インタビュー
[EVO2019]PR Balrog選手,GamerBee選手,Infexious選手合同インタビュー。プロ活動の近況やEVO2019への意気込みが語られた
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。PR Balrog選手とGamerBee選手は日本でも有名ですが,最近チームに加入したばかりのInfexious選手はまだそれほど認知度は高くありません。手始めにこれまでの格ゲー歴を聞かせてください。
Infexious選手:
競技として格闘ゲームを始めたのは「ウルトラストリートファイターIV」が初めてで,最初はヒューゴーを使っていました。ウメハラやときどがゲームに打ち込んでいる姿に感動して,自分もゲームに対して真剣に取り組んでみようと思い,それから10年ほど経って今に至ります。
4Gamer:
Infexious選手はこれまで大きな大会にはあまり参加していませんでしたが,最近は多くの大会に出て,結果を残しはじめています。
Infexious選手:
今までは学業とゲームの両立をしていたので,長期に渡って大会に参加するのは厳しい状況だったんです。ですが今は学業を終え,Cygamesさんにスポンサードしていただいたことで,積極的に大会に参加できるようになりました。
4Gamer:
これからはプロ選手1本で活動を続けていくのでしょうか。
Infexious選手:
本当は弁護士になるつもりで,ロー・スクールを出たあと,法律事務所で働いていました。ただ,実際に働いてみたら,自分には合わない仕事だと感じたんです。
それからあらためて教員の資格を取り,今は中学校や高校で数学を教える資格を持っています。そうした「もう1つの人生のプラン」を持ったうえで,今は自分が本当に好きな,eスポーツの世界でどこまでやっていけるのか挑戦しています。
4Gamer:
先輩プロゲーマーとして,2人から何かアドバイスはありますか。
PR Balrog選手:
ぼくは彼に大会で負けてるから,何も言うことはないよ(笑)。それに彼は教員の免許を持っているし,生活をしていくという意味でも困ることはないだろう。自分の情熱を信じて本気で頑張れば,ファンが応援してくれるだろうし,ぼくも応援するよ。それでも結果が出なくてダメなときは……お酒でも飲めばいいさ。
GamerBee選手:
彼とは絶対にお酒を飲まないほうがいい。気を付けたほうがいいよ(笑)。
4Gamer:
PR Balrog選手はかなりの酒豪だと聞いています(笑)。
PR Balrog選手:
一晩でウォッカのストレートを22杯飲んだことがあるよ(笑)。カナダカップ主催者のLap Chi(ラプチー)と飲んだときだけど,その日が生涯で一番飲んだね。「1試合ごとにお互いにウォッカを1ショット飲んで,負けたほうはさらに1ショット追加で飲む」というルールで戦ったんだけど,彼は対戦では勝てないと分かっているから,あの手この手を使ってこちらの酔いが回りやすいようにしてくるんだ。彼は非常にクレイジーで危険な人物だから,戦うことになったら逃げたほうがいい(笑)。
4Gamer:
Infexious選手は重量系のキャラを使いながらも,すごく繊細なプレイをするという印象があります。そうした独特なプレイスタイルには,何かこだわりがあるのでしょうか。
Infexious選手:
もともと丁寧なプレイが好きなんです、ただ,丁寧なだけでは試合に勝ち切ることはできないので,相手を驚かせるようなプレイも織り交ぜるように心がけています。
4Gamer:
GamerBee選手とPR Balrog選手は,Infexious選手のプレイにどういった印象を持たれていますか。
GamerBee選手:
どの試合でも,勝利を目指すためのプランが組み込まれていて,それをしっかり実行しているのが素晴らしいですね。それが彼の安定した成績につながっていると思います。
PR Balrog選手:
ぼくは正直……彼の試合は退屈だから見たくもないよ(笑)。ただ,防御的なプレイスタイルを徹底するとそうなってしまうのは分かっているし,それを毎試合ちゃんと続けるっていうのはタフなことだ。ぼくには真似できないことだから,彼のことは尊敬しているよ。
4Gamer:
Infexious選手は現在,是空をメインキャラとして選んでいます。これまでに使用していたウルIVのヒューゴー,ストVのザンギエフ,ネカリといったキャラとは少し毛色が違うように感じますが,なぜ是空を使うことにしたんでしょうか。
Infexious選手:
ネカリを使い続けているうちに,リーチの長いキャラに勝ちにくいと感じることが多くなってきたんです。その打開策として是空を使い始めました。
PR Balrog選手:
彼の是空のプレイはあくまでネカリをベースにしているんだけど,老状態と若状態の切り替えによって,ネカリではできないような動きもできるんだ。彼のプレイスタイルにぴったりのキャラだと思うよ。
4Gamer:
Infexious選手は常にポーカーフェイスで,何があっても動じないように見えるのですが,あれは意図的にやっているものなのでしょうか。
Infexious選手:
ゲームに集中していると,自然とああいう顔になってしまうんです(笑)。それに,集中して戦ったほうが周りのことが気にならないから,さらに集中していけるし,それがいい結果につながると気づいたんです。
4Gamer:
常にポーカーフェイスなInfexious選手がもし試合中に驚いた顔をしたら,周りの人も驚くでしょうね。
PR Balrog選手:
まだ一度もそういうところを見たことがないから,ぜひ見てみたいね。試合中に彼のことをスープレックスで投げてみようかな(笑)。
Infexious選手:
それは勘弁してくれ(笑)。
4Gamer:
3人共にEVO2019の「ストV AE」部門に出場しますが,自分以外で誰が優勝候補だと思いますか。
GamerBee選手:
(PR Balrog選手に対して)ぼくの名前を挙げてくれよ,そしたらぼくは君の名を挙げるから(笑)。
PR Balrog選手:
(笑)。強豪が集まっているから絞り込むのは難しいね。個人的な感情でいうと,ぼくはPunkに勝ってほしい。EVO2017でときどに決勝戦で負けて,感傷的になっているのを見てからずっと彼のことを応援しているよ。Punkはまだまだ若いけど情熱があるし,リベンジに燃えているから勝ってほしいね。あとはボンちゃんやふ〜ど。ウメハラも9位で終わることが多いからそろそろトップ8に残ってほしいね。
GamerBee選手:
私はふ〜どに勝ってほしいです。好成績は残しているんだから,そろそろ勝たないといけないでしょう(笑)。あと個人的に応援しているのはSakoさんです。私と同い年のSakoさんに勝ってもらって「自分もまだやっていける」という勇気をもらいたいです。もちろん,自身がEVOで優勝することが一番なんですが(笑)。
PR Balrog選手:
君の友人のOil King選手はどうだい? 結構いいセンまで行くと思うんだけど。
GamerBee選手:
君の言う通り結構いけるとは思うんだけど,僕は大事に思う身内だからなおさら厳しい目でみたい。彼を含めた台湾の若い選手たちにはもっともっと成長してほしいし,成績がついてくるような選手になってもらいたい。だから,本物の実力がついてきたら名前を挙げたいと思う。
Infexious選手:
ぼくは,PR Balrogと同じで,今年はPunkに勝ってほしい。Punkとときどが決勝で当たって,リベンジを達成する絵面が見たいね(笑)。ほかには,ボンちゃんが優勝してもおかしくないと思うし,藤村もずっと好成績を残しているから注目だね。
PR Balrog選手:
藤村……? ノーノーノー! 彼はいいやつだけど,いぶきは最悪のキャラクターだから本当にやめてほしいね(笑)。彼とは絶対に対戦したくない。
4Gamer:
PR Balrog選手はストIVでの活躍の印象が強いですが,ストVシリーズでは積極的に大会に参加されていないですよね。何か心境や環境の変化があったのでしょうか。
PR Balrog選手:
練習は以前と同じようにやっているんだけど,ゲームの性質上,思うような結果が出せていないんだ。ぼくはアグレッシブにプレイするのが好きなんだけど,勝ちにいくのであれば,その自分のプレイスタイルを捨てなければいけないと思う。
4Gamer:
プレイスタイルにポリシーを持っていると。
PR Balrog選手:
自分のプレイスタイルを楽しみながらゲームをできないなら,やっても意味がないと思っているよ。それに,そんな状態のぼくの試合を見ても,観客も面白くないと思う。もちろん勝つことは大事だけど,楽しむこととバランスを取るのは難しいね。
4Gamer:
GamerBee選手はいちプレイヤーでありながら,並行して大会の運営などを精力的に行ってきました。こういった活動に力を入れているのはなぜなんでしょうか。
GamerBee選手:
私の父は,18歳のときに亡くなったんですが,そのとき,私が若いこともあって,周囲のたくさんの人が私を助けてくれました。だから,困っている人に手を差し伸べることはすごく大事なことだと思っています。私が海外に行くとたくさんの友人たちが手助けしてくれますし,逆に私も,台湾に誰かが来たときは最大限のおもてなしをしたいと思っています。
4Gamer:
最近は大会の運営をOil King選手に任せて試合に専念していますが,心境の変化がありましたか。
GamerBee選手:
私が育ててきた「TWFighter Major」のような大会やコミュニティはとても大事なんですが,年齢のことを考えると,今後どれくらい競技生活を続けていけるのか分かりません。競技生活と大会の運営,2つのことを両立させることは難しいという現状の中,「今しかできないこと」を考えた結果,仲間であるOil Kingに大会を任せて,自分はしばらく競技者として頑張ってみようと決断したんです。
4Gamer:
GamerBee選手はTwitterを見ると,「グランブルーファンタジー」もプレイされていますが,格闘ゲーム以外のゲームもプレイされるのでしょうか。
GamerBee選手:
みなさんは意外に思うかもしれないですが,もともとRPGが好きなので,純粋に楽しんでプレイしています。今後リリースされる「グランブルーファンタジー ヴァーサス」もきっと面白いゲームになると思うので,ぜひプレイしてみたいですね。
4Gamer:
それでは最後に,まもなく始まるEVO2019へ向けた意気込みとプロゲーマーとしての今後のビジョンについて聞かせてください。
Infexious選手:
多くの人に自分のプレイを見てもらって,自分というプレイヤーを知ってもらいたいです。EVOはとにかくベストを尽くします。ほかの人の試合を観戦するのも楽しみです。
GamerBee選手:
格闘ゲーム最大の祭典なので,最大限その興奮を楽しんで,「また来たいな」と思えるような大会にしたいです。プロゲーマーとしては,私は30年も格闘ゲームをやっているので,ゲームへの愛は誰にも負けないと思っています。競技生活が終わったとしても,コミュニティの中で活動していきたいですね。
PR Balrog選手:
ぼくにとってEVOはすごく特別な大会なので,一度でいいから優勝してみたい。また,これはうぬぼれかもしれないんだけど,ぼくが活躍したことをきっかけにラテンアメリカ出身のプレイヤーが昔と比べて増えたと思っているんだ。今年は自国プエルトリコでCPTラテンアメリカ地区の決勝大会が開かれることにもなった。これは自分がまだ始めたころには考えられなかったことだし,本当にうれしいこと。これからもみんなの励みになるような活動をしていければと思っているよ。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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