これは5分で完結するフリーゲーム。朝起きて水を飲むときのように,気軽にプレイできる。筆者は水を飲まない人なのだけど,最近はショートビデオばっかり観てるせいか,ゲームにかける時間もだんだん短くなってきてる気がする。要は,短くてテクニックが要らないゲームがちょっと欲しくなったのだ
![画像集 No.001のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/001.jpg) |
We become what we behold.
We shape our tools and then our tools shape us.
Marshall McLuhan
John Culkin, SJ
アメリカの評論家にしてメディア学者,元司祭という異色の略歴を持ったJohn Culkinの言葉だが,
「我々は,自分が見ているものになる。我々は道具を形作り,そして道具が私たちの形をづくる。」とのこと。
この意味深な言葉の解釈を,ゲーム体験から具現化したのが,2016年に登場したフリーゲーム
「We become what we behold」だ。開発者
Nicky Case氏によってitch.ioで公開され,現在もサイトからプレイできるようになっている。オープンソースなこともあって,世界中のファンによっていろんな言語に訳されたが,日本語はない。残念。
本作のほうが先なのだが,最近のコアゲーマーに説明するならばテーマ的には「
Not For Broadcast」と同工異曲だというとイメージしやすいかもしれない。我々は観察者でありながら,世界が(世論が)どこへフォーカスするのかという視線を動かすパワーを持っている。
マウスを動かすだけで,円形や四角頭の小さい人たちがいる社会に参加しているというわけではないのだが,実は我々は,写真を撮ることで社会の“事件”を操作することができる。
カメラを動かして,フォーカスしたいシーンを見つける
![画像集 No.002のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/002.jpg) |
ほかと違う帽子を付けている人を見つけてフォーカスすると……その帽子のファッションが巻き起こったりする
![画像集 No.003のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/003.jpg) |
始まりはとても小さいことで
![画像集 No.005のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/005.jpg) |
たった一つの火花に目を付けただけだったのに,事態が拡大していく
![画像集 No.006のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/006.jpg) |
美しいことも,怒りすらも,一つの社会の中で共存できるはずだけど
![画像集 No.007のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/007.jpg) |
愛だの何だのという平和なことより,バイオレンスのほうが広がりやすいのはどこでも同じ
![画像集 No.008のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/008.jpg) |
![画像集 No.009のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/009.jpg) |
刺激欲求を満たすように目を向けさせると……
![画像集 No.010のサムネイル画像 / 「We become what we behold」ーーー5分で終わるショートゲームをあなたに](/games/743/G074344/20230930008/TN/010.jpg) |
ホントに5分のプレイで終わるような内容で,油断するとこの原稿を読んでる時間のほうが長いかもしれない。サイトでHTML版を開けばプレイできるし,Steam上にはファンメイドのアプリケーションもある。
日本語版がないのは残念なことだが,文字要素はさほど多くないし,プレイヤーのアクションで目に見える変化を引き起こせる作品なので,ぜひこのプリミティブな体験をしてみてほしい。
デベロッパーがそうあれと思うようにしか,我々はなれないのだが,見てほしいと思っている一端がハッキリ見られて満足だ。まぁそもそも,プレイ時間5分のフリーゲームに,どれほどのものを求めているのか? ショートなのは単なるプレイ時間の話であって,それ以上を求めるのなら,水面下の氷山について考えを巡らせる自由だって,もちろんある。