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「三國志14 パワーアップキット」プレイレポート。「地の利」や「異民族」といった新要素で,三国志の世界により浸れるように
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印刷2020/12/09 10:00

プレイレポート

「三國志14 パワーアップキット」プレイレポート。「地の利」や「異民族」といった新要素で,三国志の世界により浸れるように

 コーエーテクモゲームスは,「三國志14 パワーアップキット」PC/PS4),「三國志14 with パワーアップキット」PC/PS4/Switch)を2020年12月10日に発売する。さまざまな新システムや新モードにより,三国志の世界により深く浸れるようになった本作のプレイレポートをお届けしよう。

画像集#001のサムネイル/「三國志14 パワーアップキット」プレイレポート。「地の利」や「異民族」といった新要素で,三国志の世界により浸れるように

 時は2世紀,所は中国。劉備,曹操,孫権といった英傑らが国を率いて争う“三国時代”をテーマとしたシミュレーションゲームが「三國志14」PC/PS4)である。
 2020年1月に発売された同作は,土地の占領をマップの“色塗り”として表現したシステムが特徴だ。軍隊が進んだ土地は支配下に収められるのだが,その際に色が自軍のイメージカラーに塗り替えられる。その様子は,紙に筆を走らせて絵の具を塗るかのようだ。
 もちろん,敵の軍隊も土地を自分の色に塗ってくる。激戦地となれば,互いの色に塗り替えあうような事態が当たり前に起こる。見た目に非常に分かりやすく「もっとたくさんの土地を塗って,自分のものにしたい」「奪われて他人の色になった土地を取り返し,自分の色で塗り直したい」という気分にさせられるのである。

中国は劉備,曹操,孫権が率いる3つの国に分けられ,彼らが互いに争った
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軍隊が進んだ土地は占領され,色が塗り替えられる。状況によっては飛び地ができてしまうことも
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名のある武将が一騎打ちをすることも。戦略的な視点と,三国志演義的な派手さを併せ持つのが「三國志」シリーズだ

 そんな「三國志14」に新要素を追加するのが,今回レポートする「三國志14 パワーアップキット」(以下,PK)だ。「地の利」「異民族」「諸外国」「戦記制覇」といった新システムと新モードを楽しめるようになり,さらにプラットフォームにSwitchが追加されたことで,携帯して遊ぶことも可能となっている。


勝って嬉しい,負けて悔しい

戦争のモチベーションを上げる「地の利」システム


 「三國志14」では,色塗りによる土地の奪い合いが重要だが,この傾向をさらに加速するのが「地の利」システムだ。
 「三國志14」の中国は17の州に分けられており,州はいくつかの都市から構成されている。PKでは,州に属する都市を一定数以上制圧することで,その州が持つ特殊効果となる地の利を受けられるようになった。
 例えば荊南なら在野武将や捕虜の登用成功率が上昇,徐州なら拠点の攻撃力が上昇し,耐久の回復量が増えるというように,その効果は内政から軍事まで様々で,マイナスになるものはない。

五角形のマークは都市を示す。都市の集まりが州。一定数の都市を制圧すると地の利が得られる
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 もちろん,ほかの勢力も地の利を狙って動く。例えこちらが地の利を得ていたとしても,敵に都市を奪われてしまえば効果は消えてしまう。そのまま敵がその州で勢力を広げれば,逆に地の利は敵のものになってしまう。都市を得る・失うことに,これまで以上のメリットとデメリットが発生すると言っていい。

 実際にプレイしてみると,想像以上に影響が大きいと感じられた。もう少しで地の利が得られるとなれば積極的に都市を獲りたくなるし,下準備としての計略や外交にも力を入れたくなる。地の利の中には,後述する異民族や諸外国絡みのものなど,失うデメリットが大きいものもあり,これが脅かされようものならなかなかに緊迫する。そして,戦争に負けて地の利が消えたりすると,これまで以上に悔しく感じられ,リベンジを誓うことになる。ゲーム的な部分と感情的な側面の両方を刺激するシステムなのだ。

地の利を失いそうになると,画面左に警告が表示される。肝が冷える一瞬だ
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曹操と孟獲の会見。曹操は兗州を抑えているため,地の利「衝地」で外交感情が上がりやすくなっている
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強大な異民族といかに付き合うか


 地の利の中でも,特に重要なのが異民族諸外国にまつわるものだ。特定の州を手に入れることにより,幽州なら異民族の烏桓,交州なら諸外国の天竺国(インド)など,ゆかりのある異民族や諸外国と交流できるようになるのである。

 異民族は,強大な力を持つ独立勢力だ。烏桓,鮮卑,羌,山越,南蛮の5部族が存在し,PKではマップ内に本拠地を構えるようになった。
 異民族の本拠地は初期状態で30万(!)という大兵力を擁している。加えて,ここを守る異民族武将たちは武力が高いうえに,本拠地周辺の地形でパワーアップする専用陣形と専用戦法を使えるため,真正面から戦うのは現実的ではない。試しに山越を攻めてみたところ,異民族武将が大量に湧いてきて,こちらの軍がフルボッコにされてしまった。
 では,戦えないならどうするかというと,外交によって友好度を上げ,ひとまずの不可侵状態を維持するのが効果的だ。

呉のど真ん中には,山越の本拠地が。山越は繰り返し反乱を起こして孫一族を悩ませたが,こうして見るといかにヤバい位置にあるかが分かる。データとしては兵数30万,指揮2万の武将が10人常駐,金と兵糧が「-」となっているのは無限大の扱いなのだろうか
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烏桓は,山にいると部隊の全能力がアップする。加えて異民族たちは専用陣形「四亥」を持ち,戦法が発動しやすいばかりか,能力もアップ。相乗効果でかなり手ごわい存在だ
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試しにちょっかいをかけると,たくさんの敵が襲いかかってきた
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 外交のためには,武将に金や兵糧といった貢ぎ物を持たせて派遣する必要がある。もちろん一朝一夕ではいかず,コツコツと繰り返し“異民族詣で”をしなければならないが,友好度が上がったときの効果は面白い。定期的に兵士を送ってくれたり,異民族武将をこちらの軍に編入してくれたりする。必要となる地の利さえ押さえておけば,複数の異民族と交流して異民族武将を手に入れることも可能で,シリーズの特徴である人材コレクション的な面白さも増す。

武将を派遣し,友好度をコツコツと高めていく。友好度が高まると,異民族武将が加入
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 異民族武将たちは,二輪戦車を使う羌なら「戦車」,馬に乗っての射撃が得意な烏桓は「突騎」,南蛮なら「象兵」というように,民族の特性を活かした専用戦法を使ってくれる。つまり,“味方になった異民族が,奇妙な武器を携え,並外れた勇猛さで大暴れする”という,三国志演義的な活躍を楽しむことができるわけで,想像力が刺激される。知力が低いため,敵が知力依存の戦法を使ってくると辛いのだが,その辺りも含めて三国志演義の異民族っぽい。
 武力以外の能力値は低めで戦争くらいにしか役に立たないため,敵の威力を探るには持ってこいだし,固有名もないような連中なので負傷したり捕虜になったりしてもあまり気にならない。いろいろな意味で使い勝手がいい武将だ。

味方にした羌の武将が固有戦法「戦車」を使った。想像力を刺激される一瞬だ
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 中国以外の「天竺国(インド)」「貴霜国(クシャーナ)」「安息国(パルティア)」「大秦国(ローマ)」といった諸外国と交流するのが「交易」だ。武将を選んで使節とし,金や兵糧を持たせて送り出す……というところは異民族と同じ。ただ,こちらは武将の層の厚さと国力が大きく関わってくる。

 諸外国は遠く,すぐには帰ってこられない。加えて,使節が任務を終えて戻ってくるまでは,新たな使節を送ることはできない。効率よく友好度を上げるには,できるだけ早く帰ってきてもらい,回転率を上げていきたいところだ。しかし,必要となる日数は武将によって変わってくる。例えば天竺国へ派遣するにしても,武将によって60日で済んだり,100日かかったりするのだから,その違いは大きい。複数人の武将を送り込むこともできるが,その場合は一番遅い者の日数となってしまう。そして,使節にした際に友好度が上がりやすい「特使」の個性を持つ武将は遅い傾向にあるようで,早さをと取るか友好度を取るか悩んでしまう。

異民族と同様,諸外国との交流にも,対応した地の利が必要
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諸外国に使節を送る。道のりは長いが,得られるものは大きい
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天竺国への使節を選ぶ。同じ道のりだが,任せる武将によってかかる日数が違ってくる

 使者となった武将は旅をしているため,ほかの仕事を任せることもできない。いくら有能であっても,戦争や内政に活躍する一線級を送るのはためらわれる。ここで鍵になるのが,武将の層の厚さである。武将が多いなら,緊急に必要とされない者,例えば能力は低いが特使の個性を持つ者などを使節にすればいいわけだ。
 もちろん,使節を送るには命令書や金・兵糧,状況によっては諸外国に献上する「名品」も必要になる。この辺りは国力の勝負と言えるだろう。例え地の利を得ていたとしても,国内が火の車なら諸外国に構っている余裕はないのである。

大秦や天竺国の使者と,三国志の君主が語り合う。歴史のロマンだ
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 諸外国の友好度を上げるためには,異民族以上に根気が必要となるが,メリットも大きい。友好度がある程度に達するごとに,能力値を上げる名品や,戦法や内政の効果を上げる「外国技術」,そして特殊な戦法を会得できる「戦法の書」が手に入るからだ。例えば,安息国の「アーラシュ弓」は武力10アップ&退却確実となる名品。大秦国の「レギオン」は戦法の発動までの間隔を短縮,天竺国の「戦象突撃の書」は範囲攻撃できる「戦象突撃」の戦法が手に入るなど,いずれも見逃せない。
 なにより,こうした外国技術や戦法を三国志の武将たちが使う様にはロマンがあるではないか。曹操の軍勢がローマ兵のごとく整然と隊伍を組み(レギオンの効果は数値でしか表現されていないが,そこは想像力だ),陸遜が命令すると,満を持して戦象が進み出る……といった具合で,歴史のIF的な面白さが感じられるのだ。

 諸外国と交易するには地の利が必要なので,敵国の交易は何としても妨害したくなる。ゲームに新しいモチベーションが生む新要素だ。

友好度が最大になると,その諸外国が持つ固有戦法の「戦法の書」が手に入る。長い道のりだが,やるだけの価値はある
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固有戦法は誰でも使えるわけではなく,武将が対応する陣形を持っていなければならない。「戦象突撃」は象が突進して範囲攻撃してくれる
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名シーンを気軽に楽しめる「戦記制覇」


 PKでは,三国志の名シーンを気軽に楽しめるショートシナリオモード「戦記制覇」が追加されている。ここでプレイできるのは,「反董卓連合」「官渡の戦い」「赤壁の戦い」「荊州争奪戦」「五丈原の戦い」といった,三国志ファンならよだれが出そうな5シナリオだ。クリアまでの期間や,倒した敵の数,後述する「イベント」をいくつ起こせたかといった基準で採点されるため,より高いスコアを目指して繰り返し遊べるモードとなっている。

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 中国全土ではなく,テーマになった戦いが展開した地域だけを切り取って遊ぶため,じっくりとした内政よりは素早い行動が求められる。普段ならつい貯め込みがちになってしまう金や兵糧もバンバン使い,損害もお構いなしに攻め込んでいくという,いつもとは違ったプレイができて面白い。ショートシナリオだけに,一手一手が通常のモード以上に重要であり,難度の高い陣営で遊ぶときは思わず唸ってしまう。

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「荊州争奪戦」を曹仁でプレイすると,関羽の強さをイヤというほど思い知らされる
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「赤壁の戦い」では,名高い呉の水軍を操作し,曹操軍を叩きのめせる

 特に印象深いのが「五丈原の戦い」で,孔明の命が尽きるまでに速戦即決しなければならない。いかに素早くクリアするかというゲーム性と物語がうまく絡み合っており,プレイしていると哀愁が感じられる。
 それぞれのシナリオでは,条件を満たすと三国志演義での逸話を扱ったイベントが発生するのも楽しいところ。イベントの発生条件はいつでもチェックできるが,あえて見ないで遊んでみるのも面白いだろう。

「五丈原の戦い」は,孔明の命が尽きるまでに戦いにケリを付けるのが目的
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姜維の固有戦法「気炎万丈」が発動。次々と魏軍を打ち破っていくが,歴史的に見ると蜀は滅亡寸前であり,ロウソクの最後の輝きに過ぎない
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三国志演義の名シーンがイベントとしてみられる。イベントを起こすとスコアがアップする
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 地の利,異民族,諸外国といった新要素と,新モード戦記制覇で,三國志14の遊び方はさらに広がった。望む地の利がある土地に固執したり,異民族の動向を気にしたりといったプレイには,より三国志っぽさを感じられるようになり,ファンならたまらないはず。年末に遊び甲斐のあるシミュレーションゲームを求めている人にもオススメだ。

PKでは土地を使って交渉できるようになった。画像では,同盟の代償として平郭が差し出されている
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