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インタビュー
[インタビュー]「エグゾプライマル」はカプコンになかったアクションに挑戦した意欲作。開発のキーマン3人に気になる質問をぶつけてきた
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本作のジャンルは,オンライン専用のサードパーソンシューター。突如地球上に出現した大量の恐竜に対し,プレイヤーは「エグゾスーツ」と呼ばれる強化スーツを装備し,この状況に対峙する。
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本日(2023年5月23日),4Gamerに,開発版を使用したプレビュー記事が掲載されているが,その内容を踏まえたうえで,ディレクターの平岡拓朗氏,アートディレクターの布施拓郎氏,テクニカルディレクターの阿部一樹氏の3人に話を聞いてきた。開発の進捗やゲームシステムの気になる質問などをぶつけてきたので,ぜひ読み進めてほしい。
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「エグゾプライマル」公式サイト
――エグゾプライマルは,過去のカプコンタイトルには見られない斬新なジャンルのゲームです。なぜこのジャンルが選ばれたのか,開発に至った経緯を聞かせてください。
平岡拓朗氏(以下,平岡氏):
「カプコンにこれまでなかったようなアクションゲームに挑戦したい」というところがスタート地点でした。「ひとつの強大な敵に協力して挑む」という面白さは「モンスターハンター」シリーズで体験できますが,多数の敵はありませんでした。「ものすごい数の敵が出てきてピンチになるが,みんなで協力して打破する」といったゲームを作ることができれば,これまでになかった気持ちいい体験を与えられるのではないかと考えたんです。
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――たくさんの敵が押し寄せてくるゲーム,というと,他社のゲームになりますが「Left 4 Dead」シリーズなどが思い浮かびます。それらのタイトルと本作の一番の違いはどこになりますか。
平岡氏:
ほかのプレイヤーが介入してくる瞬間があるという部分です。CPUだけの場合,ゲームに慣れてきたり,キャラクターが成長してきたりするなど,一定のラインを超えると緊張感が薄れてしまう瞬間があると思っていました。その問題を解決するために対人戦(PvP)の要素を加えました。
――新ジャンルへの挑戦ということで,開発で苦労した点などを聞かせてください。
平岡氏:
苦労したところは……全部ですね(笑)。これまでの経験を生かしてゲームの開発を進めましたが,試作版を遊んでみても「面白いけど何かが足りない」。現在のバージョンに至るまでは,試行錯誤の連続でした。
阿部一樹氏(以下,阿部氏):
1万体以上の恐竜が出てくるシーンがあるんですが,これまでのカプコンでやったことがない試みだったので,一筋縄ではいきませんでした。国内ではノウハウがない技術が必要になることもあったので,海外の別会社のエンジニアさんから話を聞いたり,技術流入をしたりということもありましたね。
――本作では大量の恐竜と戦うことになりますが,ゾンビやメカ,エイリアンなどを敵にするという案もあったのでしょうか。敵を恐竜に設定した理由などがあれば教えてください。
平岡氏:
敵を恐竜にすることはかなり早い段階で決まっていました。太古に実在していた恐竜というものが持つ,「強くて怖くて格好いいイメージ」というのは世界中の人が持っている共通認識です。その大群を自分たちの手で倒すという達成感をうまく表現できれば,インパクトのあるゲームになるという確信がありました。
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――本作の発売日が7月14日と迫っていますが,開発の進捗はいかがでしょうか。
阿部氏:
進捗状況としては,順調ですが100%ではありません。と言うのも,これまでに実施したテストプレイでいただいた意見をできる限り反映して,よりよい製品を提供したいと考えており,現在は最終チューニングを行っている段階です。
――プレイヤーからの意見を反映しているとのことですが,具体的な変更点があれば教えてください。
平岡氏:
これまでにオープンベータテストとクローズドベータテストを行ったんですが,想定以上に幅広い層の方々にプレイしていただけました。とくにオープンベータは,コアゲーマーの比率が高くなると予想していたのですが,カジュアルプレイヤーの参加者が多く,少し意外でした。
変更点としては,ファイナルミッションでPvPとPvEのどちらをプレイしたいかを事前に選択できるシステムを追加しました。「ディノサバイバルのファイナルミッションでPvPが発生したときに,緊張感が高くてストレスを感じた」という意見が多かったためです。
――ということは,PvP専用のモードを望んでいるようなプレイヤーは少数派だったのでしょうか。
平岡氏:
そうですね。ただ,現在はPvP専用モードはありませんが,プレイヤーからの要望が多くなれば,PvP専用のモードを実装する可能性もあります。また,現時点でも,ディノサバイバルのファイナルミッションでPvPのみをプレイできる設定がありますので,PvPを希望するプレイヤーはぜひそちらを選んでいただければと思っています。
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――ディノサバイバルでは,さまざまなルールのファイナルミッションが発生します。ここで選ばれるミッションには,何か法則性などがあるのでしょうか。
阿部氏:
実はゲームの中で,AIがプレイヤーのストーリー進行度やレベル,対戦状況などをチェックしていまして,両チームの対戦がデッドヒートしたものになるように,ミッションやドミネーターの配置などを随時変更していくという仕組みになっています。
――ディノサバイバル中にはエグゾスーツを自由に切り替えられますが,スーツの使い分けについて何かアドバイスはありますか。
平岡氏:
どんなスーツを使ってもクリアできるように設計されているのですが,スコアやクリアタイムを競うのであれば,状況に応じてスーツを使い分けるほうが効率的ですね。例えば,アンキロサウルスは体力が多く,硬い装甲に覆われているので,バラージュのグレネードで燃やして,ひっくり返しているうちに倒すのが有効であるとか,そういった攻略法が恐竜ごとに用意されています。
――近距離タイプのアサルトであるゼファーは装甲がもろく,敵の中に突っ込んでいくとすぐやられてしまうため,とくにPvPでは扱うのが難しく感じました。扱うコツのようなものがあれば聞かせてください。
平岡氏:
実は僕もゼファーを使うのは苦手です(笑)。開発にいる上手なプレイヤーに話を聞くと,移動スキルを活用して,側面や背後から孤立している敵を狙っていくのがコツのようです。
阿部氏:
実はオープンベータのデータでは,ゼファーはPvPのキル数で1,2を争うほど活躍しているというデータもあるんですよ。扱うのは難しいですが,うまく使いこなすことができれば脅威となるスーツだと思います。
平岡氏:
ゼファーは少し攻撃を受けただけでも瀕死になってしまうので,回復効果のあるリグを持っていくのも有効ですね。ダメージを受けたらいったん後ろに下がって,隠れて回復してからまた出ていく,という動きを繰り返せば,相手チームはゼファーに常に気を使う必要が出てきます。その間に味方に攻撃を仕掛けてもらう,というような駆け引きもチーム戦ではできるのではないでしょうか。
――今回のテストプレイでは全部で10体のエグゾスーツを使用できましたが,ゲーム発売時に,スーツの数が増える予定はありますか。
平岡氏:
発売日の段階では全10種類ということになっています。そこから定期的にアップデートする予定で,スーツの追加も当然考えていますので,期待してください。
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――本作にはさまざまなアンロック要素が用意されているようですが,その中でとくに注目してほしいものは何になりますか。
平岡氏:
モジュールのアンロックですね。モジュールを付けることでスーツの性能が単純に上がるだけでなく,なかにはアクティブスキルの効果が変化するものもあります。新しい戦略をもってプレイできるようになるので,プレイヤーレベルを上げてぜひアンロックを目指してください。
そしてそのほかの大きなアンロック要素として,ディノサバイバルをクリアしてストーリーを完結させると,新たなモードが出現します。1チーム5人で挑むミッションなのですが,クリアタイムがサーバーに保存されて,世界中の人と競い合えるものになっています。
――ストーリーをクリアするまでの想定プレイ時間はどれくらいなのでしょうか。
平岡氏:
20時間前後でクリアまでいけると思います。
――アンロックされるモードでタイムアタックができるとのことですが,eスポーツ的な観点から本作を盛り上げる予定はあるのでしょうか。
平岡氏:
カプコンとしては,エグゾプライマルをeスポーツタイトルとして取り扱う予定は今のところはありません。ただ,eスポーツには開発側がイベントを用意していくパターンのほかに,コミュニティが盛り上がって,そこに開発側が協力していくパターンもあると考えています。後者のパターンとして本作が取り上げられるという未来もあると,個人的には思っています。
――本作のストーリーについて聞かせてください。タイムスリップやパラレルワールドのようなSF的なギミックが盛り込まれた本作の世界観は,どのようにして作られていったのでしょうか。
布施拓郎氏(以下,布施氏):
本作では,ストーリーが先に作られたのではなく,ゲームシステムに合わせて設定が構築されていきました。ウォーゲームを生き抜くために10人のプレイヤーたちが集められて競い合うというゲームシステムは,平行世界や多次元という世界観とマッチするなと思って,そこからストーリーが出来上がっていきました。
一見複雑な設定に見えるかもしれませんが,実際にゲームを遊んでみると,割と王道な展開といいますか,プレイヤーが納得できるストーリーになっていると思うので,ぜひ最後までプレイして謎を解き明かしてもらいたいですね。
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――では最後に,発売を待っているプレイヤーに向けてメッセージをお願いします
阿部氏::
本作では,圧倒的多数の恐竜を倒すというわかりやすい爽快感を味わえます。よりよいものを目指して開発を進めていますので,期待して待っていてください。
布施氏:
メカと恐竜という,ありそうでなかった組み合わせを楽しめるゲームです。ビジュアル的にハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが,友達とワイワイ騒ぎながら遊べるカジュアルなゲームなので,ぜひ手に取って遊んでみてください。
平岡氏:
開発者たちのロマンを詰め込んだ,わかりやすく面白いゲームを目指して開発を進めました。発売後は,開発メンバーもオンライン対戦の世界に飛び込んでいこうと思っているので,その際は一緒にウォーゲームで競い合いましょう。
――本日はありがとうございました。
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「エグゾプライマル」公式サイト
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- ライター:タケヤマ
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