プレイレポート
衝撃のリアル感と作り込みは,想像を遥かに超えていた――「王子様に急接近AR」体験レポート&開発者コメント
女性向けゲームにおけるキャラクター表現の技術研究を目的とし,2018年10月に設立されたジークレストの「イケメンテックラボ」。ここでは第1弾として,スマホ向けアプリ「夢王国と眠れる100人の王子様」(iOS / Android。以下,「夢100」)のキャラクター,ビッキー(CV:山寺宏一)が本を朗読してくれる「王子様のささやき朗読VR」が開発されている。
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「夢100」のビッキーが朗読してくれる「王子様のささやき朗読VR」を体験! イケメンの表現技術を研究するイケメンテックラボの狙いとは
ジークレストは2018年10月3日に,キャラクター表現の技術研究を目的としたイケメンテックラボの設立を発表した。その第1弾としてお披露目された「王子様のささやき朗読VR」の体験レポートとともに,イケメンテックラボがどのような取り組みを行っているのか,開発チームに話を聞いた。
そして今回,第2弾として,スマホで楽しめるアプリ「王子様に急接近AR」(iOS / Android)が発表された。本稿では,「王子様に急接近AR」の体験レポートとともに,イケメンテックラボの開発陣に聞いた開発エピソードなどをお送りする。
「王子様に急接近AR」ダウンロードページ
「王子様に急接近AR」ダウンロードページ
家庭用のVRと言えば,専用のゴーグルを装着して外からの視覚情報を遮断し, “バーチャルリアリティ”=仮想現実を体験するというプレイスタイルが一般的だろう。一方でARは,スマホなどで実際の風景にCGを重ねて表示することで,現実世界を“拡張”して楽しむものだ。
VRに比べてプレイがお手軽なARは,スマホゲームなどにおまけ要素として搭載されることもある機能。画面越しの現実の風景に2次元のキャラクターが現れて,一緒に写真が撮れる……という遊び方ができるものとして認識している人も多いだろう。
今回,「夢100」のフロスト王子(CV:新垣樽助)をモチーフとしたARを発表するという知らせを受けたときも,筆者が想像した内容はそのようなものだった。しかし実際に体験してみたところ,それは思っていたものを遥かに超えており,大いに驚かされた。ではさっそく,体験してきた内容をお届けしよう。
「王子様に急接近AR」を起動すると,画面に「いたずら妖精」が現れた。画面を水平な面に向け,魔法陣を表示させるように言われ,部屋の床に魔法陣を出してみる。すると……
椅子に腰掛け,うたた寝をするフロスト王子が現れた! 使用していたのが大きめのタブレットだったこともあり,ここで登場したのはほぼ等身大のフロスト王子だった。さらに驚いたのが,フロスト王子は平面のCGではなく立体的なモデルで作られており,上から眺めたり下から見上げたり,360度ぐるっと周りを回ることもできるのだ。
近づいたり離れたりすると,実際の対象物にそうしたときのように画面上の王子の大きさが変わる。そして,どんなに近づいてもテクスチャーが崩れることはなく,細かく作られた衣装の装飾などもじっくりと見ることができる。
本作はARなので,実際の背景が目に入ってきているため「いま,自分と同じ空間にフロスト王子がいる」というリアル感がすごい……! 画面からはフロスト王子の寝息も聞こえてきて,音声もまた,近づけば大きく,後ろに下がれば小さくなる。
音声は立体音響が使用されているため,ヘッドフォンを使用するとさらにリアルな存在感を感じることができるとのこと。妖精は「王子をつついて起こすように」と促してくるのだが,むしろ永遠にこの姿を眺めていたい! と思ってしまったほどだ。
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フロスト王子に触れると,目を覚ました王子は画面に現れるボタンに応じてアクションをしてくれる。この「本編」モードでは魔法を見せてくれたり,甘い声でささやいてくれたりするのだが,それらのアクションももちろん,360度どの角度からでも楽しめる(一時停止も可能)。なお,画面上に現れている王子の姿は,ピンチ操作で小さくしたり,大きくしたりすることも可能だ。
ここまででもかなりの衝撃を受けていたのだが,筆者が最も衝撃を受けたのが「王子の帰還」だ。帰還ボタンをタップすると,フロスト王子は雪の国に帰っていくのだが,このとき「ゲート」のようなものが眼の前に現れる。先ほど「このARでは,王子に近づいて眺めることができる」と書いたが,名残惜しくてあとを着いて行ってみると,なんとそのゲートの中にまで……!?
ここから先は,ぜひ実際にプレイして確かめてほしい。「えっ,こんなところまで作り込まれているの!?」 と,またしても驚かされてしまった。ゲートの向こうは雪の国なのだが,フロスト王子以外の声も聞こえてくるような……? なお,フロスト王子などのボイスはすべて本作のための録り下ろしだそうなので,ぜひお聴き逃しなく。
王子が帰還すると,次のプレイからは「おまけモード」で遊ぶことができる。おまけモードは,プリントアウトまたは他の機器などで表示させた魔法陣の上に,フロスト王子を呼び出すことができるというものだ。呼び出される王子は魔法陣の大きさに応じた姿になっているため,よっぽど大きくプリントアウトしたものなどでなければ,基本的には机の上に載せられるくらいの姿だ。言ってみればスケールフィギュアほどの大きさで現れてくれるというわけだ。
おまけモードの王子も,本編同様魔法をかけてくれたり,さまざまな動きを見せてくれたりする。なお,こちらが画面をタップしないでいると,待機中動作としていくつかのアクションをするそうだ。これはもう,仕事の合間や休憩中など,何もしなくてもそばにずっと呼び出していたくなる可愛らしさ……。
「おまけモード」は写真撮影に特化したものなので,アクションの途中で一時停止ボタンを押し,一番いいタイミングとお気に入りのポーズや角度で写真を撮って楽しんだりもできる。
ちなみに本作の王子の動きはアニメーションでなく,イケメンテックラボ第1弾「王子様のささやき朗読VR」でビッキー王子のモーションキャプチャのアクターを担当した奥山敬人氏(協力:ソリッド・キューブ)が再び協力してくれたとのこと。モデルの作り込みだけでなく,アクションのリアル感にもこだわり,これだけのクオリティの作品ができたということだろう。
開発陣にお話を聞いてみた
今回の体験取材では,イケメンテックラボでクリエイティブを担当された三木ゆかり氏と,開発を行ったエンジニアの寺林一旭氏に話を伺った。
4Gamer:
今回は本当に驚きました! 既存のARからは大きく進化した作品だと感じます。
三木氏:
まずはイケメンテックラボ前作のVR(「王子様のささやき朗読VR」)を超えたいと考えていました。前作ではプレイヤーが「王子様のもとに行く」という形でしたが,今回は「王子様をこちら(現実世界)に呼ぶ」という差別化を図っています。
また,スマホアプリとしてリリースすることで,多くのユーザー様に楽しんでいただきたいと考えました。技術職同士で企画を考えていくなかで,「いかに技術を盛り込んでいくか」というポイントでも開発を行ってきたので,既存のものとは違う新しい作品ができたと思います。
4Gamer:
開発は何人くらいで,どのくらいの期間で行われていたのでしょうか。
三木氏:
開発自体は寺林が1人で行いました。実は,寺林は去年新卒で入ったばかりなんですよ。
寺林氏:
そうなんです,開発は半年から7か月くらいだったでしょうか。前作のVRには関わっていないのですが,前作もエンジニアは1人で期間的には同じく半年くらいだったようですね。
4Gamer:
それはすごい! 企画や開発で,何かエピソードなどはありますか?
三木氏:
既存のARアプリなどには,UIにシステマチックな文言や用語が出てくるものもあるのですが,専門的すぎる用語はなるべく使用しないように気を使いましたね。きちんと世界観を作りたいということで「魔法の粉を手に入れた妖精が,粉を振りまくと魔法陣が現れる」といったような流れや,そもそも「マーカー」ではなく「魔法陣」と呼ぶなどのネーミングも,「夢100」の世界観を壊さないように作り上げました。
寺林氏:
エラーメッセージもよくある機械的なものではなく,妖精が言っている形にしています。
4Gamer:
隅々までこだわりが見られますね。今回はスマホアプリとしてリリースされたこともあり,アップデートや追加要素なども期待してしまいますが,今後やってみたいことはありますか?
三木氏:
たくさんありますが,1番大きい要素としてはどこにいても自分を目で追ってくれる「目線追従」でしょうか。王子を小さくしたときなど,こちら側をじっと目で追ってきたら可愛いですよね(笑)。それはいずれ入れてみたいです。
寺林氏:
あとは,時間に応じて王子の影を動かしてみたいですね。現在でも影はあるのですが,それが時間帯によって大きく伸びたり小さくなったりする機能です。実は開発も進めていて今回は諦めた経緯があるので,いずれはぜひ。
三木氏:
容量や時間の関係でいくつか削った要素はあるので,タップで反応するバリエーションなども増やしていければと思っています。より,「触れ合っている」感覚にできればいいなと。
4Gamer:
アプリなので,アップデートとして追加されると嬉しいですね。プレイヤー的には,有料でもよいので着せ替え要素などもほしいところです!
三木氏:
着せ替えもいいですね! いろいろとやってみたいことはまだまだたくさんありますので,ぜひ感想などをハッシュタグ「王子様に急接近AR」をつけて,つぶやいていただきたいです。
寺林氏:
エンジニア的にも今回は,新しい技術をいろいろ使うことができました。ぜひ多くの人に楽しんでほしいですね。
4Gamer:
フロスト王子のファンや「夢100」を好きな人はもちろんですが,新しい技術として「こんなこともできるんだ!」という感動を,ぜひたくさんの人に見てほしいアプリだと感じました。本日はありがとうございました!
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