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[CEDEC 2021]ゲームがネットワーク全体に及ぼす影響とは? ゲームトラフィックの現状や5G通信の可能性が語られたセッションをレポート
ネットワークサービスの運用者が集まって情報交換や議論を行う技術コミュニティであるJANOG(JApan Network Operators' Group)と共同で,2019年にスタートしたこのコラボセッションも今年で3回目となり,今年は「ゲームトラフィックの動向と課題、それに対する5G関連技術の可能性」がテーマとして選ばれている。
登壇したのはNTTコミュニケーションズの川上雄也氏,ソフトバンクの堀場勝広氏,コナミデジタルエンタテインメントの佐藤元彦氏で,新型コロナウイルス禍の中で増大するネットワークトラフィックや,5G通信がゲームに及ぼす影響やその取り組みなどが語られた。本稿ではその中から,とくゲームに関係が深い話題をレポートする。
ゲームトラフィックについて
まずは川上氏から,ゲームトラフィックの現状について報告が行われた。
新型コロナウイルスによって外出が制限されている昨今,娯楽をインターネットに求める人は増加傾向にある。7月23日からは東京オリンピックもスタートし,さらなるネットワークトラフィックの増大が問題となっているとのこと。
8月3日と8月4日にはサッカー男子準決勝の中継と「フォートナイト」「Apex Legends」のアップデートが重なったが,アップデートが配信された時間のトラフィックは,中継に比肩する伸びを見せている(ただし持続時間は中継の方が長い)。
とくに「Apex Legends」では,中継が終わった後だったにも関わらずトラフィックの増加が非常に大きく,もしピークタイムに配信が行われていたならば,かなりの負荷になっただろうことが予想される。ゲームがネットワークに及ぼす影響の大きさが分かる事例といえるだろう。
こうなると,プレイヤーとしては設備の増設などでトラフィックの緩和を望みたくなるが,半導体不足により現状では非常に難しい状態であるという。これに加えPCやコンシューマゲーム機向けの大容量の配信が,固定回線で突発的に発生するため,こちらも課題になっているという。
ゲームの通信品質について
次は佐藤氏によって語られた,ゲームにおける通信品質の話題だ。
ネットワークの遅延は,iPhone12の5G対応やゲーム用の高速回線オプションなどにより,新たな環境では改善されつつある。つまり「乗り換えたユーザーからどんどん良くなっている」(佐藤氏)状態なのだとか。
一方で,既存の環境では悪化が続いている。かねてから指摘されているように,IPv4アドレスは枯渇の問題があり,かといって頼みの綱のIPv6は普及しきっておらず,IPv4を切り捨てることはできないのが現状だ。
佐藤氏は,「新しい環境に皆が乗り換えてくれれば,開発者側も高速回線を想定してゲームが作れる」と語りつつ,とはいえ広くプレイしてもらうには古い環境もサポートしなければならないジレンマの現状を紹介した。
5Gと4Gの違い
3つめは,堀場氏による「5Gと4Gの違い」についての話題だ。
5G回線のメリットには,「無線区間(端末から基地局のアンテナなど,無線でつながる区間)の高速化」「End to End(通信経路全体)の低遅延化」「ネットワークのカスタマイズ」があるわけだが,とくに興味深かったのが3つ目の「ネットワークのカスタマイズ」の商用利用する取り組みについてだ。
●「無線区間の高速化」
電波の強さや同時に使っているユーザー数などに影響されるが,帯域幅が広がることによって,4Gから5倍近く速くなる可能性があるという。
●「End to Endの低遅延化」
モバイルネットワークは,認証の制御信号を扱う「Control Plane(C-plane)」と,実際のデータを扱う「User Plane(U-plane)」から構成されている。これまではどちらの通信も同じ基地局と通信していたため,状況によっては大きな無駄が出ていた。しかし,5Gで使われるCUPS(Control/User Plane Separation)では,両者で別々の基地局と通信できる。U-planeの基地局を多数設置すれば,近場の基地局を使うことで無駄が少なくなる可能性があるという。
●「ネットワークのカスタマイズ」
ネットワークを制御するAPIが公開されるため,アプリ側から通信の帯域や優先度を制御できるようになる可能性があるという。堀場氏が中国の知人から聞いた例として紹介されたのが中国版「王者栄耀(King’s Glory)」での取り組みだ。
なんとゲーム内に「ネットワーク速度を加速する課金アイテム」(価格は30日で約200円,90日で約480円)が存在するという。購入するとサーバーから通信事業者へ「QoS(Quality of Service)を上げて高速化しろ」というコマンドが発行され,遅延が改善される仕組み。画面内に表示されるPingの値によれば,極端なときで300msの遅延が74msになることもあったというから驚きだ。
通信プレイのためにプロバイダを吟味したり,乗り換えたりといった経験をした人も多いと思うが,それを課金で解決しようというのは取り組みとしてはユニークだ。
「Apex Legends」公式サイト
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- ライター:箭本進一
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