プレイレポート
Switch「初音ミク Project DIVA MEGA39's」プレイレポート。10周年記念作品は“原点回帰した親しみやすさ”と“新しい手触り”に注目だ
バーチャルシンガー・初音ミクが“主演”を務めるリズムアクションゲーム「初音ミク Project DIVA」シリーズ(以下,Project DIVAシリーズ)。その歴史を彩ってきた数々の楽曲に加え,新規収録となる10曲(書き下ろしテーマソング1曲含む)が一堂に会する最新作は,シリーズ10周年の記念作品にふさわしいタイトルだ。また,Nintendo Switchならではのゲームモードも追加されており,シリーズファンにも新しい魅力が詰まっている。
「初音ミク Project DIVA MEGA39’s」公式サイト
シリーズ第1作,PlayStation Portable用ソフト「初音ミク -Project DIVA-」が発売されたのは2009年7月。初音ミクをはじめ,鏡音リン・レン,巡音ルカ,KAITO,MEIKOといったキャラクターが楽曲に合わせて歌い踊り,プレイヤーは画面に現れるアイコンに合わせてリズムよくボタンを入力していく。登場キャラクターの「モジュール」(コスチューム)やアイテムを集めて,多彩にカスタマイズできる“やり込み要素”も好評を博した。
最新作「初音ミク Project DIVA MEGA39's」はアーケード版と同じく,セガ・インタラクティブ 第二研究開発部(AM2研)が開発を手がけている。昨年,東京ゲームショウの会期中に行われたインタビュー(関連記事)によると,2017年にリリースされたPlayStation 4用ソフト「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」とはまた違った方向性を目指し,シリーズの原点である“携帯ゲーム機向けDIVAシリーズ”の集大成といった位置付けにあるようだ。
グラフィックスは全編ノンフォトリアリスティックレンダリングによる陰影の少ないアニメテイストで描かれており,シリーズの原点を思い起こさせる親しみやすいものになっている。そのため,同じ楽曲でも「Future Tone DX」の映像とは雰囲気がずいぶん異なり,うまく差別化が図られている。
基本操作は従来のシリーズ作品と同様だ。楽曲と映像に乗せて流れてくる「メロディアイコン」と,画面に表示される「ターゲットアイコン」が重なるタイミングを図ってボタンを押していく。当然,本作のボタン表示は[X][Y][B][A]だが,シリーズの伝統である[△][□][×][○]などに変更可能。また,4種類のボタンはJoy-Conの方向ボタンやProコントローラーの十字ボタンにも対応している。
さらに,左右方向を示す「スライドアイコン」も登場し,こちらは[ZL][ZR]ボタンを押す,またはスティックを倒すことで入力する仕組みだ。
全101曲となる収録楽曲には,多彩な映像が用意されている。リズムゲームのプレイ中に映像を鑑賞するのは難しいかもしれないが,プロモーションムービーのように楽曲と映像を流せるモードを搭載しているので安心してほしい。自分好みのプレイリストを作成して,お気に入りの楽曲を流し続けることも可能だ。
余談だが,筆者は“作業用BGM”のプレイリストを流しながら,この原稿を執筆している。
一方,楽曲と譜面(アイコン)だけが流れてくる「プラクティス」では,事前に範囲を設定して特定のポイントを集中的に練習することができる。ボタン一つで瞬時に設定範囲のアタマに戻せるため,やり込みたいプレイヤーは重宝するだろう。
前述のとおり,Project DIVAシリーズには10年以上の歴史があり,すでにゲームシステムは完成されている。豊富な楽曲には,それぞれ3〜5種類の難度が用意されているので,熱心なファンはもちろん,初めて遊ぶビギナーでも楽しめるはずだ。
そのうえ,自宅のTVだけでなく外出先でも楽しめるという点も「初音ミク Project DIVA MEGA39's」の大きな魅力になっている。
また,両手にJoy-Conを持って(いわゆる「いいね持ち」)プレイする「ミックスモード」が新たに追加されている。Joy-Conを左右に傾けてカーソルを動かし,画面上から降ってくるノーツを拾うようにしながら,タイミングよくボタンを押すという操作は新鮮だ。従来のアーケードモードと比べて使用するボタンの種類が減り,そこに手を動かすアクションが加わったことで,シンプルながら体感ゲーム風の心地よさが味わえる。
Joy-Conを傾けるときは手首だけでなく,肘から先を動かすようにすると確実に認識されるようだ。ライブのときにスティックライトを振る感覚でプレイすると,気分も盛り上がるだろう。ちなみに前述のインタビュー(関連記事)によると,独特の操作方法は1960年代に流行したゴーゴーダンスをモチーフにしているとのことだ。
ミックスモードは3段階から難度を選べるようになっている。最も易しい「EASY」の場合,片手のみでプレイ可能なうえ,「サポートオプション」をオンにすると,ボタンを押した状態でカーソルをノーツに合わせるだけで入力と認識される。これならビギナーでも,Nintendo Switchならではの要素が楽しめるだろう。
Project DIVAシリーズの大きな見どころである「カスタマイズ」にも触れておこう。キャラクターのコスチュームにあたる「モジュール」は,ミクだけで100種類以上が用意されている。ほかのキャラクターにも,それぞれ30種類以上の専用モジュールが存在するうえ,髪型のバリエーションやカスタマイズアイテムも豊富。その組み合わせパターンは膨大と言っていい。
こうしたモジュールやアイテムは,ゲームをプレイすると獲得できる「VP」と引き換えに入手する。ほとんどのモジュールやアイテムは,すぐに手が届くはずだが,とにかく種類が多い。コンプリートを目指すプレイヤーは,じっくりと腰を据えてやり込もう。
また,カスタマイズ要素の新機能「Tシャツエディット」も見逃せない。これはキャラクターが着用するTシャツのデザインを,一から作成できるというものだ。
エディタツールはペンと消しゴム,塗りつぶしといった簡易的なものだが,最大15回の作業の取り消し/やり直しに対応し,テーブルモードや携帯モードにすればタッチスクリーンをタブレットのようにして制作可能。「デザインに凝りたい!」「世界に1つだけのTシャツを生み出す!」という人は,Nintendo Switch対応のタッチペンを用意しておこう。
今や巨大なカルチャーに成長した「初音ミク」の一端を担い,10年以上にわたってファンの期待に応えてきたProject DIVAシリーズ。その最新作となる「初音ミク Project DIVA MEGA39's」は,リズムアクションゲームとして原点回帰を遂げた印象を受けた。それにより親しみやすさを覚えるとともに,Nintendo Switchならではの要素が盛り込まれていることで,シリーズの新たな可能性も予感させる作品だ。
細やかな配慮が行き届いたゲームシステムは,従来のファンだけでなく,Project DIVAシリーズの未経験者までも楽しめるようになっている。また,どこでもプレイできる手軽さは,多数のクリエイター諸氏が手がけた楽曲や映像を,さらに身近なものに感じさせるだろう。そのためにもソフトの発売に備えて,ちょっといいヘッドホンやスピーカーといった音響機器を揃えることをオススメしたい。
「初音ミク Project DIVA MEGA39’s」公式サイト
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記載の商品名および社名は各社の登録商標です。
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