プレイレポート
Nintendo Switch/スマホ「BUSTAFELLOWS」を紹介。自分の正義を貫く男性達と共に“闇”と対峙する,恋愛要素もありのクライムサスペンス
2019年12月19日発売の「BUSTAFELLOWS」(Nintendo Switch/iOS/Android)は,2017年に発売されたPS Vita用ソフト「Side Kicks!」のスタッフが再集結して,制作された,本格クライムサスペンスをテーマとするテキストアドベンチャーゲームです。ある不思議な能力を持った主人公が,ひょんなことから悪徳弁護士,殺し屋を殺す殺し屋,美容形成外科医,検死官,サイバーギークといった癖のある男性達と共に,架空の街「ニューシーグ」に潜む闇と対峙することになる,というのが本作の物語。
今回は,Nintendo Switch版とスマートフォン版が同日に発売されるという,ちょっと珍しい形で登場した本作の魅力を,第1章を中心に紹介していきます。
※掲載している画像は,すべてNintendo Switch版のものです
〜メインキャラクター〜
『変えられる』主人公
◆テウタ(Teuta)
※名前変更可、デフォルトネームボイス有、ボイス有(ON/OFF選択可)
CV:近藤 唯
身長:165cm
年齢:21
「私にとっては『再放送』なの」
ニューシーグで活動するフリージャーナリスト。幼い頃に兄が殺される事件を経験し、正義を果たすことを胸に記者になった。「他人になって時間を遡る」という不思議な能力を持ち、それを取材や人助けに活かしている。性格は明るく快活で積極的。運動神経は抜群で、特に足の速さが自慢である。記者なのに写真を撮るセンスがない。
『絶対無罪』の悪徳弁護士
◆リンボ(Limbo)
CV:KENN
身長:180cm
年齢:27
「法律が守るのはこの世界の『形』だけだ。何が正義かは、俺が決める」
殺人罪でも無罪にしてしまう悪名高い弁護士。明るく飄々とした態度で常に余裕を感じさせる男。自分なりの基準で法を利用し、正義を果たしている。『悪徳弁護士』などと呼ばれてはいるが、法の網をかいくぐる手腕は痛快で、街ではヒーローのような人気ぶりである。同じく法律家の姉には全く逆らうことができない。
殺し屋を静かに消し去るキラー・キラー
◆シュウ(Shu)
CV:細谷佳正
身長:185cm
年齢:28
「復讐の種は一粒残さず、確実に殺す」
リンボと組んでバウンティハンターを生業とする一方で、殺し屋を殺す殺し屋、いわゆるキラー・キラーとして活動している。気だるげな態度からやる気がなさそうに見えるが、自分なりの美学を持っている。音もなく殺す暗殺を得意とし、格闘技、射撃技術はトップクラス。特に遠距離の狙撃は随一。愛煙家。
外見を作り変えるプロフェッショナル
◆ヘルベチカ(Helvetica)
CV:吉野裕行
身長:176cm
年齢:26
「第一印象の9割は外見です。美しくなることを恐れないで」
ニューシーグで人気の美容形成外科医。変装や演技が得意で、女装もお手の物。道ゆく女性を点数付けしたり、軽薄な印象を与えがちだが、生まれ持った外見は変えることができる、生まれ変わることができるという信念を持っている。自分の容姿や能力に高い自信を持っているが、自身の過去の記憶はほとんどない。
死のスペシャリスト
◆モズ(Mozu)
CV:福山 潤
身長:174cm
年齢:25
「人は誰でも、死に取り憑かれる」
法医学研究室の研究員であり、検死局の主任を務める検死官。死体から様々な情報を見つけ出すことで、警察の捜査に協力している。寡黙で、表情や態度に感情を出さないため、無感情だと誤解されがち。検死局では死体に話しかけたり、動物の死体を解剖するのが趣味だと噂されている。自転車が好き。
自称『裏社会のボス』
◆スケアクロウ(Scarecrow)
CV:白井悠介
身長:178cm
年齢:22
「待たせたな。俺がスケアクロウ……裏社会のボスだ!」
インターネット上で有名なサイバーギーク。ハッキングやマネーロンダリング、盗み、情報屋など、さまざまな分野に高い能力とコネクションを持つ、自称『裏社会のボス』。インターネット上では顔が広いが、本人に会ったことがある人は少ない。大変陽気なお調子者で、子どもっぽいところがある。
不思議な力を持つ主人公が悪徳弁護士の命を救う
物語は,警察署の一室――取調室から始まります。悪名高い弁護士・リンボがある容疑者に呼ばれたことで取調室を訪れ,容疑者に接見するのですが,その人物は不思議なことばかりを話します。
そんな容疑者の様子をリンボは「心神喪失で責任能力なしと判断されることで,刑を軽くしようとしている」と考え,それは自分のポリシーに合わないと依頼を断るのですが,そんなリンボに対して,相手は諦めずに「あなたは死ぬ」と伝え続けるのでした。
本作の主人公は,いたって普通のフリージャーナリスト。
ニューシーグ警察殺人課の刑事であるルカ(CV:西川 舞)と,報道番組「ザ・ゼロアワー」でアンカーマン(メインキャスター)を務めるアダム(CV:石川界人)という2人の幼なじみと大人になっても集まって食事をするような,そんな良好な人間関係を築いていますが,いまは仕事のことや住んでいるアパートのことで悩みを抱えています。
街中でリンボと遭遇した主人公は,ここぞとばかりに取材を試みますが「突撃取材は嫌い」ということで,名刺を渡されただけ。
取調室で面会したイリーナが語ったのは,自分がいた組織のことでした。ただし,与えられた情報はどれもが抽象的で,暗号のようなものです。
そこで主人公はある賭けに出ることにします。
実はこの主人公……,「別人の姿で時間を遡る」という特殊な能力を持っています。
過去に戻れるというのは便利な能力のようにも感じますが,その時間で行動できるのは自分ではなく他人の体で,しかもその相手は完全にランダムで決まるため,若干使いづらい部分もあります。
ここでの賭けというのは,能力を使って,リンボに死の危険について伝えるということでした。すぐに能力を発動させた主人公は時間を遡り,ある犯罪者の姿で目を覚まします。
勘のいい人なら分かるかもしれませんが,この犯罪者というのが物語冒頭でリンボに「あなたは死ぬ」と伝え続けた人物。つまり,あの時リンボがやり取りをしていた容疑者というのが,時間を遡った主人公だったのです。
どうして自分がこれから死ぬのを知っているのかというリンボの問いに対して,主人公は正直に自分が「時間を遡る能力を持っている」と伝えますが,簡単には信じてもらえません。そりゃそうですよね。
元の時間に戻った主人公ですが,リンボの血に塗れていた手は何事もなく,周辺に血溜まりもないことから,おそらくリンボを助けられたのだと思い,待ち合わせのお店に向かうことにします。
待ち合わせのお店でリンボを待っていると,謎の男性……シュウが現れ,戸惑っているうちにリンボがお店にやってきます。主人公は,彼が死ななかったことに安堵しますが,どうやらなにかを企んでいると疑われてしまっているようです。
ということで,先程見せてもらったリンボの持ち物を当てることになります。ここではプレイヤーが選択肢を選ぶことになるのですが,時間制限付きの選択肢となります。時間内に正しいと思う選択肢を選びましょうね。
そんな緊迫した空気のなか,主人公のスマートフォンに着信が。相手は,現在住んでいるアパートの大家さんで,引っ越しと家賃と建て替え費用についての話でした。主人公にとって,いま大きな悩みのタネになっているのはこのアパートの件です。
アパートの建て替え費用を負担するしないについての契約書に頭を悩ませており,主人公は弁護士を立ててでも建て替え費用は払うつもりがありません。
そこで,取材がだめなら弁護士として――とリンボにお願いしてみると,こちらはあっさり引き受けてもらえることに。結局,主人公はリンボにアパートに関する契約書について相談する弁護士になってもらいます。
さらに,主人公がオルテガという人物に雇われていないことを証明するため,しばらくの間,リンボ達と協力関係を結ぶことになるのでした。
リンボやシュウ,ほかの協力者達と共に街の“闇”と対峙する
リンボには,シュウ以外にも個性的な協力者がいます。
まず顔を合わせたのは,人気の美容形成外科医であるヘルベチカ。初対面である主人公に点数を付けたり,手の甲にキスをしたり……と,とにかく軽薄な印象な彼もリンボの協力者の1人です。ちなみに主人公は63点。ヘルベチカの基準としては高めのよう。
モズもその時のことは覚えているようですが,彼の興味はどちらかというと“死んだリンボ”にあるようで,どういう風にリンボが死んだのか尋ねてきました。まだ生きてるんですけどね。
そしてもう1人。1章の序盤では,通話で会話に参加してくる謎の人物が登場。彼の正体は後々明らかになります。
リンボの協力者が全員(1人は通話参加)集まったところで,彼を殺そうとする人物に制裁を与える作戦を練ることになります。その結果,リンボには“死んでもらう”ことになります。
もちろん実際に死ぬわけではなく「リンボが死んだ」という嘘を流すというだけなのですが,それぞれが手際よく準備を始めようとすると,嘘の主役でもあるリンボからは思わずツッコミが。こういうテンポの良いやり取りが彼らの面白いところです。
人助けをした結果,厄介なことに首をつっこむことになった主人公は,オルテガの仲間ではないと証明されるまで,彼らと協力関係を結びつつ監視されることに。主人公のスマートフォンも「この件が終わるまで」ということでシュウの手元に渡るのでした。
計画を実行する日,それぞれがしっかりと役割をこなし,無事リンボが死んだという噂を流すことに成功します。
さらに銀行口座のお金の流れまで確認されてしまいましたが,その結果は白。怪しい点は見つからず,主人公はただの一般人だろうという結論を出したようです。
法に触れる方法で自分のことを調べ上げたんじゃ……と問い詰める主人公に対し,リンボは「何が正義かは,俺が決める」と言い出します。
彼らは自らを「フィクサー」とし,法律やルールではうまく回らないものを,自分達なりのやり方で,自分達のやりたいようにそれぞれの得意分野を生かして回しています。世界の不平等で理不尽なものを,ちょっとだけただして,そのついでに儲けを少しだけもらう。そうやって世界のため,自分のために動くというのが彼らの“正義”なのです。
そして今回の一件もその正義のため,怪しいお金の動きを追ってたどり着いた結果の出来事でした。たどり着いた先というのは「バンク・オブ・ニューシーグ」の頭取・オルテガ……リンボが死ぬ直前に言っていた名前でした。
オルテガを誘い出すことに成功したリンボ達は鮮やかに彼を追い詰め,その様子を動画で生配信します。そして,一連の出来事がニュースとなったのでした。
カルメンのお店で祝杯を上げていたリンボ達にスマートフォンを返してもらった主人公ですが,なぜか鬼のように留守電が……。ルカやアダム,大家さんからの留守電メッセージから察するに,住んでいたアパートで何かあったようで,主人公はリンボ達と共に自宅へと向かうことになるのですが,そこには見事なまでに崩れたアパートの姿が。
引越し先も見つからない主人公は,幼馴染の2人に迷惑はかけられないと,自分でとりあえずホテルを探すことになります。そんな時,リンボがスケアクロウにある提案をします。
実はスケアクロウの暮らしている家は,豪邸と呼べるほど広く,リンボ達もアジトとして使っているのですが,ゲストルームも多く用意されています。そこで,新しい家が決まるまでの間,主人公はスケアクロウの家にあるゲストルームで暮らすことになるのでした。
訪問した家で主人公は初めてスケアクロウと直接会うのですが,登場の仕方がかなりコミカルで面白い! やっていることは凄いですし,なにより自称“裏社会のボス”なわけですが,通話からも感じられた通り,ちょっと子供っぽい一面を持つ男性のようで,裏社会のボスの割りに,妙に馴染みやすい人物です。
こうしてすべての協力者が揃ったところで,ご褒美タイム! 今回の一件で得た報酬を山分けすることに。
そこで,主人公は自分も仲間にいれてほしいと願い出ます。
しかし,リンボ達は最初から主人公を仲間にするつもりでした。泊める部屋を用意したのも親切心からではなく,自分達のやっていることを身近で見た主人公をそのまま解放する気がさらさらなかったためで,つまり口止めのために,身近に置いておくということなのです。
そんな事情を聞かされてしまいましたが,主人公の意志は変わりませんでした。リンボ達がやっているフィクサーという仕事が良いことなのか,悪いことなのか――いまはまだ分からない主人公ですが,フィクサーという仕事に加わってみたいと考えます。
いまの仕事を選んだ理由について,6年前に死んだ兄の話も交えつつ語ったことで,仲間入りを認められた主人公は,正式にリンボ達と手を組むことになるのでした。
……と,ここまでが第1章の話なのですが,ボリュームがあって,しかも楽しい! 第1章はNintendo Switchおよびスマートフォン版のどちらでも無料で体験が可能です。気になった人はまずは体験版で遊んでみてくださいね。
ちなみにNintendo Switch版とスマートフォン版の内容に大きな違いはありません。特典等がほしい人はNintendo Switch版で,ゲームを早く遊びたいだけという人は,手軽に始められるスマートフォン版でのプレイもおすすめです。
しっかりと作り込まれたゲーム本編とおまけ要素
リンボ達と正式に協力関係を結んだことで,主人公は何度もトラブルに巻き込まれ,街に潜むさまざまな“闇”と対峙することになります。そして,次第にそれぞれの抱える事情を知り,最初に思っていた印象とは違うと感じ,どんどん彼らのことが好きになっていきます。
クライムサスペンスをテーマにした物語のなかでは,メインキャラクターだけではなく,サブキャラクター達にもしっかりとした人間ドラマが用意されています。それがより物語を重厚なものにしており,彼らのことも好きになるはず。
本作で個別ルートにたどり着くためには,その相手と相性が良いと思う選択肢を選んでいく必要があります。しかし,選択肢をぱっと見ても,どれを選べば誰と相性が良い選択肢なのか,正直よく分からないときもあります。なので,まずは直感でプレイしてみるのをおすすめします。
2周め以降は,選択肢まで一気にスキップできる機能があるので,簡単に選択肢を選び直せるのがありがたいです。
物語のなかでさまざまな用語が登場しますが,それらは「アーカイブス」で詳細が確認できます。アーカイブスの中身はかなり細かいうえに,作中には登場しないいイラストも! 物語を進めるにあたり,ぜひ合わせて読んでほしい内容となっています。
Nintendo Switch自体には,実績機能はありませんが,本作には独自の実績「メモラビリア」が用意されています。メモラビリアによっては取得方法のヒントが書かれているものもありますが,なかにはどうすれば手に入るのか分からないものも……。
すべてのメモラビリアを手に入れることで取得できるものもあるようなので,ぜひコンプリートを目指してみてくださいね。
なお本作のBGMは,ゲーム内でスケアクロウから1枚のCDをもらうことで,自由に聴けるようになります。このCDですが,限定版に付いてくるサウンドトラックCDと同じデザインになっているのが面白いです。
同じく限定版に付いている冊子には,キャラクターデザインのことやスタッフコメント,ニューシーグのマップが掲載されています。こちらも特典としてはボリュームがありますが,ネタバレも含まれるので読む際にはご注意を。
「Side Kicks!」でも思ったことですが,本作もしっかりと作り込まれた作品となっており,細かい演出にもこだわりを感じます。新しい章が入るたびに流れる予告も,本作の雰囲気にぴったりとマッチしていて,次の章への期待が高まります。
全体的に映画のような展開が繰り広げられる本作は,物語が進むにつれ,伏線が回収され,衝撃的な展開を迎えます。ボリュームがある作品なので,年末年始にプレイするのがおすすめですよ!
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「BUSTAFELLOWS」公式サイト
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(C)NIPPON CULTURAL BROADCASTING EXTEND INC.
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