インタビュー
[インタビュー]「メガドライブミニ2」の応援歌を“逆オファー”したザ・リーサルウェポンズが,バンドの原点でもある“メガドライブ”への愛を語る
「メガドライブミニ2」公式サイト
ザ・リーサルウェポンズは,アイキッドさん(ギター,キーボード,作詞作曲等プロデュース全般)とサイボーグジョーさん(ボーカル)による2人組のユニットで,80年代〜90年代テイストあふれるロックミュージックを発信し,当時を懐かしむ層を中心に人気を集めているバンドだ。
今回発表された「夏の日のメガドライブ」は,ザ・リーサルウェポンズのメンバーでプロデューサーでもあるアイキッドさんが制作し,メガドライブミニ2の発表に合わせてセガに売り込んだ作品だという。
メロディやコーラスがどこか懐かしい80年代J-POP風メロディに,アイキッドさんが過ごした少年時代の思い出と,メガドライブの名作タイトルを詰め込んだ歌詞を乗せ,メガドライバー(メガドライブユーザーの呼称)の心に刺さる曲として書き下ろした作品となっている。
今回4Gamerでは,この楽曲を手がけたザ・リーサルウェポンズの2人にインタビューを行う機会を得た。「夏の日のメガドライブ」に込めた想いや,メガドライブにまつわる思い出などを聞いてみたので,ぜひチェックしてほしい。
アイキッドさんの思い出を楽曲として構成した「夏の日のメガドライブ」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回のメガドライブミニ2の番組のゲストに,なぜお2人が呼ばれていたのか気になっていたのですが,楽曲を制作されていたとは。
アイキッドさん:
実は,前回のメガドライブミニが出たときに,何かしらの形で参加させていただきたかったとずっと後悔していました。もし次の機会があるとすれば「サターンミニ」が出るときかな……と思っていたのですが,今年になってメガドライブミニ2が出ることが発表されて,もうこのチャンスは逃せないと思い,すぐにメガドライブにまつわる曲を作ったんです。
4Gamer:
楽曲のオファーはセガさんからではなく,アイキッドさんからだったそうですね。
はい,曲は個人的に作っていたんですが,それを歌っていいのかわからなかったので,すぐにセガさんに連絡をして,正式に許可をいただきました。
4Gamer:
歌詞は誰が聴いても“メガドライブ愛”を感じる内容で,生放送やMVのコメントもすごく好評でした。
アイキッドさん:
ありがとうございます。私はメガドライブを世界一のゲーム機だと思っていて,メガドライブミニ2も発表後にすぐ予約をしまして,これが生涯で6台目のメガドライブなんです(笑)。
4Gamer:
気合い入ってますね……。楽曲にはその思いの丈を詰め込んでいるんですね。
アイキッドさん:
私の少年時代の思い出そのものです。群馬県の実家で夏休みに,後ろで扇風機がブーンと鳴っている部屋で兄貴と一緒に「シャイニングフォース」や「ランドストーカー 〜皇帝の財宝〜」を遊んだり,メガドライブを箱に詰めて,自転車で友達の家に持っていって布教したり,そんな日々を思い出しながら書きました。
4Gamer:
MVがまんまそのイメージでしたね。出演している子役の2人と同じぐらいの年齢だったんですか?
アイキッドさん:
実際はもう少し上の年齢だったんですが,キャストの都合で少し小さい子になりました(笑)。
4Gamer:
メロディも普段得意とされるロックとはひと味違う,80年代J-POPのテイストで,メガドライブの時代ともマッチしていますね。
アイキッドさん:
「夏」と「メガドライブ」ということで,当時人気があったバンドの「オメガトライブ」もインスパイアしています。爽やかなウーアーコーラスが入ったりとか。あとは語呂合わせなことも含めて。
4Gamer:
なるほど,メガドライブとオメガトライブ(笑)。歌詞にはたくさんのメガドライブタイトルが入っていますが,あのチョイスには理由があるんですか?
アイキッドさん:
私の好きなタイトルなのは間違いないんですが,権利的に問題ないセガさんのタイトルを選びました(笑)。
ただ,実際に好きなタイトルばかりでして,「ランドストーカー」の最後のステージの理不尽なところはいまだに憶えてますし,「ベアナックルII」はリンゴと1upが隠されている場所を全部覚えました。古代祐三先生の楽曲も印象深かったですよね。当時ハウスってあまり日本では馴染みがなかったんですが,それをゲーム音楽で前衛的に扱ったのは凄いことなんです。ゲームをやらずに,メガドラにヘッドホンをつないで音楽だけ聴いていたこともありました。
4Gamer:
思い出も濃いですね。歌詞を見ると,「海原のイルカ」(「エコー・ザ・ドルフィン」)や「夢見続けた」(「夢見館の物語」)など,メガドライブの名作を連想させるキーワードもありますね。
アイキッドさん:
Aメロでタイトルを連呼しすぎて,作詞といっていいのかわからなくなってしまったので,Bメロでもう少しアーティスティックにしようと考え,タイトルをオマージュする歌詞を付けて,それぞれのサビでメガドライブの偉大さを強調するという構成です。
4Gamer:
合間に組み込まれたフレーズもいいですよね。「VISUAL SHOCK! SPEED SHOCK! SOUND SHOCK!」とか「16-BIT」とか,「We are theメガドライバー」とか。
アイキッドさん:
メガドライブは当時のキャッチコピーやフレーズもよかったので,作詞もサクサクできましたね。
4Gamer:
ジョーさんは,この歌について,どう思われましたか。
センセイ(アイキッドさん)からは,「AOR(アダルトオリエンテッドロック=大人っぽいロック)っぽく歌って」という命令が来たので「はいわかりました!」と返事しました(笑)。すごく懐かしい感じの夏の歌ですね。
4Gamer:
固有名詞がたくさん出てきて,歌うのは難しくなかったですか?
ジョーさん:
はい,ゲームのタイトルを覚えるのはとても難しかったです。全然インプットできない。しかもジャパニーズタイトルだからね。「スーパーサンダーブレード」って言われて「何これ!?」ってなりました(笑)。
アイキッドさん:
きみ,MVのスーパーサンダーブレードのとこで剣構えるポーズしてたけど,これヘリコプターのゲームだからね。
一同:
(笑)
4Gamer:
ジョーさん自身にはメガドライブの思い出はありますか。
ジョーさん:
アメリカにいた頃にジェネシスを友達が持っていて,それで遊んでたくらいかな。ジェネシス以外のセガハードはあんまり知らないです。
センセイのハウスに行くとき「カモン,ジョー! ベアナックルやるぞ!」とか「トージャム&アールやるぞ!」と命令されて,「ハイ!」って答えるんですけど,実は全然わかんない(笑)。
4Gamer:
(笑)。お2人でゲームをされることもあるんですね。
アイキッドさん:
もちろんです。近所に住んでいて,バンドを組む前はゲーム仲間でしたし,今も一緒に遊んでます。
ジョーさん:
一緒に遊ぶときのセンセイの知識はいつも凄くて尊敬してます。
アイキッドさん:
私の趣味はゲームなら「メガドライブ」,音楽なら「HM&HR」,マンガなら「コミックボンボン」というちょっとマイノリティだったのに対して,彼は「スーパーファミコン」「ポップス」「コロコロコミック」が好きな人気者タイプなんです(笑)。
4Gamer:
なるほど,お2人でタイプが違うんですね。
「ザ・リーサルウェポンズ」には,セガとメガドライブへのリスペクトが盛りだくさん
4Gamer:
アイキッドさんのメガドライブとの出会いはいつ頃ですか。
アイキッドさん:
実はメガドライブは自分で買ったのではなく,私が小5ぐらいのときに兄貴が買ってきたんです。家にいつの間にかあったという感じで,最初は「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」とかを遊んでいた気がするんですが,しばらくしてRPGや対戦格闘を主に遊ぶようになりました。
今回のメガドライブミニ2の発表で何より嬉しかったのは,当時熱心に遊んだ「闘技王キングコロッサス」が入っていたことでしたね。私はこのゲームがメガドライブで一番といえるぐらい好きで,今も攻略法を全部覚えていて,メインテーマの曲をパソコンで打ち込んで聴いていたこともあります。
4Gamer:
それほどのファンとは! 好きだったゲームが復刻されるニュースは,ゲームファンとしては本当に嬉しいですよね。
アイキッドさん:
発表されたときは思わずガッツポーズしちゃいましたね。とにかくメガドライブにまつわる思い出はたくさんあります。特に「レンタヒーロー」や「トージャム&アール」は我々バンドの原点とも言えるタイトルでして,雰囲気がちょっと似てると思いませんか(笑)。
4Gamer:
確かに! サングラスとか2人組とか,トージャムとアールの雰囲気がありますね。
アイキッドさん:
「トージャム&アール」のラップユニットが,うちの場合はロックユニットになったという感じです(笑)。あと私のアイキッドという名前とヘルメットは,「カメレオンキッド」からインスパイアされたものですし……。とにかくこのバンドは,セガとメガドライブの影響がとても大きいんです。
4Gamer:
そんな筋金入りのメガドライバーのアイキッドさんですが,今回のメガドライブミニ2というハードはどんな印象ですか。
アイキッドさん:
ちっちゃくて最高ですよね。しかも「キングコロッサス」をはじめとする私が好きだったゲームがたくさん入っていますし。
前のメガドライブミニも買って,「2020年のツアーにはこれ持っていって遊ぼうぜ!」と宣言していたのに,コロナで全部中止になってしまったんです。来年1月のツアーでは,メガドライブミニとメガドライブミニ2の2台持ちで出かけようと思っています。
4Gamer:
今回は対戦ゲームもたくさんあるので,絶対楽しいですよ。
アイキッドさん:
ですね。60本もタイトルが入っているので本当に楽しみです。
4Gamer:
では最後に,ザ・リーサルウェポンズのファン,そしてメガドライブのファンに向けて,お2人からメッセージをいただけますか。
アイキッドさん:
今回,この曲でメガドライブに関するプロジェクトに参加できたのは本当に光栄です。ここまでお話してきたように,このバンドはセガから影響を受けた部分がすごく大きくて,昔メガドライブで遊んだ洋ゲーのような楽しさを味わってもらえると思います。この「夏の日のメガドライブ」をきっかけに,我々のことを追いかけてもらえれば嬉しいです!
ジョーさん:
メガドライブを愛しているファンの皆さん,このバンドも愛してください! 「夏の日のメガドライブ」を毎日聴いてください! お願いします!
4Gamer:
本日はお忙しい中ありがとうございました。
――2022年10月26日収録
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トージャム&アールは株式会社セガの商標です。
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