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“賛否両論”は納得。だが,今後に期待したくなるPvPvEシューター「The Cycle: Frontier」を紹介
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印刷2022/07/23 12:00

プレイレポート

“賛否両論”は納得。だが,今後に期待したくなるPvPvEシューター「The Cycle: Frontier」を紹介

 FPS(一人称視点シューター)の確立に多大な役割を果たした「Wolfenstein 3D」「DOOM」の登場から約30年。当初はソロプレイしかなかったものが,現在ではインターネットを介したオンラインマルチプレイを楽しめるようになり,遊びの幅が広がっている。
 FPSの遊びと言えば,ソロ用キャンペーンやオンラインのチーム対戦が主流だが,2013年に「DayZ Mod」が登場したあたりから,対人戦に加えて対環境(CPUエネミーやイベントなどの要素)も存在する“PvPvE”と呼ばれるジャンルが定着してきた。

画像集#020のサムネイル/“賛否両論”は納得。だが,今後に期待したくなるPvPvEシューター「The Cycle: Frontier」を紹介

 そんなPvPvEタイトルの新作,YAGERの「The Cycle: Frontier」を紹介したい。2022年6月に正式ローンチを果たした本作の舞台は,原生生物や他のプレイヤーにいつ襲われるかもしれない惑星「フォルトゥナIII」。プレイヤーは資源を収集したり,依頼をこなしたりして報酬を得る「プロスペクター」として,危険に満ちた稼業に邁進することになる。

「The Cycle: Frontier」公式サイト



プロスペクターの心得

依頼を受けたら,きっちりこなす


 プレイヤーは普段からフォルトゥナIIIで活動しているのではなく,プロスペクト・ステーションと呼ばれる衛生軌道上に配備された施設にいる。この施設は3つのファクション(派閥)が支配しており,それぞれがプロスペクターに対して危険なミッションを依頼してくる。
 ミッションの内容は,フォルトゥナIIIで手に入る物資の収集依頼や,特定の場所への納品など,多岐にわたっている。ただ,そのすべてが対人戦が生じる可能性のあるフィールドを舞台とするため,一筋縄ではいかない。

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 プロスペクト・ステーションでは依頼を受けるだけでなく,プレイヤーの活動に必要な物資を購入したり,不要な物資を売り払ったりといったことも可能だ。購入できる武器や装備品にはレアリティが存在し,最初はコモンしか取り扱わせてもらえない。だが,ファクションの依頼をこなしていくことで,少しずつ売ってもらえる内容の幅が広がっていく。報酬だけでなく,こういった恩恵も得られるので,ファクションの依頼をガンガンこなそう。

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 ミッションの舞台となるフィールドを紹介しよう。フォルトゥナIIIには「ブライトサンド」と「クレセントフォールズ」というマップがある。
 前者はゲームを遊び始めた人から中級者くらいまでが主に活動している。一方,後者はゲームに慣れた中級者から上級者が活動するマップである。筆者は装備品のレアリティなどに余裕がないため,まだブライトサンドを主戦場としているのだが,いつかはクレセントフォールズでの活動に挑みたいと思っている。

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 こうしたマップにはソロやデュオ,3人チームなど,20人前後のプロスペクターが参加できる。人を見つけた途端に撃ってくる攻撃的な人,とりあえず逃げて様子を見る人,ボイスチャットで話しかけてくる人など,プレイヤーの行動はさまざまだ。
 対人戦が可能であることから,参加者の多くが血気盛んというか,好戦的なプレイヤーの割合は多い傾向がある。
 ただ,そんな殺伐としたマップでもこんな出会いがあったりする――。

突然,目の前に現れてボイスチャットで話しかけてきた人物。カードキーを使って物資が溜め込まれた部屋に入れるらしく,一緒に来ないかと誘われた
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こういう話はトラップだったり,連れ込まれた先でボコボコにされたりするのが相場だ。ただ,たまには人を信じてみようかな……
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彼を追って移動していたら,道中で銃撃を喰らう。スター・ウォーズのアクバー提督よろしく「It's a trap!」と叫びそうになった
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互いを見失ったりしながらも,なんとか目的地に到着。本当に彼を信じて良いのか? ここで彼を倒してすべてをかっさらうべきか? このとき,筆者の頭の中はグルグルとした思考で埋め尽くされていた
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部屋に入ると,確かに大量の物資があった。彼は「バックパックの容量がもうないから,好きに持ってって!」「じゃ,グッドラックだよ!」と言って走り去る。殺伐としたこの世界で初めて人に優しくされ……涙が出そうになった
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 このような出会いに恵まれることもあるが,かなりレアケースだ。ほとんどの場合,待ち伏せされたり,出会い頭に攻撃されたりといった血なまぐさい出会いばかりだから。でも運が良ければ,面白い出会いがあるかもしれない。ただ撃ち合うだけでなく,ほかのプレイヤーとの交流を試みるというのもいいだろう。

 マップには名称付きの施設やエリアがいくつか存在し,アイテムをたくさん入手できる可能性が高い場所となっている。しかし,物資を漁っていたら同じ獲物を狙うプロスペクターと鉢合わせ……なんてことはザラだ。
 そうした遭遇を防ぐためには,むやみに走らず,定期的に周囲の音に対して耳をすますことが対策と言えるだろう。

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 というのも,本作はプレイヤーキャラクターが発する足音や声,採掘音などが結構な広範囲に響く。そのため,周囲にプレイヤーがいると,バタバタと走り回ったり,障害物をジャンプしたりする音などがクリアに聞こえる仕様だ。
 さらに定位のしっかりしたヘッドセットなどがあれば,自分との位置関係も把握しやすく,早い段階で交戦するか,回避するかの選択が可能になる。
 ほかのプレイヤーの姿が見えなくても,走り回ることなく,周囲の音に注意を払いながら行動すればアドバンテージを取りやすいはずだ。


 さて,戦闘に敗れ,死亡してしまった場合はどうなるか。死亡したプレイヤーはマップにリスポーンできない仕様なので,プロスペクト・ステーションへと強制的に戻される。そして,装備品や収集したアイテムはロスト扱いに……。身ぐるみ剥がされて,追い返されたという表現が的確だろうか。

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 ただ,救済措置として2つの保険が存在する。1つ目は,装備品にかけた金額の3割が返金される「スタンダード保険」。2つ目は,死亡時に敵プレイヤーに装備を奪われるとインゲームマネーで補填され,装備を取られなければそのまま返還される「サルベージ保険」だ。
 後者はトークンやオーラムといった希少価値の高いアイテムを必要するとするものの,完全に保証されているわけではない(強奪された装備は返ってこない)。それならば,簡単に稼げるインゲームマネーで利用できるスタンダード保険のほうがベターだと思う。

 また,インベントリ内にはセーフポケットがあり,ここに入れた物資や資材は倒されたとしても強奪されない。復活後のインベントリに残っているため,回収することが可能だ。貴重な物資はセーフポケットに入れて探索する,というのが基本になるものの,その容量は限られている。厳選に厳選を重ねたうえで,絶対に手放したくないブツを収めるようにしよう。これを忘れて何度涙したことか……。

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 マップにはプロスペクターのほか,フォルトゥナIIIの原生生物が出現する。しかも,非常に攻撃的でプレイヤーの足音を聞いたり,姿を見たりすると問答無用で襲いかかってくる。
 弱い生物であればナイフの溜め攻撃で排除できるのだが,若干耐久力が増している色違いの個体だったりすると銃が必須だ。また,マップには危険度が設定されており,危険なエリアには耐久力と攻撃力が高いクリーチャーが徘徊しているケースも……。こうした連中には,極力戦闘を避けて行動したいものだ。

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 フォルトゥナIIIに存在する脅威は,敵プレイヤーや原生生物だけではない。では何か。それはストーム(嵐)だ。
 ストームが発生すると周囲が暗くなり,視界は数メートル先までに限られ,見通しが悪化する。さらに,手痛いダメージを負ってしまう落雷がひっきりなしという悪天候。この状態が数分間続くため,プレイヤーは屋根のある場所へと逃げ込むことになる。

 ストームが発生する5分前,1分前には警告メッセージが表示されるので,近場に脱出ポイントがあれば,さっさとステーションに戻ればいい。ただし,距離がある場合は前述のとおり,最寄りの施設に向かうしかない。そこで運が悪ければ,攻撃的なプロスペクターと鉢合わせることもあるだろう。ちなみに,ストーム発生後の脱出ポイントも同様の理由から危険ではある。

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 さて,本作はフォルトゥナIIIでミッションを遂行し,十分に探索したと判断したら脱出を図り,プロスペクト・ステーションに帰還する。これが基本的なサイクルだ。
 脱出方法は至ってシンプルで,脱出ポイントに近付くと輸送機を要請できる。ただ,要請してから実際に降下してくるまでに若干の時間を要し,さらに乗り込んでから離陸するまでも時間がかかる。
 そのため,輸送機の発する音にプレイヤーが引き寄せられ,交戦が始まるといったこともある。脱出が確定するまで,まったく気を抜くことが許されない緊張感のあるシチュエーションだ。

 熟練プレイヤーのなかには輸送機を囮(おとり)として呼び,敵プレイヤーが吸い寄せられている間に,別の脱出ポイントに向かったり,さらに裏をかいて待ち伏せしたりする場合も。これに騙されたのが筆者なんだけどね!

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 フォルトゥナIIIから持ち帰った物資をどう活用するか。これはステーションにある自室のアップグレードに使用する。このアップグレードによって得られる恩恵は多岐にわたり,なかでも重要になるのがセーフポケットとスタッシュ(インベントリとは別の倉庫)の容量が増えるというものだ。

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 フォルトゥナIIIで手に入れた物資には,ファクションの依頼で集めたものや貴重なアイテムがある。そうしたものを安全に運ぶために便利なのが,前述のセーフポケットだ。初期状態では容量が小さく,これを増やせれば,万が一,死亡してもより多くの物資をロストしなくて済むため,最優先にアップグレードしたいところだ。

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 一方,スタッシュは本作のシステムに関連している。プレイヤーがショップで購入したものはインベントリではなく,スタッシュに優先的に放り込まれる仕様だ。そのため,地上でガッツリと物資を回収し,溜め込んでいるとスタッシュが満杯になりやすい。そんなときにショップで買い物をすると,「スタッシュに空きが無いからダメだ」と怒られてしまうのだ。武器に装着するアタッチメントを選ぼうというときに,こんな状況になると萎えるんだよね……。インベントリに入れてくれてもいいのに。

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 そのほか,さまざまなアップグレードが可能だ。詳細は割愛するが,快適に遊べる環境づくりのための行動である,と理解してもらえればいい。
 ステーションへの帰還に成功すると,集めた物資のほかにインゲームマネーを獲得できる。世の中を動かすのはゼニや! 本作でも何かをしようとすると金が必要。ガンガン依頼をこなして報酬を獲得し,成り上がりを目指そう。



「Escape from Tarkov」の影響は多分にある

しかし,オリジナリティも十分


 本作を紹介する際に,触れないわけにはいかないタイトルがある。現在,PvPvEジャンルの覇権を握っている「Escape from Tarkov」だ。ご存じの人が多いと思うが,現代の架空都市を舞台に物資を漁ったり,プレイヤー同士で戦ったり,AI制御のNPCを相手にしたりする人気タイトルだ。

 「The Cycle: Frontier」はかなり強く,「Escape from Tarkov」の影響を受けている。とはいえ,ありのままを模倣するのではなく,FPSやPvPvEの初心者を意識したデザインになっているのが大きな特徴だ。
 例えば,マップに脱出ポイントや施設名が表示されていたり,音が異常なほどに響くことで他人の存在を察知しやすかったりするため,まだ不慣れな人も遊びやすくなっている。

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 「The Cycle: Frontier」は既存のPvPvEタイトルが持つゴリゴリにハードコアな部分を極力ソフトにしつつも,ジャンルの醍醐味は損なわれていない。
 本作は基本プレイ無料のタイトルなので,気軽に始められるはずだ。正式ローンチ(シーズン1)を果たしたばかりということもあり,まだバランス面に粗さが見られるものの,今後のアップデートで徐々に改善されるだろう。
 Steamでは2万6000件のレビューがあり,「賛否両論」の評価となっている(執筆時点)。確かに粗削りではある。それでも,ほかのプロスペクターや原生生物を警戒しながら物資を漁り,少しずつ私腹を肥やす感覚は楽しい。危険に満ちたフォルトゥナIIIで,暑い夏を過ごしてみてはいかが?


「The Cycle: Frontier」公式サイト

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    The Cycle: Frontier

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