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日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG
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印刷2021/05/12 18:00

プレイレポート

日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG

 EXNOAは2021年5月13日に,シングルプレイ用RPG「パスファインダー:キングメーカー」PC / PS4 / XBox One)の日本語版をリリースする。PC(DMM GAME PLAYER)版は5060円,PS4版とXbox One版は8778円(ともに税込)。

画像集#001のサムネイル/日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG

 本作は,テーブルトークRPG「パスファインダーRPG」を原作とした骨太のファンタジー作品だ。ロシアのデベロッパであるOwlcat Gamesが開発し,Deep SilverよりSteam版および海外コンシューマ版が2018年にリリース。発売以降コアなファンの間で楽しまれており,Steamのレビューなどでも高い評価を得ている。そんな本作の日本語版(DMM GAME PLAYER版)を発売前にプレイできたので,インプレッションをお届けしよう。

画像集#016のサムネイル/日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG

「Pathfinder: Kingmaker」公式サイト



圧倒的なテキスト量で描かれるストールンランドでの物語


画像は「ビギナー・ボックス」
画像集#021のサムネイル/日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG
 最初に,原作であるテーブルトークRPG「パスファインダーRPG」を簡単に紹介しておこう。
 パスファインダーRPGは,ファンタジーTRPGの古典「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)から派生した“重量級”の作品だ。舞台は,エルフやドワーフ,ゴブリン,ドラゴンといった,ファンタジー作品ではおなじみの種族やモンスターたちが暮らす世界「ゴラリオン」。プレイヤーは冒険者として,ステータスがびっしり書き込まれたキャラクターシートとサイコロを手に,スクエアマップ上で一進一退の攻防を繰り広げる。
 ルールを簡略化した上で必要な道具をボードゲーム風にキット化にした「ビギナーボックス」も発売されているので,「パスファインダーRPGの世界観に興味はあるけど,TRPGは難しそうで遊んだことがない」という人はこちらで始めてみるといいだろう。

「パスファインダーRPG」紹介ページ(Role&Roll Official Web Site内)


 この,TRPG版をベースにした本作の冒険の舞台となるのが「ストールンランド」だ。周辺国の緩衝地帯として長らく統一されることのなかった地域で,現在は盗賊の長「牡鹿の王」が支配している。新米冒険者の一人としてこの地にやってきたプレイヤーは,新たな国を立ち上げるべく,牡鹿の王の勢力を討ち果たすため冒険を始めるのだ。

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 メインシナリオが始まると,まずメッセージボックスのテキスト量に圧倒されるだろう。地名や職業といった用語にカーソルを当てると,即座に説明がポップアップしてくれるのが嬉しい。セリフ以外のいわゆる地の文も,DM(ダンジョンマスター)が語りかけるような風情があり,雰囲気作りに貢献している。

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メインクエストのリストは主人公と同行する吟遊詩人のリンジィの日記形式となっている。彼女視点のハイテンションなコメントも冒険のスパイスだ
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プレイヤーの選択によって,序盤から同行するキャラクターが変化する。この選択も,物語に大きな展開の分岐を生みそうだ。普段TRPGも嗜む筆者としては,アラインメント(善悪などの考え方や人間性で分類される属性のようなもの)によって異なる各キャラクターの対応やその表現に「なるほど」と膝を打った


TRPGの息づく,自由度の高いキャラメイク

探索やバトルをどう楽しむかもプレイヤー次第


 キャラクターメイクの自由度は原作と同様,非常に高い。クラスごとにできることが全く違ううえ,ボーナスの異なる種族,振り分け式の能力値など,文句なしのD&D系キャラクターメイクである。綿密な成長計画を立てるとなると,丸一日は楽しく頭を悩ますことができそうだ。
 こういったキャラメイクに不慣れな人や1周目はストーリーをメインで楽しみたいという人は,プリセットのキャラクターや成長計画を利用するといい。実際に遊んでみて自分自身の分身となるキャラクター像が出来上がったら,しっかり作り込んで2周目に挑もう。

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のちのRPG作品に大きく影響を与えたアラインメント選択。こういった内容もポップアップで簡潔に説明してくれる。ここで決めたキャラクターの行動指針は,シナリオ中に取れる選択肢にも大きく関わる。なお,ある程度ゲームを進めると,本拠地でキャラクターの再訓練(リメイク)ができるので,作り直したいときはこちらも活用しよう
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TRPGが原作ということで「ルールや用語が多くて難しそう」と思う人もいるかもしれないが,基本的なワードは「辞典」からいつでも確認できるので,遊びながら覚えられる

 ダンジョン探索は,クォータービューのシンプルなマップ探索となる。視界の中でアイテムや手がかりを探しつつ,敵との戦いに備えるという形だ。もちろん,ダンジョンにはさまざまな罠や鍵つきの宝箱があり,器用なキャラクターの見せ場もしっかり用意されている。それらの成功判定を表示する右下のメッセージボックスが,TRPG(のサイコロ)での判定を思わせるものとなっており,原作ファンとしても好印象だ。

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罠探知はパッシブとなっており,一定の距離まで近づくとパーティが自動で罠の探知に挑戦してくれる。見つけられないとそのまま突入することになるので,けっこうハラハラする場面でもある
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アクション可能なオブジェクトは,PC版の場合[Tab]キーですべてハイライトできる。罠探知の自動化と合わせて,探索のテンポを良くしている要素だ
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隠密状態でこっそり敵に近づくオプションも用意されている。うまく距離を詰めて,有利に戦えるような状況を作ろう
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イベント中,挿絵入りの本のような「イラストブックエピソード」でシナリオが進行することもある。描写に用いられるテキストがぐっと増えることで,決断にまつわる情景がリッチに思い浮かぶ

 探索マップからシームレスに始まる戦闘は,リアルタイム制ターン制をいつでも切り替え可能だ。リアルタイム制では半自動的に戦闘が進行し,格下相手に優勢に戦っているパーティを眺めているだけでもかなりの爽快感が得られる。
 一方ターン制は,行動順ごとに細かくアクションを指定でき,より原作に近いプレイ感で楽しめる。気軽に本作を遊びたいときや,自身より弱い敵を相手にするときはリアルタイム制でこなし,強敵に挑む際はターン制に切り替えるといった使い分けをすれば,ストレスなくゲームを進められるだろう。逆に,常に緊張感のある探索とバトルを楽しみたいという人には,ゲームの難度を高難度にしてターン制に設定することをお勧めしたい。

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リアルタイム制でもメッセージボックスで判定結果が追えるため,“ダイスを振って戦っている”感が得られるだろう
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事前に陣形を組んでおくことで,戦闘開始時に前衛のタンクにダメージを集中させたり,挟み撃ちの対応を考えたりと計画できるのも楽しい。もちろん戦闘中は,陣形から展開してキャラクターそれぞれを動かすことも可能だ
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野外を探索しているときは野営もできる。キャラクターの性格や関係が深堀りされる会話も聞き逃せない

 TRPG原作ということで設定する項目や覚えることが多く,一見難しそうに映るかもしれないが,プリセットや用語解説などが充実しているので,“硬派”なファンタジー作品が好きなゲームファンであれば間違いなくオススメできる。ひとつひとつの決断の積み重ねの結果によって展開する,圧倒的なテキスト量の物語やゲーム性は,原作ファンでなくとも満足のゆくものとなるだろう。
 原作ファンには,“シングルプレイのコンピュータRPGとして,どこまでTRPG的なものが表現されているか”をぜひ確かめてほしい。ご時勢的にTRPGを遊ぶ機会が減ってしまった人や,オンラインセッションの演出方法を模索中というTRPGのプレイヤーたちにとっても,得られるものがあるはずだ。

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