業界動向
韓国ゲーム市場に,著作権を積極的に保護する動き。開発ムードに変化が訪れる
ここ最近の,相次ぐ韓国ゲーム業界内での著作権関連訴訟で,ゲーム開発の雰囲気に変化が訪れている。ここまで停滞していた歩みの代わりに,変化を追求し始めたのだ。
韓国ではつい先日まで,他社のゲームシステムを借用してゲームを作る事例が頻発していたが,その“借用される側”の代表作が,NCSOFTのMMORPG「リネージュ」シリーズだ。
「Lineage M」(iOS / Android)と「リネージュ2M」(iOS / Android / PC)が国内モバイルゲーム市場で成功したことを受け,そのシステムを借用したゲームがいくつも発売されて,それらは「リネージュライク」という名前で呼ばれた。しかしこれまでNCSOFTは,彼らを相手にこれといった動きを見せることはなかった。
そんな中,NCSOFTがついに刀を抜いた。WebzenのMMORPG「R2M」(R2 Mobile)(iOS / Android)に,「Lineage M」を模倣したコンテンツとシステムが含まれているとして,著作権侵害および不正競争防止法違反で2021年に訴訟を提起したのだ。
そこから2年が過ぎた2023年の8月,裁判所はNCSOFT側の手をあげた。著作権侵害は認められなかったが,NCSOFTの努力で作り上げられたゲームの構成要素は,それ自体がアイデアであり成果物だとしたのだ。
裁判所の判決によると,Webzenの「R2M」が,NCSOFTの「Lineage M」にある「アインハザードの祝福」というシステムに非常に似たシステムを持っているとのこと(アインハザードの祝福でモンスターを狩ると,通常よりも多くの経験を得ることができ,アイテムを得る確率も上がる)。
ほかにも,「R2M」のいくつかの要素がNCSOFTのゲームと非常に似ていると指摘した。それらは多岐にわたり,例えばアイテムコレクションシステムやマジックドールシステム,ユーザーがまだ手に入れていないマジックドールの表現方法などが挙げられます。
さらに,「R2M」のメイン画面のメニュー配置やインタフェースも,NCSOFTのゲームに非常に似ていると指摘した。キャラクターレベル,HP,MP,バフアイコン,インベントリ,スキル,クエスト,ミニマップ,スキルスロットが表示される場所は,両ゲームともほぼ同一であるという判断だ。
それに加え,職場認証が必要なアプリ内のメッセージで「ゲームをコピーしろ」と指示をしたテキストが確認され,Webzenの社員が捜査機関の調査で「Lineage Mのカードガチャの,等級別獲得率を参考にした」と陳述した部分も指摘された。
以上のように,「R2M」は「Lineage M」のゲームシステムを総合的に模倣および借用し,これを通じてNCSOFTが経済的利益を侵害されたとみなした。またこの行為は,公正な商取引慣行や競争秩序に反する無断使用であり,不正競争防止法に明示された不正競争行為に該当するとも判断した。
この行為によってNCSOFTは経済的利益を侵害されており,この行為を規制しなければ,今後ゲーム業界では「新しいゲームシステムを考え出さない不適切な開発慣行が生じかねない」とし,今回の判決を下したのだ。
Webzenに対しては,不正競争防止法違反につきゲームサービスと広告の禁止,および10億ウォン(約1.1億円)の賠償金が命じられた。しかしWebzenがサービス禁止仮処分申請をして,それが認められて発令されたので,2審判決が出るまではサービスを維持できるようになっている。
さらにNCSOFTは,XLGAMESが開発してKakao Gamesがローンチした「ArcheAge WAR」(iOS / Android / PC)についても,「リネージュ2M」のコンテンツとシステムを模倣したとし,著作権侵害および不正競争防止法違反などで,2023年4月,両社に訴訟を提起した。
NCSOFTは,「Archeage War」が「リネージュ2M」の様々なゲームシステムやインタフェースを模倣していると主張した。具体的には,クラスシステム,主武器/副武器システム,PvPシステム,アイテム強化システム,およびメイン画面を含む全体的なゲームシステムとインタフェースが同じか,または非常に似ているとしている。
Webzenとの紛争は,1審でNCSOFTが勝っただけに,2審判決の行方が「ArcheAge WAR」訴訟にも大きな影響を及ぼすと見られる。
共にまだ進行中の案件だが,ゲームのコンテンツとシステムを開発する創作が非常に難しいことは言うまでもない。ほかのゲームの良いところを見て,新たな良いものを作り出すなら,それは“努力”として認められることが多い。しかし,一線を越えた模倣と借用に対する法的根拠はいままでなかった状況であり,今回の判決がその根拠になる見通しだ。
業界がこのような状況になり,ゲーム会社各社は新作を開発する際,他社のコンテンツやシステムに似すぎないための明確なガイドラインと,そのためのノウハウを構築しているという。例えば,「リネージュライク」のレッテルが貼られたMMORPGなどが,その最たるものだろう。
それと共にゲーム業界では,その“非常にセンシティブな部分”に対して検証に乗り出しているところも多い。大企業は内部の法務チームに命じて,中小企業は外部の法律事務所を通して,ゲームの類似項目の検討と検証に乗り出している状況だ。脱MMORPGを追求しようとする会社も,多く登場している。
つまり近年の訴訟問題によって,多少なりとも業界に変化の風が吹き始めたということだ。新作の開発時に,システムやコンテンツがほかの作品に類似していないか徹底的に検証して検討し,問題となり得る部分は積極的に排除していく。
それらが実り,今後発売される韓国国内の開発会社の新作では,著作権侵害や不正競争防止法違反などの法的紛争が起きづらくなることを願っている。(著者:パク・サンボム)
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