく馴染みのある作品なので,面白く作れたと思っています」と語った。
映画「二ノ国」の音楽を手がけるのは,こちらもシリーズではおなじみの
久石 譲氏 。日野氏はもともと,今回の脚本をファンタジー世界中心に描いていたが,久石氏と打ち合わせをした際,「(現代世界である)一ノ国と二ノ国を行き来する楽しさがないと『二ノ国』と言えないのでは」との指摘を受けたそうだ。
その発言にショックを受けた日野氏は,ワーナー・ブラザースからGOサインが出ていた脚本をすべて書き直したという。「そのおかげで,内容がさらに良くなった。久石さんの音楽がすばらしいことはもちろん,クリエイターとして接していただけたことが嬉しかった」と日野氏は述べた。
キャストでは,主人公・ユウを山﨑賢人さんが演じることが発表されている。小岩井氏によると「ユウは現代世界だと,車椅子に乗って生活しているナイーブなインテリ。しかし,二ノ国では環境が変わって,大きなプレッシャーに晒され,さまざまな苦悩に直面するので,演技の幅が相当求められる」とのこと。そこで「演技力では今の若手俳優No.1である山﨑さんにお願いしたかった」と起用の理由を説明した。
また,日野氏も山﨑さんのファンであり,「映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」の実写パートのエンマ大王役に起用したエピソードを明かした。
山﨑賢人さん
当の山﨑さんは今回のオファーに「声優の仕事には尊敬の念があり,いつか挑戦してみたいという思いがあった」と述べた。さらに「脚本を読んで鳥肌が立った。初めてのことなので,収録現場がどうなっているのか分からないが,それも楽しみながら『二ノ国』という作品を作り上げていきたいです」と意気込みを語っている。
また,日野氏の掲げる「二ノ国」の世界展開には「すばらしいクリエイターの方々と一緒に,世界に向けて作品を作ることになるなんて想像もしていなかった。光栄なことですし,全力で頑張らなければと考えています」と語った。
小岩井氏によると,山﨑さん以外の主要キャストもほぼ決まっているそうだが,LINE LIVEとのコラボレーションにより,映画「二ノ国」に出演する声優のオーディションを行うことも発表された。エントリー受付は2月22日から。男女それぞれにセリフ付きの役があるとのことだ。
会見の最後には,山﨑さんが「本当に面白い脚本なので,それを作品として皆さんに届けられるように,自分自身も楽しみながら収録に臨みたい」とコメント。
そして,日野氏は「今回の映画は,ゲームの『二ノ国』とはまったく違う内容。コンセプトはつながっているけれども,完全に新しいものになっており,クロスメディア展開の新しいアプローチと考えています」「シナリオはどんでん返しもある面白い内容で,映像のクオリティもすごく高い。何が原作かといったことを考えず,楽しんでください」と自信をのぞかせて会見を締めくくった。