［インタビュー］「ダンジョン・ストーカーズ」開発陣が語る，エクストラクションRPGへの挑戦とその魅力

　PC用ゲーム「ダンジョン・ストーカーズ」は，韓国のStudio HG（Action Square） が開発し，HYBEのゲーム事業部門であるHYBE IMがサービスを提供するダンジョンクローラー型エクストラクションRPGだ。本作は，従来のエクストラクションゲームの要素を取り入れつつも，初心者にも親しみやすいゲーム性を目指しているという。

　ダンジョン・ストーカーズの世界には，突如として現れた謎の魔女によって，2つの国の間にダンジョンが出現。そこで宝を探し，冒険する人々は「ストーカーズ」と呼ばれるようになった。プレイヤーは，個性豊かなストーカーズの中から自分のキャラクターを選び，魔女が作り出したダンジョンに挑むことになる。


　ゲームの目的は，ほかのプレイヤーやモンスターとの戦いを通じて報酬を得ながら，最終的にダンジョンから生還することだ。プレイヤーは最大3人でパーティを組むか，単独でダンジョンに挑戦できる。

　ダンストの特徴的なシステムとして，「アーマー破壊システム」と「魔女の呪い」が挙げられる。アーマー破壊システムでは，キャラクターの防具が段階的に破壊される様子が視覚的に表現され，戦略性を高めている。一方，「魔女の呪い」は，ダンジョンのルールを突如として変更する効果をもたらし，予測不可能な状況を生み出す。


　本作は3人称視点で展開され，アクション性の高い戦闘を特徴としている。スキルを基本とした戦闘システムを採用しており，状況に応じたスキルの使用が勝利の鍵だ。
　また，キャラクターは単なるクラス分けではなく，それぞれが固有のバックストーリーを持つ個性的な存在として描かれている。シーズンごとに新しいキャラクターが追加される予定で，それぞれのストーリーが徐々に明かされていく。


　PvPモードに加え，モンスターとの戦いを中心としたPvEモードも用意されている。PvEモードでは仲間とともに装備を強化し，より難しいPvPvEダンジョンに挑戦することも可能だ。

　ダンジョン・ストーカーズは2024年内にSteamでアーリーアクセス版としてリリースされる予定だ。今回は，Studio HGのチーフプロデューサーであるHan Dae Hoon氏と，HYBE IMでPC コンソールビジネスチームリーダーを務めるKim Wonmo氏に，ゲームの特徴や開発の裏側について詳しく話を聞いた。

Studio HG チーフプロデューサー Han Dae Hoon氏（左），HYBE IM PC コンソールビジネスチームリーダー Kim Wonmo氏（右）

エクストラクションジャンルへの新たなアプローチ

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。まず，ダンジョン・ストーカーズの開発に至った経緯を教えてください。

Han Dae Hoon氏（以下，Han氏）：
　元々，私はエクストラクションというジャンルが大好きなプレイヤーでした。ただ，このジャンルは面白いのに，思ったほど多くの人が楽しめていないように感じていたんです。友達と一緒に遊ぼうとしても，「難しすぎる」と言われることもありました。そこで，このジャンルをもっと多くの人に楽しんでもらいたいという思いから，このプロジェクトを始めることにしたんです。

4Gamer：
　なるほど。Studio HGがこれまでに手掛けてきた作品は，世界観がSFで一人用のゲームが中心だったと思います。そんななか，あえてファンタジー作品に挑戦した理由は何でしょうか。


Han氏：
　今回は少し古典的な要素を盛り込みたかったんです。私はダンジョンズ＆ドラゴンズやウィザードリィのような世界観が大好きということもあり，今回はそれを取り入れたいと思ったのです。
　そして，今回は一人で作るのではなく，仲間と一緒に作ることになったので，仲間たちのコラボレーションも考えながら，ファンタジーというジャンルに挑戦することにしました。

4Gamer：
　これまでの作品では，セクシーな美少女キャラが特徴的でした。今回はゲームの世界観がファンタジーになりますが，キャラクターをデザインするうえで意識したことはありますか。

Han氏：
　デザイン面では，基本的に多くの人に好感を持ってもらえるように工夫しています。開発チームの多くはアニメが大好きなメンバーで，自分たちの好きなキャラクターと同じくらい魅力的になるように作り込んでいますね。

　また，ダンジョン・ストーカーズにはアーマー破壊システムがあるので，鎧が何段階にわたって壊れていく様子をあらかじめ考慮してデザインする必要がありました。そういった面では非常に挑戦的だといえるでしょう。日本の皆さんにも，鎧を着用している状態と壊れた状態の違いを楽しんでいただけると，とても嬉しいです。


4Gamer：
　では，ゲームのシステム面についても聞かせてください。プレイヤーにとってマイナスになるものやプラスになるものなど，さまざまなことが起きて状況を混沌とさせる「魔女の呪い」という仕組みを取り入れた意図はなんでしょうか。

Han氏：
　「魔女の呪い」は，プレイヤーにランダムな効果を与えるシステムで，時には不利な状況を作り出すこともありますが，有利な展開を生むこともあります。これにより，上級者と初心者の実力差を少し縮めることができると考えています。
　プレイするたびに展開が異なり，上級者も状況に応じた新しい戦略を考える必要が出てきます。また，運の要素が加わることで，初心者でも思わぬ活躍ができる可能性が生まれるんです。


4Gamer：
　なるほど。確かにどんな効果が発動するか分からないので，それまで不利な状況に置かれていたプレイヤーも，一発逆転のチャンスが出てくるかもしれないですね。では，魔女の呪いの効果で，お気に入りのものや，アイデアだけで実装はできなかったものなどがあれば教えてください。

Han氏：
　1ダメージでも与えれば即座に相手を倒せる「一撃必殺」という効果を考えていました。面白い面もあったのですが，遠距離攻撃が得意なキャラクターが有利過ぎましたね。本作ではキャラクターが死ぬと全アイテムを落としてしまうので，「やりすぎだ」と多くのフィードバックを受けました。ちょっと過激過ぎたかもしれません。


4Gamer：
　聞いていると楽しそうですが，実際に遊んでいる人からするとリスクが大きいですしね。
　では，PvPとPvEのバランス調整はどのように行っていますか。

Han氏：
　本作はパーティプレイを基準に開発を進めました。そのため，ソロプレイではほとんど意味がないスキルもありますが，パーティプレイでは非常に重要だったりします。

4Gamer：
　なるほど。基本的にはパーティで遊んだほうがよさそうですね。

Han氏：
　ただ，それは比較の話ですので，一人で遊んでも十分に楽しめます。最初のテスト時にソロモードはありませんでしたが，「いつも友達が2人以上いるわけではない」という意見をいただいたので，ソロでも十分に楽しめるよう，ダンジョン内のモンスターが減るといった調整が入るようにしました。


4Gamer：
　どちらかというと一人で遊ぶ派なので，その調整は嬉しいです。では，マッチングシステムについて教えてください。

Kim Wonmo氏（以下，Kim氏）
　現在はソロとパーティプレイそれぞれで別々にマッチングが行われるようになっています。今はまだ実装されていませんが，将来的には同じような装備レベルのプレイヤー同士で戦えるようにする予定です。

4Gamer：
　同じぐらいの装備レベルのプレイヤー同士で戦えるというのは，公平性が高くていいですね。ちなみに，ダンジョン・ストーカーズは基本無料のゲームだと思いますが，どんなアイテムを売るのでしょうか。


Kim氏：
　キャラクターのアクセサリーやスキンなど，見た目をかえるものを販売する予定で，いわゆるPay to Winにはしない方針です。

4Gamer：
　なるほど。そのままでも魅力的なキャラクターが多いですが，より自分好みにしたかったらアイテムを買ってもらうという流れですね。では，初心者向けにおすすめのキャラクターはいますか。

Kim氏：
　個人的には，近距離キャラクターの中でヒーリング能力を持つクラッドというキャラクターがおすすめですね。自分自身だけでなく，パーティメンバーも回復できるスキルもあるので，初めてプレイする人には，このキャラクターをすすめています。

Han氏：
　プロデューサーとしては，好きな外見のキャラクターを選んでプレイしてもらうのがいいと思っています。キャラクターへの愛着があってこそ，ゲームをより楽しめるので。
　あえて一つおすすめを選ぶのであれば，ヒルダという盾を持った女性の騎士キャラクターでしょう。攻撃も防御もバランスが取れていて，プレイしやすいと思います。

クラッド

ヒルダ

4Gamer：
　なるほど。では最後に，ゲームのリリースを待っている読者にメッセージをお願いします。

Kim氏：
　ダンジョン・ストーカーズは，エクストラクションゲームを初めて遊ぶ人にとって，入門しやすいと思います。ゲーム内にはPvEというソロモードもありますが，PvPモードも用意しています。
　また，プレイがパターン化しないようなシステムもありますので，退屈にはならないと思います。ぜひ一度プレイして，自分に合うかどうか体験してみてください。

Han氏：
　 ダンジョン・ストーカーズのテストでは，かなり多くの割合を日本のゲーマーが占めていました。とても嬉しいのですが，ランキングの1位はだいたい日本のゲーマーで，ちょっと手加減してもらったほうがよかったかもしれません（笑）。
　それは冗談ですが，エクストラクションゲームに興味はあるけどちょっと難しそうだと二の足を踏んでいる人がいたら，ぜひ次のテストでプレイして触ってみてほしいです。

4Gamer：
　ありがとうございました。

「ダンジョン・ストーカーズ」公式サイト