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快感のポイントは“敵側”にアリ!? 「スマッシュ&マジック」プロデューサーの中川裕史氏にインタビュー
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印刷2017/08/05 14:00

インタビュー

快感のポイントは“敵側”にアリ!? 「スマッシュ&マジック」プロデューサーの中川裕史氏にインタビュー

画像集 No.032のサムネイル画像 / 快感のポイントは“敵側”にアリ!? 「スマッシュ&マジック」プロデューサーの中川裕史氏にインタビュー
 gumiが現在サービス中のスマホ向けアプリ「スマッシュ&マジック」iOS / Android:以下,スママジ)は,味方をフリックではじいて敵に当てながら戦っていくアクションRPG。味方を敵に当てるとおはじきのように敵が吹っ飛び,その先に味方がいると追撃を行う「スマッシュ」と,さまざまな効果を持つ「マジック」を使って爽快感溢れるゲームプレイが楽しめる。
 今回4Gamerでは,本作の開発を行っているアングーの代表取締役でありプロデューサーを務めている中川裕史氏に,本作のコンセプトやこだわりの詰まったポイント,そして今後の展望などを聞いてきた。

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マジックの組み合わせは無限大?

過去のキャラが活躍できることの重要性


アングー代表取締役
「スマッシュ&マジック」プロデューサー
中川裕史氏
画像集 No.036のサムネイル画像 / 快感のポイントは“敵側”にアリ!? 「スマッシュ&マジック」プロデューサーの中川裕史氏にインタビュー
4Gamer:
 まずは,本作の成り立ちからおうかがいしたいのですが,どういった経緯で制作がスタートしたのでしょうか?

中川裕史氏(以下,中川氏):
 もともとは前職のカプコンを退職後,制作会社を設立しようと思っていたところに,gumiの國光社長(gumi代表の國光宏尚氏)にお声がけいただき,一緒にモバイルでチャレンジをしませんかと提案されたことがきっかけになります。

4Gamer:
 その時すでに「スマッシュ&マジック」の企画があったんでしょうか?

中川氏:
 そうですね。起業しようと考え始めた頃から,最初のゲームは「簡単に指一本で楽しめるシンプルなゲームにしよう」と決めていました。

4Gamer:
 その後,会社を設立されて実際に制作をスタートされたと思いますが,どのように作り上げていったのでしょうか?

中川氏:
 私自身,ゲーム作りで一番大事にしていることが“快感”なので,人が気持ちいいと感じられて,繰り返し遊びたくなるようなゲームを作りたかったんですね。そして,より多くの人に楽しんでもらいたかったので,タップやフリックで完結できるようなシンプルな操作方法は外せないなと。

4Gamer:
 そうして作り上げられたバトルシステムが「スマッシュ」と「マジック」なんですね。

中川氏:
 タイトルとなっている「スマッシュ」と「マジック」は,ゲームのコンセプトである“快感”につながるよう,スマッシュを起こした時やマジックを使った時など,どうすればもっと気持ちよくなるのかを考え抜き,徹底的にこだわって作りました。

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4Gamer:
 スマッシュで連鎖を引き起こすという仕様は,初期段階からあった構想だったのでしょうか?

中川氏:
 初期の頃のスママジは,フリックで簡単に遊べるという部分は今と同じなんですが,クォータービューだったので,ビジュアル的には今とかなり違った雰囲気になる予定でした。現状の本作と比較するとだいぶ違ったものですが,このときすでに連鎖する仕様にはするつもりでした。

4Gamer:
 もともと,格闘ゲームを制作されていたと聞いていたので,もっとテクニックが要求されるゲームになるんじゃないかと思っていました。

中川氏:
 私が制作してきた格闘ゲームやアクションゲームは,しっかり練習してテクニックを磨くことで,それに応じた快感を得られるゲーム設計になっていることが多いのですが,ゲームがあまり得意でない人はその快感までたどりつかずに挫けてしまうことも多いんです。
 今回はモバイルゲームということで,より多くの人に格闘ゲームなどで感じる快感を味わえるよう「最初はテクニックがなくても偶発的に連鎖する」「よくわからないけどすごく気持ちがいい」という,パズルゲームのような仕組みを導入することにしました。

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4Gamer:
 確かにスマッシュが発生したとき,なんとも言えない気持ち良さがありました。演出や効果音などが関係しているような気がしましたが……。

中川氏:
 そうですね。演出部分はデザイナーからの提案を軸にして決めていきました。とくに,スマッシュの効果音はものすごくこだわっていて,かなり長い時間をかけて何度も何度も試行錯誤を繰り返したんです。現在の効果音になったのもリリース直前でしたしね(笑)。
 スマッシュはもちろんですがヒット時の効果音なども,アクションゲームにおける気持ち良さの大部分を占めるため,とことんこだわり抜いて制作しました。また本作のBGMは,私が大好きな作曲者である桑原理一郎さんにお願いしており,桑原さんと何度もイメージをすり合わせて,しっかりと時間をかけて作っていきました。

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4Gamer:
 サウンド部分を含めて,スマッシュに相当なこだわりがあることは分かりました。となると,マジックについてもこだわりがありそうですね。

中川氏:
 はい,マジックもかなりこだわっています。たとえば,敵を“肉”に変化させるマジックがあるのですが,作業コストなどのことを考えると,一般的にはボスキャラクターまで肉する,なんてことはしないわけです。
 しかし,本作ではボスも肉にできちゃうんですよ。これ,言葉にすると簡単ですが,プログラマーの負担を考えるとかなり無茶な要求なんですね……。スタッフに“勘弁してくれ”的な顔をされながらも,本作に深みを持たせられる要素になるので,「どうしても入れたい」とお願いして,入れてもらいました。

4Gamer:
 プログラマーの負担が増える,というのは?

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中川氏:
 たとえば,「肉」と「燃焼」を組み合わせると,「ちゃんと燃えてる焼けた肉」になるなど,マジック同士の組み合わせでいろいろな幅が生まれるんですよ。これにより,この先マジックの種類が増えていっても,古いマジックに注目が集まることがあるなど,過去のキャラクターが活きる場面を作ることで,資産が無駄にならないような作りを目指しています。
 実際,★3キャラクターの専用武器クエストを配信するなど,できるだけたくさんのキャラクターが長く愛されるよう,さまざまな施策を行っていく予定です。

4Gamer:
 少し驚きましたが,そういう意図があったんですね。マジックは3種類を組み合わせる,みたいなこともできるんでしょうか?

中川氏:
 それも想定しています。今後いろいろなマジックが追加されて,強敵に効果的な組み合わせを探すなど,ゲームをしていない時間でも,考える楽しみがあるような作品にしたいですね。
 なので,ゲームとしての仕掛けはリリース直後ではまだなにも始まっていないと言っても過言ではありません。まずは,プレイヤーにそうした遊びを体感してもらって楽しい,面白いと感じてくれるところまで持っていきたいですね。最終的には,開発側が思いつかないようなことをプレイヤー側が発見して,楽しんでもらえたらとても嬉しいです。

4Gamer:
 なるほど。

中川氏:
 運営としては新しいキャラクターで楽しんでもらう部分と,自分が好きなキャラクターで楽しむ部分,これらの両立はとても大事なことだと考えています。
 もちろん,あとから登場するキャラクターは性能面で多少なりとも強くなってしまうのは仕方ないことだとは思いますが,備わったマジックがあとから生きてきたり,専用武器クエストで強力な装備が手に入ったりと,簡単に埋もれてしまわないようにしたいですね。

4Gamer:
 見えない部分でのこだわりといいますか,“広い土台”を作ることで,先々まで見据えていることが分かりました。

中川氏:
 しっかりとした土台はできたので,あとはこれをどこまで活用していけるかがミソになります。あと,同名のキャラを違った育て方ができるなど,キャラクターのカスタマイズ要素も考えています。育成部分なのか見た目だけなのかなど,詳細はこれから詰めていくことになりますが,自分のキャラクターに愛着が湧くような仕組みを作りたいですね。

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重要なのは“やられる側”

独特な解釈で快感を追求


4Gamer:
 システム以外の部分も聞かせてください。ストーリーやキャラクター,世界観といった要素はどのように作り上げていったのでしょうか?

中川氏:
 昨今のモバイルゲームはストーリーがあるのが当たり前になっていますよね。もちろんストーリーはゲームに没入するための重要な要素なので,本作でも,キャラクターの生い立ちや考え方,生き方など,しっかりとした設定は用意していますが,前提として昔のアーケードゲームやファミコンのような,ステージをどんどん進んでいくタイプのゲームにしたいと考えており,あくまで裏方に近い形にしています。

4Gamer:
 ストーリーはゲームをサポートするための要素といった感じですね。

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中川氏:
 それと,気に入ったキャラクターのストーリーや,キャラクター同士の関わりを想像する“余白”を作りたかったというのもありますね。またこの先,キャラクターや世界のストーリーを広げていけるアイディアをゲーム外などでも取り組みたいなと考えています。

4Gamer:
 なるほど。

中川氏:
 キャラクターの話で言えば,敵味方を含めたモーションにはとてもこだわっています。なかでも敵となるモンスターが攻撃を受けて吹っ飛んだときのモーションにはかなり時間をかけました。
 パッと見ではわからないかもしれませんが,プレイヤーが繰り返しプレイしている中で,「なんか違うな」「なんか気持ちよくて続けてしまう」と感じるゲームは,“やられる側”のダメージ表現にこだわっていることが多いんです。
 そのため,敵のやられモーションや演出に関しては,家庭用ゲーム機のタイトルを制作していた時代と遜色ないほどにこだわって作りました。

4Gamer:
 おお,それは結構驚きです。正直,敵のやられ方はあまり気にしていませんでしたし。

中川氏:
 ほかにも,味方キャラクターはもちろんですが,敵モンスターにもファンができるくらいにしたいなと思っています。たとえば,最初のほうで戦うことになる「アモン」というボスキャラクターは,その後何度か戦うことになるんですが,その先のイベントで遭遇したときには角が折れているなど,ストーリーの進捗に沿って変化していく予定です。
 モバイルゲームでよくある“ただ単に色を変えただけモンスター”だと感情移入をしにくいですが,見た目が変化したり,行動が代わってパワーアップしたりと,敵モンスターが成長する姿を見ていると,少しずつ愛着がわくこともあると思っています。細かい話ではありますが,そういった部分などを大切にし,今後も追求していきたいですね。

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4Gamer:
 リリース直後でまさにこれから,といった感じではありますが,今後の展望や構想などをお聞かせください。

中川氏:
 口コミなどでスママジを知っていただいた方も多く,ゲームに対して高評価をいただける数が日々じわじわと増えており,とても嬉しく思っています。ただ,現段階の本作はまだまだコンテンツが少なく,言うなれば“白ご飯に梅干しが乗っているだけの状態”なんですね。もちろん,ご飯のお米は生産者や産地など徹底的にこだわり抜いたものですが……!
 今後は,ステージの形を変化させたり,新しいギミックを用意したりと,ご飯に合うような美味しいおかずを用意し,プレイヤーに喜んでもらえるものにしていきたいと思っています。
 一方で,ロード時間の長さや細かい不具合など,ゲームの快適さが阻害されているとの声も多くいただいています。快適にプレイできない点については開発も重く受け止めており,最優先で改善に取り組んでおりますので,今しばらくお待ちいただければと思います。

4Gamer:
 ランチタイムのイベント「S&M&L」のように,ステージ自体の形が変わるのは面白いですね。

中川氏:
 ありがとうございます。ステージの形やギミックがちょっと変化するだけでも遊びの体験がガラっと変わりますからね。たとえば,細い廊下みたいなステージなら,敵を攻撃した時の壁の反射で,今までとは違った感覚で楽しめるでしょうし,そこにマジックが加わることでさらなる快感が得られるかもしれません。本作のシステムはそうした“伸びしろ”を用意しているので,どんどん遊びの幅を広げていきたいですね。

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4Gamer:
 いいですね。快感が得られるだけでなく,攻略しがいのあるステージにも期待しています。

中川氏:
 攻略しがいのあるステージや敵もどんどん追加していく予定です。もちろん,ただHPが多くて攻撃力が高い,みたいな難しさではなく,敵の形や動き,生態などをヒントに攻略法を見つけ出せるような,発見のあるものを増やしていきたいですね。そうやって頭を使って攻略すると,倒したときの満足感はより大きなものになると思いますし,SNSでの情報交換などもきっと盛り上がると思います。

4Gamer:
 それでは最後にユーザーの皆さんへ一言お願いします。

中川氏:
 さきほど,まだ白いご飯に梅干しだけが乗っている状態とお話ししましたが,プレイヤー達の声と共に,私達も一緒に楽しみながら愛されるコンテンツに育てていきたいと思っていますので,これからもぜひよろしくお願いいたします。最後になりますが,一風変わったボスが近日登場する予定なので,そちらも楽しみにしていてください。

4Gamer:
 最後に気になる情報が……! 新しいボスも期待しています。本日はありがとうございました。
―――2017年7月27日収録

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マルチプレイも充実
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