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  • 発売日:2024/12/12
  • 価格:7480円(税込)
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印刷2024/11/29 12:00

プレイレポート

[プレイレポ]PCエンジンの名作STG「超兄貴」と「愛・超兄貴」がSwitchに。筋肉美をテーマにした独特の世界観と尖ったシステムが特徴

 エディアが2024年12月12日にリリースを予定しているシューティングゲーム「超兄貴COLLECTION」は,PCエンジン用ソフトとして登場した「超兄貴」(1992年発売)と「愛・超兄貴」(1995年発売)の2作品を,Nintendo Switch向けに移植収録したものだ。

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 オリジナル版の雰囲気や手触りをそのまま再現しているだけでなく,「ビジュアルモード」「巻き戻し機能」なども新搭載し,ファンにはたまらない一品となっている。
 筋肉と兄貴をフィーチャーした独特の世界観を思う存分楽しめる本作を,事前にプレイする機会を得たので,そのレポートをお届けする。

「超兄貴COLLECTION」公式サイト



筋肉美をテーマにした独自の世界観。尖ったシステムを持つ名作が現代によみがえる


 ゲーム好きであれば,「超兄貴」の名前を聞いたことがある人も多いだろう。1992年という8ビットゲーム機から16ビットゲーム機への移行期に,PCエンジンのCD-ROM²用に発売されたのが「超兄貴」だ。

 当時は「ストリートファイターII」の登場によって,格闘ゲームのブームが始まっていた頃。しかし,それ以前から続いていたシューティングゲームの人気も確かなもので,さまざまな作品がリリースされていた。
 その中でも異彩を放っていたのが,NCSとWINDSが開発し,メサイヤのブランドで発売された「超兄貴」である。主人公である男性神のイダテン(女神・ベンテンも選択できる)と,これを助けるアドンとサムソンは,いずれも筋骨隆々,さらに敵キャラクターも筋肉が強調されているものが少なくない。

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「超兄貴」エンディングより。一貫して筋肉と兄貴がフィーチャーされている

 基本システムは,同社が前年にメガドライブ用ソフトとして発売した「ジノーグ」に近いのだが,少しダークな雰囲気を持っていた同作とは異なり,「超兄貴」にはある種の親しみやすいコミカルさがあった。

 その象徴のひとつとして,葉山宏治氏によるBGMがある。
 「ドイツ!ドイツ!ドイツドイツ ジャーマン!」という叫びから始まる「ドイツ人ジャーマン」。「おお,マッチョダンディー……昔から憧れてました……」と男性が切なげに語る「あこがれのマッチョダンディー」。「ララララ兄貴 ララララ兄貴 兄貴 兄貴 兄貴……」と兄貴への愛を歌い上げる「ラブミープレスリー」などCD-ROMならではの楽曲は,本作の特異な世界観を表現すると同時に,聞くものに強烈なインパクトを与えた。

 どの曲も愉快で,聞いているだけで元気になれる。また歌詞からは想像がつかないくらい,楽曲的にはガチでカッコいい。なお,「仁義なき兄貴」はオリコンで16位のヒットになったそうで,氏の楽曲がいかに力あるものかが分かるだろう。

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 ゲームファンにさまざまな形で衝撃を与えた「超兄貴」だが,1995年には続編の「愛・超兄貴」が発売された。同年にはさらに,対戦格闘ゲームの「超兄貴 爆烈乱闘篇」と,キャラクターを実写で取り込んだ「超兄貴〜究極無敵銀河最強男〜」もリリースされている。
 翌1996年以降も,さまざまなジャンルでシリーズ作品が登場。2022年2月には,スマホ向けリズムゲームの「ダンシング・オブ・超兄貴」(iOS / Android)も配信されたのだが,こちらは同年8月にサービス終了してしまった。残念。

 いまでもカルト的な人気を持つ「超兄貴」シリーズだが,初期作の「超兄貴」と「愛・超兄貴」を現行機向けに移植,カップリングしたのが「超兄貴COLLECTION」だ。
 2024年7月に行われたクラウドファンディング「『超兄貴』復活応援プロジェクト」では,目標額の500万円を大きく超える1136万円を集めており,ファンたちが「超兄貴」の復活を切望していたことが伺える。

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 エディアは本日,「『超兄貴』復活応援プロジェクト」クラウドファンディングを開始した。期間は8月19日18:00まで。本プロジェクトは,超兄貴シリーズの第1作目「超兄貴」と第2作目「愛・超兄貴」「超兄貴COLLECTION(仮称)」としてNintendo Switch向けに復刻するプロジェクトだ。

[2024/07/19 16:20]

 本作は,ゲーム本編を遊べるのはもちろんのこと,当時のパッケージやマニュアルも収録。さらに楽曲を自由に聞ける「サウンドモード」と,ゲーム内のビジュアルを見られる「ビジュアルモード」が用意されている。
 また,ゲーム中にいつでも使えるセーブ/ロード機能と巻き戻し機能も用意されているので,攻略派の人たちも満足できるだろう。

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CDの盤面やパッケージの裏面も

PCエンジンのシステムカードを入れ間違えた際の警告画面も見られる
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「サウンドモード」は,サントラ代わりに活用できる


●「超兄貴」(1992年12月25日発売)


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 本作の主人公(自機)は,男性神のイダテンと女神のベンテンだ。プロテインを求めて侵略を繰り返すボ帝ビルを倒すため,サムソンとアドンとともに戦いに赴くことになる。

 いわゆる横スクロールシューティングだが,前述の通りボディビルダーのような筋肉や,これを備えた男性「兄貴」を至高のものとする特異な世界観が目を引く。
 シリーズのアイコンであるサムソンとアドンは,イダテンとベンテンに従うオプション的な存在だ。上下についてショットを発射するのに加え,敵弾を防ぐことにも活用できる。しかし,いくら筋骨隆々のサムソンとアドンであっても耐久力には限りがある。被弾しすぎると「兄貴……」と呟きつつ脱落してしまう。

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主人公のイダテン,ベンテンに付き従うサムソン(上写真)とアドン(下写真)

 サムソンとアドンを回復させるには,敵が出す「プロテイン」が必要になる。ただ,プロテインは自分自身のショットをパワーアップさせる効果も持つ。つまり,状況に応じてサムソンかアドンに食わせるか,自分が取るかを判断しなければならないということ。
 ゆっくりと考えている時間はないため,サムソンに与えるはずのプロテインを操作ミスで自分が取ってしまったり,回復させたアドンがスクロールと地形に挟まれて即死したりとハプニングも多い。彼らが脱落する際の「兄貴……」という声に罪悪感を覚えてしまうのは,オプションを人物としたからこその感情移入だろう。

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 道中の雑魚も,「小脇に抱えた巨大な筒をしごきつつ弾を出すマッチョ」や「のけぞりながら飛んでくるマッチョ」など濃い連中が揃っている。
 さらに,これに負けないインパクトを持つのが,ステージに登場する複数体の中ボスとボスたちだ。カーテン越しのシルエットは女性のようだが,実は筋骨隆々の男性という「シェル・ジ・アニキ」をはじめ,たくましい男性スイマー2人がシンクロナイズドスイミングのごとく襲い掛かってくる「エル&トポ」,ムキムキの腕で車輪を回して走る人面の機関車,画面の4/5を占める巨大なトレーニング機器でこちらを挟み込んでくる最終ボス・ボ帝ビルといった面々が登場する。

「シェル・ジ・アニキ」
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 登場時などの演出は非常に凝っており,激戦が控えているというのに,つい笑いがこみあげてしまうことも。なお,画面をフルに使ったデカいボスがこちらを押しつぶすように攻撃してくるのも特徴で,この辺りは再チャレンジが容易な家庭用ゲームだからこそのチャレンジングな仕様といえるだろう。

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雑魚敵の動きもインパクト抜群だ

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「エル&トポ」

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ラスボス「ボ帝ビル」


●「愛・超兄貴」(1995年2月24日発売)


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 「超兄貴」の続編。システムが全面的に変更されており,格闘ゲームのようなコマンド入力が必要になる,かなり尖ったプレイ感を楽しめる。

 主人公は,前作ではオプション扱いだったサムソンとアドンの2人だ。ボディビルのポージングを変えることで,攻撃方法が変化する。
 通常攻撃に相当するのは,オートエイミングの汗を放つ「悦楽吐息」だ。[B]ボタンを押すだけで発動できるが,連射が効かないため敵の群れが出てくると捌ききれないこともある。
 その際,敵が横に並んでいるなら,[←][→]+[B]の「男魂」を使えば,貫通性能を持つしぶきで一掃してしまえる。また,敵が上にいるなら[↓][↑]+[B]の「悶絶昇天心中」,近距離にいるなら[↓][\][→]+[B]の「倒錯兄弟」……というように,コマンド入力によってポージングを切り替えて敵を攻撃してくのだ。

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ボ帝ビルを倒して世界は平和になったが,イダテンが行方不明に。サムソンとアドンはイダテンを救いだすために戦う

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取説にあるポージングとコマンド一覧。7種のポージングを使い分けて戦う独特のシステムだ

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敵の位置や編隊によって攻撃を使い分けていく

 攻撃のためのコマンド入力には方向キーも必要になる。そして,弾や攻撃を避けるための移動にも方向キーの入力が必要だ。
 コマンドを入れていたら被弾した,避けるのに一生懸命になってなかなか攻撃できないといった事態を避けるため,本作独特の考え方を身に着ける必要がある。
 その鍵となるのが,悦楽吐息はコマンド技の下位互換ではないことと,最終ボス以外の攻撃を防げるポージング「汗汁乱舞」の存在だ。
 悦楽吐息で処理できる状況であれば無理にコマンド技を狙う必要はないし,苦境でも汗汁乱舞を出しっぱなしにすれば,ひとまずその場をしのぐことができる。とはいえ,逃げ回るだけではボスは倒せないし,手こずっている間にも残り時間はどんどん減っていく。だからといって無謀な攻撃をしてライフが尽きれば,残り時間もその分減らされてしまう。状況に応じたクレバーな立ち回りが求められるのだ。

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ポージング「汗汁乱舞」はラスボス以外の攻撃に対して無敵。敵に触れてもダメージを受けない

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ポージングを繰り返してパワーを溜めると「メンズビーム」を放てる

 敵キャラクターは,前作以上に筋肉をフィーチャーしたものが増えており,濃厚さもアップしている。筋肉のカットも美しい大型キャラクターはもちろんのこと,汽車や船に小さなマッチョが乗って働いている様は,ドット絵の妙技といえるだろう。

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花畑に現れるマッチョ。幻想的な光景だ

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ボスから雑魚まで,とにかく筋肉筋肉筋肉筋肉

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ちいさくても筋肉

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汽車に備え付けられた飛び込み台からは,小さなマッチョが飛び降りてこちらに体当たりしてくる

 「シン・仮面ライダー」「るろうに剣心 ―明治剣客浪漫譚― 追憶編」などの音楽で知られる,岩崎 琢氏の楽曲も素晴らしい。陽気なメロディーに兄貴たちの合いの手がマッチした「上海パワースラム」,バックの読経が格好いい「スラッシュ寺院」,荘厳な「原子熱兄貴」など,いずれも印象的だ。

 シリーズが持つ独特の世界観を活かしつつ,格闘ゲームのコマンド技の概念を取り入れた独特のプレイ感を持たせた本作からは,尖ったゲームを作りたいという姿勢が見えてくる。人気シリーズの続編でありながら,同じ場所に置きにいっていないというわけだ。

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ラスボス「ボ帝コンシャス」

 ビジュアルと楽曲のインパクトが目を引くシリーズだが,1作目では大型ボスやプロテインのリソース配分,2作目ではポージングの使い分けと制限時間を意識したプレイなど,ゲーム作りの面でも挑戦が行われている。だからこそ語り継がれているのが「超兄貴」である。
 「超兄貴COLLECTION」は,ゲームとしての「超兄貴」の面白さを再確認するのにもってこいの作品なので,ファンでなくともぜひ遊んでみてほしい。

 なお前述の通り,「超兄貴COLLECTION」のクラウドファンディングは大きな成功をおさめ,シリーズ3作目「超兄貴 爆烈乱闘篇」が移植されることも決定している。ビジュアルからシステム,楽曲まで,とにかくインパクトと元気に満ちたシリーズなので,今後の展開にも期待したいところだ。

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