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印刷2020/02/12 12:00

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【PR】放置ゲーなのに放っておけないRPG「ロストディケイド」開発者インタビュー。ブシロードだからこそ実現した本気のカルチャライズとは

画像集#023のサムネイル/【PR】放置ゲーなのに放っておけないRPG「ロストディケイド」開発者インタビュー。ブシロードだからこそ実現した本気のカルチャライズとは
 
 ブシロードは2020年2月12日より,スマホ向けRPG「ロストディケイド」iOS / Android)の正式サービスをスタートする。本作は中国のRASTAR GAMESが手掛ける放置型のRPGだ。2018年の東京ゲームショウで日本向けサービスがアナウンスされ,2019年8月にはCBT実施,その後さまざまな調整を経てついにリリースを迎えようとしている。ブシロードによる徹底的なカルチャライズによって,手軽なプレイ感でありながら奥深い戦略性を実現したという本作は,どういったタイトルなのだろうか。

 今回は,そんなロストディケイドのプロデューサーである呉 雪(ゴ セツ)氏とディレクターの信田和久氏へのインタビューを実施し,パブリッシングに至った経緯や,カルチャライズで行われた調整の数々,正式サービス後の施策について聞いた。本作に興味を持った人はぜひ最後まで読み進めてほしい。

写真左から,信田和久氏,呉 雪氏
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「ロストディケイド」公式サイト

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「ロストディケイド」は手軽なプレイ感と
奥深い戦略性を両立させた良い塩梅の放置型RPG


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介を兼ね,本作におけるお2人の役割を教えてください。

画像集#015のサムネイル/【PR】放置ゲーなのに放っておけないRPG「ロストディケイド」開発者インタビュー。ブシロードだからこそ実現した本気のカルチャライズとは
信田和久氏(以下,信田氏):
 全部やっています! ……というのは2割くらい盛ってますかね。役職上はディレクターですが,ゲームの内外問わず多方面の業務に携わっているので,“ざっくり言うと全部”という感じです。

4Gamer:
 具体的には,どのあたりを担当されているのでしょう。

信田氏:
 ざっくりと言えば,スキルなどのゲーム内バランスの調整や改善提案,イベント立案,スケジュール策定,キャラ設定,キャラクターの新規作成,ゲーム内漫画のプロット作成,シナリオの翻訳などです。

4Gamer:
 あ,これ本当に8割関わってるやつですね。

信田氏:
 ウチのチームは僕を含めて中国語が一通りわかるメンバーが揃っていて,中国の開発チームとのやり取りをスピーディに行えるのが強みなんですよ。その仕事が集約されるのが僕なので,開発とのやり取りであったり,外部への発注を行ったり,相互にタスクが発生する場面ではだいたい関わっています。

4Gamer:
 続けて,呉さんお願いします。

画像集#016のサムネイル/【PR】放置ゲーなのに放っておけないRPG「ロストディケイド」開発者インタビュー。ブシロードだからこそ実現した本気のカルチャライズとは
呉 雪氏(以下,呉氏):
 ライセンスの獲得から,現在の運営オペレーション全般が私の仕事となります。私は胸を張って「全部やってます」と言える立場ですね!

一同:(笑)

4Gamer:
 本作は中国のRASTAR GAMESが開発し,日本向けサービスのライセンスをブシロードが獲得した流れだったかと思いますが,どういった形で開発・運営が進められているんですか。

呉氏:
 日本向けサービスの手段はいくつか存在します。現状では“中国で開発を行い,中国側でオペレーションをする”パターンが多いのですが,今回はブシロードが日本エリアにおける運営権を獲得し,オペレーションはこちらで行う形式を採用しています。
 また,そういった形式でも運営権を獲得したあとはローカライズ(翻訳)だけしてサービスインするのが一般的なのですが,今回は日本の文化に合わせたカルチャライズ(作品全体の調整)も行い,より国内プレイヤーが楽しめるように調整をしています。

4Gamer:
 そもそも,どういった経緯から運営権の獲得に至ったのでしょう。

呉氏:
 まず,ブシロードには“ゲーム開発チーム”が存在しないため,ゲームを作るとなったら外部のデベロッパと組む必要があります。今までもスマホ向けアプリを展開してきましたが,現行の作品はすべて日本のデベロッパと連携し制作してきました。その延長線上で,昨年からは海外デベロッパとの取り組みも開始していて,その中で我々のライセンスチームが出会った作品がロストディケイドだったわけです。
 これが当時から引く手あまたの人気タイトルでして,当時は運営権の取得に30社以上も手を挙げている状況でした。結果的にはパブリッシング能力が認められて運営権を獲得し,弊社が日本での運営を行うことになった,という流れになります。

4Gamer:
 その段階ですでに注目を集めていた作品だったのですね。では作品自体の紹介を兼ね,どういった部分に魅力を感じたのかをお聞きしたいです。本作のバトルは完全フルオートで,地図上での冒険は24時間自動で進行する放置ゲームですが,プレイヤーが操作するダンジョン探索モードがあったり,スキルやルーンでのキャラ育成はなかなかやりがいがあったりと,ただのお手軽ゲームではない印象を受けました。

信田氏:
 推していきたいコンセプトは「重厚な世界観」「手軽なプレイ感覚」「奥深い戦略性」の3点です。1つ目の「重厚な世界観」については,ロストディケイドの世界観設定が極めて膨大であることに由来しています。デベロッパのRASTAR GAMESによると,本作の舞台である“アウロラ”と呼ばれる世界には1500年もの歴史があり,ロストディケイドはその歴史の一部を切り出したものだそうです。

物語の舞台は,天空に大陸が浮遊するアウロラと呼ばれる世界。かつては1つだった大陸が砕け散り7つに分かれていたが,1500年の時を経て再び“世界の中心”へと集結。大陸同士の交流が始まったあとにロストディケイドのストーリーが始まる
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信田氏:
 実を言うと,これらの情報は中国版ではあまり語られないというか,かなりゲームを進めないと世界観を感じられないようになっています。ということで,日本版では物語を再編するとともに,ゲーム内で読めるマンガを導入することで,主人公たちの行動の軌跡と,各大陸のストーリーや特色をしっかりと説明できるようにしました。

4Gamer:
 ゲームを進めるとストーリーマンガが開放され,それを読むだけで物語や世界観が分かるんですよね。ストーリーをスキップしがちな人でも,マンガなら読んでみようかなという気持ちが起きやすいように思いました。

信田氏:
 次は「手軽なプレイ感覚」です。本作は放っておけばオフライン中でもキャラクターが自動で戦い,経験値や金貨を稼いでくれる仕組みで,細かな指示を出す必要もありません。逆に言えばキャラクターは常に冒険していて,それを止める手段が存在しないくらいです。いわゆる周回,マラソンみたいな概念をなるべく放置要素に集約できるように調整しました。ログインすれば放置した分だけアイテムなどを獲得できるので,時間がない人でも楽しみやすいです。

4Gamer:
 報酬の回収もワンボタンですし,導線や操作回数が意識されているように感じました。

信田氏:
 実際に遊ぶと分かると思うのですが,プレイヤーがクエストに挑戦してバトルが発生しても,プレイヤー同士での対戦が発生しても,放置で進行する冒険は中断されません。すべてのバトルが並行して存在できる仕様になっているので“待ち”の時間が極力発生しない仕組みになっているんです。バトル自体の操作も不要ですから,その点で手軽なプレイ感覚を実現できていると思います。バトルを並行して進められるからこそ,プレイヤーからは“放っておけない放置ゲーム”という声があがるくらいです。

4Gamer:
 放っておけない(笑)。たしかに,地図画面でボスに挑戦している間にクエストでダンジョンを探索し,バトルに突入したら地図画面に戻って回収して……という具合に繰り返していると,放置ゲームなのにずっと操作していることに気付かされました。その気持ちはとてもよく分かります。

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信田氏:
 あと,これは日本向けのサービスにあたって変えた部分なのですが,クリアしたクエストは「派遣」という形で,クリアした難度以下のものは探索マップに入らなくても完了できる仕様です。その点でも周回の手間を省いています。

4Gamer:
 もともと「派遣」は存在していなかったのですか?

呉氏:
 存在はしましたが,今より条件が少し厳しい設定でしたね。ただ,周回がルーチンになってしまうのであれば,短縮してしまったほうが“お手軽”というコンセプトに合っているだろうなと。

4Gamer:
 信田さんが最後に挙げていた「奥深い戦略性」は,手軽さとは反する部分もあるかと思います。その点については,どのようにバランスをとっているのでしょう。

信田氏:
 キャラクターは3つのアクティブスキルを持っていて,各スキルはほかのキャラクターとの相性次第で発揮できる能力が変化します。それこそ,単品では役に立たないようなスキルも存在しますが,「攻撃回数が多いスキルを持つキャラクターと一緒に使うと爆発的に強くなる」といったシナジーで大化けする仕組みになっているんです。とにかく“組み合わせの妙”で戦略を組み上げられるよう,スキルに関しては徹底して調整を行いました。結果として,スキルの内容はほぼ一新しています。

4Gamer:
 よりゲーム性を奥深いものにするため,スキルの内容にも手を入れていると。

信田氏:
 ほとんどのキャラには“特定の状況になったら特殊効果が発動する”といったトリガーのあるスキルが設定されていて,いくつかのスキルを眺めていると「あれ,これとこれは相性が良いのでは?」と思いつくことがあるかもしれません。
 その思いつきは大抵の場合で実現できて,目に見える形で効果が発揮されます。当然ですが序盤の冒険ではあまり深く考える必要はありませんが,カッチリと戦略がハマるのはなかなか快感で,そこから「じゃあ,あれもこれも」と,いろいろなスキルの組み合わせを楽しめるんじゃないかと。

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4Gamer:
 ゲームシステム全体を見ると,ゲーム内ラジオや充実したチャット機能など,プレイヤー間の交流を活性化させる要素が取り入れられている印象を受けました。これらは,中国版から引き継がれた要素なのでしょうか。

信田氏:
 ラジオ自体は中国版からありましたが,使い方は変わってくるかと思います。日本では連続性のあるコンテンツを提供することで出演者をマイクロ・インフルエンサーと位置付ける形式で運用していますが,中国版のラジオは芸能関係の業者さんに任せているような格好だったんです。

呉氏:
 本作のように“ゲーム内にラジオ局を作る”という試みは本作が初といって良いかと思います。しかし,内容がゲームと直接関係なかったり,初見プレイの様子を流すだけであったり,ラジオというシステムを上手に活かしているとは言い難い状況でした。
 その点でブシロードにはHiBiKi Radio Station(インターネットラジオのポータルサイト)がありますし,本作には豪華声優陣にもご出演いただいていますので,これを活かせばゲーム内ラジオで独自のコンテンツを提供できるだろうと考えています。

4Gamer:
 それは楽しみですね。正式サービス時には,どんな番組を配信する予定なんですか。

呉氏:
 詳細はお話しできませんが,趣向に富んだ番組をご用意する予定です。もちろん,声優の皆さんに生出演いただく予定もありますので,ぜひご期待ください。
 放送時間にボタンを押すとBGMとラジオが入れ替わり,ゲームを遊ぶ手を止める必要はありません。ラジオ用のチャットも用意していて,生放送をしている場合は配信者側もチャットを確認できますので,コメントを拾ってリアルタイムの交流を楽しむことも可能ですよ。

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4Gamer:
 ラジオをとおして交流を楽しめる仕組みがしっかりと整備されている,ということですね。本作にはギルドなどの要素もありますが,ラジオ以外にもプレイヤーの交流を深められるシステムはありますか?

呉氏:
 ギルドレベルが一定以上になると,ギルドメンバー同士で協力しながら広大なマップ「次元の空海」を開拓していく「ギルドダンジョン」という要素が開放されます。最初はマップ全体が霧に覆われているので,これを払いながら奥へと進んでいき,より深い階層へと進んでいくのが目的です。

4Gamer:
 (ギルドダンジョン画面を見て)おお,メチャクチャ広いですね。これを協力して開拓するとなると,マップ上に出現する敵を倒していくようなイメージですか。

呉氏:
 もちろん敵も出現しますが,まずは専用のアイテムを使って霧を晴らす必要があります。霧を晴らすアイテム自体は初心者でも入手可能ですので,戦闘が得意な人は戦闘を,初心者はマップ開拓と報告を,という形で役割分担ができます。プレイヤーキャラのレベルに関係なく,どの層の人にも役割を用意できるのがギルドダンジョン最大の魅力です。

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ブシロードだからこそ実現した徹底的なカルチャライズ


4Gamer:
 ここまでのお話のなかでも,日本向けに調整された要素が挙がりましたが,カルチャライズにあたってとくに大きく手を加えたのは,どの部分でしょう。

信田氏:
 ガラリと変えたのがスキル関連のシステムですね。中国版ではスキル発動順をプレイヤーが設定できず,完全にランダムなんです。時間経過(ターン数)の概念なども存在したのですが,それも完全に排除してスキル特性に吸収させました。

4Gamer:
 別物と言えるほど変わっていますね。それほど大きく手を加えたのは,何か狙いがあったのでしょうか。

信田氏:
 中国版には属性の概念などが存在せず,今よりもプレイヤーが介入できる要素が少なかったのですが,そうなると“強さ”の基準が単純な攻撃力になってしまい,最強パーティが文字通りの“最強”だったんですよ。流石に日本では納得感を与えられないと考え,大幅な改修に踏み切りました。

呉氏:
 開発会社の皆さんは昔から日本のゲームを遊んでいて「日本のゲームのような作品を作りたい」という意気込みがある,と聞いています。ただ,中国版は中国国内でのサービスを目的に制作されているタイトルですので,ターゲットに合わせたチューニングが行われています。だからこそ,日本でのサービスイン時にはしっかりしたカルチャライズが必要なんです。

4Gamer:
 そういえば,属性の名称もちょっと珍しい言葉があてられていますね。

信田氏:
 実を言うと,現在の属性名ですらおとなしめに調整をしたバージョンでして……。もともとは“オラクル属性”とか,字面から属性との関連性を見出すのが難しいレベルだったんですよ。開発チームは良い意味で中二エネルギーが爆発しているので,我々はその熱量はそのままに,皆さんにも分かりやすい形でお伝えできるよう努力しました(笑)。

4Gamer:
 確かに,世界観の厚みは細部から感じ取ることができました。先程お話しいただいたマンガによるストーリーの描写が衝撃的だったのですが,これは元々あった要素なのですか?

信田氏:
 いえ,日本版からのオリジナル要素ですね。
 本作の世界観は非常に濃厚かつセンスフルなんです。例えば,世界観やキャラクターの設定だけでも初期時点で日本語換算15万字くらいあってですね……。

4Gamer:
 15万字! 目をとおすだけでも大変ですね,それは。

信田氏:
 加えて,中国版にはシナリオをガッツリと見せるのに適したシステムがなく,アドベンチャーパートと頭の上に出るフキダシくらいしかテキストを出す場所がない状況だったんです。
 せっかく重厚な世界観があるので,何かしらの形で演出を強化したい……と,思ったところで行き着いたのが,ブシロードメディアで編集・発行している月刊ブシロードのコミック展開のノウハウでした。じゃあそこに声をかけてみようじゃないかと。

4Gamer:
 ストーリーマンガは“とってつけた感”がなく,単体で見てもクオリティが高かったです。

信田氏:
 もともと「異なる文化を持つ7つの大陸を旅する」というのが作品の大筋でしたから,とにかく“風景を上手に描ける方”を探していたんです。そこで,折よく風景や背景の表現に定評のある佐藤夕子先生に依頼することができまして。これで,マンガでのストーリー表現がいけると確信しました。

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公式サイトにてオープニングのコミックが公開中


4Gamer:
 マンガで大筋のストーリーを描くことでキャラクターを深掘りできますし,風景描写によって視覚的に世界観を伝えやすいとなると,イイコト尽くしですね。

信田氏:
 好きなタイミングで楽しめるのもマンガの強さだと思っています。「ゲームを進めたいときは閉じて,ゲームを進めて気になってきたら読めば良い」という気楽さは,本作のコンセプトともマッチしているのではないかと。

呉氏:
 ゲームをプレイするときって,自分のリズムがあるじゃないですか。「戦闘をしたいのにストーリーが始まった」とか「ストーリーの合間に無駄な戦闘が入る」とか,イライラさせられることもあるかと思います。本作にもそういった問題は少なからずあったのですが,カルチャライズによって解消できたと考えています。

4Gamer:
 ほぼオリジナルでマンガを制作していることになりますが,このあたりは開発チームとどのように折り合いを付けているのでしょう。

信田氏:
 中国版では明確なシナリオが明示されているわけではなく,作品世界におけるキャラクターの人生を切り出すような形でシナリオが作られていました。しかも,スクリプト上で書いている関係で“後付け”が可能なので,絶対的なシナリオのラインが存在しない状況だったわけです。
 我々は大筋として決まっている流れと子細を受け取り,それを翻訳してキャラクター描写の基礎を決定。プロットを作って漫画家さんに提供し,成果物を開発に送る,という形式でシナリオを作っていきました。

4Gamer:
 なるほど。

呉氏:
 もともとは物語の見えない部分をあえて想像させるような仕組みを採用していて,重要な部分だけをシナリオとして描いていたんですよ。ただ,それだけだと国内向けサービスを行うにあたっては説明が足りなすぎる部分があり,今回のような仕様となりました。

信田氏:
 開発チームは設定を作るのは得意なのですが,それをひとつなぎにするのは苦手としている部分のようでして。僕らはそのお手伝いをしているイメージです。

呉氏:
 調整点といえば,韓国のゲームミュージック音楽集団SoundTeMPで活動していたNauts(Nam Goo-min)さんに,新規で7曲書き下ろしていただいています。もともと汎用曲を使っていた場面に新しい曲を採用するなど,楽曲面でもかなり力を入れていますよ。

4Gamer:
 おお,音楽面まで。

呉氏:
 放置する時間が長い作品なので音楽との相性も考えたんです。ブシロードグループには音楽を扱う部門も存在しますので,耳の肥えた皆様にもご満足いただけるものをご提供できればと思い,新曲を追加することになりました。CBT時点はBGMの差し替え前なので,どういった曲かは正式サービスまで楽しみにしていただければと。
 ホームと地図画面の楽曲も差し替えを予定していて,メロディラインを合わせてシームレスに曲を切り替える演出にもしっかり対応しています。そのあたりにも注目してみてください。


CBTで高評価を受けた戦略的なバトルシステム
ゲームラジオはプレイヤーによる放送も視野に


4Gamer:
 CBTが2019年8月に行われましたが,そちらの反応はいかがでしたか。

信田氏:
 反応は想像以上に良かったですね。数字で言えば類を見ないレベルで継続率が高く,それを見た開発チームが驚きの声を上げてしまうくらいでした。
 CBT終了後のアンケートを見ると,ゲーム性に対する反応がとくに良好で,この反応はまったくの予想外でしたよ。

4Gamer:
 もっと別の部分に注目が集まると思っていたと。

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信田氏:
 ええ。CBTに参加してくれていたのはブシモタイトルのファン。つまり,「BanG Dream!」「ラブライブ!」といった作品に触れてきた若いライト層で,そこに絞ったプロモーションをしていました。なので,コアゲーマー層に刺さる要素が評価されるとは思っていなかったんです。このテスト自体が,ゲーマー向けの調整がライト層に受け入れられるのか否かの試金石でもあったので,ここまで受け入れられるとは思っていませんでした。

4Gamer:
 そういった層のプレイヤーは,CBT期間中にどういった遊び方をされていたのでしょう。

信田氏:
 フレンド同士で対戦して,いろいろな編成を試しているようでしたね。実際,CBT期間中のチャット欄には「フレンド対戦をしよう」という呼びかけがよく見られました。このゲームのフレンド対戦にはとくに報酬がなかったので,バトルと研究を楽しむためだけの対戦をしていたんでしょうね。予想だにしない遊び方だったのですが,我々としては嬉しい誤算でした。

4Gamer:
 日本版での調整はしっかりと評価されていた,ということですね。では逆に,調整の要望を受けた要素などがあれば教えてください。

信田氏:
 一番多かったのは,システム説明やチュートリアルが不足しているという指摘でした。中国版における本作はゲーマーをターゲットにしていたので,プレイヤーの知識に頼って「やれば分かるでしょ」というスタンスが取られていた部分が多く,チュートリアルが少なかったんです。

呉氏:
 システム的にはかなりカジュアルに見えるんですが,作品としてはゲーマー向けなんですよ。

信田氏:
 それに関連して,レベル30で開放される「秘境探索」についての改善要望も多かったです。
 これは協力型のコンテンツなのですが,開放後に入ると何の説明もなくチームを組まされて本番がスタートし,成績が悪いとペナルティが入る。場合によっては晒されるという恐ろしいシステムが採用されていまして……。

4Gamer:
 それは震えますね……。

信田氏:
 もちろん,正式サービス時にはチュートリアルを追加しますし,秘境探索でも初プレイ時のペナルティを免除して,ペナルティがつく条件などもしっかりと説明する仕組みを作ります。初プレイ時には初心者マークが付くので,もう少しのびのびと遊べるようになるかと。
 それ以外にも「1回やらせてみる」という形でチュートリアルを追加しているので,少なくともCBTを体験してくれた方は改善を体感できると思います。

4Gamer:
 チュートリアルって塩梅が難しいですよね。あまり多すぎても煩雑になりますし,追加する,しないの判断は難しそうです。

信田氏:
 そうですね。ゲーマーからすると「そんなの画面を見れば分かるじゃん」と思う部分であっても,実は説明が必要だったりするんですよ。例えばクエストマップは,ゲーム慣れしている人が画面を見れば「タップした場所に移動するんだな」と,すぐに理解できるでしょう。でもCBTの結果を見るに,そこでドロップアウトしてしまう人も少なくありませんでした。
 最初は地図上に指示が出ているから言われたとおりに動けば良いものの,自由に探索可能になると,何をすれば良いのか分からなくなってしまうんです。

呉氏:
 チュートリアルはもちろん,細かなプレイフィールも良くなっていますので,誰でも快適に遊べる環境作りを目指して制作を進めています。

4Gamer:
 なるほど。では,正式サービス後にどんなアップデートを行っていくのか,お話しできる範囲で教えていただけますか。

信田氏:
 まず,キャラクターは定期的に追加していく予定です。かなりハイペース,それこそ1週間に1体くらいのスピード感での追加になるので,ぜひ期待していてください。

4Gamer:
 相当なペースですが,ゲームバランスの面は大丈夫なのでしょうか。

信田氏:
 “キャラクターが増える=インフレ”と捉えられがちなのですが,単純に強いキャラクターを作ってゲームの面白さを損ねてしまうのは僕たちも望んでいません。先程お話ししたとおり,本作はキャラクターの組み合わせが面白さの核となる作品ですから,単に強いキャラクターを出しても面白くなりませんからね。
 方針としては,今まで組み合わせられなかったキャラクター同士の仲立ちができる能力を考えるなど,インフレを抑えつつ新鮮な体験をお届けできるよう,しっかり調整を行います。

4Gamer:
 そういった調整ができるのは,キャラクター単体ではなく,ほかのキャラの組み合わせを前提に作られている作品の強みですね。

信田氏:
 また,単にキャラクターを増やすだけではなくて,追加キャラをしっかりと皆さんにお見せするために,大型のシナリオイベントを追加する予定です。
 イベントというと周回であるとか,どうしてもプレイ時間が伸びてしまう印象がありますが,そこは本作の持ち味である“手軽なプレイ感覚”を潰してしまわないよう,楽しむために必要な時間には気を遣いながら調整を重ねています。

4Gamer:
 チュートリアルの改修は先程お話しされたとおりかと思いますが,プレイアビリティの向上に関してはいかがでしょうか。

信田氏:
 UIやシステム部分の改修は随時続けていきます。「このボタンちょっと小さくて押しづらい」とか,そういったレベルでまったく構いませんので,どしどし意見をお寄せください。開発チームは非常に手が早いので,修正内容を伝えて内容が妥当であれば,かなり早くフィードバックが来ることを確認しています。彼らを信頼して,どんどん改修を進めていきたいですね。

4Gamer:
 ゲーム内ラジオに関連した施策についてはいかがでしょうか。正式サービス後からいかにラジオを活用していくのか,という点もお聞かせください。

呉氏:
 現状で発表できる範囲では,今井麻美さんが生出演する企画が進行していて,ほかの声優さんにも出演交渉をしています。ぜひご期待ください!

信田氏:
 CBTのときにはMAB職員という,ゲーム内で生配信を行う専門の職員を用意していまして,その中には固定ファンを獲得した人もいたりするんです。面子が変わる可能性はありますが,正式サービスでも似たような配信を行っていく予定です。
 もしかしたら,プレイヤーさんに「ちょっと出てみませんか?」とお願いするかもしません。まだ確定ではありませんが,我々としてはやってみたいと考えています。

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呉氏:
 現状のバージョンでは機能を開放していないのですが,システム上ではこちらが指定したアカウントは配信が可能になっています。ですので,もしプレイヤーの放送を実際にやるとなれば,問題なく実行できますよ。

4Gamer:
 公式のラジオ配信があって,プレイヤー自身も配信ができるとなると,ゲームアプリの枠をちょっと超えている気がしますね。

信田氏:
 まさに僕らが目指している地点の1つがそこで,コミュニティ,ポータルっぽいアプリをイメージしています。それを実現するためにも,ぜひ多くの方にご参加いただければと。

4Gamer:
 ラジオを活用すれば,本作独自の展開が楽しめそうですね。異なるIPとのコラボなども盛り上がりそうですが,そのあたりについてはどうでしょう。すでに決まっているものはありますか?

呉氏:
 中国版でもさまざまなIPとコラボをしているので,日本でもそういった施策は実施していきます。なによりブシロードは多くのコンテンツを保有していますので,そちらとのコラボもしっかりと行っていく予定ですよ。
 これは既報になりますが,その第1弾としてTCG「ヴァイスシュヴァルツ」のロストディケイドパックが2020年5月に発売されます。それに限らず,正式サービス後からもブシロードらしいコンテンツをドンドン提供していきます。

4Gamer:
 ありがとうございます。最後に,正式サービスを心待ちにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

信田氏:
 しつこいようですが,本作では魅力的なキャラクターをハイペースでたくさん登場させていく予定です。性能面でも,イラストでも,演じている声優さんでも構いませんので,まずはお気に入りのキャラクターを見つけて,そこからパーティ編成を考えてみてください。
 また,このゲームには非常に濃厚な世界観設定や物語が用意されているので,キャラクターに背景やつながりを探す楽しみ方もアリです。肩肘張らず,時間をかけずとも楽しめるゲームですので,長くじっくりとお付き合いいただければ幸いです。

呉氏:
 ブシロードは現在,IPデベロッパとして成長している段階ですので,ロストディケイドもIPとしてしっかりと育成していきます。5月のブシロード祭に出展をするなど,ゲームの外でもさまざまな展開を用意していますので,オンライン,オフラインともに楽しんでいただければと思います。

4Gamer:
 ありがとうございました。

――2020年1月28日収録


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※本稿で使用しているスクリーンショットはすべて開発中のものです。
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