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[CEDEC 2019]テクノロジーの進化に伴い,空間的かつ共感覚的な体験の時代がやって来る。水口哲也氏による基調講演をレポート
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印刷2019/09/04 22:08

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[CEDEC 2019]テクノロジーの進化に伴い,空間的かつ共感覚的な体験の時代がやって来る。水口哲也氏による基調講演をレポート

 2019年9月4日〜6日,ゲーム開発者向けのカンファレンス「CEDEC 2019」が神奈川・パシフィコ横浜で開催されている。本稿では,開催初日に行われたエンハンス代表取締役・水口哲也氏による基調講演「ゲームの,そのさらに先へ - 新たな体験の創造に向かって」の模様をお伝えしよう。

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 本講演では,同氏の29年におよぶゲーム開発者としての取り組みを振り返るとともに,XR(VR,AR,MRなどの総称)やクラウドを始めとして,これから起こるであろう技術進化がゲームという体験に何をもたらし,どう変えていくのか。そして未来の体験の創り手であるゲーム開発者は,どのような価値観や心構えを持ってそれに臨めばいいのかなどを語るものとなった。

水口哲也氏
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 水口氏は1990年以来,「ビデオゲームとは,テクノロジーとともに進化する『体験のメディア』」と考えながらゲーム開発に取り組んできたという。すなわちゲームとは,インターネットやVRといった新しいテクノロジーが登場すると,それらを採り入れて進化し,触れる人の体験を変化させてきたメディアというわけである。
 氏がゲーム業界を志したのは,2つのインスピレーションに導かれたからだという。その1つは,1990年に発表されたセガの体感型アーケードゲーム筐体「R-360」だ。ロケテストでこの筐体を見た水口氏は,「ゲーム業界はすごいことになっている」と感じたとともに,「ゲームなら,国境も言葉も越えて全世界に届く」と考えたそうだ。

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 もう1つのインスピレーションは,NASAが1988年に発表した「仮想環境表示システム」で,水口氏はこのとき初めてVRの存在を知ったそうだ。そしてセガに入社しようと面接を受けたとき,VRについて力説したというが,当時の役員には理解されなかったという。

水口氏が手がけてきたゲームタイトル
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 それでも念願のセガ入社が叶った水口氏は,最初の仕事としてARデバイスのプロトタイプを1991年に開発した。これは携帯ゲーム機のゲームギアにハーフミラーを取り付け,発泡スチロールにセットしたヘッドセットであり,「コラムス」をプレイできるようになっていたという。……が,役員会議にこれを提出したものの,反応は「面白いけれども,ちょっと難しいかな」「まだ早いのでは」という今一つな感触だったそうだ。

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 水口氏はそのあと2年ほどVRの研究に取り組んだそうだが,当時の機材はスペックが低く,3Dグラフィックスのテクノロジーもまだまだであり,面白いものはできなかった。半面,「この先,また必ずVRが台頭するだろう」とも考えていたそうだ。

 続いて水口氏は,アーケードゲームの開発に取り組むようになった。当時,セガの3Dアーケードゲームは業界を牽引する存在であり,かつ需要も極めて高かったため,ほぼ無尽蔵に近い予算を使って開発できたとのこと。
 水口氏の手がけた「セガラリーチャンピオンシップ」も,初めてテクスチャマッピング機能を搭載した基板・MODEL2を採用し,実車をゲームに登場させるなど,さまざまなチャレンジに取り組んでいた。

「セガラリーチャンピオンシップ」には,実際のクルマを使ったバージョンも存在した
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 次いで手がけたコンシューマゲームの開発では,本人が「ゲームクリエイターになっていなかったら,ミュージックビデオの監督になっていた」というくらい音楽が好きということもあり,音楽をゲームに落とし込み,新しい体験を作っていくことを考えた。しかし,例えば「演奏をするように楽しく,気持ちのいいゲーム」といったようなコンセプトやアイデアこそあれど,技術的な壁は越えられず,なかなか実現しなかったようだ。
 そうした状況は,ドリームキャストというハードの登場により変わり,水口氏は1999年に音楽とゲームを融合させた「スペースチャンネル5」を開発。またこの頃には,キャラクターにボイスを付けるなど,それまでのゲームでは不可能だったことを実現できるようになっており,水口氏は「新しいストーリーテリングの生まれる土壌が整っていった」と話していた。

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 「スペースチャンネル5」と並行して,水口氏は「Rez」にも取り組んでいた。2001年に発売されたこのゲームでは,より高解像度の音を体験に織り込むことで,触れた人の感情を動かすような,音楽とゲームの融合について考えたという。水口氏によれば「ゲームを遊んでいるのに,途中から音楽を演奏しているかのような気持ちになる。でも,とくにリズム感は必要ないものを目指した」とのことである。

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 なお水口氏のゲームは,「Rez」を含め,そのほとんどが三次元空間の中で体験するものとして構想されている。ただ,当時のゲームにはディスプレイの枠の中でしか表現できないという制約があり,開発上のストレスになっていたそうだ。結果として,二次元の狭い空間の中でプレイするゲームが完成するわけだが,そのときは構想との違いに落胆することもあったという。「このときの思いが,のちの『Rez Infinite』につながったのではないか」と,水口氏は当時を振り返っていた。

PlayStation 2本体に接続する「Rez」専用機器「TRANCE VIBRATOR」も紹介された。DUAL SHOCKの振動よりも強い振動をプレイヤーに与えて,ゲームへの没入感を高めるという狙いがあったそうだ
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 2004年には,携帯ゲーム機・PlayStation Portable(以下,PSP)が発売された。“21世紀のウォークマン”と銘打ち,いつでもどこでもゲームをプレイ可能で,ヘッドホンステレオ・ウォークマンのように音楽が楽しめるというこのハードに魅力を感じた水口氏は,音楽とパズルゲームを融合させた「ルミネス」の開発に取り組むことに。
 また水口氏は「それまでのゲーム機は,音が冷遇されていた」とし,ヘッドホンジャックを搭載したハードが少なかったことを指摘し,「音を重視したという意味でも,PSPは大きなイノベーションだった」と称賛している。

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 2011年,水口氏は「Child of Eden」をUbisoftからリリース。これはPS MoveやKinectといったデバイスを使い,プレイヤーがまるで指揮者のように手や腕を動かして操作し,音楽とゲームの融合を体験させるコンテンツだ。
 ちなみに水口氏は,プレイヤーのジェスチャーや音声を認識するKinectについて,「ゲームでは下火になっているが,ほかの分野では似たような技術が次々に出てきて広く使われるようになっている。今後,この動きはもっと大きくなっていくでしょう」と予想を述べていた。

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 しかし「Child of Eden」も,結局ディスプレイの枠の中でしか体験できないものであり,水口氏の落胆が癒えることはなかった。そして「このまま続けても何も出てこない」と考え,3年ほどゲーム開発からは遠ざかることになったとのこと。
 そうして2014年頃,アメリカで台頭してきたOculus Riftを筆頭とするVRデバイスに興味を抱き,現地に自身の会社・エンハンスを設立。水口氏は日本で会社を作らなかった理由を,「日本では,まだVRがそれほど話題になっていなかった。一方,アメリカなら情報が早く入ってくるし,話や交渉,契約が直接できる」と説明している。

 氏によれば,2016年10月に発売されたPlayStation VRのローンチタイトルとして発売された「Rez Infinite」は,1年半ほどの期間で開発されたものだという。
 新ステージ「Area X」はパーティクルのみで構成されるが,これはプレイヤーがVR酔いしないための方策であり,またプレイヤーが音楽を視覚として認識したり,自分の演奏した音がほかの音と組み合わさったりといった共感覚性を高める狙いもあったという。

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 「Rez Infinite」を初めてプレイした人は,その体験についてうまく言葉にできない。水口氏は,「つまり説明するボキャブラリーがない」「彼らはそれまで2Dの画面に押し込められていたゲームが突然3D化し,自分の奏でた音がビジュアル化されて動くという,本当にマルチモーダル(複数のコミュニケーション手段でシステムとインタラクションすること)で共感覚的な体験をしたんだと思う」「それは確かに,今までのゲームが表現し得たものとは違う領域に入っていた」とこれを説明し,さらに「こういった新しい体験が,これからいろんな分野に浸透していくだろうという直感を強く覚えた」と話していた。

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 なお「Rez Infinite」は,発売後にThe Game Awards 2016のBest VR Gameに選出されるが,これ関連して水口氏は「Rez」が発売された当時の周囲の反応に落ち込んだエピソードを披露した。
 発売前は「三振かホームランか」と評されていた「Rez」は,フタを開けてみると売上はまあまあだったという。それが15年後,改めて新作として賞を獲得したことは大きな励みになったとし,水口氏は「いい体験は劣化しない。時代の趨勢や流行を採り入れることも重要だが,そうではない本質のところにある体験を再設計してできあがったものは,タイムレスになると感じた。僕自身は,常にタイムレスなものを作ろうと心がけています」と語っていた。

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 そんな水口氏の最新作が,2018年11月に発売された「テトリス エフェクト」PS4 / PC)である。2019年に35周年を迎える定番のゲームをVRコンテンツ化するにあたり,すでに完成している「テトリス」をどうやって進化させるのかという疑問が,プログラマーを中心に沸きあがる。

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 一方アーティスト達からは,「『テトリス』で人を泣かせることにチャレンジしてみよう」という意見が挙がったとのこと。水口氏らがこれまで取り組んできた,効果音を音楽に組み込むメカニズムやそのビジュアル化,世界ができあがっていくような光景,さらにはその世界が旅をするかのようにどんどん変化していく……といった流れをエモーショナルに表現すること。そうしたものは従来の手法では難しかったが,VRならできるかもしれないという直感の元,プリプロダクションが2年近く続けられた。

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 水口氏によると,エンハンスでは通常,「これはもういいかな」「飽きてきた」と感じ始めたら,そのプロジェクトをお蔵入りにしてしまうとのことだが,「テトリス エフェクト」のプリプロダクションではそれがまったくなく,「タイムレスなコンテンツになるのではないか」と自信を持ったという。
 また「テトリス」を改めて取り上げることを外部の人に話すと,最初は疑問を持たれたが,コンセプトを説明したりデモを見せたりすると「なるほど」と納得してもらえたとか。水口氏は「従来のやり方では説明できない領域に入ってきている。これが今のゲーム業界が抱える可能性と大問題」とし,「言葉で説明できないので,役員会議などでプレゼンするのが大変」と語った。

「テトリス エフェクト」では,テトリミノを回したり落としたりすると効果音として短いフレーズが奏でられる。それがもともとのBGMと一体化し,1つの音楽となる
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 さらに水口氏は「『テトリス』は白黒でも十分面白い。でも,それで感情が動いて泣くことは,まずなかった」とし,ザ・テトリス・カンパニーのCEOであるヘンク・ロジャース氏がいかにして「テトリス」を進化させるかについて頭を悩ませていたというエピソードを披露した。
 その一方で,「テトリス エフェクト」をプレイした人がSNSに「泣いた」というコメントを投稿するケースは多く,それについて水口氏は「僕らは,キャラクターやメカニズムなどを駆使して,いろんな感情を求めて化学反応を起こすようにゲームをデザインをしている」「解像度が可能にする新しい表現の組み合わせによって,体験を共感覚化していく傾向は確実に強くなっていく」と説明。またそうしたデザインは容易ではないが,「続けていくと,ゲームもアートの領域に入っていくだろう」と話していた。

ジャズピアノの連弾風の効果音が奏でられるステージもある。また背景もテトリミノの動きと連動して変化する
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 会場では,水口氏らが手がけるゲーム以外のコンテンツや活動も紹介された。
 まず「シナスタジアスーツ」だが,これは東京ゲームショウ 2016などにも出展されたので知っている人も多いのではないだろうか。このスーツは「Rez Infinite」を視覚,聴覚に加えて触覚でも楽しめるようにするもの。全身に計26個の振動素子が配置され,例えば最初に下半身にのみベース音の振動を流し,そのあとドラムのハイハットの音を肩に流すといったことや,上から下に音を流すといったさまざまなことができるという。

シナスタジアスーツを使ったメディアアートも制作された
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 また東京・未来科学博物館にて開催されたイベント「MUTEK.JP 2017」では,「Rez」のゲームプレイを4Kドームシアターにリアルタイムで投影し,それを100人で鑑賞し体感するという実験や,ミュージシャンのケン・イシイ氏と水口氏によるジョイントライブ「Rez Infinite Session(Tetsuya Mizuguchi x Ken Ishii)」も行われた。

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 さらにインタラクティブアートにも挑戦。2018年の「Synesthesia Whale」プロジェクトでは,体験者のインタラクションが音とともに反応する無数のパーティクルを生み,それが次第に巨大なクジラの姿になっていくアートが披露された。

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 加えて「Synesthesia X1 - 2.44」では,スピーカー2個と振動素子44個を使い,音と触覚を体験させるという試みにも挑戦している。水口氏によると,「本当に言葉にできない体験」とのことで,「音楽は耳だけではなく,常に身体で聴いており,その共感覚的な体験ができる」とか。さらに「これを体験すると,音とビジュアルを切り分ける従来の手法では,抜け落ちていることがたくさんあることに気付く」とし,「それぞれに進化してきた音やビジュアルが,ようやく統合することになる。これは広義のVRで,非常に大きな進化」とも語っていた。

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 講演の終盤,水口氏は改めて“Synesthesia”――共感覚に言及する。ここで言う共感覚とは,「あるアイデアを思いついたときに頭の中に浮かぶ,映像や音などが混じり合った有機的なイメージ」であり,人はそれを表現するためにテキストや絵などを用いようとするが,その過程で当初のイメージとはかけ離れていってしまう。しかし,それらのテキストや絵を徐々に統合していけば,より的確な形で伝えたり,デザインしたりが可能になるだろうと,水口氏は今後の展望を語る。

 水口氏によると,“Synesthesia”という言葉は100年前から使われていたという。例えば画家のワシリー・カンディンスキーは,1日中街を歩き回って聞いたさまざまな音や,楽曲などから受けた印象を1枚の絵に落とし込んだのだそうだ。
 水口氏は「カンディンスキーのやったことは,僕らがやっていることに近い。当時は何かをインプットしても絵を描くことしかできなかったが,僕らはハイスペックな機材やプログラミングを駆使してそれらを統合し,体験として構築できる。カンディンスキー達からするとすごく恵まれた状態」と説明し,「アウトプットを新しい体験としてデザインしていく上で,それがどういうものだったらいいか,ずっと考えています」と語っていた。

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 また新しい体験で感動を与えるには,解像度が重要になると水口氏は持論を披露。「そんなに解像度が必要なのか疑問を抱く人もいるが,立体的かつエモーショナルな表現をするためにはまだ足りない」とし,「解像度が高くなれば,共感覚体験もまだまだ強く,深いものにしていける」とさらなる展望を述べた。
 
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音やビジュアルなどを制御するUnreal Engine 4のモジュール「Synesthesia Engine」も紹介された
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「Rez Infinite」をプレイして泣いた人の映像も

 講演の最後のテーマは「ゲームの未来は,どこに向かうのか?」だ。
 5Gや次世代ゲーム機の登場に加え,AppleやGoogle,Amazonのゲーム業界への参入,XRとクラウドの融合などなど,さまざまな展開が間近に迫ってきているが,水口氏自身は「Microsoft HoloLens 2」などAR/MRデバイスが,軽量・ハイスペック化してAIなどのテクノロジーと交わりながら生活に浸透してくることに注目しているという。
 とくに現状のVRは,アバターを介さないと他者とコミュニケーションが図りにくいなどの課題を抱えているため,これらの新デバイスによりコミュニケーションが大きく変化することに期待を寄せているとか。

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水口氏は,新デバイスの登場により,AR版「Angry Birds」や「Minecraft Earth」の遊びが変わることにも期待している
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 水口氏は,これからゆっくり起こることとして「情報の時代から,体験の時代への移行」を掲げ,具体的にどんな状況が発生し得るのかを8項目にわたって挙げていった。

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 また重要だとした解像度の進化は,今後15年で頭打ちになるという。それは人間の眼が基本的に8K以上の解像度を判別できないためで,水口氏は「そこからは先は,質的な深化に向かう。感情移入の模索が始まり,より深い感動体験が生まれるのではないか」と予想している。

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 そして最後に水口氏は,「少し誇張が入っているかもしれないが」と前置きしつつ,「ここから起こる変化は活版印刷以来,600年ぶりの大革命。これまでのように二次元のメディアで情報を拡散していくのではなく,空間的で共感覚的な体験の時代が来る」と語った。
 「僕がゲーム業界に入ったときは,まだ“ゲームとはこういうもの”という基準がなかったので,勝手にイメージしたものを勝手に商品化していた」と振り返り,「これから来る新しい時代に向けて,ゲームそのものはもちろん,ゲームから始まるものも含めてどんなことができるのか,挑戦的な発想を持ってみてはどうでしょうか」と,聴講していたゲーム開発者に呼びかけて,講演を締めくくった。

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