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レトロンバーガー Order 57:データイースト死すともデコゲーは死なず。移植も新作も北米版PCエンジンおじさんもあるんだよ編
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印刷2021/03/13 12:00

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レトロンバーガー Order 57:データイースト死すともデコゲーは死なず。移植も新作も北米版PCエンジンおじさんもあるんだよ編

画像集#021のサムネイル/レトロンバーガー Order 57:データイースト死すともデコゲーは死なず。移植も新作も北米版PCエンジンおじさんもあるんだよ編

「ヘンなゲームなら任せとけ!」

 かつて存在したゲームメーカー・データイーストが,スーパーファミコン用ソフトのチラシに記載していた,同社のキャッチコピーです。このキャッチコピーに対して真面目に作っていたつもりの開発陣が憤ったという話も聞きますが,実際データイーストのゲームは独特のテイストを持つものとして“デコゲー”の愛称で親しまれていました。データイーストは2003年に倒産しましたが,そのIPは複数社に分散しつつも継承されて,近年でも移植版や続編が複数リリースされています。

 だいたい2週間前の2021年3月2日,Steamで8本のデコゲーが発売されました。それに今年は,あのデコゲーの新作が発表されたり,あのデコゲーの続編が年内発売予定だったりします。デコゲーがキてる! というわけで,今回はデコゲーでやっていきましょう。

しいたけ
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ヨーロッパでも中南米でもシンガポールでもアメリカでも


 そのSteamで8作を発売したパブリッシャというのが,アメリカのZiggurat Interactive。レトロゲームの復古に特化したパブリッシャで,2019年創立の新興企業ですが,デコゲーのほか「BloodRayne」シリーズの改修版,「Cyclemania」「Bop'N Wrestle」といったMS-DOS用ソフト,Wii用ソフト「Real Heroes: Firefighter」のHDリマスター版,Prism Entertainmentから権利を継承した「Killing Time」「Requiem: Avenging Angel」といった3DO用ソフトなど,幅広く開発・販売を行っています。そのほかハイパーデブボックスジャパンが開発した「ExZeus 2」の現販売元であるなど,旧作だけというわけでもありません。

 Ziggurat Interactiveから発売されたデコゲーは「SRD - Super Real Darwin」(スーパーリアルダーウィン),「Gate of Doom」(ダークシール),「Two Crude」(クルードバスター),「Heavy Barrel」(ヘビーバレル),「Express Raider」(ウエスタンエクスプレス),「Joe & Mac - Caveman Ninja」(JOE&MAC 戦え原始人),「Super BurgerTime」(スーパーバーガータイム),「Bad Dudes」(ドラゴンニンジャ)といった,1990年前後アーケード向けタイトルです。製品名では「Retro Classix」というブランド名が冠されています。今後も同ブランドで旧作が展開されるかもしれません。


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SRD - Super Real Darwin
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Gate of Doom
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Two Crude
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Heavy Barrel
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Express Raider
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Joe & Mac - Caveman Ninja
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Super BurgerTime
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Bad Dudes

 また北米版ニンテンドーeショップでは,Nintendo Switch版の「Retro Classix」タイトルが発売されています。

 Nintendo Switch版のパブリッシャはGolem Entertainment。同社が他に販売しているソフトを見てみると,Nintendo Switch版の「Fighter's History」(ファイターズヒストリー)や「Wizard Fire」(ダークシール2)などが「Johnny Turbo's Arcade」というブランド名で販売されていました。オイオイ,日本ではプロジェクトEGGのスーパーファミコン移植版や,アケアカNEOGEOの「ファイターズヒストリーダイナマイト」こそあれど,JNNEX販売のRetro-bit「ジェネレーション3」くらいしか入手の手立てが無いアーケード版「ファイターズヒストリー」が,1.99ドルで!? 「ダークシール2」も国内家庭用には未移植だし!

北米版ニンテンドーeショップで販売されている「Johnny Turbo's Arcade」ブランドの一部
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 ただ,奇妙な部分があります。「Johnny Turbo」というのは,TurboGrafx-16(北米版PCエンジン)のプロモーションキャラクターの名前です。なのに,販売されているタイトルはいずれもアーケード版。て言うかPCエンジンに移植されたアーケードのデコゲーって「ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ」(アツクテ シヌゼェーッ!)くらいじゃなかったでしょうか。ちなみにPCエンジンのデコゲーだと個人的には「サイレントデバッガーズ」が好きです。

 なぜ北米版PCエンジンのプロモーションキャラクターが,デコゲーをブランディングしているのでしょうか。

国内ではPikiiから発売された「クリスタルクライシス」にも登場していたJohnny Turbo(画像はSteamトレーディングカードのもの)
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 販売中のタイトルについて調べると,「Gate Of Doom」はPS4版もあることが分かりました。PlayStation Storeを見てみると,そちらの販売元はFlying Tiger Entertainmentとなっています。同社の公式サイトを見てみると,「Johnny Turbo's Arcade」ブランドのタイトルが紹介されており,どうやらPS4版もNintendo Switch版も,開発はFlying Tiger Entertainmentのようです。

 Flying Tiger Entertainmentの企業情報などを調べてみると……なるほど。創業者のJonathan Brandstetter氏がJohnny Turboのモデルになった人物であると! LinkedInで公開されている同氏の経歴を見てみると,NECやハドソンを経て,両社が共同出資して設立したターボテクノロジーに所属していたことが記されています。

 つまり,北米版PCエンジンの販売に携わり,そのマスコットキャラクターにもなった人物が,時を経てアーケード向けのデコゲーを家庭用ゲーム機に移植し,かつてのマスコットキャラクターの名前でブランディングして販売しているわけですね。なんだかデコゲーにふさわしいヘンなバックグラウンドで……いや? そこがヘンである必要性,無くない……? アニメーターの只野和子氏が,かつてデザインしたロルフィー(PC-FXのイメージキャラクター)を使って最新プロジェクトの「美少女戦士セーラームーンEternal」をPRするくらいヘンじゃない……?

 ちなみにGolem Entertainmentは公式サイトがトップページしか無く,企業情報がまったく分かりません。これまたヘンです。

ド余談ですが,北米版ニンテンドーeショップでは「Robotech: The Macross Saga HD Edition」が3月4日に発売されたりしました。これは2002年に欧米で発売されたゲームボーイアドバンス用ソフトをHDリマスター化したもの。「Robotech」とは,アメリカのアニメ会社・Harmony Gold USAが「超時空要塞マクロス」「超時空騎団サザンクロス」「機甲創世記モスピーダ」を日本国外で展開するにあたり,同一シリーズとして再編したものです。昔から権利周りで揉めているので,日本で発売されることは無いでしょう。そのほか「シャンティ」シリーズで知られるWayForwardのエイプリルフールネタから生じた「Cat Girl Without Salad」が発売されるなど,北米ニンテンドーeショップは割とカオスです
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でもこれだけは言っておきたい 僕たちゲームが大好きで


 Steamでは前述の8タイトル以外に,「Street Hoop」も販売されています。これはデータイーストが1994年にNEO・GEOでリリースした3on3バスケットボールのゲームで,国内タイトルは「ダンクドリーム」でした。


 こちらの販売元は韓国のDigiconです。同社はAndroid向けにも「Street Hoop」を配信している(国内Google Playでは邦題の「ダンクドリーム」となっていますが,内容は海外版の「Street Hope」です)ほか,1982年にシグマ商事が発売した「ポンポコ」をAndroid向けにリリースしていたりします。何だそのヘンなセレクト。

開発は「雷電」シリーズで知られるセイブ開発(当時の社名はセイブ電子)。4月22日にモスから発売されるNintendo Switch用ソフト「雷電IV×MIKADO remix」のご先祖様と言えないこともなくもないかもしれない。なくなくなくなくない?(オザケン)
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 ちなみに「ダンクドリーム」のイラストレーションを手掛けたのは,セガの「シャイニング」シリーズなどで知られるTony氏だったそうです。心眼を開いたらムキムキのあんちゃんが美少女に見えてくるかもしれません。



朝から晩までシューティング 春夏秋冬シューティング


 一方でライセンス取得の理由や企業情報が明白なデコゲーとしては,エムツーがM2 Shot Triggersブランドから「ザビガ」「B-WING」「メタルクラッシュ」「ラストミッション」「サイコニクスオスカー」を展開すると発表しています。公表されているのは制作が決定したというところまでですが,これはいろんな意味で安心して購入できますね。

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クールなハートと Never gonna lose it


 「日本のゲーセンでも結構目にしたけど,これそんな人気なの!?」と驚くくらい海外で支持の高いデコゲーが,「Windjammers」(フライングパワーディスク)です。どのくらい人気なのかと言うと,2017年にリメイク版(というかアレンジ移植?)の「フライングパワーディスク:Windjammers」(PS4 / PS Vita / Nintendo Switch)がリリースされたり,現在も「Windjammers 2」PC / Nintendo Switch)の開発が進められているほど。

 「Windjammers 2」を開発しているのは,こちらもレトロゲーム移植に特化したパブリッシャ/デベロッパのDotEmuです。もともと2018年8月の発表時点では2019年内発売の予定でしたが,開発は難航しているようで2020年12月には2021年内発売と再度改められています。

 ただ2021年2月にはイギリス代表選手のスティーブ・ミラーがお披露目されたり,期間限定のデモ版がSteamで配信されたりと,着々と完成に向かっています。ちなみに「フライングパワーディスク」のスティーブ・ミラーは,当時データイーストに在籍していた同名の人物がキャラクターのモデルとCVを務めていて,その人は後にユービーアイソフト日本法人の社長になったりもしていました。



しいたけ
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これさえあればなんでもできちゃう ROMRAMデバッグCPU


 海外で人気なのは「Windjammers」ですが,国内で最も一般受けしたデコゲーと言ったら「マジカルドロップ」シリーズではないでしょうか。分かりやすくて奥深いゲームシステムと,ポップかつ個性的で,よくアニメーションするキャラクター。うまいIP展開が行われていたら,コンパイルの「ぷよぷよ」に匹敵するコンテンツになっていたかもしれないと,筆者は今でも思っています。

 データイースト開発の「マジカルドロップ」は,1999年発売のPlayStation用ソフト「マジカルドロップF・大冒険もラクじゃない!」が最後。2012年にはイギリス・UTV Ignition Gamesの発売,フランス・Golgoth Studioの開発で「Magical Drop V」リリースされて……まあ,アレでしたけど,4人対戦とか没タイトル「ゴーストロップ」の要素を取り入れるとか,意欲的だった部分は褒められるんじゃ……ないかな? アレでしたけど。

なおGolgoth StudioのPhilippe Dessoly氏が次に作った「JuJu伝説」のリメイクである「Toki」は,クラウドファンディングの失敗など初期からゴタゴタしましたが,いざ発売されると好意的な評価を得ることに成功しました。「Magical Drop V」はアレでしたけど
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 そんな「マジカルドロップ」の新作を制作すると,ポーランドのForever Entertainmentが1月に投資家向け情報で公表しました。まだライセンス締結に合意した段階だそうなので,どれほど開発が進んでいるか分かりませんが,期待し……「パンツァードラグーン:リメイク」Nintendo Switch / PC / PS4)の開発・販売元なんだよな……。なあ皆,おーい皆(呼びかけに応えて,白くて細長い小型の人型実体が土中からワラワラと沸いてくる)。ゲームの出来はソレとしても,湿度と鉄サビ臭さを感じるような重々しく寒々しい色遣いが,アラビアンな感じの中東みたいな色遣いになってるのは……正直どうよ? うん? OVAよりはマシだって? そりゃそうだがなあ(人型実体は地中へと戻っていく)。


マルボーマルボー マルマルボー


 RED FLAG SHIPのEl diaブランドは,そのブランド名の出典元である「EVE」シリーズなどのシーズウェア作品に加え,データイーストから1998年に発売されたセガサターン用ソフト「慟哭 そして…」もリマスターし,PS4 / PS Vita版を2018年,Nintendo Switch版を2019年に発売しました。

 また,データイーストが1987年に発売したファミリーコンピュータ ディスクシステム用ソフトから始まった「探偵 神宮寺三郎」シリーズは,アークシステムワークスが積極的に展開しています。同じく1991年に発売したファミリーコンピュータ用ソフトから始まった「メタルマックス」シリーズは角川ゲームスが展開していて,本日(3月13日)20:00から「メタルマックス30周年 生誕プレ生放送 〜心から全門感謝!!〜」配信される予定です。この番組には「メタルマックス」と異母兄弟的な関係にあるサクセス「メタルサーガ」シリーズのプロデューサー・KAZ氏も出演するとか。


 アーケード用のタイトルはハムスターが「アーケードアーカイブス」ブランドで家庭用ハードに移植しています。とくに積極的に移植が行われているのはNEO・GEO向けにリリースされたものですが,2020年7月には「バーガータイム」,同年9月には「バーニンラバー」が発売されました。2020年4月のニコニコ生放送「第247回 アーケードアーカイバー チューブパニックスペシャル!」で開発中だと発表された4タイトルのうち,残る「トリオ・ザ・パンチ」「ダーウィン4078」も遠くない未来に発売されるでしょう。またジー・モードも,Nintendo Switch用ソフト「G-MODEアーカイブス22 ヘラクレスの栄光II 神々の沈黙」という意外な角度からデコゲーの移植を展開しています。

2020年4月時点での「アーケードアーカイブス」開発中タイトル。「バーガータイム」と「バーニンラバー」は発表から割と早々に発売されたものの,それからけっこう間が空いていますが,先の2タイトルはMOS 6502系基板で実質的に同ハード,「トリオ・ザ・パンチ」はHuC6280系基板,「ダーウィン4078」はMC6809系基板ということが影響しているのかもしれません
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 そして忘れちゃならないのが小見出しでもネタにしているゲーマデリック。昨今はライブなどが厳しい時勢ですが,新アルバムを鋭意制作中とのことで,今後の活動が見逃せません&聴き逃せません。

 データイーストは遠い過去となりましたが,デコゲーやデータイーストから発されたミームは,いろんなところで生き延びています。あんなゲームも,こんなゲームも,いずれ帰ってくるはずです。

 そう,いつか「Revive 〜蘇生〜」「火焔聖母 〜The Virgin on Megiddo〜」も来るさ! 後者はデコじゃないけど! て言うか「慟哭 そして…」からして,デコって言うよりスタジオラインだけど! きっと「野々村病院の人々」も来るさ! もう全然デコ関係ないけど!! さあ,牛だ!!(空手道)



 あっ! ドロロン星人だー! 逃げろー!!

エリンギ
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