プレイレポート
[プレイレポ]「FINAL FANTASY VII REBIRTH」がPCプラットフォームに登場。プレイヤーごとの好みの環境で広大なFFVIIの冒険を楽しめる
本作は,1997年に初代PlayStation向けに発売された「ファイナルファンタジーVII」(以下,FFVII)をベースに,現行機向けにフルリメイクされる“FFVII リメイクプロジェクト”の全3部作の2作目だ。2020年にPlayStation 4向けに発売された「FINAL FANTASY VII REMAKE」(以下,REMAKE)の続きを描く直接的な続編となる。
もともと本作は,2024年2月にPlayStation 5にのみ対応する形で発売されているが,約1年の時を経て,ついに別のプラットフォームで楽しめるときが来たわけだ。
今回,発売前にメディア向けに提供されたレビュー版をプレイしたので,そのレポートをお届けしたい。なおレビュー期間中に大きめのアップデートが入っており,製品版とは異なる部分があるかもしれない点はご留意いただきたい。
「FINAL FANTASY VII REBIRTH」公式サイト
REBIRTHではプレイヤーが想像していた理想のFFVIIを楽しめる
PC版とPS5版の具体的な違いに入る前に,未プレイの人向けにネタバレは極力避けたうえで,作品としてのREBIRTHを紹介していこう。
冒頭で触れたとおり,本作は初代PS向けに発売されたFFVIIのフルリメイク版だ。ベースとなる物語や特徴的なマテリアシステムは継承しつつ,グラフィックスを現代向けにリファインし,さらに三人称視点への変更,アクション性が高いバトルシステムの採用(擬似的なコマンド式も可能),ストーリーや演出面の大幅強化とキャラのフルボイス化など,時代に合わせてさまざまな要素が調整されている。
前作に当たるREMAKEとの大きな違いは,広大なフィールドとその探索要素が追加されたことだ。すべての世界がシームレスにつながったオープンワールドでこそないものの,エリアごとに分かれた世界は特色豊かな箱庭として,魅力溢れる冒険の舞台になっている。
プレイヤーはそんな広大な世界で,ある時は手強い敵を倒し,ある時は召喚獣の祠を探し,またある時はモーグリと追いかけっこをし……といった形でさまざまなアクティビティを楽しめる。もちろんRPGらしく,メインクエストやサブクエストを進めるために,マップの隅々まで忙しく駆け回ることもある。
戦闘面では標準のパーティメンバーが増加したので,任意の入れ替えが可能になったほか,仲間と協力して発動する「連携アビリティ」や「連携アクション」が追加された。
利用できる組み合わせは決まっているので,ボスなどの強力な敵と戦うときは,それを加味したメンバー選定も重要になるというわけだ。とくに連携アビリティは強力なものばかりなので,ピンチの時に一発逆転の一手になることも多い。
だが本作の一番の見どころは,かつて一部の映像作品やスピンオフで断片的に描かれていた「最新技術をふんだんに使ってリアルかつ詳細に描かれる,プレイヤーが想像していた理想のFFVII」が,実際にプレイできることだろう。
以前は技術的に無理であったことがテクノロジーの進化によって実現可能になり,ファンの熱い声に応える形で復活(リメイク)しているのは,当時のいちプレイヤーだった著者にとっても感慨深い。
分割作という形式を取っているため,物語を一度に楽しむことはできないが,その代わりに全体のスケール感や個々の描写の細かさはかなりのもので,今回のREBIRTHだけでもそのボリュームは相当なものだ。
ゲームスタートからミッドガルからの脱出を描いたREMAKE,そしてそこから中盤の山場となる“忘らるる都”までが描かれるREBIRTHだが,それぞれ単体のゲームとしても十分に楽しめるどころか,REBIRTHに関してはほかのオープンワールドRPGと比べても遜色ないか上回るほどの規模を誇っている。
予定ではFFVIIのリメイクは次回作で完結することになっているが,最終的にどれほどのスケールになってしまうのか。期待すると同時にちょっと恐ろしさすら感じているのは著者だけではないと思う。
なお上記の話を読んで「REMAKEから始めないとREBIRTHは楽しめないの?」と考えてしまう人もいるかもしれないが,両者はそれぞれ完全に個別のゲームとなっており,レベルやアイテムなどの引継ぎ要素は基本的にない(REMAKEのセーブデータがあると,REBIRTHで召喚獣のマテリアがボーナスで得られるだけ)。
REBIRTHには前作のストーリーダイジェストもあるので,REMAKEが未プレイだったり,途中で放置したりしていても,(細かい部分のストーリーやサブ的な登場人物がわからない以外は)とくにプレイに支障はないので安心してほしい。
PC版はグラフィックス設定の自由度が大幅アップ。自分の環境に合わせた快適なプレイを楽しめる
本題となる,REBIRTHのPS5版とPC版の違いだが,ゲーム内容自体は基本的に変わらない。PC版のみの追加コンテンツなどはないので,まだ未プレイならば,どちらを選んでも大きな違いはない。
ただPC版で大きく変わったのがグラフィックス面を細かく調整できる部分だ。PS5は通常版かPro版かという選択肢しかないが,PCはそれぞれプレイヤーごとに環境がまったく異なるので,設定できる項目が大幅に増えている。
具体的には通常のPS5版には,クオリティよりフレームレートを優先する「パフォーマンス」(画質はソフトとシャープの選択肢あり)と,逆にフレームレートよりクオリティを優先する「グラフィック」,そしてPro版では新たにフレームレートとクオリティを両立させる「エンハンス」が存在した。
簡単にそれぞれをまとめると,パフォーマンスはそこそこのビジュアルに制限しつつ60FPSを目指すモード,グラフィックは可能な限りビジュアルを優先しFPSは30程度に抑えるモード,エンハンスはPro版の性能を活用し60FPSでグラフィックモード相当+αのビジュアルを実現するモードとなっている。
PS5 Proを所有しているならエンハンスモード一択でいいが,通常版のPS5では高精細だがカク付きが若干気になるグラフィックを選ぶか,ぬるぬる動くが見た目が若干落ちてしまうパフォーマンスを選ぶかという二択となり,なかなか悩ましい選択を迫られる状況になっていた。
一方のPC版は「高」「中」「低」という3つのプリセットが用意されており,さらにそれぞれの項目を細かくカスタマイズできる。公式の情報によるとライティングの調整が入ったとのことで,PS5版と比べ,さらに光の表現が向上したとのこと。背景モデルや背景テクスチャのクオリティ調整も複数段階で設定できるため,ハードの環境に合わせて,より適切なものをチョイスできる。
以下に4K解像度でプリセットの高・中・低でそれぞれスクリーンショットを撮影したものを並べておくので,参考にしてみてほしい。
さらに解像度の選択肢がかなり広くなっており,HD画質の1280×720(720p)から4K解像度の3840×2160まで複数のモードが用意されているため,表示するディスプレイや搭載しているハードウェア(CPUやGPU)のグレードに合わせて,適切なものをチョイスできる。
またフレームレートも30FPSと60FPSに加え,90FPSと120FPSが用意されており,対応するディスプレイと相応のスペックを持ったPCを用意できるなら,上記のパフォーマンスモードやエンハンスモードを超える“ぬるぬる感”を体験することが可能だ。
PS5版ではグラフィックモードを選択していた著者は,今回は高フレーム環境で楽しんでみたかったので,解像度をフルHDに設定し,場所によっては120FPSに張り付くフレームでプレイしたのだが,そのスムーズさにちょっと感動してしまったほどだ。
もちろん環境によっては4K解像度かつ安定した120FPSを実現することも可能なはずなので,画質とフレームレートを完全に両立してプレイできるだろう。また本作は可変リフレッシュレートのVRR(Variable Refresh Rate)にも対応しているので,ディスプレイが対応しているなら設定をONにすることで,ティアリングやスタッタリングに,より悩まされにくい環境になるはずだ。
またプレイ環境という点では,PCのSteam版は「Steam Deck」でのプレイにも対応しているという。携帯機という関係上グラフィックスに関しては控えめの設定になるだろうが,REBIRTHを手軽に持ち歩いてどこでもプレイできるというのは,なかなかそそられるものがある。
定番のパッドはもちろん,PCならではのキーボード+マウスでもプレイ可能に
PC版で自由度が高まったのが,操作デバイス周りだ。PS5版では本体付属のDualSenseが基本となるが,PC版では同じDualSenseが使用できるのはもちろんこと,定番のXboxワイヤレスコントローラーや通常のXinputの有線コントローラ,そしてキーボードとマウスの操作にも対応している。
著者が試した限り,Steam版はゲーム側に組み込まれたコントローラサポートも使えるし,Steam入力を経由する形でも問題なく利用できる。ボタンの割り当て変更はゲームからでも可能なので,自分の環境に合った形を選べばいいだろう。
DualSenseに関しては,Bluetoothを使った無線接続ではあくまで通常のコントローラとして機能するだけだが,USBケーブルで有線接続すれば,付属のスピーカーから一部の音声を再生することが可能で,PS5環境とほぼ同じ状況で利用できる。実際に著者の環境でも,チャドリーなどの音声通信がDualSenseに着信することが確認できた。
とはいえ音声自体は,DualSense特有の音質になるし,何よりコントローラのスピーカーを利用できなくてもほかの音声と同じように本来のスピーカーから問題なく出力される。このあたりは好みの問題になりそうだ。
新対応となるキーボード+マウスの操作は[WASD]で移動,マウスの左ボタンでたたかうや決定,右ボタンで話すやキャンセルなどのスタンダードな形だ。さらにそれぞれ自由にアサインもできる。
メリットとしては物理的にキーが多いので,ショートカットを利用しやすいし,何かを発動するときに同時押しなどをする必要がなく,一発で簡単に出せることが挙げられる。
キーボードのボタンが多いメリットはほかにもあり,一部のミニゲームで(ゲーム本編とは違う)独自の入力設定が可能になっている。
例えばわかりやすいものとなると,ピアノを弾くミニゲームだ。PS5版,あるいはPC版でもコントローラを使うと「タイミング良くスティックを倒す」という操作になるが,キーボード操作なら音楽用のキーボードと同じく,1つのキーに1つの音階が割り当てられる。
デフォルトのキーは画面に合わせた円形の配置になっているが,前述のとおりカスタマイズできるので,一列に配置すれば本物のピアノにある程度近い形で弾くことができるだろう。
著者は音楽の心得がないので,スティックでもキーボードでもあまり結果が変わらなかったりするが,プレイヤーによってはよりスムーズなプレイが可能になるはずだ。
PC版のREBIRTHは,一言でまとめれば「ほぼ純粋な移植」であり,ゲーム体験そのものが大きく変わるものではない。しかし対応するプラットフォームが広がり,より多くのゲーマーが楽しめる機会が得られるのは純粋に喜ぶべきことだろう。
グラフィックス設定も幅広く調節できるので,ハイエンドではないゲーミングPCでもある程度問題なく楽しめるはずだ。
PS5環境のみという状況がネックになり,REBIRTHをプレイできなかった人は,ぜひこの機会に生まれ変わったFFVIIの世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。
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(C)SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:(C)YOSHITAKA AMANO
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