プレイレポート
[プレイレポ]「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」を先行体験。クラフトが加わり,自由度と挑戦する楽しさが強化されたシリーズ最新作
“自分で考えたこと,思いついたことを試す”楽しさにあふれた「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(Switch / Wii U。以下,ゼルダの伝説BotW)の待望の続編は,果たしてどのように進化しているのか。発売前にプレイする機会を得たので,そのレポートをお届けしよう。
なお,ネタバレは極力避けているが,物語の冒頭部分の紹介などにそれに当たる個所があるので,読み進めるときは注意してほしい。
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」公式サイト
地上に地下,そして空の上。各地を巡り,ハイラルの平和を取り戻せ
リンクの新たな物語は,前作のエンディング後からしばらく経ち,“厄災”を退け,平和を取り戻したハイラル王国より始まる。
ある日,復興が進むハイラルの地に,新たな問題が発生した。地下から吹き出す「瘴気」により,心身に変調をきたす者が次々と現れたのだ。瘴気は,ハイラル城の地下からも吹き出していた。事態を重く見たハイラル王国の姫ゼルダは,災厄を打ち払った勇者リンクを連れ,城の地下へと調査に赴く。
そこで待っていたのは,神秘のベールに包まれた古代文明ゾナウについて記された壁画だった。
はるか昔に姿を消したとされるゾナウに関するものが,なぜハイラル城の地下にあるのだろうか。謎が深まるなか,さらに地下の奧へと進み,とある存在と出会うゼルダとリンク。この,城の地下での出来事をきっかけにハイラルは異変に見舞われ,リンクは新たな冒険に出ることになる。
一体地下で何があり,そしてどのような異変が起きたのか。それは実際にゲームをプレイして見届けてほしい。
リンクがあらためて旅をすることになるハイラルの地は,年月の経過と異変の発生によってゼルダの伝説BotWのころから大きく変化している。
城の南にハイラルの異変を調査する拠点が築かれていれば,街道を塞ぐように魔物たちの新たな拠点ができている。ゾーラの里へ向かうと,そこは空から降り注ぐヘドロでひと騒動となっており,空を見上げると,はるか雲の上に空島なる謎の島々が浮かんでいる。
ゼルダBotWをプレイした人なら,気になる場所を見て回るだけでもあっという間に時間が過ぎていくだろう。
前作で大きな評価を得た“フィールド探索”の基本部分は変わらず,さらに新たな冒険の舞台となる空島が加わったことで,冒険へのワクワクが止まらない。
大小さまざまな島で形成されている空島は,ゼルダBotWの祠や神獣のダンジョンのように,多くのギミックや謎解きが用意されている。雲の上の幻想的な風景を眺め,ゾナウ文明の遺跡や地上にはない植物を見つけてあれこれ思考するといったように,ゲームを進めずにただ周囲を見て回るだけでも有意義な時間を過ごせそうだ。
空島から地上へ降下するとき,眼下に広がる地上の風景もまた絶景だ。大地には巨大な地上絵や「深穴」と呼ばれる大穴などの不思議なスポットがあり,パラセールでゆっくり眺めながら「この先にどんな謎が待っているのだろう」と想像するのも格別なものがある。
深穴からは広大な地底世界にダイブでき,そこでも地上や空に負けない冒険が待っている。メインストーリーを進めながら,各地のさまざまな謎に触れる旅を思う存分楽しもう。
ハイラルの住人たちとの交流要素「エピソードチャレンジ」も,リンクの冒険に新しい刺激とやりがいを与えてくれる。
これは,各地の集落で起きている事件や住人たちの相談ごとを解決していくと,彼らとの物語が進行するクエストのようなもの。エピソードを進めていくうちに,ハイラルの住人たちがこの地で何を考え,どのように暮らしているかをうかがい知れるのが楽しい。より作品世界に浸りたいという人はチャレンジしてみよう。
見つからないよう,慎重に尾行を……住人の生活サイクルを把握して進めるチャレンジもある |
ミニチャレンジも引き続き登場。ハテノ村のマンサクは相変わらず恋に悩んでいるようで…… |
クラフト要素によって,自由度と“挑戦する楽しさ”がパワーアップ
さて,主人公はあの災厄を打ち払った勇者リンクである。その力があれば,そこいらのボコブリンやモリブリンなど敵ではないし,新たな異変も恐れることはない……と言いたいところだが,リンクは瘴気の影響によって力を失っている。
そのため,また一から(おなじみ,ハートの器3つから)始めて力を取り戻さなければならない。前作同様,序盤は苦戦することも少なくないだろう。
そんな過酷な冒険において心強いものとなるのが,リンクの新たな能力だ。ゾナウ文明由来の「ウルトラハンド」「スクラビルド」「トーレルーフ」「モドレコ」という4つの力を駆使し,難関を乗り越えていく。
ウルトラハンドは,大きな物体を浮かべて動かしたり,くっつけたりできる。フィールドに落ちている木材や石などを使って荷車やいかだなども作れるので,移動や探索に欠かせない能力だ。
空気の流れを生む「扇風機」や火を噴きだす「火竜の頭」,水を放出する「放水栓」といったゾナウギアという部品を組みこむことで,乗り物に動力を与えたり,武器として使ったりもできる。
スクラビルドは,一言で言えば武器や道具を作るための力だ。剣や盾に岩やバクダン樽を付けて通常時とは異なる攻撃方法を与えたり,槍と槍をくっつけてさらにリーチのある長槍にしたりと,さまざまな方法で武器を強化できる。
瘴気は人間だけではなくモノにもその影響が及んでおり,武器は朽ちて壊れやすく,そのままで使える強い武器はそう簡単に手に入らない。武器は,朽ちた武器に魔物の角や爪などをつけ,強度と威力を上げて使うことが基本になりそうだ。
棒の先に石をつけると斧やハンマーになり,棒に板をつけるとうちわになるなど,素材集めや移動などに役立つ道具作りにも一役買ってくれる。ほかにも役立つ武器や道具が作れないか,いろいろなアイデアを試してみよう。
天井を通り抜けて上の階層に移動できるトーレルーフは,高所からの周囲の観察や目的地へのショートカット,魔物の住処への奇襲などに重宝しそうだ。移動とバトル,情報収集と,さまざまな場面で役立てよう。
モドレコは,モノの動きを“逆再生”する能力だ。空から降ってきたり,川の上流から流れてきたりしたモノに乗ってモドレコを使えば,移動手段として“それがあった場所”に移動できる。
一度転がした岩や鉄球を巻き戻し,そこに敵を招き入れて罠にかける,間違って遠くに動かしたものをもう一度引き寄せるといった使い方も。これまた工夫次第でいろいろな使い方ができそうな,ユーモアのある力だ。
4つの能力はどれも冒険に欠かせないものとなるが,とくにウルトラハンドのクラフト要素はかなりハマりそうだ。実際に筆者も,回転するタイヤに盾を付けて船用の水車を作ったり,グライダーのどこに扇風機を取り付ければ,イメージしたとおり滑空できるのかを実験したりと,気が付けばモノづくりの試行錯誤に没頭している時間が長かった。
「いろいろなものを作れる」と言われても,何を作っていいか困る人もいるかもしれないが,そこはご心配なく。サンプルとなる組み方があるので,最初はそれに従い,少しずつ自分なりのアレンジを加えることで作れるものも増えていくはずだ。
試行錯誤と失敗の連続となると思うが,それだけに理想どおりの乗り物が作れたときの達成感はなかなかのもの。ぜひこの感覚を味わってほしい。
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」は,冒険と探索,そしてクラフトと,確かな手ごたえと驚異的な作りこみを感じさせる一作だ。前作の物語を覚えていれば一層面白いのは間違いないが,単体の物語としても問題なく楽しめる作りになっているので,前作未プレイの人(&細かい部分は忘れてしまったという人)も安心して本作からプレイできるはず。
探索にバトル,そしてクラフト。そのどれも自由度が高く,“自分で試して挑戦する楽しさ”がパワーアップしていることが,本作の大きな魅力の一つだろう。ところどころにヒントとなるものや“さりげない”誘導はあるが,あえてそれを気にせず,勘違いや失敗を繰り返しながら,とことん手探りで進めるのも楽しい。ファンはもちろんシリーズ未体験という人も,新たな形の“ゼルダらしさ”を思う存分感じられる本作で冒険に出かけよう。
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」公式サイト
- 関連タイトル:
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