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イベント
「メグとばけものコンサート -音楽の世界-」レポート。作曲家・裏谷玲央氏が自らフルアレンジした人気楽曲の数々で,ゲームの世界観を再現
「音楽を通じてゲームの“ストーリーを追体験できる”」ことをコンセプトに掲げた本公演では,ピアノ,ベース,ストリングスに加え,“がらくた”製のオリジナル楽器によって,「メグとばけもの」の世界観が再現された。
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「メグとばけものコンサート -音楽の世界-」公式サイト
「メグとばけものコンサート -音楽の世界-」概要
■セットリスト
・前半
M01 ねがいのほし
M02 えんえんと魔界
M03 全体マップ
M04 たいして変わらない毎日
M05 つまるところ…
M06 腕力勝負!
M07 水槽の記憶
M08 連行せよ!
M09 何もかもの終わり
M10 痛み、苦しみ、願い!
M11 夜空の赤い星に願いを馳せて
・後半
M12 薪を焚べながら
M13 出来損ないの果実
M14 頂を超えて!
M15 次なる挑戦!
M16 いっしょに遊ぼ
M17 静かな夢(追加DLCより)
M18 猛然なる一撃!
M19 ずっと側にあるもの
M20 遠くの景色
M21 願いの星 〜 feat. Laura Shigihara 〜
・アンコール
M22 追憶の星空
■日程
2025年2月23日
■会場
草月ホール
主催・企画・制作
All Music & Produced by
裏谷玲央
協力
Odencat株式会社
■出演(敬称略)
・演奏
森下 唯(Piano)
日用品演奏ユニット kajii クマーマ/創(がらくた楽器)
川村 竜(Bass)
伊藤友馬(Violin)
山本理沙(Violin)
柳澤崇史(Viola)
遠藤益民(Cello)
・ゲスト
Laura Shigihara(Guest Vocal)
裏谷玲央(Guest Guitar)
Daigo(Odencat)(Guest MC)
Ryota(Odencat)(Guest MC)
会場では,裏谷氏自身が本公演のためにフルアレンジした「メグとばけもの」の楽曲が披露された。1曲めの「ねがいのほし」は,ピアノとストリングスによる美しくもどこか哀愁を感じさせる原曲を再現しつつ,日用品演奏ユニット kajiiのオリジナル楽器「食琴」がフィーチャーされた仕上がりに。続く「えんえんと魔界」の不穏な感じや,「全体マップ」の軽快さも,kajiiのパーカッションによって原曲よりブーストされていた。
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「たいして変わらない毎日」は,パーカッションとベースによる現代音楽風のイントロや,要所にストリングスを加えたアレンジで披露された。また「つまるところ…」は原曲のジャジーな雰囲気が,「腕力勝負!」は原曲のスピード感や緊張感が,生演奏によってさらに引き立てられていた。
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トークコーナーには,裏谷氏が登壇。本公演は,裏谷氏のLINE公式アカウントに多くの人が登録してくれたことをきっかけに企画したそうだが,実現に向けた過程でさまざまな問題が発生し,何度も断念しそうになったという。
その1つが,たとえチケットがソールドアウトになっても赤字になると判明したことで,それをどうにかすべくクラウドファンディングで支援を募ったそうだ。
裏谷氏は「ありがたいことに想像をはるかに超える支援をいただいて,開催できることになりました」と来場者に感謝の意を示していた。
本公演にてベースを担当した川村 竜さんは,友人でプロゲーマーの梅原大吾さんによる「メグとばけもの」のプレイ配信を見て「面白そうだ」と思い,自分でも遊んでみようと思ったとのこと。そしてネタバレを避けるために配信の視聴を止めた直後,裏谷氏から出演のオファーを受けたことを明かした。また川村さんは,ミートたけし名義で「メグとばけもの」の実況配信をしていたところ,それを見た裏谷氏が投げ銭をしたという。しかしそのタイミングが悪く,プレイがたいへんなことになったため「ここじゃないでしょ!」と思ったというエピソードや,川村さんが全キャラのセリフを読み上げながらプレイしたところ30分で力尽きたというエピソードが披露された。
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「メグとばけもの」の楽曲では,パーカッションのパートをすべて日用品などを用いて収録している。そのため,本公演を企画したときには,真っ先に日用品演奏ユニット kajiiにオファーを出したと裏谷氏は語る。kajiiのクマーマさんと創(そう)さんは,オファーを受けてすぐに「メグとばけもの」をプレイし,「これは絶対に(公演を)やりたいね」と思ったそうだ。
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話題はkajiiのオリジナル楽器にもおよび,クマーマさんの「食琴」に使われている茶碗は100円ショップで購入していることや,創さんが裏谷氏のインタビューを読んで本公演用のドラムセットを組んだことが明かされた。
また,本公演の「えんえんと魔界」の演奏では,塩ビパイプを使ってオーストラリアの民族楽器・ディジュリドゥの音を再現したことも紹介された。
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印象的なピアノのフレーズに続いて次々と演奏された「水槽の記憶」からの4曲は,原曲以上にメリハリと緊張感のある仕上がりとなっていた。とくに「何もかもの終わり」の畳みかけるようなパーカッションや,「痛み、苦しみ、願い!」のスピード感のある演奏は来場者を圧倒。
そして公演前半は,しめやかなピアノの演奏による「夜空の赤い星に願いを馳せて」で締めくくられた。
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後半は,ピアノソロの「薪を焚べながら」でスタート。続く「出来損ないの果実」は,ピアノにストリングスが加わったアレンジで原曲よりも深みを増した演奏が披露された。
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パーカッションの乾いた響きが印象的なイントロから始まった「頂を超えて!」では,裏谷氏がアコースティックギターの演奏を披露。来場者も,ハンドクラップで応えていた。
そして原曲よりも軽快さを感じさせる「次なる挑戦!」は,奏者の紹介を交えたアドリブパートも設けられ,会場を一層盛り上げていた。そこから続いて「いっしょに遊ぼ」が披露されると,2度めのトークコーナーがスタート。
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ここにはスペシャルゲストとして,「メグとばけもの」の開発 / 配信元であるOdencatのDaigo氏と,同タイトルのディレクター兼シナリオ担当のRyota氏が登壇した。
公演の感想を問われたDaigo氏は,裏谷氏に「毎年やってほしい」と無茶振り気味に回答。Ryota氏は,「テストプレイで何度となく聴いた曲なのに,こういう場で聴くと新鮮味がある。アレンジも新鮮」と語った。また両氏はkajiiのオリジナル楽器について,「運搬時に壊れるのでは?」「そもそも会場に持ち込みを断られるのでは?」と不安を口にしていた。
また,両氏が「メグとばけもの」を一緒に作ることになった経緯を問われると,元々,Daigo氏が知人だったRyota氏の作るゲームに注目していたと回答。あるときRyota氏がSNSに「仕事を辞めたい」と投稿したことをきっかけに,Daigo氏が「一緒に何かやりませんか」とオファーしたそうだ。それで完成したのが,2019年12月にスマートフォン向けにリリースされた「スノーマン・ストーリー」(iOS / Android)であったという(※2024年12月にはPC版とNintendo Switch版もリリースされた)。
なお裏谷氏がDaigo氏本人と直接出会ったのは4〜5年前のとあるイベントだったそうだが,Daigo氏が10代中盤の頃に作ったゲーム「息子よ。這い上がれ。」を通じて,その存在は知っていたという。
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「メグとばけもの」の企画は,Ryota氏が描いた「化け物が子どもにリンゴを与えてあやしている」イラストからスタートしたとのこと。Ryota氏によると,自分が見せたいものをまず決めて,外堀を埋めていく形でストーリーを作っていったそうだ。
具体的には,ロイは魔物なので,人間の子ども・メグが魔界に迷い込んだとしても,本来であれば関わりを持とうとしない。そこでメグが泣いたら世界が滅んでしまうという設定を作ることにより,2人の関係性を構築したという。そこから「なぜメグが泣くと世界が滅ぶのか?」といったように考えていったことが明かされた。
[インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた
![[インタビュー]「メグとばけもの」は構想約10年? Odencatに企画の成り立ちから開発過程の裏話までをまとめて聞いた](/games/633/G063301/20230403060/TN/056.jpg)
Odencatが3月2日にリリースした「メグとばけもの」が,各所で高い評価を得ている。総プレイ時間は短いながらも,プレイヤーの心に残る本作は,どのようにして生まれたのか。OdencatのDaigo氏とRyota氏に話を聞いた。
- キーワード:
- PC
- PC:メグとばけもの
- アドベンチャー
- RPG
- IARC汎用レーティング 12歳以上
- Odencat
- Odencat
- ファンタジー
- プレイ人数:1人
- MAC:メグとばけもの
- MAC
- Xbox Series X|S:メグとばけもの
- Xbox Series X|S
- Xbox One:メグとばけもの
- Xbox One
- Nintendo Switch:メグとばけもの
- PC:くまのレストラン
- MAC:くまのレストラン
- Nintendo Switch:くまのレストラン
- iPhone/iPad:くまのレストラン
- Android:くまのレストラン
- iPhone/iPad:碧落のリメイナー
- Android:碧落のリメイナー
- iPhone/iPad:スノーマン・ストーリー
- Android:スノーマン・ストーリー
- Android:ねずみバスターズ!
- iPhone:償いの時計
- Android:償いの時計
- PC:フィッシング・パラダイス
- Nintendo Switch:フィッシング・パラダイス
- Nintendo Switch
- iPhone/iPad:フィッシング・パラダイス
- iPad
- iPhone
- Android:フィッシング・パラダイス
- Android
- インタビュー
- 編集部:TeT
- カメラマン:増田雄介
- ライター:男色ディーノ
- iPhone:ねずみバスターズ
裏谷氏は,開発中の「メグとばけもの」をプレイしてから作曲に臨んだが,結果として仮曲とはまったくイメージの異なる楽曲に仕上がったことを明かした。
Ryota氏は楽曲について,とくに「痛み、苦しみ、願い!」が,絶望的なシーンと希望を生み出すようなシーンの双方で流れるにも関わらず,どちらも成立していることについて「匠の技」と評していた。
トークコーナーの最後には,Daigo氏とRyota氏があらためて本公演が実現したことへの喜びと,支援してくれた来場者への感謝を示した。また4月24日にリリースされる「メグとばけもの」のNintendo Swich向けパッケージ版に,DLC「ばけものたちの記憶」が配信に先駆けて先行収録されることも紹介された。
![]() 会場に設けられたフォトスポット |
![]() 休憩時間には,花の演出が披露された |
続いて演奏されたのは,そのDLC用に制作された新曲「静かな夢」。ピアノのリフとストリングスの広がりが美しい,裏谷氏らしい一曲だ。
かと思えば次の「猛然なる一撃!」では,一転してパーカッションが鳴り響く力強い演奏が披露され,「ずっと側にあるもの」は原曲のリズミカルな部分とメロディアスな部分の対比が再現された。
公演本編の最後を飾ったのは,「遠くの景色」から続く「メグとばけもの」のメインテーマ「願いの星 〜 feat. Laura Shigihara 〜」だ。哀愁を感じさせる「ねがいのほし」のフレーズに,ゲストボーカルのLaura Shigiharaさんの幻想的な歌声が加わり,来場者を魅了していた。
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鳴り止まない拍手の中で始まったアンコールでは,「追憶の星空」がピアノソロで披露された。原曲よりも少しだけゆったりしたテンポの演奏が,まさに「メグとばけもの」の世界観の再現をコンセプトにした本公演の締め括りにふさわしく,会場は再び大きな拍手に包まれていた。
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なお,本公演は,3月15日19:00から3月31日23:59までアーカイブ配信が行われる。チケットは,3月31日21:00まで販売中だ。本稿を読んで興味を持った人は,ぜひ公式サイトをチェックしてほしい。
「メグとばけものコンサート -音楽の世界-」公式サイト
【アーカイブ配信】メグとばけもの コンサート − 音楽の世界 −
※photo by nagare
キーワード
- PC:メグとばけもの
- PC
- アドベンチャー
- RPG
- IARC汎用レーティング 12歳以上
- Odencat
- Odencat
- ファンタジー
- プレイ人数:1人
- MAC:メグとばけもの
- MAC
- Xbox Series X|S:メグとばけもの
- Xbox Series X|S
- Nintendo Switch:メグとばけもの
- Nintendo Switch
- Xbox One:メグとばけもの
- Xbox One
- イベント
- ライター:大陸新秩序
- 音楽
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(C)Odencat, 2023