プレイレポート
本日発売の「AI:ソムニウム ファイル」先行インプレッション。打越鋼太郎氏が手掛ける,バディものSF推理アドベンチャーが登場
本作は「極限脱出」シリーズ,「Ever17」といった名作タイトルを手掛けてきた打越鋼太郎氏による,新作SF推理アドベンチャーゲーム。プレイヤーは警視庁の特殊捜査員・伊達 鍵(だて かなめ)となり,東京を舞台に起こる連続殺人事件を追うことになる。
現実世界で情報を集める「捜査パート」と,重要参考人の夢の世界で独自の手がかりを追う「ソムニウムパート」を行き来しながらの進行が特徴で,さらに「ファイアーエムブレム 覚醒」や「Pokémon GO」で知られるイラストレーター・コザキユースケ氏による,ポップかつ表情豊かなキャラクターデザインにも注目が集まる。
謎が謎を呼ぶ作品であるため,本稿ではできる限りシナリオのネタバレを避けながら,その魅力をお伝えしていこう。
「AI:ソムニウム ファイル」公式サイト
極秘の脳科学技術を駆使し,怪事件に挑む特殊捜査班の物語
AIや脳科学が現代以上に発展しても,動画配信やSNS,スマートフォンなどが消えてなくなるほどには情報化されていない近未来。本作の物語は,そうした架空の歴史における東京が舞台となる。
主人公は,警視庁の特殊捜査班「ABIS」に所属する30歳の警察官・伊達 鍵(CV:新垣樽助)だ。こう書くとまるで普通の刑事もののようだが,大きく異なるのは,伊達が極秘の脳科学技術である「PSYNC(シンク)」装置を用いて人間の夢に潜り込む「Psyncer(シンカー)」の一人だというところだろう。
実際のところ,本作の捜査はこの「PSYNC」に大きく依存する形で進行し,それがまたこのゲームの肝といえる。前述したように,ゲームの進行は一般的なアドベンチャーゲームに準じた「捜査パート」と,能力を駆使して手がかりを見つけだす「ソムニウムパート」を行き来することで展開し,プレイヤーはそれぞれのパートで判明した事実を突き合わせることで,過酷な連続殺人事件の謎に挑むのである。
イリスの熱狂的なファンという真津下応太(CV:藤原夏海) |
服装から天才性がにじみ出るアイボゥの製作者ピュータ(CV:後藤ヒロキ) |
他者の夢にダイブする時間管理型の「ソムニウムパート」
ではまず,本作最大の特徴ともいえる「ソムニウムパート」を見ていこう。
他人の夢に潜り込んで手がかりを探すソムニウムパートは,いわばある種の脱出ゲームのような形で進行していく。
ソムニウムパートのフィールドには,各所にインタラクト可能なオブジェクトが点在しており,まずはこれを調べる必要がある。オブジェクトを調べると,それに対してどのようなアクションを起こすかという選択肢が現れるので,これを試していく。正しい選択肢を選べば「Mental Lock」と呼ばれるチェックポイントを通過でき,クリアに一歩近づける。これを繰り返しながら深層意識に近づき,手がかりを見つけ出すのが,ソムニウムパートの基本となる。
ただし,ここで問題になるのが制限時間だ。ソムニウムパートには6分の制限時間があり,これはキャラクターの移動中にリアルタイムでカウントダウンされていくのに加え,オブジェクトを操作=選択肢を選ぶ度に一定の秒数(選択肢ごとに異なる)が減少する。このため総当たりでクリアするのは難しいだろう。なお選択肢によっては,消費時間を増減させるアイテム「Timie」が得られることがあり,これを手に入れるため,あえて回り道が必要になることもある。「Timie」自体に所持数制限もあるので,この使い所の判断が良いジレンマになっていると感じられた。
ソムニウムパートの世界は対象者独自のルールによって構成されているため,夢の中に現れるオブジェクトやギミックから,キャラクターについて深読みできるのも魅力的だ。
難度はあまり本格的な脱出ゲームを遊ばない筆者でもどうにかクリアできる程度。より歯ごたえのあるプレイを求めるのであれば,各ステージにある隠しアイテムを探すやり込み要素も用意されている。
キャラクターの掛け合いが楽しい「捜査パート」
一方,現実世界での手がかりは,捜査パートで得ることになる。
ここは一般的な通常のアドベンチャーゲームと変わらない。シーンに登場する人物や物品を選択することで,さまざまな情報を入手していくわけだ。また主人公である伊達の義眼となっているアイボゥの機能で,X線透視やサーモグラフィーといった科学捜査も可能なのが面白いところだろう。
なお捜査パートではこのほか,集めた手がかりを用いた重要参考人への取り調べや,アクションシーンにおけるQTEも用意されている。
取り調べは,状況に合わせた手がかりを重要参考人に提示することで,新たな情報が得られるシーンだ。手がかりの詳細を確認することで,入手済みの重要情報を見返せるので,活用したいところだ。また長いシーンの終わりには,これまでの捜査のまとめを行う会話が入るので,情報の整理がしやすいのもありがたい。
敵対勢力と接触したときに発生するQTEは,中盤までは難度がそれほどでもなく,筆者的には若干退屈な部分もあったが,終盤ではぼやっとしていると失敗する程度にはシビアになり,プレイに適度な緊張感を与えてくれる。
ちなみにQTEは,ソムニウムパートでも稀にだが発生することがある。とある特定のソムニウムパートで発生したQTEは,シーンに非常にマッチしていて個人的には非常によい演出だと感じられた。
とまあ,ここまで捜査パートの説明をしてきたが,個人的に本作の一番の見どころだと感じたのは,このパートでのキャラクターの掛け合いだ。
例えば事件とは関係のないものを調べると,コメディタッチなボケとツッコミの応酬が行われたりする。後々考えるととんでもない伏線だったのでは,なんてこともありえるが,たいがいはとんでもないシリアスブレイクである。なんというか漫画の「シティーハンター」みたいなノリというか? 深刻な展開に突然コミカルな要素が混ざるので,好みが分かれるところかもしれないが,個人的には大いに楽しませてもらった。
マルチシナリオで明らかになる事件の真相
前出したとおり,本作のシナリオには分岐があり,結末もマルチエンディングとなっている。ソムニウムパートでのプレイヤーの選択によって,事件の推移は大きく変化する。キャラクターの背景や動機は各ルートに散りばめられており,キャラクターの一見不可解な行動の意図が,別ルートで浮かび上がってくる。これには「なるほど!」と膝を打った。
ルート制覇を目指すとなると,面倒なフラグの立て直しが必須かと思っていたのだが,実際はチャプター移動やあらすじ表示によって非常に快適だ。いつでもチャプターをやり直せるので,セーブスロットの数に悩まされることもない。本編の6年前に起きた類似の事件,伊達が記憶を失ったきっかけなどなど,謎が謎を呼ぶ展開が待っているので,その謎をぜひ自らの手で解き明かしてほしい。
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