戦争や災害などにより,人類が滅亡の危機に瀕している世界を描いた,いわゆる
“ポストアポカリプスもの”は,映画や小説などで定番のジャンルである。なかでも,ゾンビによる終末を迎えたなかのサバイバル生活はスリリングで,今も昔も多くのファンを魅了している。ときには数少ない生存者がゾンビ以上の強敵となるのも,極限状態で人間の本質が浮き彫りにされているようで,色々と考えさせられてしまう。
現実世界でポストアポカリプスなどまっぴら御免だが,「ああいった世界で過ごすのは,いったいどんな気分なんだろう?」「俺だったらこうやって生きてやる!」など,想像を巡らせてしまう人は少なくないはず。
そんな
サバイバル生活をオンラインゲームとして満喫できるのが,今回紹介する
「ライフアフター」(
iOS /
Android)だ。
これは,NetEaseが2019年3月20日に発表したスマートフォン向けアプリで,現在は事前登録の受付が行われている(
※関連記事)。今回はローカライズ途中の本作を一足お先にプレイしたので,ファーストインプレッションをお届けしよう。これを見て興味を持ったら,以下のリンクから忘れずに事前登録を行っておこう。
リアルな終末世界でサバイバル生活を楽しめる
ライフアフターの世界では,冒された人間をゾンビのような
“感染者”に変貌させるウイルスが蔓延している。それにより従来の社会秩序は崩壊しており,僅かに生き延びた人間はお互い肩を寄せ合うように,あるいは孤独に怯えながら暮らしているのだ。
プレイヤーキャラはこの過酷な世界で1日でも長く生き延びるため,自給自足のサバイバル生活を送ることになる。
感染者はゾンビっぽい見た目だが,その血液は青色だ。また詳細は不明ながら,ひときわ強力なウイルスに感染し,モンスター然とした姿になった“変異体”もレアポップで出現する(画像右)
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「
Identity V」などと同じく,自社開発のゲームエンジン“NeoX 2.0”が本作でも採用されている。ホラー調のIdentity Vとはグラフィックスのテイストが異なるものの,掲載画像を見てのとおり,本作における荒廃した世界の描写は非常にリアルだ。ちなみに開発スタッフは,この仮想世界を描くために,チェルノブイリへの取材も行っているそうだ。
開発スタッフがチェルノブイリで撮影した写真(左)と,それをもとに手がけたゲーム内のグラフィックス(右)
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ゲームプレイは基本的に三人称視点で行う。画面左下のバーチャルパッドで移動を行い,攻撃はマチェット,ピッケル,弓,銃器など,近距離と遠距離のどちらも対応可能という,おなじみのスタイルである。TPSとしてのプレイフィールに限っていえば,「
荒野行動-Knives Out-」などに比較的近く,経験者ならイメージしやすいだろう。
同じ役割を持つ攻撃ボタンが画面の左右にそれぞれ配置されている。遠距離攻撃のときは,右手の親指で細かなエイミングを行いながら,左手の親指で射撃ボタンを押すとプレイしやすい
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ライフアフターが上記のタイトルと大きく異なるのが,
バトル以外にも重きが置かれているという部分である。
プレイヤーキャラは最初から武器や生活必需品を持っているわけではなく,廃墟などを見つけ次第,手当たり次第に漁ることになる。しかし,役立つアイテムを運良く確保できるとは限らず,また食糧などの消耗品はいずれ底をついてしまう。そのため,可能な範囲で
自給自足を行わねばならないのだ。
具体的には,樹木の伐採,石材の切り出し,動物の狩猟,農耕など,さまざまな手段で素材アイテムを入手する。そしてこれらの素材アイテムを使って,武器や工具の加工/製作や,調理などを行うのだ。
プレイヤーキャラにはレベルやクラスの概念はない。行動に応じて,対応するスキル値が上昇する仕組みだ
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今回ゲームの序盤をプレイした限りでは,プレイヤーキャラは感染者に変貌しなかった。プレイヤーキャラが死亡すると,最寄りのポイントで復活できるシステムだ
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“ごっこ遊び”に留まらないハウジングも可能
本作では加工/製作に加えて,
ハウジング(家の建築)も行える。ハウジングといえば,屋内の飾り付けなどを楽しめるオンラインゲームの人気コンテンツだが,本作の場合は,
終末世界を生き抜くためのシェルター作りの意味合いが強い。
感染者は暗闇を好んで徘徊する。また,ゲーム内には昼夜の概念があり,プレイヤーキャラが夜間に,無防備な状態で外出するのは危険極まりない。そのあいだは屋内にいれば感染者から身を守れるだろう。
家を建てるときは,土地を決めたうえで最初に基礎作りを行う。そのあとは伐採した樹木を加工して板を作り,これをたくさん集めることで,床や壁,屋根などを順番に組み上げていく
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また,たとえば家の2階などにバルコニーを設置すると,そこからの遠距離攻撃で感染者を撃退しやすくなる。……そう,この世界では家とて安全とは限らない。床や壁などの各パーツにはそれぞれ耐久力が設定されており,感染者からの攻撃を放置し続けると,いずれ破壊されてしまうのだ。家を建てたあとも定期的なメンテナンスは欠かせないだろう。
ちなみに,本作のプレイヤーキャラは,ヒットポイントのほかにも空腹/健康/体温/スタミナなどの各パラメータが用意されている。雨に長時間晒されると体温が低下し,健康値が損なわれて病気にかかりやすくなってしまう。空腹も同様で,そのへんに生えているベリー(野いちご)などを食べることで腹は膨らませられるが,それだけでは健康的な生活とはいえまい。
屋内には家具も設置できる。椅子やベッドがあればスタミナを回復できるし,加工用の施設があれば生産活動の効率もアップするだろう
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そんなときもマイホームがあれば,雨露をしのいで暖を取ったり,ちゃんとした食事で空腹と健康値を満たしたりと,人間としてまっとうな生活を送れる。これらの要素が“ごっこ遊び”に留まらず,
生き延びるために必要なゲームシステムとして取り込まれているのだ。
そしてもう一つ,ハウジングにおける大きなメリットとして,集めた資源などの貯蔵が挙げられる。この世界には安全な銀行など存在しないのだ。
ハウジングの途中で記念撮影。ひとまず床と壁だけを整えてみたが,これでも感染者からの攻撃をある程度防げる。とはいえ,雨が降る前に屋根を作りたいところだ
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仲間と協力してコミュニティを設立
ほかの野営地への襲撃やPKも許容
本作ではマルチプレイも重視されている。今回のゲームプレイはテストサーバーで独りぼっちだったので,NetEaseへの取材を通じてマルチプレイのコンセプトも確認してみた。
本作では複数のプレイヤーが集まって協力することで,いわゆるギルドタウンのようなコミュニティ
“野営地”を設立できる。野営地の規模に応じて所属するプレイヤーキャラがバフを受けられたり,そのなかから市長を選出して管理させたりできるそうだ。また,押し寄せてくる感染者の群れを撃退するなど,野営地ならではのバトルコンテンツも用意されているという。
そして,プレイヤーがその気になれば,
ほかの野営地を襲撃することも可能だ。このときは徒党を組んでプレイヤーキル(PK)を行ったり,あるいは住民がいないときを見計らってドアの暗証番号を解析し,貯め込んでいるアイテムを強奪したりできるという。このような世界観なので,たとえば希少資源が得られる場所などでは,遭遇したプレイヤーキャラ同士でのPvPも起こりうるだろう。
過酷な世界で生きることを実感できる一作
今回は短時間のゲームプレイだったものの,その
自由度の高さには鮮烈な印象を受けた。
ひとくちにサバイバル生活といっても,本作で生きるためのアプローチはいくつもあり,人によってプレイスタイルは大きく違ってくる。そのなかでも,PKやPvPが否定されていないという部分は注目に値するだろう。
PKと聞いて嫌な顔をする人もいるかもしれないが,終末世界という点を鑑みれば,ロールプレイとしての悪人がいてもおかしくはないはず。そして,関わるプレイヤーキャラが敵か味方かを見極める部分も,この過酷な世界で生き延びるという意味において,コンテンツの一部といえるだろう。
本作の正式サービス後に,この過酷な世界でどのようなコミュニティが形成されるのか,今から興味津々である。
ライフアフターでは現在,事前登録受付が行われている。
ポストアポカリプスものの世界観や,
自由度の高いゲームに興味がある人は,忘れずに事前登録を済ませておこう。
自由度の高さに圧倒されるかもしれないが,ゲーム開始直後に丁寧なチュートリアルが用意されており,これを通じて戦闘や製作などの基本システムに一通り触れられる
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人間すら敵になるという部分には,ポストアポカリプスもののファンとして「これだよ,これ」と深く共感できる。過酷な世界ならではのリアルなサバイバル体験が期待できそうだ
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個人的には,プレイヤーキャラの作成時に,行動を共にする「犬」を設定できる部分もお気に入り。どんなに孤独でも,このパートナーが隣にいるだけで心が和むのだ
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※開発中のバージョンをもとに執筆を行っており,本稿に掲載しているテキストなどの情報は今後修正される可能性があります