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この冬に遊びたい,Steamで遊べるローグライク特集。プレイするたびに変化する世界をテクニックと運で乗り切れ!
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印刷2021/12/29 00:15

企画記事

この冬に遊びたい,Steamで遊べるローグライク特集。プレイするたびに変化する世界をテクニックと運で乗り切れ!

 プレイするたびに展開が変わり,何度でも楽しめるローグライクゲーム。RPG「ローグ(rogue)」をハシリとするローグライクは,一昔前はランダム生成要素のあるRPGを指していたが,今ではアクションやシミュレーションなどさまざまなジャンルと融合し,ユニークなゲームデザインも増えている。本稿では,近年のローグライクゲームから単純に面白いもの,アイデアの光るものをピックアップして紹介したい。年末年始のお供になれば幸いだ。

 なお,ローグライクゲームの定義はさまざまだが,本記事で紹介するタイトルはすべて“ステージやマップなどに自動生成が取り入れられており,遊ぶたびに展開が変わる,ランダム性の高いゲーム”となっている。ローグライクゲームの特徴の一部だけを持つローグライト作品も含まれることを留意してほしい。


SNKRX


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 ファンタジー世界のキャラクターたちが“電車ごっこ”状態で戦う,シンプルなアクションゲームに,RPGっぽいビルドとオートチェス的なローグライク要素を組み合わせたのが「SNKRX」だ。操作はマウスの左右ボタンによる右旋回と左旋回だけ。キャラクターたちはオートで攻撃してくれるので,事前にどういったパーティを組むかが重要になる。

 ひとつながりになった色とりどりのボール,その1つひとつがキャラクターたちで,「ドラゴンクエストIII」や「IV」あたりの勇者様ご一行を想像してもらえると分かりやすいだろう。彼らを率いて四角形のアリーナへ赴き,次から次へとわき出してくる敵を全滅させればステージクリアとなる。そして,ステージ間にあるショップで,敵を倒して獲得したお金で新たなキャラクターを雇用したり,アイテムのレベルを上げたりすることで戦力をアップさせていくのだ。

画面中央左にある,ひとつながりのボールがキャラクターたち。赤いのが敵,オレンジ色の小さな物体はキャラクターが特殊能力で呼び出した蟲たちだ
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 キャラクターは50種以上が存在する。貫通矢を射る「Archer」,回復アイテムを生み出す「Priest」,自動砲台を置く「Engineer」,一定時間ごとに自分のHPと引き換えに味方の火力を上げる「Flagellant」,敵の死体から蟲を呼び出す「Infestor」,溶岩をばらまく火山を作る「Vulcanist」に,所持金が多いほど大ダメージを与える「Gambler」……というように攻撃やバフ,設置といったさまざまな能力をオートで使用してくれる。彼らから最大7人を選んでパーティを組むのだが,ショップに並ぶ3人の顔ぶれはランダムなので,プレイするたびに展開が変化する。状況に合わせて即興でパーティを作っていくうち,意外な組み合わせが有効なことを発見できたりして非常に面白い。

ステージ間のショップには,ランダムで3人のキャラクターが並ぶ
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 キャラクターを編成する際は,「クラス」によるシナジーとレベルアップという2つの側面を考える必要がある(オートチェスの経験者なら分かりやすいだろう)。キャラクターは1〜3つの「クラス」を持っている。ここでいうクラスとは,キャラクターの能力を象徴したタグのようなものだ。例えば,「builder」(建築家)クラスを持つキャラクターは何かを設置する能力を持つ。砲台を置くEngineerはbuilderクラスで,魔法のオートマトン(自動人形)を作る「Artificer」はbuilderと「sorcerer」(魔術師)クラス,回復フィールドを張る彫像を置く「carver」はbuilderと「healer」(治療師)クラスを持っているといった感じだ。

 パーティのなかに同一のクラスを持つ者が一定数いると,シナジーが発生する。例えばEngineerとArtificerがパーティにいれば,builderが2人なので設置物の持続時間とダメージが25%増加する。さらに集めてbuilderが4人いると50%アップといった具合だ。こうなるとbuilder4人で設置物軍団を作りたくなるが,それはそれで問題がある。まず,ショップに都合よくbuilderが出てくるとも限らないし,builderばかりだと立ち上がりが辛い。builderの設置物は置いてから効果が出るまでに少し時間が掛かるうえ,そうポンポンと設置してくれるわけでもなく,手っ取り早く攻撃してくれるメンツが足りないのである。

 もちろん,シナジーは同時に複数発動させられる。ほかのクラスも集めることでbuilderをフォローする体制も作れるわけだ。ランダムに出るキャラクターをうまく組み合わせ,わずか7人の枠で攻撃力と回復とシナジーを両立させなければならないわけで,アクションRPGにおけるビルドやパーティ編成っぽい試行錯誤の面白さがある。

画面左,キャラクター名の下にあるアイコンがそのキャラクターが持つクラス。画面右にはパーティ内にどのクラスが何人いるかが示されており,条件を満たしてシナジーが発動したものは色が変化している
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画面左では,「Vulcanist」が呼び出した火山が噴火している。グラフィックスはシンプルだが,それゆえに想像力が刺激される
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 クラスのシナジーと同時に,レベルアップも考えなければならない。ショップで同じキャラクターを3人集めると2レベル,9人で3レベルになり,ステータスが向上する。クラスの少ないキャラクターはその分能力もシンプルだが,ショップに出やすい。逆に,クラスを多く持つキャラクターは能力が尖っていたり,強かったりするがなかなか出にくい。

 レベルアップを期待してクラスの少ないキャラクターを中心にしても,ショップ運が悪く,先細りになることもあるし,クラスの多いキャラクターに乗り換えたものの,パーティの構成がうまくいかず戦力が落ちてしまうことも多い。この運要素こそが本作の醍醐味であり,常に頭を悩ませてくれるわけだ。

ショップの枠は3人分。誰が出現するかはランダムだが,写真のようにすべて同じキャラクターで占められていることもある。一気にレベルアップするチャンスだ
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赤い円は「Pyromancer」の炎フィールド。青い円は「Cryomancer」の氷フィールド。中に入った相手に持続ダメージを与える。クラスのシナジーやアイテムの効果で,フィールドの範囲を広げたビルドだ
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 こうした運の揺らぎに,独特の操作性が加わり,状況はさらにカオス化する。パーティは止まることができず,ひたすらに走り続けるのみ。旋回はできるものの,壁にぶつかると跳ね返されて一瞬操作不能になるため,繊細な操作は難しい。壁にぶつかって敵のただ中に飛び込んでしまったり,逆に偶然に敵弾の間をすり抜けて危機を脱したりと,悪いこともいいことも起こるので緊張感が持続する。

たまに手に入るアイテムは,パーティに特殊な効果を及ぼす
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 そして,パーティ編成がうまくいくと,シナジーも相まってとんでもない戦闘力を発揮できる。数ステージに1回手に入り,特殊なパッシブ効果を与えてくれる「アイテム」を組み合わせると,敵を次々と瞬殺することも夢ではない。もちろん,ビルドが強力なほど,必要になるキャラクターやアイテムは多くなり,これを引く運が必要になる。それだけに,うまく揃ったときは麻雀で高い役を上がったかのような喜びがあるのだ。

砲台などを設置するキャラクターと相性のいい「Taunt」アイテム。囮になって砲台を設置する時間を稼いでくれる
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とにかく弾の数を重視した構成。画面内に無数の弾が飛び交っている
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 アクションRPGにおけるビルド,オートチェスのシナジーとレベルアップを,ままならない操作性と運の要素が彩る,風変わりな「SNKRX」。アクション性はあるがプレイヤースキルがすべてではなく,かといって運のよさだけでは勝てないというバランスが絶妙だ。シンプルさを追及したグラフィックスも個性的で,インディーズらしいゲームと言えるだろう。

「SNKRX」Steamページ



幸運の大家様


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 「幸運の大家様」は,スロットとローグライクを融合したユニークなデザインが特徴的な作品だ。目の前にあるのは,ドラムがほとんど真っ白なスロット。スロットを回してお金を稼ぎ,家賃の支払日までにお金を貯めていこう。

 本作はスロットを題材にしたゲームではあるものの,いわゆる“普通のスロットマシーン”とは少し違う。普通のスロットマシーンは,ドラムはみっちりとシンボル(絵柄)で埋まっているし,シンボルを自分で変えることもできない。しかし,本作のドラムには空白がたくさんあり,スロットを1度回すごとに,新たなシンボルをドラムに追加できる。加えて,タイミングよくドラムを止めてシンボルを揃えるといった技術介入も存在しない。

初期状態のスロットがこちら。ドラムは空白ばかりだ
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 シンボルを追加する際は,ランダムに提示された3種から1つを選んで追加していく。これが本作のローグライク的要素になっており,シンボルの特性はさまざまだ。「コイン」や「チェリー」のように,盤面に出てくるだけで少額のコインが手に入るもの。“「ハチミツ」の横に「クマ」がくると,たくさんコインが出る”など,特定のシンボルが隣り合うことで高い効果を発揮するもの。そして,特定条件を満たすと変化するシンボルも存在する。例えば「種」は25%の確率で成長して10種ある植物のいずれかになるが,どれになるかは完全にランダムといった具合だ。

 言い換えれば“ランダムで手に入るカードを使って,うまく回るデッキを組むようなゲーム”であるわけだ。シンボルにはレアリティがあり,高いものほど効果が強烈だが,出てくる確率は低い。高レアリティのシンボルが出現する確率を高めるシンボルもあり,1度スロットを回すたびに,ハクスラ系ゲームのトレハンをしている気分を味わえる。

スロットを回すたびに新たなシンボルを追加できるが,どれが出てくるかはランダムだ
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 シンボルは長期的に稼げるものと短期的に稼げるものをうまく組み合わせなければならない。何度かスロットを回すごとに家賃を支払わなければならなく,お金が足りないとその時点でゲームオーバーになるためだ。
 例えば「石炭」のシンボルはコインをまったくもらえない。しかし,20回スロットを回すと「ダイヤモンド」に変化し,5コインが手に入るようになる。加えて,ほかにもダイヤモンドが出現するごとに,もらえるコインが+1される。つまり,ダイヤモンドが2個出現すれば5+5+2で12コイン,3個出現すれば5+5+5+3で18コインと,シナジーで一気に大儲けできるようになるのだ。
 しかし石炭はダイヤモンドになる前は1コインももらえないので,序盤からかき集めるのは高いリスクを伴う。地味でも短期で確実に稼げるシンボルも獲得し,当座のお金を集めるのも重要なわけだ。

一定回数スロットを回すと家賃の支払い日がやってくる。コインが目標額に達していないとその時点でゲームオーバーだ
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シンボルのシナジーがうまくいっていないと,スロットを回してもあまり儲からない
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 シナジーを考えて絵柄を集めていくのは楽しいが,運要素も大きい。例えば「信者」のシンボルは,同じ信者がドラムにいるごとに,もらえる額が増えていく。信者ばかりを揃えた「信者デッキ」を組めれば結構な額を稼げるが,候補になかなか信者が出てこず,そうこうしているうちに中途半端なデッキになってしまったりもする。

 逆に言えば運が偏れば,盤面のあちこちで複数のシンボルがうまく組み合わさり,一気に大儲けできることもある。「ザロフ将軍」は,隣り合った人間型シンボルを抹殺する代わりに20コインが手に入る。さらに「銅の矢」(ルーレットのように回って,指し示したシンボルの獲得額を倍にする)が運よくザロフ将軍の方向を向けば20×2=40コイン。別の場所で「鍵」と「金庫」がうまく隣り合い,金庫が開いて30コイン獲得し,隣には周囲にあるシンボルの中でもっとも高価なものと同額を貰える「ワイルドカード」が出てきてさらに30コインゲット……といった具合に,シンボルが噛み合うことで1回転で数100コインを稼げることもある。シナジーが決まるごとにSEの音階もド・レ・ミ・ファ・ソ……と上がっていき,気分もアガっていくのだ。

シンボルにもレアリティがあり,高いものほど出現率は低いが強力だ
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「ドワーフ」と「ワイン」が隣り合い,ドワーフがワインを飲んで24コイン。その上では「銅の矢」が「ネコ」を差し,ネコの報酬が倍になって2コイン。このように,盤面のあちこちでシナジーが成立する
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 本作はデッキ構築くらいしか技術介入がないため,人によっては退屈に感じるかも知れない。運の要素も強く,1度回すだけで次の家賃を一気に稼げることもあれば,何をしてもダメでなすすべなくゲームオーバーになったりもする。しかし,逆に言えばノンビリとゲームを楽しめ,負けても「まあ,運が悪かっただけだよな」とすぐに気持ちを切り替えられる。

 1日の仕事が終わって一息つきたい時などにもってこいのゲームと言えるだろう。本作は頻繁なアップデートが続けられており,日本語訳が入ったことも合わさって以前より遊びやすくなっている。シンボルを再度抽選できるアイテムなどはいい例で,運の要素が強すぎるという声に対応したものだろう。リリース初期,タイトルがまだ「Luck be a Landlord」だった頃に遊んでいた人も,これを機にもう一度プレイし直してみてはいかがだろうか。

かつては日本語に未対応で,各種解説も英語だった
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「幸運の大家様」Steamページ



Loop Hero


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 勇者の冒険をプロデュースする変わり種のゲームが「Loop Hero」だ。強いモンスターをぶつけて経験値を稼ぎ,立派に育て上げてボスを倒してもらおう。このゲームは勇者を直接操作できない。勇者は円状のコースをぐるぐると自動で歩き,モンスターとオートで戦う。モンスターを倒すと,勇者は経験値や装備を獲得し,戦力が上がっていくのだ。しかし,初期状態の道にはスライムしか出現せず,これではいくら倒してもたかが知れている。

 ここでプレイヤーの出番というわけだ。勇者が歩くコースに地形カードを置くと,その地形に応じた強いモンスターが出現するようになる。これを勇者に倒してもらい,効率よく強くなってもらおう。強いモンスターはそれだけ実入りが大きいが,強いモンスターが出る地形カードを置きまくると,勇者が負けてしまうことも。勇者は操作できず,プレイヤーが介入できるのは装備の変更と貴重なポーションの使用,撤退指示を出すことくらい。RPGでオート戦闘の狩り場を検討するように,ある程度余裕を持って勝てるくらいの敵にしておかなければならない。とはいえ,弱いモンスターばかりを出しても,勇者は充分に育ってくれないので,生かさず殺さずのギリギリを狙い,うまくカードを配置していこう。

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 本作のローグライク要素は,地形カードと装備品にある。地形カードはモンスターを倒した際に手に入るもので,あらかじめデッキを組んでおくのだが,どういった順番で出てくるかはランダムだ。例えば「岩」のカードは置くたびに勇者のHPを上げてくれる。もちろん早い段階でできるだけ多く置きたいのだが,ランダムゆえに,うまく手元にきてくれないようなことも頻発する。

 また,カード同士を組み合わせると,特殊な効果を発揮するのも面白いところだ。「村」をマップに配すると,勇者が通過した際にHPを回復してくれる。だからといってあちこちに配置すると「盗賊のキャンプ」も出現してしまい,装備を盗む「バンディット」がたむろするようになる。そして村の隣に「バンパイアの屋敷」を置くと,村が「荒らされた村」になり「グール」の群れが出現するように。これをうまく切り抜けると荒らされた村は「支配下の村」になり,報酬が獲得できるクエストをもらえる。つまりは1枚のカードに複数の役割があり,隣り合うカードや置かれた状況によってプラスやマイナスになるというわけだ。デッキに組み込む枚数だけでなく,置く場所やタイミングも考えなければならないわけで,この頭を使う瞬間がとても面白い。

レベルアップ時に特殊能力「トレイト」を選択できるが,どれが出てくるかはランダムだ
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地形カードを置いて新たなモンスターを出すが,勇者が勝てるくらいに手加減しておかなければならない
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 そして,地形カードを置くたびに世界が変化するのも印象的だ。道とスライムしかなかった殺風景な世界も,地形カードを置くことにより,峨々たる岩山からハーピーが飛来し,広がる牧草地に花が咲き,灯台のようなランタンが周囲を照らすといったように,賑やかになっていく。道の形と地形カードが手札にくる順番は毎回異なるため,遊ぶごとに違った世界が誕生する。

地形カードの置き方によって,毎回異なる世界が作られる
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 そして,敵から獲得できる装備品も毎回異なったオプションが付与されるので,吟味しつつ戦法の方向性を決めていける。まるでハクスラもののトレハンのようだ。こうして冒険を進めて素材を入手,自分の本拠地にさまざまな施設を建てていく。すると,二刀流の「ローグ」や召喚系の「ネクロマンサー」といったクラスがアンロックされていき,冒険はさらに奥深くなっていくのだ。

本拠地を充実させていくと,新たなクラスがアンロックされる
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 ゲームはリアルタイムで進行するがアクション性はなく,RPG的な要素は強いが勇者は操作できない。道が続いているマップ画面はタワーディフェンスのようでもあり,グラフィックスは大昔の8ビットホビーパソコンっぽい……と,大変不思議で個性的なゲームだ。Nintendo Switchにも移植されているので,気になった人はぜひ遊んでみてほしい。

「Loop Hero」Steamページ



メタリックチャイルド


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 美少女ロボット・ロナを操作し,無数の敵をブッ飛ばしていくローグライクアクションゲームが「メタリックチャイルド」だ。これまでに紹介したタイトルと違い,アクションゲームとしての側面が非常に強いのが特徴で,1対多数の白兵戦アクションで多数の敵を制しつつ戦うというゲーム性は,ベルトスクロールアクションに通じるものが感じられる。

主人公のロナは可愛らしい少女型ロボット
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ファイトスタイルは荒々しい近接系だ
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 ロナのファイトスタイルは近接特化で,敵の攻撃を防げる「ソード&シールド」,一発がデカい「ハンマー」,スピーディに攻撃する「ガントレット」といった武器を使って戦う。敵の数は多く,容赦なく攻撃をしてくるため,とにかく速攻で倒していくことが重要だ。ガンガン攻撃しつつ,敵が攻撃してくる予兆がないか目を光らせ,危険があればローリングで避けるという,アグレッシブかつクレバーな戦い方が求められる。

 とくに気持ちいいのが,敵を掴んでの投げ技だ。投げられた敵はすっ飛んでいき,軌道上にいるほかの敵を巻き込んでいく。つまり,武器が届かない敵に対し,別の敵をぶつける投げで広範囲を制圧するのが有効なわけで,このあたりの考え方もベルトスクロールアクションっぽさが感じられる。
 なお,多くのベルトスクロールアクションの投げには無敵時間が存在するため,多少強引に突っ込んでも大丈夫なのだが,本作ではそうはいかない。投げの最中だろうが攻撃されればダメージを受けるため,がむしゃらに突っ込んで投げるという作戦は厳禁だ。打撃で周囲の敵ごと怯ませつつ投げたり,攻撃を終えたところを投げたりといったテクニックが重要になる。

敵を投げて酸の池にたたき込めば大ダメージを与えられる
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動画配信者のミアモのクエストを請けると,放送用ドローンが映している敵を倒すごとに画面に視聴者コメントが流れてくる
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 本作におけるローグライク要素で重要なのが「ミニコア」と「スーパーコア」だ。ミニコアは敵を倒すと出現するアイテムで,プラスもしくはマイナスの効果を持つ。こちらは獲得するまでどちらの効果か分からないため,完全な運要素となっている。一例を紹介すると,プラス効果は「投げた敵が爆発して周囲にダメージを与える」「敵を倒すごとにHPを回復する」「受けたダメージを反射する」,マイナス効果は「攻撃力が下がる」「敵を倒してもアイテムを落とさなくなる」「敵のHPが表示されなくなる」といった具合だ。加えて「ロナがボクセル風の姿になる」「画面の解像度が下がる」「画面に広告ウィンドウが開く」といったユーモラスなものもあって笑いを誘う。

ミニコアの効果で,画面の解像度がダウンしている状態
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画面にスパム広告が鎮座。スパム広告の種類やウインドーの大きさにバリエーションがあるのが面白い
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ミニコアのマイナス効果の中には「敵がミニコアを落とさなくなる」という洒落にならないものもあるが,時間経過で効果は終了する
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身体がボクセル風になるミニコア。ドヤ顔で決めても,ボクセルなのでユーモラスな雰囲気が漂う。また,のちのアップデートで,ボクセル姿はロナのコスチュームとして実装された
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ロナのコスチュームのなかには,特殊な効果を持つものも存在する。この「武器商人のカバン」は髪型が変わるのに加え,スタート時に武器の入った宝箱が出現する
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 ミニコアの効果は時間経過で消えるため,どんどん取ってどんどん使い切るスタイルが有効だ。つまりはプラスとマイナスの小イベントが頻繁に起こるようなもので,プレイは自然とメリハリのあるものになる。そして,ミニコアを使い切っていくとスーパーコアが手に入る。ミニコアとは逆に出撃中はずっと有効なパワーアップであり,「普段なら投げを無効にする敵も投げられるようになる」「階層が深いと攻撃力が上がる」「ミニコアのマイナス効果を無効にする」などかなり便利な効果がそろっている。

 それだけに好きなものを使えるわけではなく,4個提示された候補のなかから1つを選ぶ形式なので,ローグライク的な運が絡んでくる。そして,強烈なスーパーコアは,マイナスのミニコアを使い切った際にもらえる「バグデータ」と引き換えにしか手に入らない。効果が高いほどたくさんのバグデータを必要とするため,実は“マイナスのミニコアはあればあるほどうれしい”というわけだ。

「スーパーコア」は4択式。「攻撃力は上がるが,防御力がダウンする」なんてものも
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 ローグライクゲームで“プラスやマイナスの効果を持つ能力を取らされる”というアイデア自体は珍しいものではない。「Curse of the Dead Gods」のように,マイナス効果を受けたなかでの生き残りをテーマとしたタイトルもあるが,マイナス効果の存在感が大きいとプレイが先細りになりやすい。

 本作の特徴は,こうした先細り感を緩和したゲームデザインにある。まず注目すべきは“ミニコアの効果はプラスもマイナスも一時的なものであり,いつかは消え去る”ということ。多少運が悪く,マイナスのミニコアを引いても,ゲームを進めていればなんとかなる。さらに,プラスでもマイナスでもミニコアを3つ揃えることで,一定時間特殊パワーアップする「コアコネクト」が発動するため「もうなんでも持ってこいや!」と前向きな気持ちでプレイできる。

 そしてもう1つの重要なポイントがバグデータの存在だろう。いいスーパーコアには多くのバグデータが必要になるため,マイナスを避けるどころか「大量のバグデータがほしいから,なんでもいいからミニコアを寄越せ!」とプレイがアグレッシブなものになるわけだ。本作の軸はあくまで1対多数のアクションゲームなので,反射神経に自信がある人や,バトルものが好きな人にはオススメできる作品だ。

最深部では巨大なボスとの戦いが
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ボスによっては,シューティング風の戦いになることも
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「メタリックチャイルド」Steamページ



ビビッドナイト


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 プレイするたびに変わる迷宮で,キャラクターを集めて魔物に挑む。オートチェス・ミーツ・「不思議のダンジョン」とでも呼ぶべきゲームが「ビビッドナイト」だ。本作の面白さは“個性的なキャラクターを集め,編成を工夫して多くのシナジーを発動させる”部分にある。キャラクターたちは宝石化しており,迷宮のあちこちにある宝箱から拾えたり,店に売っていたりする。ローグライクゲームなので,出現するキャラクターはもちろんランダムだ。

 宝箱から拾う場合は3つの候補から1つを選択する。お店へ入荷する顔ぶれはレアリティに基づいた確率で決まり,所持金が足りないと購入できない。誰を選ぶべきかの指針になるのが,キャラクターたちが持つ「シンボル」と,前衛後衛を考えたパーティのバランス,レベルアップの3点だ。
 シンボルは,例えるなら皆を強化してくれるパッシブスキルの欠片のようなもの。同じシンボルを持つ者を一定数以上パーティに入れると発動する。つまりはオートチェスにおけるクラスに近い。たくさんのシンボルを発動させるほど有利になるが,パーティとしてのバランスも考えるのが重要で,防御力が高いキャラ,回復スキルを持つ補助役,攻撃力に優れたキャラをうまく組み合わせないと,バトルに安定して勝つことはできない。

 また,同じキャラクターを3体集めるとレベルが上がってパワーアップするので,こちらも積極的に狙いたい。つまり,キャラクターを拾ったり買ったりする際は,先を見越してシンボルを揃えつつ,パーティ編成のバランス,そしてレベルアップを考えたうえで品定めする必要があるわけだ。
 例えば,キャラクターを拾う際も「このキャラクターなら狙っているシンボルが発動するが,パーティが後衛系ばかりになってしまう。こちらのキャラクターは前衛系なので,バトルは安定するけどシンボルは発動しない。もう1人のキャラクターなら3体集まるのでレベルアップが狙える……どれにするべきか?」と頭を悩ませられることになる。

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お店に並ぶキャラクターはランダムなので,運の影響を受ける
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あまり多くのキャラクターを連れ歩くと「重量超過」となり,移動に必要となるリソース「マナ」が普通よりも多く減っていく
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 発動することで戦闘が有利になるシンボルの効果はさまざま。「パープル」は魔法攻撃の威力が上がり,「梅の紋」は行動するたびにHPが自動回復,「獣」は後列の攻撃回数が増え,「塔」は敵を麻痺させるなど,どのシンボルも非常に強力だ。複数のシンボルが揃った際は,いろいろな効果が次々に発動するため,見た目にも派手で気持ちいい。
 もちろん,編成したパーティはそのプレイ限りのもので,毎回ゼロからキャラクターを集めることになる。つまり,ソーシャルゲームの序盤,シナリオやらガチャやらで手に入れたキャラクターをとにかくかき集め,なんとか機能するパーティを編成しようとする際のどん欲さと面白さを,プレイするごとに味わえるわけだ。

いかに多くのシンボルを発動させるか,パーティ編成には頭を捻る
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多くのシンボルが発動すると,画面左側にバフのアイコンがずらりと並ぶ
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 迷宮を歩く際に,「お金」「マナ」「キャラクターのHP」など,各種のリソースが綿密に絡み合うのも本作の面白い要素の1つ。パーティに編成できる人数を増やしたり,お店でキャラクターを買ったりするためにはお金が必要なのだが,お金を稼ぐためにはマナを消費し,迷宮を探索しなければならない。しかしマナが切れてしまうとキャラクターのHPが減っていくため,無駄な行動は控えたい。3つのリソースをやりくりしつつ,常に決断を迫られるあたりは非常にローグライクらしい要素と言えるだろう。

 本作はカワイイ絵柄でキャッチーな印象を受けるが,有効な戦術を見極め,攻略していくのに繰り返しの試行錯誤が求められる。見た目と裏腹に硬派なタイトルであるが,アクション性がなく,バトルもコマンド選択式なので,幅広いプレイヤーに遊んでほしい作品だ。

繰り返しプレイして「輝石」を集めると,新たなキャラクターやアイテムをアンロックできる。3択式なので,どれを選ぶか悩ましい
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「ビビッドナイト」Steamページ


 ローグライク特集,いかがだったろうか。Steamにはほかにも多数のローグライクゲームがあるが,今回は比較的新しめのタイトルを中心に紹介させていただいた。興味が出た人,久しぶりにプレイしようと思った人は,ぜひ年末年始の時間を使い,じっくりと遊んでみてほしい。
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