プレイレポート
[プレイレポ]ミシュランガイド監修のレストラン経営シム!「シェフライフ レストランシミュレーター」で,理想の店を作りあげよう
本作はプレイヤーがレストランを開業し,調理から経営までを行っていくシミュレーションゲームだ。
開発は,パリに拠点を置くCyanideが行っている。世界のミシュランガイドとのパートナーシップが初めて実現したゲームということで,それがどういう形でどのような効果をゲームにもたらしているのかも気になるところだ。さっそく本稿でプレイレポートをお届けしよう。
下ごしらえや開店準備と言ったリアルな作業工程を体験できる
ここは,オープン3日前のレストラン。主人公は,調理師学校時代からの友人であるカシムと一緒に,新しいレストランの開店準備に追われている。
まずは,主人公の見た目のカスタムから始めよう。6つのタイプからルックスを選び,髪型や目の色などを決める。レストランに勤務するときの制服もここで設定しよう。主人公の見た目は,ロッカールームでいつでも変更可能となっている。
カシムがひとまず調理場などのサポート役を引き受けてくれるので,主人公はレストランの厨房に入り,オーダーされた料理を作って提供していく。これがオープンからしばらくのミッションだ。
本作は,数ある料理を題材にしたシミュレーションゲームの中でも,調理工程の再現に関して,かなりのこだわりを持って作られている。材料やレシピを選び,「調理」のボタンを押したら完成,というものではなく,食材の仕入れ,選定,下ごしらえ,加熱,味付け,盛り付け……といった手順を踏んで,ひとつの料理を作り上げる必要があるのだ。
本作に収録されているレシピは180を超える。ここでは例として,開店前に開放されるメニューのうちのひとつ,「エシャロットと,自家製フライドポテトを添えたステーキ」を作り,レストランの客に提供するまでの手順を見ていこう。
料理をするためには,当然ながら材料が必要だ。材料の仕入れは,町にある複数の店から店主である自分自身の手で行う。安いが品質はそれなり,高品質ゆえに価格も高い,地元の食材を扱っているなど,店の個性もさまざまだ。自分のこだわりと予算に合わせて店を選ぼう。
電話で材料を注文してしばらくすると食材が届き,バックヤードの冷蔵庫に入る。その材料を使うだけ木箱に移して運び,キッチンの冷蔵庫に収納する。
次に材料を使って仕込みを行っていく。食材は,ある程度の下ごしらえをして冷蔵庫に保管ができるのだ。
まったく下ごしらえをせず,開店後にすべての作業を行っても良いが,大抵のメニューは下ごしらえを含め,調理の各工程に時間がかかる。来店する客を必要以上に待たせることのない,無駄を排したオペレーションのためにも,ある程度の仕込みを開店前にしておくべきだろう。ステーキ用の肉とエシャロット,ジャガイモを切り,冷蔵庫に入れておく。
ここまでが,「エシャロットと,自家製フライドポテトを添えたステーキ」の下準備だ。この一品で勝負する選択肢もあるが,複数の料理を提供する場合には,メニューの数だけ,違った下ごしらえの作業が発生する。
そのほかにも,店内の清掃やインテリアの選定といった,店全体のことにも気を配ろう。特に清掃に関しては店内の衛生状態に関わることなので欠かせない。ひとたび衛生危機が起こると,解消にはかなり時間がかかってしまうのだ。
ここまでの作業を振り返ってみると,まだ開店前,しかも仕込みは一品ぶんしかしていないというのに,やることの多さに驚く。考えてみると当然のことではあるのだが,飲食店は客にサービスを提供している時間帯のほかにも,かなりの時間と手間をかけて下準備を行っているのだ。そんなことを本作を通して改めて気づかされる。
一流シェフに近づいていく,確かな実感
下ごしらえを終え,夜の7時になると店がオープンする。客を招き入れ,ホールスタッフがとったオーダー通りに料理を作っていく。さっそく,「エシャロットと,自家製フライドポテトを添えたステーキ」の注文が入ったようだ。さあ,下ごしらえした肉とエシャロット,ジャガイモ使って,料理を仕上げていこう。
さらっと画像で説明したが,この調理工程には,塩コショウでの味付け,エシャロットの投入,肉の裏返しなど,タイミングを見計らって実行するポイントがいくつかある。肉の焼き加減(レアからウェルダンまで)も,フライパンから引き上げるまでの時間で決まる。
あまりにも火を通しすぎて焦がすなど,各工程が適切に行われないと,料理のクオリティが下がってしまう。今回はフライドポテトを揚げながらの作業だったので,フライパンとフライヤーの加熱時間,コンロの火力なども考慮する必要がある。
瞬時に優先順位を判断して作業を行っていかねばならないため,最初は混乱するかもしれない。少なくとも筆者は大混乱し,意味もなくフライヤーとコンロの前をオロオロと往復,その結果肉やポテトはやや焦げ,客から「提供が遅い」と言われてしまった。
だからといって肉かポテトのどちらかを作り置きしてしまうと,先に作ったほうは一定時間で冷たくなってしまう。当然,料理のクオリティが下がり,客からは「料理が冷めている」という意見が出る。調理のタイミングが料理の出来栄えを左右する。これも本作がリアルに作られている点のひとつだ。
最初はグダグダのオペレーションでも,2回,3回と同じものを作っていくうち,作業の手が早くなってくるだろう。ポテトを揚げ始める適切なポイントや,次のオーダーが入っても慌てないよう,肉を裏返す前にジャガイモをもうひとつ切っておくことなど,ちょっとした効率化のポイントに気づき対応できるようになってくる。
レベルが上がっていくと,どんどん新しい料理がアンロックされる。高レベル帯の料理は手順も複雑になっていくが,レシピにピンを刺しておくことで,調理中であっても手順をすぐに確認できる。さらに,途中で投入する材料があった場合にも,わかりやすいガイドが出てくれる。手順は難しいがサポートも手厚いので,何もわからない状態のまま投げ出されることはない。
初見では,「こんなにやることがあるの!?」と目が回るかもしれないが,作るうちにどんどん自分のものになっていく。その実感が嬉しい。
料理の見た目にもこだわりたい料理人は多いだろう。本作では,盛り付けも細かくカスタムできる。器の種類,肉や付け合わせの切り方,飾りに使う葉などの有無や種類,それらの配置,すべて自由自在だ。これには時間を忘れてハマってしまうプレイヤーも多そうだ。
もちろん,デフォルトの盛り付けのままが良ければ,カスタムを一切しなくてもいい。
たくさんの要素を同時に考え営業していく,マルチタスクの楽しさ
次は「カプレーゼ」を作ってみる。カプレーゼとは,スライスしたモッツアレラチーズとトマトを皿に並べ,バジルを上に散らして,オイルや塩などで味をつけたイタリアのサラダだ。本作のレシピでは,バルサミコソースを味付けに使用する。
料理が変われば,材料や手順,コツもガラっと変わる。ソースを作る時間を考慮することが,スムーズな提供のコツで,ほかの材料もあらかじめスライスして冷蔵庫に保管しておけば,さらに時短が可能だ。
複数の料理が注文されている場合には,各料理に必要な作業や時間が違うことから,更に複雑な立ち回りが求められるようになる。ボーっと調理台の前に立っている時間はなく,次のオーダーも同時に作り,できるだけ短時間で提供しなければならない。
時間に追われながらこれらのことを判断し続けるのは,かなり頭を使う。一日の営業を終えたときにはどっと疲れてしまうのだが,だんだんうまく店を回せるようになってくると,「今日も一日,よく働いたな!」という爽やかな気持ちに包まれ,得も言われぬ達成感が湧き上がってくる。ゲームの中で感じる,労働の喜びだ。
厨房はシェフひとりで回しているわけではなく,カシムをはじめとした厨房のアシスタントへ指示を出し,調理や皿洗いを手伝ってもらうことができる。彼らにもシェフと同じくレベルが設定されており,働いて経験を積んでいけば,野菜切りしかできなかったところから簡単な調理が可能になり,いずれ料理一品の調理を任せられるようになり……と,成長していく。
アシスタントの存在は確実にシェフの立ち回りを楽にするのだが,作業者の特性を考えて作業を振り分ける,というシェフの仕事が新しく発生する。あまりヒマをさせていると文句が出るし,不得意な料理を任せるといつまでたっても作業台で格闘していて,料理ができあがらない。安全性の低い店からの仕入れなどでレストランの責任性が下がれば,従業員のモチベーションも作業効率も下がる。シェフとしての手腕は,従業員を生かす采配にも発揮されるのだ。
楽しみかたのカスタム可能。自分だけのレストラン運営!
以下は,朝(開店前)から夜(閉店後)までの流れをまとめた一例だ。これらを,毎日必要に応じて行っていく。
朝〜夕方(開店前)
・提供メニューの決定
・食材の仕入れ
・店内設備の注文・カスタム,着替えなどキャラのカスタム
・届いた食材の下ごしらえ
夜(開店後)
・オーダーされたメニューの調理
・厨房スタッフへの指示
夜(閉店後)
・新メニューのアンロック
・レシピの確認
1日お店を回すだけで,これだけやることがある。さらに,営業を続けていれば,地元の名士や役人,影響力のあるインフルエンサーが来店することもあり,彼らがさらにレストラン経営に有利な話を持ってきてくれることもある。考えることは次から次にやってきて,デフォルトの状態でプレイを続けていれば,常に時間とタイミングを意識して走り抜ける,忙しいゲームだ。
だが,本作は理想のレストランを自由に作れるシミュレーターである。実は,提供メニューや店内のインテリアだけでなく,更に細かな環境設定もできるのだ。設定項目は,提供時間制限の有無,1日に訪れる客数の増減,レシピのリマインダー機能,調理失敗の有無の4つだ。時間を気にせず,じっくりと料理に向き合ったり,レシピをあえて詳しく表示させずに自分の技を試したりと,プレイスタイルに合った最も心地よい環境を作り出せる。
料理に集中しつつ俯瞰で店を見渡して,刻々と変化する状況をあらゆる角度から分析し,最も適したルートを選び取っていくのは非常に楽しい。調理工程を含め,リアルを追求したゲーム性は,確かな満足感をプレイヤーに与えてくれるだろう。興味のある人はプレイしてみてはいかがだろうか。
「シェフライフ レストランシミュレーター」公式サイト
Nintendo Switch「シェフライフ レストランシミュレーター」ダウンロードページ(My Nintendo Store)
PS5/PS4「シェフライフ レストランシミュレーター」ダウンロードページ(PlayStation Store)
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Chef Life: A Restaurant Simulator (C)2023 Published by Nacon and developed by Cyanide Studio. Michelin trademarks, designs, copyrights and/or other intellectual property rights are used under license. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
Chef Life: A Restaurant Simulator (C)2023 Published by Nacon and developed by Cyanide Studio. Michelin trademarks, designs, copyrights and/or other intellectual property rights are used under license. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
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